東京レイヴンズ~二天龍を従えし者~【本編完結】 作:眠らずの夜想曲
―――???。
あの後、取調室に入った俺は様々なことを聞かれた。
ヘリを襲った理由や、ヘリを襲ったときに使ったモノなどだ。
一番は烏羽織のことだった。
だが俺は、知らんの一言ですべて片付けた。
だって知らないもん(笑)
あ、誰か来たな……
この気配は多斬子の式神……
何でこんなところに?
「でなさい」
「あぁ……」
「すまなかった」
「あ゛?」
今頃遅いんだよ。
謝るのならもっと早く来いよ。
ガキじゃねぇんだから。
「謝られてもかえって不快だろうが、それでも謝罪したい」
「……テメェも元人間か?」
「あぁ……私の名は六人部千尋。かつては、大連寺部長の元で働いていたこともある」
「あんたも元は双角会なの?」
「そうだ、この春の霊災テロにも関与していた。私が死んだのは、あの直後だ」
直後ねぇ……
直ぐの後で直後。
「来なさい」
仕方がないからついていく。
しばらく歩くとエレベーターが見つかった。
そして、そのエレベーターに乗る。
「多斬子はどうした」
「薬で眠っていただいた。土御門夏目の死を知って、平静を失っていたので。主は本心から君や土御門夏目の友人になりたがっていた。本当だ」
「俺が夜光の生まれ代わり(笑)だから?」
「違う、彼女はただ―――孤独なんだ」
孤独ねぇ……
本当にそうなのかね。
俺は十分恵まれているように見えるけど。
そして、エレベーターが止まり、部屋に案内される。
そこには、おっさんがいた。
「初めまして、土御門刃くん。倉橋源司だ」
こいつが……なんか、ムサい。
いかにも陰陽師って服装で、髭が……ぶふっ。
「驚かないのかい?長官室に来たから分かったにしても、動揺が少ない」
なんか蜘蛛が教えてくれたし。
「娘のことは訊かないのか?」
「京子か?あぁ、京子の知っていることなら俺も知っている。だから別に、ねぇ?」
「そうか」
「俺を拉致ってどうするの?」
「土御門夏目を泰山府君祭で生き返らせるのに協力しようと思っていたのだが」
何言ってんだこいつ。
馬鹿じゃないのか?
いや、馬鹿だ。
「誰がそんなことを言った?俺か?俺はそんなことを言った覚えはないぞ。そこにいる眼鏡にも言わなかったか?泰山府君祭なんてことをしなくても生き返らせられると」
「何だと?そんなことができるわけが―――」
「ないってか?ハハハ、俺を甘く見過ぎだ馬鹿者が。まだ千年も生きていないガキがいきがるんじゃねェ」
俺はソファにどかっ、と座る。
そして向き直って一言。
「まぁ、この話はここまでだ。今度はテメェの話を聞かせてみろ」
「そうか……年齢のことは深くは訊かないでおこう」
源司は一度息を吐き、続けた。
「かつて土御門は、倉橋と相馬を従え、呪術の復興を成し遂げた。そして更なる発展と大いなる極みを目指し、叶わなかった。土御門刃。倉橋と相馬は今一度土御門を王にいただき、夜行の意向を継承する。強力を要請したい」
「あぁ……そうか。だからか。だから俺は分家で育てられ、破門されたのか」
「うぐぅ」
源司がうなる。
貫禄(笑)がある。
「俺を守ろうとでもしてたのか?わかんねぇな。あぁ、わからねぇ」
守ろうとしてくれた奴はたくさんいた。
でも、こんな風に隠れてじゃない。
影でじゃない。
少し、目頭が熱くなった。
「倉橋」
眼鏡がそう言った瞬間に、電話が鳴り響いた。
「来客だ」
眼鏡が続けた。
来客……おぉ、この気配はジジイじゃないか!!
まさか俺と遊びに来たのか!!
うれしいねぇ……今ちょっとイライラしてたからウサを晴らさせてもらおうか。
三人は何かを話し合っている。
俺はそんなことは耳に入らなかった。
ジジイ―――蘆屋道満と何して遊ぼうか考えていたからだ。
何がいいかな?
忍術はこの前も使ったし……今回は気を使ってみようか?
いや、ここは神滅具を使うのもいいな。
「黒子(シャドウ)が何者か知っているようだな。ならなぜ彼が現れたかも想像はつくだろう。君の仲間たちもすぐそこまで来ているらしい」
源司が話しかけてきた。
何だよまったく……
せっかくどう遊ぼうか考えていたのに。
「んー?そかそか」
「わかっているだろうが、彼らは禁じ手で土御門夏目を復活させるのをよしとするまい」
「協力できるのは、禁忌を恐れない私たちだけだよ」
「いやー、アンタらもしつこいねェ」
協力はいらないって言っているのに。
しつこい男は嫌われるぞ。
「土御門刃。我々の間に誤解と不快が残っていることは認めざるをおえない。それが将来的に解けると安易に保障するのはやめておこう。未来のことなど誰にもわかりはしないのだ。しかし我々は前に歩み出さねばならない。常に選択し続けなければならない。待望を抱くなら、死者を生き返らせるなどという望みを持つならなおさらだ」
そして間をおき、一言。
「選びたまえ」
「わかった」
そう返すと、二人は不敵に笑い、うなずき合った。
馬鹿だろこいつら。
「―――と言うとでも思った?馬鹿じゃねェの。なァ、さっきも言ったよなァ?あまり俺をナメすぎだってなァ。それにさ、まだ気づいてないのォ?」
「何にだ?」
「烏羽織の封印がァ……解かれちゃったよォ!!」
「何!?まさか―――」
源司は眼鏡の方を向く。
「どうやらあの三人ではないようだ」
やべぇ……あの三人ってのがものすごく気になる。
「彼らなら、気づかないはずがない」
「なら―――」
その瞬間だった。
部屋の扉が開け放たれた。
そして、そこにいたのは蜘蛛だった。
その蜘蛛は扇を持っていた。
「あっぱれだ護法!!こっちも坊主がやってくれたぜぇ!!」
源司がうなる。
「今だ坊主!!烏羽を呼べ!!」
「きな、烏羽」
とりあえず、烏羽織に呼びかける。
「夜叉丸!!」
源司が叫ぶ。
「はいはい、大人しくしてもらうよ」
「やだよォ!!モード、天使。最大の拒絶」
「なんだその翼は―――」
うっとうしいなァ。
眼鏡を吹き飛ばす。
「うーん……ここは狭いねェ。こうすれば、広くなるよなァ!!」
ATフィールドの翼を羽ばたき、周りの壁を吹き飛ばす。
すると、周りが見渡せるようになる。
「ここに居たか!!」
声のする方を向くと、そこには鬼化した冬児がいた。
いいねェ……いいタイミングで来てくれた!!
でもそんなことよりジジイと遊びたいな。
でもでも、そんなことより、気になるな。
全然わからないんだ。
介入してきた奴が。
だが、妙な寒気が俺を襲ってくる。
部屋に閉じ込められていた時に強くなった。
この寒気を俺は知っている。
数万年前に感じたやつだ。
それも、『箱庭』に行く前だ。
神界でだ。
そしたらあの修行していた百年の間にあった者……片手で数えるくらいしかいない。
なぜだろう、嫌な予感しかしない。
しかも、それは俺が死ぬとか、『神使』が死ぬとかじゃない。
ヤンデレ……?
そんな感じの嫌な気配だ。
ヤンデレ……
ヤンデレ!?
あいつか……
いや、あの方しかいない。
世界は最初に、カオス(混沌)が生じた。その次にガイア(大地)とタルタロス(冥界)、そして エロース(愛)がともに誕生した。カオスからは エレボス(幽冥)と ニュクス(夜)が生まれ、両神が交わってニュクスは ヘーメラー(昼)と アイテール(清明な大気)を産んだとされている。
今でてきた神様が俺のお師匠さんだ。
しかも全員女性だ。
そう、女性なんだ……
その中でも、一人、ヤンデレちゃってる方がいたのだ。
この寒気はその方が発してたものとものすごく似ている。
あぁそうだ。
そうだよ……この寒気、気配は―――
カオスの姉貴じゃねぇか。
今、介入してきた者が判明した。
はい、刃くんのお師匠さんたちがでてきました。
もちろん、お師匠さんたちは、刃くんより全然強いです。
刃くんが全力出しても十分持てばいい方です。