東京レイヴンズ~二天龍を従えし者~【本編完結】 作:眠らずの夜想曲
「どうするんだ刃!!」
紅の背中で冬児が聞いてくる。
「んー?まぁ夏目を取り返して、人けの少ない場所でね」
その時だった。
チビ烏の式神が大群でたかってきた。
うっとしい。
「フラン!!」
「はいはいーい!!『狂気』全開、きゅっとしてドカーン☆」
そのチビ烏共はフランの手によって一瞬にして爆散した。
「レティシア!!」
「なんだ刃」
「俺は夏目を取り返してくる。先に紅たちを連れて行ってくれ!!冬児たちは安全なところで下していくんだ!!」
「わかったぞ。無理はするなよ」
「もちろん」
レティシアに指示を出す。
そして、冬児に向き直る。
「冬児、レティシアの指示に従ってくれ。あと、行ってくる」
「おう!!行って来い、刃!!」
冬児から激励を受けた。
激励って結構うれしいものだな。
「朱蓮、白!!龍化しろ!!」
『赤龍帝の龍刀』と『白龍皇の龍刀』を出現させ、そのまま投げる。
すると、両方とも元の二天龍の姿に戻る。
『いいのか?こんな街中で龍化しちまって』
『本当に大丈夫なのですか?』
「気にするな。紅が龍化しているのだからたいして変わらん」
そう言うと、朱蓮と白は納得してくれた。
そのまま、しばらく飛行し、ある程度のところで地面に降りる。
「ごめん、空で辺りの状況を把握してきてくれ」
『了解!!』『わかりました』
二人はまた空に戻っていった。
その時だった。
『刃様!!』
突然、コンが叫んだと思ったら斬撃が飛んできたのだ。
もちろん、ATフィールドの自動防御が働いたので、俺自身は無傷だ。
「よォ、久しぶりだな、チンピラ」
「テメェを餌に大友をおびき寄せる」
そう言いがら、こちらに歩み寄ってくる。
コンが実体化して俺の前で構える。
「コイツをずいぶんかわいがってくれたな」
「何言ってんだァ?先に手ェ出してきたのはそのでくの坊だ」
そう言いながら、『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』を出現させる。
「ほぉ、やる気じゃねぇか。こいよ刃。いつかの約束通り、存分に蹴飛ばしてやる」
「ほざけ、人間が。神である俺の前だぞ。頭が高い―――『跪け』」
「な―――」
チンピラは強制的に跪かされる。
「今のうちに行くぞ、コン」
「ははぁ」
翼を羽ばたかせて、夏目のいる場所に向かう。
しかしチンピラも学習しない。
前に一度、格の違いを教えなかったっけか?
まぁそんなことは考えていてもしょうがない。
そして、またしばらくすると斬撃が飛んできた。
「なんだ?もう追っかけてきたのか」
俺がチンピラに声をかけるが、チンピラは答えずに周りの車などを斬撃で吹き飛ばしていった。
「で?何してんの」
「霊災修祓だァ!!」
そう言いながら、チンピラが俺に向かって刀を投げてきた。
「何してんだか……」
それを、神力を開放して吹き飛ばす。
刀はチンピラの方に返っていく。
チンピラは刀を受け取り、何か訳のわからないことをほざいて、炎を俺に向かって放ってきた。
面倒なので、逃げることにするか。
「逃げられると思うなよ!!」
炎は空高くまで追ってくる。
「あぁ面倒だ。珠宝(マニラタナ)!!」
黄昏の聖槍の能力の一つ、珠宝。
襲い来る攻撃を他者に受け流すことができる。
全てチンピラに受け流す。
「なんだと!?」
もちろん、仕組みがわからないチンピラにはどうすることもできない。
と、どうやらコンも後を追ってきたようだ。
だが、コンの様子―――姿、容姿がおかしい。
「ご無事ですか、刃様!!」
今までは幼女(最高)の姿だった。
だが今はどうだ?
中学生、へたしたら高校生と同じ容姿になってしまったのだ。
「何があったんだコン!!その容姿は何なんだ!?」
「ははぁ、元の姿に戻りかけた、というのが正しいかと」
「何ですとぉ!?」
親父……こんな仕打ちはひどぇよ。
俺のさ、夢が一瞬にして砕けたよ。
確かに人の夢を書いて、儚いだけどさ、もう少し早く知りたかったよ。
このタイミングで知ることじゃなかったよ……
「なんだってんだチクショウ!!神は死んだのか!?あ、俺が神だったな」
「……………」
コンからの視線が痛い。
「あぁ、とりあえず下に下りようか」
「ははぁ」
チンピラもいつの間にか引いたみたいだし。
地面に降り立つと、一人の男が目に入った。
なんだか懐かしい感じだ。
これは……夜光の魂が反応している……
ということは……
「角行鬼か?」
「そうだが」
やはりそうか……
それより気になるんだが……
「コン、なんで跪いているんだ?」
「そ、それは……」
「ま、言いにくいならいいさ。夜光であり、夜光ではない俺に跪いてもしょうがないと思うのだがな」
そう言いながら辺りを見渡す。
見渡しながら、気配を探る。
あそこか……
微々たるものだが、夏目の気配を感じた。
よし……
もう一度、二人に向き直る。
「おまえたち、見ての通り、俺は人間ではない」
「存じ上げています」「わかってる」
コンが角行鬼を睨む。
そこまで敬語を使わせたいか。
「それでも俺についてくるか?夜光ではない、神である俺、神浄刃に」
「もちろんでございます!!」「あぁ、ついていくさ」
できれば角行鬼はチェンジで……
無理だよなぁ……
そうだ!!
「もう少しでこの世界から俺は出ていくことになる」
「なんですと!?」「そうなのか」
コンはものすごく驚いてくれたが角行鬼は他人事のようだ。
「それで、コンにはついて来てもらおうと思っている。いいか?」
「も、もちろんでございます!!」
「角行鬼はこの世界にいる俺の友を守ってもらいたい」
「わかった」
やったぜ!!
コン、Getだぜ!!
「じゃあ、そういうわけで」
「へ、え、あ、あ―――」
コンの唇を俺の唇でふさぐ。
キスってやつだ。
そして、そのまま指輪とネックレスを付けてやる。
「よし、これでコンも『神使』だ。どうだ?封印も解けたはずだが」
「まことですか?」
「あぁ……よし、準備も整ったし、行きますか」
「かしこまりました」「わかった」
それにしても角行鬼は愛想がないな。
☆☆☆
「よう、多斬子。この前は世話になったな」
「あ―――」
俺の顔を確認するなり、声を上げた。
徐々に視線を下に持っていった。
俺の容姿を確認しているのだろう。
なんせ、今は創造神の姿だからな。
「刃……なのかい?」
「そうだ、まぁ神の姿では初めて会ったな」
「神……そうだったのかい。なんとなく予想はしていたよ」
予想されちゃってましたか。
「とりあえず、夏目を返せ」
「……これだけは言わせてくれ。夏目のことは本意じゃなかった。でもそれは、君にとっては何の意味もないよね」
「そうだな」
俺がそっけなく返す。
「で、この後は?」
角行鬼が珍しく声を出した。
コンが動きそうになるのを、手で制す。
同時に多斬子も眼鏡を制した。
「姫?」
「夏目は渡す。もちろん、これで償えるだなんて思わない。けど……」
多斬子は肩を震わせる。
そして、こちらに歩いてきた。
同時に、後ろにいる二人もついてくる。
擦れ違い際に一言。
「刃、またいつか」
それだけ言い残し、多斬子たちは去っていった。
「はぁ、またいつかねぇ……会えたらいいね」
そう言いながら、夏目に近づいていく。
その時だった。
部屋に魔法陣が四つ展開された。
「刃様!!」
コンが俺の前に出て構える。
「あぁ、大丈夫。おまえと同類、先輩にあたる『神使』たちだから」
「それはどういう―――」
「もう!!みんな待ちくたびれちゃったよ、パパ」
「「パ、パパ!?」」
「ごめんな、ヴィヴィオ」
どうやら俺がパパと呼ばれたのには流石の二人も驚いたらしい。
「こいつは娘のヴィヴィオだ。そんで―――」
「もう、自己紹介くらい自分でできるよ刃くん。初めまして、『神使』で魔法使いの神浄なのはです。よろしくね。それでヴィヴィオのママです」
「初めまして、神浄・T・アリシアだよ。よろしくね」
「姉さん、もう少し大人らしくしてください。まったく……神浄・T・フェイトです。アリシアの妹です。よろしくね」
「「は、はぁ……」」
完全に唖然としているな。
二人とも。
「それにしても四人で来なくてもよかったんじゃないか?」
「ぶー、これだけ待たせておいそれはないんじゃないかな。パパ」
「わ、悪かった」
ヴィヴィオが……これが反抗期なのか!?
「ま、まぁそれはおいておいて、夏目も取り返したことだし―――行こうか」
「「「「うん」」」」「ははぁ」「わかった」
部屋全体に魔法陣を展開して、紅たちのもとに転移する。
☆☆☆
「待ってたわ」
「なんで涼がいるんだ……」
紅の龍の覇気を感じ取って転移したはずなんだが……
「紅、どういうことだ?」
「い、いやぁそれがさ、ここにいい感じの結界が張ってあったから……」
「はぁ……まぁいい。始めるぞ、お前ら準備しろ」
「「「「「はい、マスター」」」」」
『神使』全員の背中から金色の翼が生える。
そして、金色のオーラが全員を覆う。
夏目を中心に円のように周りに立つ。
「いいか、一気に開放しろ!!」
「「「「「はい!!」」」」」
俺は翼を広げて、そのまま夏目を包み込む。
そして、オーラが夏目に浸透していく。
「ッはぁはぁはぁ……ふぃ。よし、もう大丈夫だろう。魂も確認できた。お疲れ様」
「「「「はぁ……」」」」」
全員でやったとはいえ、かなり疲れたようだ。
「ん……んん……こ、こは?」
すぐに夏目が目覚めた。
「よぉ、まったく御寝坊さんだな。夏目は」
「刃……なの?」
「そうだ、こんな姿だけどな」
「その姿は、何?」
「神の姿……本来の俺の姿だ」
「刃くんは神様だったんですね」
夏目もようやく意識が覚醒してきたようだ。
「そうだ……おっと、時間がないな。夏目そろそろ行くぞ」
「い、行くってどこに?」
「それは―――」
そっから先は言えなかった。
見てしまったからだ。
見えてしまったのだ。
あいつの姿が、姉貴の姿が。
そして次の瞬間には吹き飛ばされていた。
☆☆☆
「刃!?」
なんで冬児の声が聞こえるんだ?
「冬……児、なのか?」
「あぁ、なんでそんな血まみれなんだ!?まさかおまえ―――」
「違う……はな、れろ。巻き添え喰らうぞ!!」
どうにか立ち上がる。
やべぇ……腹に穴開いてる……
自然治癒が全く効かない……
懐から『フェニックスの涙”極”』を取り出して、腹に振りかける。
どうにかふさがったか。
「刃!!どういうこと?まさか失敗―――」
「してねぇ……いいから離れろ、死ぬぞ。チィ、もうきやがった」
空には黄金が浮かんでいた。
神々しい黄金が。
「カオスの姉貴……どうした?何かようか?」
「姉貴と呼ぶな、お姉ちゃんと呼びなさい」
「……お姉ちゃん、どうかしたか?」
「いやなに、おまえもしっかり神やっているようだから、最終試験でもなと」
最終試験?
それはあの百年の間に済んだはずだ。
「最終試験ねぇ……合格するにはどうすればいいの?」
「簡単なことだ。合格するには私を殺せばいい」
「合格できなかったら?」
「死、あるのみ」
瞬間、ザワワワワワと背筋が凍りつくほどの殺気が俺を襲った。
やべぇな……
勝てるきがまったくといっていいほどない。
だがまぁ……
「やるっきゃないか」
神力を全て引き出す。
「へぇ……なかなかじゃないか。あれから随分と強くなったみたいだね」
カオスの姉貴がほめる。
うれしいといっちゃうれしいが、複雑だ。
「行くぞ、お姉ちゃん」
「きな、刃」
見ている者から見れば一瞬だっただろう。
俺が特攻して、姉貴がそれをカウンターで吹き飛ばす。
「がっはぁ!!」
全然見えなかった……
相変らずデタラメすぎだな。
さすが原初の神だ。
「まったく……成長したのは力だけかい?もっと戦略とかないのかい?」
創造神の姿のままでは太刀打ちできない。
姉貴を壊し(殺し)尽くせばいいのだ。
だったら……
「まだまだこれからだぞ、お姉ちゃん!!」
創造神の姿から破壊神の姿に変わる。
「それが新しい力か……懐かしい波動を感じるね」
「そうか、やっぱりお姉ちゃんにはバレてるか。『破壊の刀剣(デストラクション・ブレイド)』」
「その刀剣……どこで手に入れた刃」
『破壊の刀剣』を目にした途端、姉貴の表情が変わった。
恐れている。
そのように感じ取れた。
「コレは、なじみの分身が殺されたときに現れた。覚醒したってのが正しいか」
「そうかい……やはりお前には資格があるようだ」
「資格?」
「おっと、まだそれを知るのは早い。さぁ、続きをしようか」
今度は姉貴の方から特攻してきた。
手には刀を持っていた。
それも黄金に光っていた。
俺の刀剣と姉貴の刀が交わる。
それと同時に音声が鳴り響く。
『Destroy!』
それと同時に、姉貴の刀の十分の一が漆黒に染まる。
「やはり能力もそのままか……やっかいだ」
「お姉ちゃんはこの刀剣を知っているのか?」
「あぁ知ってるよ。その刀剣は、もともと私の息子のものだった。おまえの師匠のなかにはいなかっただろう。なぜなら自らの力に呑まれちまったからね」
なんてもの使ってんだ俺は。
だがもう決着はついた。
なぜなら―――
「あ―――」
『Destroy!』
無情にも音声が鳴り響き、俺を起点とした半径6mが漆黒に染まる。
もちろん、俺と交戦していた姉貴はその範囲にいる。
結果。
「忘れ、てたわ……」
「お姉ちゃん、チェックメイトだ」
あっけなく終わった。
姉貴は漆黒に染まって、ボロボロと崩れていった。
だから確信していた。
勝った
と。
だが、
「はぁぁ、あせったわ」
「嘘……だろ?」
「嘘じゃないわよ」
後ろを振り向く。
「でもまぁ合格ね」
「え―――」
「ご褒美よ♪」
「むぐぅ―――」
姉貴に思いっきりキスされた。
思いっきり深いやつ。
Deepなやつ。
「何して―――」
やっと唇を放してくれた姉貴は唇のまわりをペロリとなめて一言。
「これからはあなたの時代よ。よろしく頼んだわ。―――またね」
「それってどういう―――」
そっから先は言えなかった。
姉貴が霧状になって霧散してしまったからだ。
「おいおい……」
だがさっきから身体から力が漏れ出す、というよりも吹き出しそうだ。
苦しすぎる。
これは一度全部解放したほうがいいか?
「もう……限界、ダァァァ!!」
「「「「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」
俺の身体を心配してか、近くに来ていた『神使』たちが吹き飛ばされていく。
容姿にも変化が出てきた。
破壊神の姿が解除され、すると徐々に黄金が俺にまとわりついてくる。
「ふぅ……」
落ち着いた。
俺の姿を見直す。
身体は黄金に輝いていて、服装は姉貴の男版みたいだ。
力の次元も変わっている。
今までが一なら今は万はある。
もしかして……
「俺、カオスの力を受け継いだのか?」
それしか考えられない。
だが、俺だけでは確認の使用がない。
爺さんに訊くしかないか。
「とりあえず、一件落着か……『神使』の皆、行くぞ。神界に戻る」
「「「「「はい、マスター」」」」」
俺は夏目の方に歩いていく。
周りには冬児、京子、鈴鹿、天馬がいる。
夏目を抱きかかえる。
冬児を見る。
「冬児、今まで楽しかったぜ」
「あぁ、俺もだ」
京子を見る。
泣いてんのか?
頭を撫でながら言う。
「京子、最初は喧嘩したな。でも、それもいい思い出だ」
「バカ……」
鈴鹿を見る。
こいつも泣いてんのか……
頭を撫でてやる。
「鈴鹿、やっぱり最初の出会いは最悪だった。でもだんだん仲良くなれたかな?俺は仲良くなれたと思ってる」
「やいばぁ……」
天馬を見る。
「天馬、おまえはいいときにいつも来てくれた」
「うん……」
そして、みんなを見る。
「じゃあ、みんな。またな」
「「「またね」」」「またな」
みんなに背を向け、『神使』の方に歩いていく。
「さぁ、行くぞ!!」
空に、特大の黄金の魔法陣を展開する。
「じゃあな、また会える日まで!!」
「「また会いましょう!!」」
「また会おうね!!」
「またな!!」
そして、魔法陣に一番初めに俺が飛び込む。
その次に、レティシアが。
次から次へと、『神使』が飛び込んでいく。
さらば、皆。
また会える日まで。
おまえらのことは決して忘れない。
これで本編は終了です。
ちなみに、新しい神の姿ですが、イメージは『http://android.clar.jp/blog/index.php/page/2/』の下の方にある、大蛇和装です。男の方です。
アニメが二期をやるなら、続きを書こうと思います。
二期がなかったら、オリジナルか、日常編でも書こうかと思っています。
それでは、『デート・ア・ライブ』で会いましょう!!