東京レイヴンズ~二天龍を従えし者~【本編完結】 作:眠らずの夜想曲
―――登校。
「だーりーん♪おっはよーございまーす♪」
「お?あぁおはよう鈴鹿」
よくも毎日こうやって俺を見つけられるな。
俺はそれを感心するよ。
「朝から会えるなんてー、鈴鹿ラッキー♪」
そう、この一言で周りにいる陰陽塾生が俺と鈴鹿が付き合っているんじゃないか?とヒソヒソ話始める。
夏目は顔が引きつってる。
「ほら、持って」
鈴鹿は夏目に鞄を渡す。
それ、絶対になんか仕掛けただろう。
「ひゃあぁぁ!?」
ほらな。
「気を付けてくださいねー、今日の鞄、30kgあるんですー、てへ☆でも大丈夫ですよねー♪夏目せんぱーい。男の子だもーん……」
「これ本当に30kgもあるの?すごく軽いけど」
「はぁ?アンタ何言って……」
そこまで言って鈴鹿は気づく。
俺がクスクス笑ってんのを。
「夏目、おまえは『神使』だからな。基礎能力は格段に上がってる。だからそのくらいは余裕で持てるぞ」
「あぁ、なるほど」
「ぐっ……」
鈴鹿が悔しそうに顔をゆがめる。
『神使』については訊かないんだな。
―――教室。
「おもしろいことになってるな」
冬児が俺に言ってくる。
「おまえは……まったく」
「一気にバラす方向かと思ったらこっちだったか……いやぁ実にイイ性格だなぁ」
「でも『神使』でよかったよ……そうじゃなかったら今頃腕が上がってなかったよ……」
確かにな……
このままではどのみちまずいか。
「夏目、俺さ、鈴鹿にちっとO☆HA☆NA☆SHIしてみる」
「えぇ?」
「いい加減こんなことやめろってな……ククク」
「や、刃?大丈夫?」
「ククク、何言ってんだか。大丈夫だ、問題ない」
「本当に大丈夫?」
ハハハ、何言ってるんだ。
俺はダイジョウブダヨー。
―――広場。
「あぁん?アンタらアタシにはむかえると思ってるわけ?」
俺はデコピンをされた。
……むーん。
―――ベンチ。
「ほら、買ってきたぞ」
俺はチョコバナナを買いに行かせられた。
……はは。
―――カラオケボックス。
「はぁ?今sir抜けてなかった?返事の前と後ろのsirがさー」キーン
マイク使って大声でしゃべるな。
音が割れる。
鈴鹿の肩をもみながら考える。
「sir yes sir!!」
夏目が鈴鹿の宿題を中断して、敬礼しながら答える。
―――ファーストフード店。
「だーりーん。バニラシェイク。ダッシュ」
「あいよ……」
この野郎……いや女だからアマか。
このアマ……覚えてろよ。
―――日曜日、食堂。
夏目は机に突っ伏している。
「夏目!?おまえ髪のツヤが!?それに枝毛!?おいおい……ちゃんと手入れしろよ!!もったいないぞ、綺麗な髪なんだから」
「は、はい……」
俺が手入れしてやってもいいんだが……
この前のデートから一回も一緒に入ってないしな……
「ま、少なくても今日一日はあいつに絡まれないで済む」
「本当……こんなに休日を貴重だと思うのは初めてです」
ピリリピリリ
俺か……
俺は画面を見る。
そこには……鈴鹿の二文字。
「はぅあ!?」
どうやら夏目の視界に入ったようで、夏目が震えている。
俺はそのまま無視して勝手に切れるまでまつ。
だが次は夏目のケータイにメールが入った。
本文には一言。
出ろよ
そしてまた俺のスマホが鳴り始める。
むかついた俺はスマホの電源を切る。
その時だった。
ギィィィ
扉の軋む音と一緒に現れたのは―――
「ぐっもーにーん」
鈴鹿だった。
鈴鹿はスマホを俺たちにちらつかせる。
そしてニヤリと笑う。
―――俺の部屋。
何故だか知らないが、鈴鹿は俺の部屋……俺と夏目の部屋に来ている。
「ねぇ……なんでここだけ二部屋つながってんの?」
「ん?あぁ、俺と夏目は同じ部屋で暮らしてるからな。勝手にこっちでつなげた」
「はぁ!?つなげたって……どうやって?」
「まぁ企業秘密だな」
「……まぁいいわ」
いいのかー……
とりあえず、部屋についた瞬間に見られたらマズイところはこの世界の技術ではないもので封印したからな。
心配はないだろう。
「電話に出なかった罰として、刃の部屋を見せろって……」
「そういうことか……」
夏目?
てか冬児!!
いつの間に……
「で、ご感想は?」
冬児が鈴鹿に訊く。
「退屈な部屋ねぇ……まぁ二部屋つながってて夏目と一緒に住んでいるのはちょっと驚いたけど。あぁ、なんかないの?エッチ系の本とかーDVDとか」
「いや、ないし。つか、帰れし」
いい加減帰ってくれよ。
正直言ってまだ眠い。
「見てもつまんねーよー。こいつの趣味、どノーマルだし」
「なに言ってんだか……」
つか、エログッズ買う金があったらゲーセン行くわ。
「ま、このくらいにしておいてやるか。じゃあ、次は夏目っちの方行ってみようか♪」
「えぇぇぇぇ!?嫌です、ダメですぅ!!お断りします!!」
腕を交差させてバッテンをつくる夏目。
そこまで嫌か。
「あれー?そんなこと言っちゃっていいわけ?」
夏目が俺の方を見てくる。
なになに?
たすけて
俺は首を横に振った。
その時だった。
「喼急如律令!!」
そう叫んで夏目が簡易式を飛ばす。
何事だ!?
だがそれをすぐに鈴鹿が撃墜する。
それを確認すると、今度は夏目自身が動く。
が、それは鈴鹿が足をつかんで止められる。
「は、放してぇ!!行かせてえぇぇぇぇぇぇ!!」
「ダメだって言ってるし、てか、何そのマジ反応。アンタの方何があるってのよ。逆に怖いんだけど!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
結局夏目は呪術を縄で縛られて声も出せなくされた。
「あの反応からどんだけヤバいもんがあるのかと思ったが……どうってことないな」
「いやいやいや、あるじゃない。おもしろそうなのが」
クローゼットか……
ふんふん、結構な術式だ。
「結界自体を穏行してたわけね。相当こったつくりじゃーん」
「また、なんか呪術がかかってんのか?」
そう言いながらクローゼットに触れる冬児。
すると、冬児は吹き飛ばされた。
え、えげつねぇ。
「バーカ。この結界はかなりのものよ。引っ込んでなさい」
そこまでするか、夏目。
「解除は手間取りそうだけど、おもしろい。やってやろうじゃないの」
そう言って何かを始める。
「――~―~~―――~――」
それをみて冬児が一言。
「刃、俺、自分の部屋に帰っていいか?」
「いいぞ」
俺もついて行った。
途中で夏目が涙目で騒いでいた。
「うるさいわねぇ!!」
鈴鹿も怒っている。
だがこの夏目の切羽のつまりようは尋常じゃねぇ……
仕方ない。
俺は『写輪眼』を開眼させる。
「鈴鹿」
「何……よ……」
俺は鈴鹿を幻術にかけて眠らせる。
それから、夏目の元に行き拘束を解く。
「ほら、これでいいだろ」
「あ、ありがとう!!」
そう言って抱き着いてくる夏目。
なんだ、いいことあったな。
―――翌日、俺の部屋。
む……
なんだこれ……
確か俺のベットには俺しか寝てないはずだが……
ならなんだこの重量感は?
俺は布団をめくる。
そこにいたのは夏目だった。
入ってくるなら最初から入ってくればいいのに……
「ほら、夏目。朝だぞ……起きろ」
「ん……」
声をかけるとゆっくりと起き上がる。
そして周りをキョロキョロと見渡す。
そして一言。
「え……えぇぇ!?なんで刃が僕のベットに!?」
「おまえが俺のベットに入ってきたんだろ……」
「え!?ご、ごめん……」
「んにゃ、入るなら最初から入ってきてもらった方がいい」
「わ、わかった!!」
うれしそうに返事をする。
―――登校。
「いやぁ、いい朝だったわ~」
「おまえさっきからそればっかだな……」
冬児が飽きれながら言う。
だってねぇ?
かわいい子が朝起きたら俺のベットにいるんだぜ?
うれしくないわけがない。
「ホント、つまんないわ」
「おぉう!?いつの間に」
ちゃっかり鈴鹿もいるし……
これからどうなるんだか……