東京レイヴンズ~二天龍を従えし者~【本編完結】 作:眠らずの夜想曲
―――???。
「よう、冬児。鬼武者って感じでカッコイイぞ」
「そういうおまえこそ何だその翼は?神様にでもなったつもりか?」
俺、神様ですけど……
あぁ、まだ知られてなかったね。
誰にも。
「こっちに来い!!京子たちも来てるぞ!!」
「あいあい」
そう言いながら冬児について行く。
途中で眼鏡が何かしてきたが、全て弾き返した。
☆☆☆
「京子に鈴鹿か」
裏庭らしき場所で、京子と鈴鹿に合流した。
「馬鹿……」
「馬鹿……」
二人に続けて馬鹿と言われた……
可愛い子に言われると結構クるものがある。
「忘れ物だよ」
この声は眼鏡だな……
あいつは何なんだ?
ストーカーなのか?
全員が眼鏡の方を向く。
「今夜はちょっとはしゃぎ過ぎたねぇ。君たち」
「ガキがいきがってんじゃねェぞォ!!」
攻撃しようと、動作を始めた瞬間だった。
「うわぁぁぁぁぁぁッ!?」
上からガラスの割れる音と、天馬の悲鳴に似た叫び声が聞こえた。
そして、そのまま烏羽織と一緒に……え?
俺たちごと連れて行かれた。
一体どこに行くつもりなんだ?
―――公園。
「眼鏡!!」
鈴鹿が天馬に向かって叫ぶ。
「何で烏羽がアンタと!?てか、アンタなんでいるのよ!!」
それはもっともな疑問だ。
天馬のことだから逃げだしたかと思った。
「刃くん!!伝言があるんだ」
鈴鹿を華麗にスル―して、俺に話しかけてきた。
「誰からだ?」
「早乙女涼さん」
うげぇ……
嫌な予感しかしない。
「もし君が自ら、泰山府君祭に挑むつもりなら、手を貸すって。先に待ってるからって。僕、彼女に会ったんだ。あと君に、烏羽が必要になるからって」
この発言に反応したのは京子だった。
「まさか一人で烏羽を盗ってきたの!?庁舎に侵入して!?」
「京子ちゃん、今はそんなのどうでもいいよ」
そして、天馬は俺に向き直る。
「刃くん。夏目ちゃんを生き返らせるの?」
「もちろん。あぁ、あとみんなも聞いてくれ。俺は夏目を確かに生き返らせる。だが、泰山府君祭は行わない」
「「「えぇ!?」」」「……………」
京子、鈴鹿、天馬の三人は声を上げたが、冬児は何かを考えるようにあごに手を当てた。
「じゃ、じゃあどうやって夏目っちを生き返らせるの!?」
鈴鹿が訊いてくる。
これは行ってもいいのか……?
だがどうせ知られることだしな……
生き返らせる方法も、カオスのことも。
「本来、魂の呪術に関しては人間が手を出していいものではない。これは鈴鹿が身を以て体験したことだ。だろ?」
「う、うん……」
「俺さ、人間じゃないんだ」
「「「「「え?」」」」」
今度は冬児も声を出した。
「俺さ、神様なんだよ」
そう言い、みんなの顔―――反応を見る。
「か、み……?」
「神って……え?」
「神様ってあの?」
「なるほどな……」
京子、鈴鹿、天馬はまだ呑み込めていないようだ。
冬児にいたっては納得していた。
「だからお前は泰山府君祭をやらないと言ったのか。神であるおまえなら、そんなもの必要ないから」
「そうだ……だがな、おかしいんだ」
「おかしい?何がだ」
それにしても冬児は冷静だな。
いや、冷静過ぎて気持ち悪いわ。
他の三人はまだ混乱しているのに。
「俺の力がな、反映されないんだよ。神である俺の力が」
「それは……ヤバくないか?」
「あぁ、ものずごくヤバい。だってさ、いや、これは言ってもしかたがないことだ。今はどうしようもない。話を戻すぞ……生き返らせる方法だが、泰山府君祭より大掛かりになる」
「何だと?」
冬児は目を見開いて訊き返してくる。
そこで、やっと他の三人の混乱が解けた。
「大掛かりって、どういうこと?」
鈴鹿が訊いてきた。
こいつ興味深々すぎだろ。
「この世界ではありえない量の力を呼び出して、魂を下ろす」
「悪いが駄目だ」
誰だ?
声のする方を向く。
「刃さま!!」
コンが短刀を構える。
勝手に出てくるなよ……
「どんな事情があるにしても、禁呪に手を染めるのを見過ごすことはできない。担任なら、お前も同じ意見のはずだな。陣」
大友まで来てんのか?
後ろに振り返る。
そこには確かに大友がいた。
「蘆屋道満を引っ張り出したのはお前だな。そこまで本庁が信用できなかったか。どうせ俺に黙ってたのだって、俺の立場を慮ってだろう。生徒さえ解放できれば、後は自分が指名手配されて、万事解決か?相変らず尺にさわる気遣いばかりするやつだよ、おまえは」
「性分でな」
やべぇ……
大友めっちゃかっこいい。
「刃くん。禁呪ってのはなぁ、世界の一部を担保にして行うゲームだ」
「何言ってんだお前」
「勝てば見返りはでかいが、負ければ負債も術者だけにとどまらない。無関係の人間を巻き込むことになりかねない。たとえゲームに勝ったとしても、禁呪は最終的に我が身を滅ぼす。ようは毒なのさ、使用する術者そのものを、その心を蝕んでいく。それを身をもって知っているから、君たちの担任は手を出さないんだ。陣、この子たちは俺が引き受ける。本庁が何を言ってこようと、決して渡さない。それでいいな?手伝えをは言わん。手だしするな」
こっちに歩いてくる。
「聞き分けろ、土御門夏目は―――死んだ」
その瞬間だった、京子だ倒れた。
そして京子は呟きだす。
「今ある世界なんて、一部にすぎないわ……禁呪なんてルールは、所詮人が決めたものよ……刃……………」
やけに溜めるな……
「夏目ちゃんの星が見える……夏目ちゃんは、あなたを待っている。だから、行ってあげて……」
そこまで言うと、京子は意識を失った。
「ククク……アッハッハッハッハ!!最高だぜ京子!!」
「刃?」
冬児が声を出す。
「あぁ、最高だ。良い事を教えてもらった。それに応えないわけには行かないじゃないか」
そう言いながら、徐々に力を開放させる。
「うんうん、良い事を聞いた。聞かせてもらった。それに応えるためには元の姿に戻らないとな……」
「元の姿って……」
天馬が声を出す。
少しいばりながら言ったやる。
「俺はこの世界を創造した神、創造神だ。俺の姿をその目に焼き付けな!!」
そして辺りを閃光が包む。
「「「「「なっ!?」」」」
閃光が消えると、そこには創造神の姿の俺がいる。
「創造神ジン、ここに参上」
名乗りを上げる。
みんなが俺を見ているのを感じながら、次の行動に出る。
「おいで、『神使』たちよ!!」
辺り一面に魔法陣が展開される。
金、銀、紅、漆黒、黒、白、白銀、桃、黄、蒼、青、様々な色だ。
「「「「「御用ですか?マイマスター」」」」」
天界で様子を見ていたのだろう、今回はまじめに登場した。
いつもみたいに抱き着いたりはしてこなかった。
「我が眷属、『神使』たちよ!!新たな同士を救い出すために、力を貸してくれ!!」
「「「「「マスターの仰せのままに」」」」」
『神使』が声をそろえて返事をする。
「おまえらも来るだろう?」
冬児、鈴鹿、天馬に言う。
「あぁ!!」
「もちろんよ!!」
「行きたいけど京子ちゃんは?」
「一緒に連れて行けば問題あるまい。紅!!龍化せよ!!」
「はーい♪」
紅が元の龍の姿に戻る。
「さぁ、行くぞ!!俺に掴まれ!!」
すると、『神使』と冬児、鈴鹿、天馬と京子が掴まる。
いや、触れているって言うのが正しいか。
京子に関しては俺が抱き上げている。
「それじゃあな」
「ま、まて!!」
それだけ言い残して、紅の背中に転移した。
まってろ夏目、今すぐ生き返らしてやる。
……カオスの姉貴はまだこないでくれよな。