東京レイヴンズ~二天龍を従えし者~【本編完結】 作:眠らずの夜想曲
―――鍛練場。
「このスワローウィップはキミらの霊気を感知すると捕縛するようにできてる。うまく穏行できんと、からめ捕られるでぇ」
大友……
ぼけー穏行をしていたせいか、スワローウィップに捕まった。
「はぁ~い、刃くん残念。まだ三分m「ふん!!」…嘘やろ……」
俺はうっとおしいので力技で拘束を引き千切った。
そしてすぐに穏行をする。
そのまま『絶』を行い、気配も消す。
「ありえへん……あの拘束を力技で抜け出すなんて……一体どんな体のつくりしとんねん……」
ありえるんだよ。
―――広場。
「あーいたいた、見てたわよ、ダーリン」
「ん?あぁいたなそういえば」
やっぱりいたのか。
なんか視線を感じたんだよな。
「やっぱりばれてたかー。でもあんた以外誰も気づかなかったわねぇ」
へへへ、なんか恥ずかしいな///
「穏行の術か……さすが十二神将」
「こんなの基礎中の基礎よ。そんなこともできないなんて、本当に大丈夫なんですかーせんぱーい」
「大丈夫だ、問題ない」
本当に問題ない。
だって『絶』で完全に気配消せるし。
まぁ『円』を使われるとバレるけど。
この世界は使える人間はいないだろうけど。
「おまたせ!!」
京子がやっと来た。
「随分かかったな」
「女の子は身だしなみに時間がかかるの!!デリカシーゼロ男には分からないでしょうけど。あぁ!!鈴鹿ちゃんじゃなーい!!」
そう言って鈴鹿に抱き着く。
嫌がってる嫌がってる。
「にゅ~放せ~!!」
……かわいい。
「あれ?天馬は?」
「先に帰ったぜ」
「えぇ?そう言えば元気なかったわよね」
―――下校。
「天馬、家の人に何か言われたのかしら?」
「家の人?」
なぜに家の人が?
「百枝の家も、陰陽道の旧家で天馬もその跡継ぎだからいろいろとね」
いろいろとか……
しっかしこの世界も家柄があって面倒だな。
―――俺の部屋。
!?
なんだこの気配は……かなり……つーかこの気配は蘆屋道満だ。
なぜ?
陰陽塾にいるわけではないな……
でも近くだな。
確認しとくか。
「夏目、今いいか?」
「何かな?」
「前に渡した指輪とネックレス……ちゃんとつけてるか?」
「う、うん。毎日肌身離さず」
「そうか……」
なら大丈夫……と言えるか?
ATフィールドは絶対と言っていい程の防御力はある。
それに歩く教会もある。
……それでもこの心配がぬぐいきれないのはなぜだ?
考えても仕方ないか。
「それならいいんだ」
「どうかしたの?」
夏目は少し心配そうに俺に訊く。
ここは本当のことを話すべきなのか?
否、話したらまた無茶をする。
話さないほうがいいな。
「いや、ちゃんと持っててくれているかが心配でな」
「持ってるよ!!だって刃がくれたんだもん」
「そうか……うれしいよ」
「あ……///」
俺は夏目の頭を撫でる。
夏目は恥ずかしそうに顔をうつむかせた。
蘆屋道満……どうしようか?
確かに殺すだけなら簡単だ。
まわりの被害を一切考えなければな。
考えないと、街一つは何もなくなるし……
力がありすぎるのも考え物だな。
むーん……
どんどん考えがまとまらなくなっていくな。
「刃……」
「どうした?」
「い、一緒に寝よ?」
おっふ……
小首を傾げながら、なおかつ上目遣いは卑怯だ!!
そこまでされて断れるわけがない!!
「よし、行こう。今すぐに」
「え!?う、うん……」
俺は夏目と一緒にベットに入る。
「あのさ、刃」
「なんだ?」
「一人で抱え込まないでさ、僕のことも頼ってよ」
「!?」
「全部一人で抱え込まないでよ。僕だって力になれる。だからさ、もう少し頼ってよ」
初めてかもしれない。
こんなこと言われたの。
いつも勝手に俺が終わらせてただけかもしれないけど……
ずいぶんと人に頼ることを忘れていたかもしれない。
頼ったとしても圧倒的な力があるレティシアや紅、オーフィスにペストぐらいだ。
その四人が一番付き合いが長いし。
もう少し、人を頼ってみるか。
俺はそこまで考えて寝ることにした。
―――翌日、登校。
「こうやって二人で登校するのは初めてかもな」
「そ、そうだね……」
いやぁ、たまにはこうやって二人きりで登校もいいな。
……視線を感じる。
「誰だ?って……幼女先輩」
「幼女先輩?」
夏目は首をかしげた。
「幼女を愛する者は、永遠の時に生きるの」
「はい?」
夏目は何を言っているかわからないようだ。
俺はもちろんわかる。
「この人は幼女好きの幼女先輩だ」
「光栄ね」
少しだけ頬が赤く染まった。
照れたのか?照れちまったのか?
「あなたは土御門夏目ね」
「は、はじめまして」
「私は涼。幼女先輩と呼んで」
それで本当にいいのか!?
―――教室。
「大友先生は急用で来られない。いいから席に着きなさい」
何があった?
あの先生が呼び出されるって……余程のことがないと……
―――昼休み。
「え、おまえのとこも先生こなかったの?」
「うん、急用ができたからって……」
どこからかそんな声が聞こえた。
「なんか妙じゃない?」
鈴鹿が切り出してくる。
「あぁ……」
冬児も同意見のようだ。
「ちょっと小耳にはさんだんだけど……実技系教師の授業が、軒並み変更になってるわ。これって……もしかして……」
もしかするんじゃないか?
そんなことを考えているときだった。
「おい!!なんだよそれ!!」
急に騒がしくなったのだ。
『繰り返し、ただ今入ったニュースをお伝えいたします。本日正午、東京都台東区秋葉原にある陰陽庁庁舎が、何者かによって襲撃を受けました。これは現在の陰陽庁の映像です』
そこに映し出されたのは、土蜘蛛で攻撃を受けているものだった。
「嘘……装甲鬼兵が……あんなに!?」
鈴鹿でも驚きのようだ。
!?
きやがった……
「やつだ……やつがきたぞ」
「誰だ?やつって」
冬児が俺に訊いてくる。
俺は答える。
「蘆屋……道満!!」
「「「「「!?!?!?」」」」」
全員がその一言に驚く。
始まるのか……
させねぇ……おまえの好きにはさせねぇぞ!!
蘆屋道満!!