東京レイヴンズ~二天龍を従えし者~【本編完結】   作:眠らずの夜想曲

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第1章 泰山府君祭
第1話~久しぶり・・・いや、懐かしい?~


―――教室。

 

 

爆睡。

それが今の俺を見た人の感想だろう。

夏期講習。

それが今の俺がやらなければいけないものだ。

だがな……

暑い!!

なんだこの教室は!!

窓開けろよ!!

それかせめてカーテン閉めろよ!!

がー、イラつく!!

暑くて爆睡してもすぐに目が覚める。

 

教卓では、女の教師が『陰陽術』のことを説明してる。

はっきり言おう。

 

今更そんなもの必要ない。

 

だってそうだろう?

俺には様々な能力が使える。いや創れる。

だから必要ない。

確かにこの世界では『忍術』や『念』は目立つけど。

あぁ、あとさ、なんか俺『土御門』の分家の人間だった。名前は刃だけど。

容姿は金髪にもみあげのあたりがこげ茶色。

この容姿は!!

 

土御門 春虎

 

ノォォォォォォォォ!!!

なんでだよ……なんでなんだよ!!

そしてそれと同時に分かった。

この世界が―――

 

東京レイヴンズ

 

の世界だってことが。

あぁ……でもよかった。

戦いがある世界で。

戦いがなかったらこの力を隠すのに一苦労だぜ。

 

ヴーヴー

 

そんなことを考えていると、スマホのバイブが着信を伝えてきた。

画面に映るのは『北斗』の文字。

またあの『式神』か……

あいつは女の子の姿をしているが、『式神』だった。

きっと夏目のだろう。

だって俺、キャラクターと世界観ぐらいしか覚えてないし。

何万年も前の記憶だぞ?

そんなにしっかり覚えてられるか!!

 

あ、そうそう、スマホはもちろんシカトだ。

だって今補修中だもーん(笑)

 

視線を感じて、ふと右隣をみる。

そこには太いヘアバンドを頭に巻いている『阿刀 冬児』がニヤッっと笑いながら指をさしていた。

どうやら俺は涎を垂らしていたらしい。

おっといけね。

 

それにしても……いい天気だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――帰り。

 

 

補修が終わった俺は、このクソ暑い中を冬児二人で歩いて帰宅していた。

途中で買った『ガリガ○君・ソーダ』をかじりながらな。

 

 

「補修ダリぃ」

「寝てただろ」

 

 

的確なツッコミをありがとう。

でもな、寝ているのだってかなり疲れる。

なんせ暑いからな。

 

 

「おまえはダルくないのか?」

「東京よりこっちのが涼しいからな」

 

 

確かにあのアスファルトだらけのところよりは涼しいだろうな。

木がなくて空気も悪いし。

喋りながらもバクバクっと一気にアイスをかじる。

 

 

「お、当たりだ」

 

 

野郎!!

なかなか当たらないアイスの当たりをいとも簡単に……

俺も一気にアイスをかじる。

 

 

「おぉう?大当たり?」

「ハァ!?マジかよ……それって確か数億本に一本だったような気がするぞ」

 

 

マジで!?超ラッキー!!

 

 

「おまえって本当に運がいいな」

「まぁ、な」

 

 

そう、この体になってから以上に運がいい。

 

 

「お、来たぞ……」

 

 

タタタタタタタタタタタ

 

この足音は……

 

バッ!!

 

跳んだな。

俺はそれを横にずれてかわす。

 

 

「刃~!!」

 

 

ダキッ!!

 

とはいきませんでした~。

残念。

 

 

「もぉ~、なんで避けれるの?」

「それは俺が神様だからだ」

「またまた~、そんな嘘言っちゃって~」

 

 

嘘ではないんだけどな……

 

そんなことを考えていると、北斗の腕が俺の首に絡まってきた。

入ってはいない。てか入れさせない。

 

ムニュン

 

背中からすばらしい感触が伝わってくる。

これは役得ですな。

 

 

「な~んで電話に出なかったんだよ、バカ刃」

「そんなこと言われてもな~、俺さ、夏期講習中だったし」

「おぉう、さすがは赤点キング」

 

 

失礼な。

まだ本気出してないだけだ。

 

 

「OK、話は分かった。でも僕を無視した罪は重いよ~」

 

 

北斗は僕っ娘だ。

でもかなりかわいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――公園。

 

 

「なんで俺がおまえにカキ氷をおごらないといけないんだ?」

 

 

あのあと、カキ氷を買わされて公園に来た。

ちなみに俺がメロンで北斗がイチゴだ。

 

サクサクサクサクサクサクサク

 

 

「はぁ……そんなコソコソ食わないでもいいぞ。ほれ、やるよ」

「わぁ、ありがとー!!」

 

 

俺からカキ氷を取り上げさらに食べる。

 

 

「うぐぅ……キーンってキター!!」

 

 

どうやら頭がキーンとしたようだ。

頭をポンポン叩いている。

そしてうずくまる。

 

 

「急いで食べるからだぞー」

「で~北斗~、また例のお説教か?」

 

 

冬児が口を挟んできた。

 

 

「あっ……」

 

 

どいうやら北斗は完全に忘れていたようだ。

 

カキ氷をベンチに置いて、俺の方を向いて正座をした。

そして目を見て話す。

 

 

「刃……決心ついた?」

 

 

俺は目を背けた。

すると北斗が俺の頭を両手でつかんで自分の方に向けていく。

 

 

「『陰陽師』を目指す……決心ついた?」

 

 

……顔が近いよ。

 

 

「んー……俺は『陰陽師』にはならないよ。だって俺は……」

「刃……『安倍清明』の子孫、土御門家の人間なのに国家陰陽師になりたいと思わないの?思わないわけないよね?普通思うよね?」

 

 

北斗がメッチャ熱く語りかけてくる。

 

 

「あのな、俺は破門されてるの。まぁ、親父とおふくろは普通に……まぁ冬児のことだけだけど接してくれるけどな。だから俺は『陰陽師』にはなれない。それに『見鬼』もねぇしな……才能(笑)がな。それに才能のある奴なら本家にいるしな」

「それって本家の女の子のこと?」

 

 

なぜか沈みながら言う。

まぁ俺が推測するにそれは北斗を操っている夏目だろう。

 

 

「まぁ、な。さて、この話はもう終わりだ」

 

 

そう言って俺はベンチから立つ。

北斗もすぐに立って公園の入り口まで走っていく。

 

 

「まったねー」

 

 

手を振りながら言ってくる。

 

 

「おう」「おーう」

「『陰陽師』になれー、バカ刃ー!!」

 

 

帰り際に北斗が叫ぶ。

 

 

「気が向いたらな」ボソ

 

 

俺は笑顔を返すだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――駅。

 

 

「刃」

「ん?」

 

 

駅に着くと、冬児が話しかけてきた。

 

 

「おまえホントーにその気はねぇのか?」

「……俺はな、『陰陽師』にもなれるさ。けどな、それじゃつまらないだろう?今の俺は『結界師』だ。それにさ、土御門家からも破門されてるしな」

「確かにな。おまえがいいならいいか。じゃあな」

「あぁ、また」

 

 

そう言って俺と冬児は別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――歩道橋。

 

 

「しっかしいい景色だ」

 

 

この歩道橋からだといい夕焼けが見れる。

 

ふと、誰かの気配を感じる。

視線を向けるとそこにはいかにもお嬢様って感じの女の子がいた。

あぁ、なるほど。

 

風が吹く。

そして女の子の帽子が飛ばされる。

 

 

「久しぶりだな、夏目」

 

 

彼女は少し頬を赤く染めてうつむく。

 

 

「お、お久しぶりです。刃くん」

 

 

きれいにおじぎをする。

礼儀正しすぎるだろ。

 

 

「小父様は……小父様と小母様は元気ですか?」

 

 

……そんな無邪気な目で見ないでくれ。

それに聞いていないのか?

 

 

「俺は破門されたからな……しばらく会ってない」

「そ、そうですか……」

 

 

そう言いながら顔をうつむかせる。

 

 

「そう言えばさ、いつ帰るの?」

「一週間後です」

「そうか……」

 

 

短いな……

 

 

「大変そうだな」

「いえ、授業は問題ありませんが……むしろ『しきたり』の方が……」

 

 

あぁ……なるほどね。

女の子だもんね。

 

 

「そうか……それよりも……かわいくなったな」

「ふぇ!?あ、ありがとう、ございます///」

 

 

それだよ……その仕草がかわいすぎる。

 

 

「さて、そろそろ帰るわ」

「は、はい///また今度」

「あぁ、じゃあな」

 

 

そう言って俺は家に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――桔梗診療所。

 

 

俺の家は『桔梗診療所』ではない。

親父にアパートをあてがわれたが俺はそれを拒否した。

だって自分で創った方がいいし。

とりあえず、土地だけもらった。

そこに俺が家を創造した。

 

なんで俺がここに居るかと言うと……

 

 

「どうだった?」

「良好だとよ、おやじさんのおかげでなぁ」

 

 

冬児の診察のためだ。

鬼を宿す『生成り』だからな。俺の親父に世話になっている。

 

 

「見ろよ」

 

 

クイッ

 

と顎でテレビをさす。

 

また『霊災』のことか。

最近多いな。

 

 

「まぁ、まだ俺には関係ないことだ」

「まだ?」

「おっといけね」

「……おまえ、何企んでるんだ?」

「いいから行くぞ」

 

 

俺は有無を言わさずに歩き出す。

今日は神社で行われる祭で行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――夜、神社。

 

 

「あ~、まだかね」

「そう焦るな。女は身支度に時間がかかるもんだ」

 

 

冬児に諭される俺。

確かに仕方ないか。

 

 

「おっまたせー!!」

「おう、北斗……ふぅん、似合ってんじゃん。その浴衣」

「ふぇ!!あ、ありがと///」

 

 

ちなみに俺は浴衣ではない。

この後に起きることを考えるとな。

 

 

「さて、いこっか。こっちこっちー」

 

 

浴衣で全力疾走する北斗。

しっかしよく浴衣で走れるな。

 

 

「刃~、これ、おもしろそう」

 

 

北斗は射的の出店を指さしている。

 

 

「射的か~、懐かしいな」

 

 

冬児が言った。

 

 

「どれがほしいんだ?」

 

 

俺は北斗に訊いた。

 

 

「えっとね~、あのピンクのリボンが付いてるやつ」

「あれか……うし」

「ねぇ、刃……あれ採ってくれたらさ、キスしてあげる」

 

 

うし、やる気出ました。

 

 

「うりゃ」

 

 

ボン

 

無論、景品は落としましたとも。

ちっとばっかし能力使ったけど。

 

 

「やったー!!」

 

 

大喜びの北斗。

そんなに喜ばれるとこっちも嬉しくなるよ。

 

ちなみに景品はシャボン玉セットだった。

でも北斗の欲しいものは違った。

ピンク色のリボンが欲しかったらしい。

 

北斗はリボンで髪を結ぶ。

 

 

「かわいいでしょ?」

 

 

くるり

 

一周回って訊いてくる。

 

 

「あぁ、また印象が変わっていいな」

「ふぇぇぇ///」

 

 

素直に感想を言っているだけなんだけどな……

 

そのあと、北斗はシャボン玉で遊んでいた。

近くにいた子供たちが寄ってきて、はしゃいでいた。

 

ピリ

 

ん?この気配は……結構な力量の『陰陽師』だな。

あいつか。

さて、楽しみだぜ。

どれくらい死合えるのかがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――???。

 

 

訳もわからず、北斗を探している。

とりあえず、高いところに来た。

あ、いた。

絵馬を括り付けていた。

 

 

「よっ!!」

「ひゃ!!……刃」

「おっす。まぁ、何を書いたかは聞かないでおくよ」

「ありがと///ちょとお手洗い行ってくる」

 

 

それだけ言って、走り去っていった。

 

 

「青春だなぁ、えぇ?」

 

 

ニヤニヤしながら冬児が言ってくる。

 

 

「まぁ、な」

 

 

俺もニヤニヤしながら返す。

そんな時だった。

 

 

「ねぇ、そこの天才児」

 

 

声の主の方を向く。

そこには金髪でぐるぐるでツインテで黒を基調としてピンクをところどころにあしらったゴスロリ風の服を着た女の子がいた。

なかなかかわいいな。

 

 

「アタシの実験に付き合ってくれない?土御門夏目」

 

 

……こいつはバカだ。

これは確実だ。

だって冬児の方指さしてるし。

 

 

「あいにくだな、俺はただの一般人。土御門くんはこっちだ」

 

 

そう言いながら俺を指さしてくる。

面倒なことを。

 

 

「えぇ!?アンタァ!?」

「そうですけど、何か?」

「雑誌で見たことあるなぁ」

 

 

冬児が口を挟んでくる。

 

 

「最年少で十二神将になった神童。大連寺鈴鹿だな」

「一般人にしちゃ、くわしいじゃん。しっかし、アタシクラスの天才児って聞いたけど……なんかアホそうだわね」

「あ゛ぁ?」

 

 

このクソガキ……ぶち殺してやろうか。

 

 

「それで、俺に何のようだ」

「言ったでしょ、実験に付き合ってって。土御門夜光が行った大呪術、大いなる魂のメソッド。『泰山府君祭』をね!!」

 

 

……そうですか。

 

一歩、また一歩と俺たちに近づいてくる。

その時だった。

ジープが三台乱入してきたのだ。

ド派手な登場だな。

しかも俺たちを囲むようにだ。

ご丁寧に結界まで……

まぁ、俺の結界のが何億倍も丈夫だけど。

 

 

「呪捜官!?」

「国家一級陰陽師、大連寺鈴鹿!!陰陽法に基づき、禁呪行使容疑で拘束する。登校しろ!!抵抗するなら命はない!!」

「十二神将が、なんで呪捜官に!?」

 

 

冬児が驚いている。

てか、今言ってただろ。禁呪行使容疑って。

 

鈴鹿はあたりを見回す。

鈴鹿の背後から何かが姿を現した。

 

 

「あれは人造式『モデル・M3・阿修羅』だ!!」

 

 

かっこいいな。

でも、もろそうだ。

『阿修羅』はバナナチョコを鈴鹿に渡す。

そして、それをエロいなめかたをする。

 

 

「田舎はキライよ。虫が多いからァ!!」

 

 

おぉう?

ものすっごく顔がゆがんだな。

 

『阿修羅』が呪符をまき散らす。

開戦の合図だ。

 

まずは、結界を壊した。

俺?

俺は……

 

 

「結!!」

「悪いな!!」

「なぁーに、気にスンナ」

 

 

結界を張って身を守る。

主に冬児のな。

 

周りの激流が止まる。

ころあいをみて、俺は結界を解いた。

 

 

「解!!ってえぇぇぇぇ……」

 

 

解いた瞬間に俺は『阿修羅』に捕まった。

 

 

「食べる?」

 

 

俺にチョコバナナを差し出してくる鈴鹿。

 

 

「いや、いいや。腹いっぱいだし」

「そう……一緒に来てもらうわ」

 

 

その時だった。

 

 

「やめろぉ!!」

 

 

この声は北斗か!?

クソ!!なんで来たんだ!?

とは言わない。

やっぱりか。

だって『式神』だもんな。

夏目が異変に気が付いてこっちによこしたんだろう。

 

鈴鹿が北斗を睨みつけている。

 

 

「刃を放せ!!」

 

 

そう叫びながら駆け寄ってくる。

 

 

「刃?」

 

 

そうつぶやきながら俺を見てくる。

仕方ないか……

 

 

「残念でした。俺は土御門家を破門された人間、神浄刃でーす」

「ふぅん?ナメてんの?分家すら破門された刃くん」

「うっす。当たり前じゃん」

「土御門夏目に伝えなさい必ず捕まえに行くって。伝えなかったら……ちんこもいじゃうから」

 

 

いや、夏目は女の子ですけど。

 

 

「ところで……あれって彼女?」

「いや、違うけど」

「じゃあ、遠慮なく」

 

 

チュ

 

俺にキスをしてきた。

 

 

 

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