東京レイヴンズ~二天龍を従えし者~【本編完結】 作:眠らずの夜想曲
―――寮前。
「おいてくぞ~」
寮の前から部屋にいる夏目に声をかける。
すると、窓から夏目が覗いてきた。
「ごめんなさ~い!!」
それだけ言って引っ込んだ。
―――道。
「たかがコンビニに行くだけだぞ?」
「女の子にはそれなりの準備が必要なんです」
「それもそうか」
確かに『神使』のみんなも準備に時間がかかってたしな。
女の子なら仕方のない事か。
―――公園。
「まだ霊気は安定しませんか?」
コンビニで買ったかき氷を食べながら夏目が訊いた来た。
「んー?別に、前から気にしてなかったからな。まず、霊気を使うことがあまりないし。それにしてもかき氷の味は田舎も都会も変わらないな。まぁそりゃそうか」
「いつもメロン味ですよね」
「食べるか?」
一口分スプーンの上に乗せて夏目に差し出す。
夏目は頬を少し染めて、口に入れる。
「んー……って刃くん!!垂れてますよ!!」
「ん?あー……ちょっと手洗ってくる」
俺はベンチを立って、水道まで行く。
そして、水で手を洗う。
む?
誰だ……夏目の近くに一人、誰かいるな……
今振り返るろ気づかれるな……
行動を起こさない限り、こちらから動くのは良くないな。
しばらくすると、気配が消えた。
一体なんだったんだ?
でも、どこか懐かしい気配だったな。
―――神社。
「冬児、集合場所は?」
「この先だ」
屋台でフランクフルトを買い終えた俺は冬児に集合場所を訊く。
この先って……どの先?
ちなみに、冬児は私服だが、俺と夏目は浴衣だ。
俺は黒を基調にして金字の刺繍が入っている。
夏目は白を基調にして金字の刺繍が入っている。
ようは、黒か白かの違いだな。
もちろん、馬鹿正直にピチッと着ている訳ではない。
胸元は開いてるし、下も動きやすいように少し崩れている。
冬児が歩き出す。
それにつられて俺と夏目も歩き出そうとするが―――
「あっ……」
夏目が人にぶつかってよろけてしまった。
「よっと。まったく……」
「や、刃くん……」
夏目の手を取る。
「このまま行こうか?」
「は、はい……」
少し顔を赤らめながらも、同意してくれた。
そして、歩き出す。
「ここのところさ、いろいろなことがあって不安かもしれねぇ。だからこそ、夏目や冬児、京子、鈴鹿、天馬と普段通りに過ごしたいんだ。久しぶりだし、楽しもうぜ。花火」
「はい……ありがとう、刃くん」
満面の笑みで返してくれた。
はぁ……この笑顔が見れるだけで、俺の元気はMAXを越えます。
―――隅田川。
「刃く~ん。こっちこっち~」
天馬が両手を振りながら声を出す。
恥ずかしくないのか?
「遅い!!もう始まっちゃうわよ!!」
鈴鹿が吠える。
「まぁまぁ……」
天馬が鈴鹿をなだめる。
「これで全員そろったわね」
声の方を向くと、そこには薄紫の浴衣を来た京子がいた。
「おぉう」
冬児が関心したような声を出す。
「似合ってるじゃん」
俺も言う。
一瞬、京子は呆けたがすぐに、
「当たり前よ、バカ。刃も似合ってるわよ。まぁ着こなしはちょっと……え、えっちぃけど。夏目ちゃんを見習いなさい」
「へいへい」
夏目は京子と同じく、ピチッと着ている。
女の子はそう着るほうがいいけどな。
まぁその肝心の二人は何やら内緒話をして盛り上がっているみたいだが。
―――浅草寺。
「こっちよ~」
「あんまり走るとコケるよ~」
鈴鹿の行動を天馬が注意する。
「ちょっと遅いわよこのノロマぁ」
鈴鹿……楽しそうだな……
隣の冬児は……
「おまえ、何飲んでんだ?」
「ッハー!!麦の炭酸飲料だ」
ドヤ顔で言ってくる。
そのあとも、みんなは屋台で楽しんでいた。
夏目と京子は仲良くわたあめをほおばってたり。
鈴鹿は水ヨーヨーで無双をしていた。
たまに、天馬の顔にヨーヨーを飛ばしたりしていた。
冬児は俺の勝った焼きそばをビール片手につまんできたりした。
俺はそれを見ながら、金魚すくいで無双。
もとろん全部すくってやったよ。
オッチャン涙目だったけど。
もちろん、金魚は一匹ももらってない。
―――隅田川。
そして、花火の開始時間になった。
「やっはー!!キター!!」
鈴鹿は一番前ではしゃいでいる。
「鈴鹿ちゃん危ないわよ!!」
それを京子がたしなめる。
確かにきれいだ。
いつも爆撃とかしか見てなかったからな……
花火を見るのは……結構あったな。
パーティーの時とか。
「よかったね、みんなで来られて」
天馬が話しかけてくる。
「あぁ……そうだな」
空を見上げる。
あぁ、綺麗だ。
そして夏目をみる。
とてもうれしそうだ。
ふと、京子を目が合った。
「どうした?」
「ねぇ、飲み物買ってきてくれない?」
「何買ってくればいい?」
「私ラムネね」
「コーラ」
「麦系の炭酸飲料なぁ」
「じゃあ、僕はウーロン茶」
「あいよ……夏目は?」
「わ、私も一緒に行きます」
どうやら夏目は一緒に来てくれるようだ。
まぁ、もし夏目が来なかったら俺は創造しようと思ってたんだけどな。
―――道。
「よかった」
「ん?」
夏目が話しかけてきた。
「花火、来てよかったです。いいえ、花火だけではありません。刃くんが東京に来てくれて、皆と一緒にいられて、本当によかった」
「そうだな」
「去年の夏、頑張ったかいがありました」
「ふーん、何を頑張ったんだ?」
「絵馬とか……」
絵馬ねぇ……
確かにあれも一押しになったのかな。
「見つけた」
誰かの声が響く。
「多斬子……」
「刃……僕はこれが君の為に、僕たちの為になると信じる」
「多斬子さん?」
夏目も会話に入る。
俺の為?多斬子たちの為?
何だそりゃ?
「夏目、君には同情するよ。けど、刃が目覚めればきっと君も僕の同士になってくれる」
「あー……なんのこと?」
「言葉では説明できない。なぜなら、君たちは生まれてすぐ、呪いに捕らわれたのだから。土御門泰純め、その呪縛、破って見せる」
「や、刃様!!お下がりください!!」
多斬子がそう言った瞬間に、コンが出てきた。
「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十―――」
多斬子がそう唱えると、頭が痛くなってきた。
「いてぇ……」
「刃くん!!」
「――――――――」
痛すぎて耳が聞こえにくくなってしまった。
そのせいで多斬子の呪文が聞こえなくなってきた。
「ってなァ!!クソッタレ!!」
その瞬間、目尻にある五芒星から光がテンに向かって伸びていく。
「な、夏目殿……刃様に呪符を……
近くで何かやり取りをしているようだが、全く耳に入らない。
目を開けて、周りを見渡すと、冬児が男と戦闘をしていた。
しばらくたつと、鈴鹿もやってきた。
耳も聞こえるようになってきた。
「君のその呪縛を解く。夜光の、かつての盟友の末裔として。行け、烏羽。主の元に」
その瞬間、鳥籠から膨大な光が放たれる。
「八咫烏!!」
夏目が叫ぶ。
そして、八咫烏が俺に突っ込んできた。
「いてぇ……」
すごく、痛い。
マジ、やべぇわ。
そして、八咫烏は鎧の形を形成して暴走を始める。
空に飛びあがる。
後ろからは北斗が撃墜するために追ってきている。
そして、難なく、俺が制御せずに北斗を撃墜する。
夏目も来たようだ。
この鎧は夏目も撃墜しようとする。
そろそろ、本格的にまずい。
もう、全力で抗うぞ。
「オオォォォォォォォォォォ!!」
一気に力を開放する。
霊力、気、魔力、聖力、念、チャクラ、そして神力。
すると、膨大な力があふれ出し、鎧が羽織に変わる。
背中からは、創造神の時の翼が六対十二枚生えている。
「夏目?」
いつの間にか夏目は俺の腕の中にいる。
だが、問題はその状態だ。
口からは血を流し、腹にも深い傷ができていた。
治療をする。
『フェニックスの涙”極”』をかける。
だが反応がない。
『時間を操る程度の能力』で時間を巻き戻す。
だが巻き戻せない。
「なんで効かない?なぜ効果がない!!」
夏目が俺の顔に手を添える。
「私は……刃くんのこと……愛して、ます……だから……死んだら……招致、しませんから……」
そして、夏目の手が俺の顔から離れる。
「おい夏目?おい……おい!!」
呼びかけても反応がない。
「アアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
これだから、これだから嫌いだ。
いくら力があっても世界の流れには逆らえない。
それが例え、俺の創造した世界でもだ。
あーあ……―――
どうしてくれようか。
世界の修正力には勝てない。
それが、その世界を作り上げた神でも。