東京レイヴンズ~二天龍を従えし者~【本編完結】 作:眠らずの夜想曲
―――???。
結構深いキスだ。
キスが終わると俺は解放された。
「じゃ、ちゃーんと伝えてね、ダーリン♡」
そして最後に投げキッス。
それだけして、帰っていった。
さて、北斗どうしよう。
「ひ、ひどいよ……ひどいよやいばぁ」
泣きながら俺に言ってくる。
ふむ……どうしてこうなった。
「な、なんであんなこと……キ、キス……」
「見てなかったのか?あれは完全に嫌がらせだ。だから泣くな」
「バカ刃!!好きな子が他の子とキスしたのに……泣くなって言う方が無理だよ!!」
それだけ言って、走り去っていった。
―――翌日、教室。
「あれから北斗と連絡取れてないんだな」
「まぁな」
「まぁな、って……気になんないのか?」
「別に気になんないわけじゃないけどさ、今は気にしていられない」
そうだ、気にしている場合じゃないのだ。
この前直接見てみたけど……なんだあれは?
あの程度じゃ、俺とは死合えない。
ガッカリだ。
あの人造式だってヘタしたらデコピン一発で吹き飛ばせる。
操っている本人は雑魚だし。
「ま、なるようになるさ」
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
スマホのバイブが鳴る。
画面に記されている名前は夏目。
やっとか。
俺はニヤッと笑った。
―――喫茶店。
「あの、急に呼び出してすいませんでした」
「いいよ、暇だったし」
俺はオレンジジュースを飲みながら言う。
「ごめんなさい」
いきなり謝ってきた。
何事だ?
「送ってもらったメールのことです。間違われたせいで刃くんを危険な目に合わせてしまって。あんな人と……」
「あぁ、大連寺鈴鹿のことか。別に気にするなよ。あの程度さ、よくあることだ」
「十二神将が襲ってくることはよくあることって……そんなことよくあるわけないじゃないですか!!」
あぁ……まずった。
『D×D』の世界ではあの程度日常茶飯事だったからな。
そうだったそうだった。
「それに、人格に問題がある方だと……ですが、最年少で『陰陽一種』をクリアした神童です。見つかれば私もなすすべがありません」
「そうか……お前は東京に戻った方がいいんじゃないか?」
「そうはいきません。こちらに『泰山府君祭』の祭壇がありますから。祭壇は本家の裏山、御山と呼ばれている場所にあります。彼女はそこで祭儀を行うつもりでしょう。ならば私は土御門家の人間として、祭壇を守らなければならない」
「でもなすすべがないんだろ」
「出来るできないの問題ではなく、責任の問題です。父が不在の今、祭壇を守るのは私しかいません」
なかなか頑固な御嬢さんですな。
ここまで頑固な御嬢さんも始めてですな。
「まぁ、いいや。とりあえずさ。俺も協力するよ。あの子にはまだ生きててもらいたいしね。結構かわいかったし」
ドン!!
急に夏目がテーブルをたたいた。
「そうですか……かわいかったんですか。よかったですね、初めてのキスがかわいい人で」
「何言ってんだ?俺のファーストキスはお前だぞ」
「ふぇ!?い、い、い、いつしたんですか?いつ!!」
「ガキの時にな、お前が寝ているときに」
「か、帰ります///し、失礼します///」
ははは、かわいいなぁもう。
「まぁ、まてよ。夏目!?」
なんだこれ!?
口から……オロロロロロロロロロロ
口から出てきたのは、黄色の式神。
式神は蜂に形を変えた。
そして、夏目を狙う。
蜂は夏目の首に針を刺す。
「霊力を……奪われました」
―――タクシー。
「これで彼女は私の霊力を得ました。おそらく彼女は祭壇へ向かいました。本家に帰れば、霊力を回復させる呪具があります。何としても、止めなければ」
辛そうにしながらも、彼女は俺に訴えてくる。
ピリリリリリリリリリリリ
スマホの着信音が鳴る。
冬児か。
『刃、そっちはどうなっている?』
俺はすべて話した。
『なるほど……こちらも一時間前から警察が慌ただしくなっている。昨日の呪捜官たちが乗った車両も出て行ったぞ』
なるほど、やはり動いていたか。
「OK、じゃな」
『お、おい―――』
俺は冬児を無視して切る。
「おっちゃん、この子を頼む」
「わかった……気を付けろよ」
「あぁ」
俺はタクシーを出た。
―――???。
「見せてやろうじゃない……土御門夜光の代表的な軍用式を……術式解放、こい!!土蜘蛛ォ!!」
それは、トラックのコンテナから出てきた。
確かに蜘蛛だった。
しかもかなりでかい。
「そ、装甲鬼兵だと!?おのれ!!」
なんとか迎え撃とうとしている。
だが無理だ。
地力がが違う。
いくら数をそろえても、質には勝てない。
呪捜官が次々に土蜘蛛の糸に捕われていく。
そして、霊力を吸われているようだった。
「もうすぐ……もうすぐだから……」
目に涙を浮かべながら式神に頬ずりをしている。
ピリリリリリリリリリリリリ
「誰?あぁ、昨日の……出なくていいの?」
画面を確かめる。
そこには北斗の二文字。
「あぁ、まったく。式神なんてしこみやがって」
「あら?でもいいでしょ?こんなにかわいい子のファーストキスがもらえて」
「んー……正直、後が怖い」
「はぁ?後って何が?」
「俺の嫁に殺される」
「はぁ!?アンタ結婚してたの?」
「まぁ、な」
めっちゃ驚いてる。
そりゃそうか。
この見た目で結婚してるんだもんな。
「そんなことよりさぁ、おまえってさ、兄貴でも生き返らせたいのか?」
「!?」
驚いていた。
でもさっき自分で言ってたのにな。
「でもまぁ、それは人間が手を出していい領域ではないな」
「うるさい……うるさいうるさいうるさい!!」
その時だった。
パン!!
銃声だ。
呪捜官か!?
弾は鈴鹿の頬をかすめたらしい。
倒れていた鈴鹿が起き上がる。
そして、土蜘蛛で呪捜官を殺しに行く。
俺は呪捜官の元に駆け寄る。
そして放り投げる。
次は!?
予想以上に土蜘蛛の動きが速かった。
クソったれ!!
確かにここで能力を使えば防げる。が、その後が面倒なことになる
仕方がない、一撃もらうか。
そう決心し、構えた時だった。
「北斗……」
北斗が変わりに一撃を受けていた。
そして、何かを呟く。
そして……吹き飛ばされる。
北斗の元に駆け寄る。
「なんで……ケータイでないのさ……」
「わりぃ、そんな余裕なかった」
「刃……僕は……君が好き……だから……ほら、逃げて」
そう言いながら俺の頬を撫でてくる。
そして、消える。いや、式神の紙に戻った。
そういや初めてかもな……目の前でさ、俺をかばって消えていく人間を見るのは。
いつもは俺だったからな。いくら式神でも今まで一緒にいた奴だからな。少しだけ……悲しい。
俺は式神を拾う。
「はははははは……はははハハはハはははははハハハははハハハ!!!!!」
「なに?狂ちゃったの?キモーい」
キャハハと笑って俺を見てくる。
「あーあ……黙れよ」
「ひぃ!!」
俺は殺気を少しだけぶつける。
「帰れ……今すぐ。さもないと、今すぐ殺す」
「くっ……覚えてなさい!!」
それだっけ言い捨てて、鈴鹿はトレーラーごと消え去った。
こうして思い出してみると……北斗のいた毎日はなかなか楽しかった。
今までは戦いの日々だった。
でも、久しぶりに楽しく普通に過ごせた。
そこにいたのは北斗だった。
今までありがとう、北斗。
そして、ゴメン。
さぁ、行こうか。
数年前の約束を果たしに。
夏目の元へ。
―――土御門本家。
「霊力は戻ったのか?夏目」
「万全ではありませんが、今晩は持つと思います」
そうか……なら大丈夫だな。
「さぁ、約束を果たすときが来たぞ、夏目」
「お、覚えていたんですか!?」
「当たり前だ」
「なら、なんで……なんで!!」
「後で、全て話そう。俺のことも含めて」
俺は夏目を抱きしめながら言う。
でも今はそれどころではない。
「さぁ、俺を式神に、お前は『神使』に」
「いいんですね?あなたはこれから私の式神として生きていく。その覚悟は―――」
「そんなのおまえを守るって決めた時にできてる」
「刃くん、あなたを私の式神に任じます」
夏目は懐から小刀を出す。
それで自分の下唇を斬る。
「目を閉じて」
俺は目を閉じる。
「それ、安倍清明の名において、汝、土御門刃、我、土御門夏目の式神とす」
夏目の舌が左目の目じりに五芒星を描くように動く。
な、なかなか恥ずかしいぞ。
「これであなたは、私のものです」
あーあ……なのはに殺されるなー。
「それで……刃くん……見えますか?」
おー、霊力が丸見え。
『写輪眼』使えば普通に見れるんだけどな。
「あれ?刃くん目が真っ赤ですよ?それに模様も……」
「ほぇ?」
俺はスマホを鏡替わりにしてみる。
あー……『写輪眼』だわ。
うし、これで元に戻った。
「元に戻りましたね。それで、霊力は……」
見えない。
まさかの『写輪眼』を開眼してるときだけですか!?
まぁ、いいけど。
「どうやらさっきの眼にならないといけないみたいだ」
「そうですか……」
「さて、次は俺の番だな」
「え?」
俺は夏目にキスをする。
そして、左手の薬指に指輪をそして十字架のネックレスを首にかけてやる。
「きゅ、急になにするんですか///」
「おまえを『神使』にした。どうだ?霊力がものすごく増えただろう?」
「た、確かにすごい……」
だって『神使』ですから。
「これでおまえは俺のものだ。末永く、よろしくな」
「ふぇ!?ふ、不束者ですが……よろしくお願いします」
見せてやるよ夏目。
俺の力を。
文字数にバラつきが出てきてしまいました……