東京レイヴンズ~二天龍を従えし者~【本編完結】 作:眠らずの夜想曲
―――???。
ガアァァァァァァァァァ!!
ギャアァァァァァァァァ!!
「なんなのよこの龍!!強すぎでしょ!!」
京子が何か喚いている。
だが俺には関係ない。
俺は今、全力でコンを愛でているのだからッ!!
「はぁ、かわいいなぁコンは。癒されるぜ」
「や、や、や、刃様ぁ……く、くすぐっt「ここがいいのか?ほれほれほれ」…ふぁぁぁぁぁ///」
萌えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
バチチチチチチ!!ボン!!
バチチチチチチ!!ボン!!
電気がほとばしるような音が鳴り響いてからの二回の爆発音。
こりゃ、向こうの人造式がイカれたな。
「はぁ~い、刃くんの勝ちぃ」
「どもっす」
ぜんぜん達成感がわかない。
だって俺ってコンを愛でてただけじゃん。
まぁ、その件に関してはものすごい達成感があるんだけどな。
「朱蓮、白。楽しめたか?」
『いや、全然』
『同じく~』
そりゃそうだろうな。
まだ相手はガキだったし。
―――翌日、教室。
「一体なんなんだい君は!!さっきの二匹の龍はなに!?片方は知っていたけどもう片方は知らなかったよ!?」
夏目がさっきから耳もとでギャーギャー騒いでいる。
まったく、どうでもいいじゃないか。
ただ俺が従えていただけ。
それだけのことなのに。
「神浄くん」
「や、刃くん」
「ん?どした?」
クラスの女子が三人も話しかけてきてくれた。
ちょっとうれしいね。
「ちょっといい?」
「いいよ~」
「凄かったよね!!昨日の試合!!」
「私、びっくりしちゃった!!」
「よく倒せたよな~」
「なにしろ相手はあの倉橋だからなぁ」
な、なんだ?
急に話しかけてくるようになったな。
あぁ、昨日京子に勝ったからか。
「おはよう、刃くん、護法式なんて持ってたんだね」
「あぁ、まぁな」
「そうそう、あの小っちゃい護法式、もう一度見せてくれない?」
「あ、私も見たぁ~い」
まぁ、頑張ってくれコン。
「コン」
ボンと煙を上げながら出現する。
「きゃー!!」「かわいー!!」「触らせてー!!」
女の子三人がコンを撫で繰り回している。
「ややや刃様ぁ~」
ははは、楽しそう……ではないな。
まぁ、いいんじゃない?
「そう言えばあの龍、すごかったな」
「あぁ、そうだな。赤と白だったっけ?」
「ん?あぁそうだよ。あの二体の龍はな、神ですら敵わないを言われるほど協力な力を持ってるんだ」
「「す、すげぇ……」
こんな風に、みんなで仲良くしてると必ず壊そうとしてくる奴がいる。
「これだから名門様は―――」
その先は聞いてない。
興味が失せたのと、コンがそいつの首に小刀を当てていたからだ。
「コン、やめろ。そんなやつの相手なんかするな。時間の無駄だ」
「名門様だからってえらそーにs「うるせぇな……テメェ」…はっ!?」
「「「「「え………!?」」」」」
俺はその男の後ろに瞬間移動する。
「どうした?なに驚いてるんだ?瞬間移動しただけじゃないか。俺がいたところではこの程度ではだれも驚かないぞ?」
「う、うるせぇっ!!」
男は俺に殴りかかる。
それを俺は何もせずに受ける。
もちろん、拳は顔面……額にあたる。
普通は俺が痛がる。
普通はな。
あいにく俺は普通じゃない。
だから……
「い、いてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
殴った方の拳がものすごいことになります。
指の骨は全て砕けるのは当たり前。
爪も割れて、手首まで折れる。
「あーあ……すぐそうやって手を出すから」
「や、刃くんは平気なの?」
「ん?あぁ、あんなへなちょこパンチは全く効かないよ。てか、殴った方が怪我をする。あいつみたいに」
「「「「「あぁ……」」」」」
どうやらみんなも納得してくれたようだ。
とりあえず、『フェニックスの涙』でもかけておくか。
「ほれ、これで手は元通りになったはずだ」
「んなわけ……マ、マジだ……」
「んじゃな。今度はちゃんと鍛えてから殴ってこいよ」
「もうしねーよ!!」
あー面白い。
最ッ高だぜ!!
やっぱりここに着てよかったかもな。
―――階段。
「で、何の用?」
良く見てみると、京子ってかわいいな。
胸デカいし。
ボン!!キュ!!ボン!!
ですな。
「昨日は悪かったわね……成り行きでああなっちゃったけど、もともと文句着けてたのは大友先生に対してなんだし」
髪を人差し指でイジイジしながらテレくさそうに言う。
なんか、いいな。
「とにかく!!大げさになったことは謝っとくわ」
……ハハァン。
「なぁ、おまえってさ……俺をだしにして夏目に突っかかってるだけだろ。なんで?」
「……会ったことがあるの……子供のころ一度、夏目くんと」
「あぁ……あの時の子はお前だったのか」ボソ
「なんか言った?」
「なんにも」
へぇ……なかなかかわいいところあんじゃん。こいつ。
でもさ、絶対に覚えてないだろうな。
なんとなくだけど、そんな感じがする。
「それで?再開した時に何かあったのか?」
「……忘れちゃってたのよ、会ったこと」
「ふぅん……まぁ一度だけなら仕方ないかもな」
「でも約束したんだもん」
なんのだ?
つーか、また約束?
夏目は本当に約束が好きだな。
「リボン……ねぇ、夏目くんのあのリボン。急に結ぶようになったけど……あれ」
「あぁ、あれは俺が夏祭りの時射的で取ったやつだよ」
「そう……土御門のしきたりではないのね。阿刀くんから聞いたわ。あなたが夏目くんの式神になったのも土御門家のしきたりなんでしょ」
「まぁ、な」
「しきたりで、あなたたちは深くつながっているって……心も体も」
……あぁ、男同士ってことになるのか。
本当は夏目は女だからノーマルなんだけどな……
「あぁ、そうかもな。体はともかく」
「そう、なんだ。体は違うのね……よかった。でも、結局彼の頭の中にあるのは土御門のことだけ……」
「まぁ、まちなさい。式神にしてくれって頼んだのは俺からだし」
「えぇ!?」
「あいつは確かに土御門って言うバカみたいにデカい看板を背負っているけどだ、それだけしか頭にないわけじゃない。そこは信じてやれ」
それから気づいた。
あ、これ地雷踏んだって。
だってこれまでの言い分をまとめると、京子はたんい忘れられただけってことになる。
「じゃあなに?私はたんに忘れられたと?」
俺の胸をポカポ叩きながら詰め寄ってくる。
その時だった。
「そんなところで何をしている」
夏目の声だ。
おまえこそ何しに来たんだ?
「二人でコソコソと出ていくから、何かと思うじゃないか」
あ、こいつ妬いてんな。
妬いてますな。
「別に、ただ和解してただけだ」
「そ、そうよ。私たち和解していたのよ」
「何度言ったらわかるんだ?」
何度も言われているからもう聞き飽きたんだよ。
つーかよ、筆記ばかりできても実戦で使えなかったら意味がないじゃねぇか。
夏目みたいに。
「君は他の人たちより遅れているんだぞ!!少しでも時間があったら、自分を磨いたらどうだ!!倉橋さんやクラスのみんなに媚び諂う暇なんてないだろう!!どうして本気になれないんだ!!君も土御門の人間だろう!!まわりに甘えるなよ!!僕たちは早く、誰の助けもいらない一人前の陰陽師にならなければいけないんだ!!どんなに辛くても!!寂しくても……」
最後の方は夏目は泣いていた。
『陰陽師』ね……俺は『結界師』だっての。
「そうか……そんな風に思ってたのか。まず訂正しておこう。俺は土御門の名は捨てた。そして元の名を取り戻した。それが神浄だ。それに俺は『陰陽師』にはならない。『結界師』だから。陰陽術は使える。でも『陰陽師』にはならない。『結界師』だから。でも、『結界師』でもおまえを守ることくらいはできる。だからさ、そんなこと言うなよ」
俺は夏目抱きしめようと階段を下りていく。
その時だった。
壁がひび割れてきた。
夏目につき飛ばされる。
コンが何か騒いでいる。
目の前には邪悪な何か。
夏目を助けなければ。
でも、なぜだ。
体が全く動かない。
やがて邪悪は夏目を完全に包む。
「刃!!」
この声は冬児か。
「阿刀!?天馬!?」
「なんだこれは……」
冬児が叫ぶ。
あぁ、なんだよこれ。
『おまえのような下郎が、北辰王のお心を乱すなど、承服できぬわ!!』
キモ……
なんだこいつ?
「北辰王?まさかこいつ……」
「夜光信者!?」
「どういうことだ?」
冬児が天馬に訊きなおす。
「君たちが入塾しる二日前、夜光信者が夏目くんに接触してきたんだ。拉致しようとして、呪術のやりとりにまでなったって。その件で夏目くんは呪捜官の取り調べにあったって……ほら、休み時間に」
あぁ、やっぱりそうだったのか。
納得したよ。
「ハハははははははははハハはははハハはははははハハ!!」
「お、おい刃?大丈―――」
「なーに言ってんだァ冬児ィ!!今よォ最ッ高にキレてんだ。俺の目の前で夏目がさらわれたんだぜ。だから、今回は本気で行く。天龍の片割れ、赤龍帝の力を見せてやるよ!!朱蓮!!」
『わかってる!!』
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!』
俺は赤龍帝の鎧を身に纏う。
右手には『赤龍帝の龍刀』がある。
とりあえずこの邪悪を消し去るか。
「結………滅」
邪悪をすべて結界で囲い、一気に消し去る。
「さぁ、邪魔まものはなくなった。夏目の所に行くぞ」
俺は先に進む。
後ろからついてくる気配がするが気にしない。
待ってろ夏目。
―――???。
「夏目ェ!!」
俺は叫んだ。
夏目は俺が誰だか分からないようだった。
あぁ、鎧か。
「王よ、今からあなたの護法である我々が、あのガキどもとの格の違いをお見せいたします。ご覧あれ!!」
その瞬間、野郎の背後に片腕のない鬼が現れた。
「隻腕?そんな、まさか!!」
なんでみんな驚いているんだ?
やることは変わらないのに。
『北辰王、土御門夜光が使役せし二体の式神、我こそは角行鬼』
「そして、我が名は飛車丸!!」
なにかほざいてる。
だが関係ない。
「あれ……本当の角行鬼?」
「そんなわけあるか。あれは雑魚だ」
俺は一歩、また一歩と歩みを進める。
「冬児、殺ってくる」
「あぁ、殺ってこい」
「ちょっと!!いいの刃くん一人で行かせて!!」
「いいんだ。俺たちは足手まといになるだけだ。もちろん夏目でもな」
「「えぇ!?」」
上手く冬児が止めてくれたか。
さぁ、ここからは俺の仕事だ。
第一に夏目の救出。
第二にクソ野郎共の惨殺。
よし決めた。
俺は鎧を解除して外套に変形させる。
よし、これで動きやすくなった。
俺は『念』を発動させる。
そして『発』につなげる。
「いくぞ……弦術・修羅修羅々」
俺は念で創った弦を周囲に張り巡らせる。
この時点で敵さんはもう身動きだ取れない。
だって、弦が体に絡み付いて体をちぎるくらいに締め付けているんだもの。
『弦術・修羅修羅々』は周囲に弦を張り巡らせると同時に、範囲内の標的も縛り上げる。
「どうだ、動けねぇだろ?」
「グッ!!ガキ!!なにをした!!」
「教えるかよ、バーカ」
俺は弦を締め上げていく。
「テメェは後回しだ。先にあの鬼もどきをブチ殺す」
みんな驚くだろうな~。
忍術が使えるなんて言ったら。
「影分身の術」
影分身をつくり、俺の右手にチャクラを乱回転させていく。
そう、風遁・螺旋手裏剣だ。
「さぁて、鬼もどき。俺の持っている忍術のなかでもかなり高威力のものだ。喜べよ!!風遁・螺旋手裏剣!!」
螺旋手裏剣は鬼もどきに当たり、肥大化する。
ギャアァァァァァァァァァ!!
鬼もどきが叫ぶ。
痛いよなぁ……でもしょうがないよなぁ。
夏目をさらったクソの仲間だもんな。
鬼もどきは塵になった。っと思ったら式神の紙の状態に戻っていた。
「さて、残るはお前だ……ってあれ?」
あのクソは何処にもいなかった。
おいおい……あれから抜け出すなんてどんな小細工使いやがったんだ?
それともさっきの螺旋手裏剣で弦が切れたか?
なら仕方ないか。
俺は夏目の元に行く。
「まってく、心配させんなよ」
「ごめん……」
俺は呪符を全部破る。
そして抱きしめる。
「ふぇ///」
「守るって、約束したからな」
「うん!!」
俺は夏目をお姫様抱っこでみんなのところに連れて行く。
「や、刃!!この格好はまずいよ!!」
「大丈夫だ、問題ない」
とりあえず、みんなのところについたので、夏目を下した。
「倉橋さん、天馬くん、ありがとう。迷惑をかけてすまなかった。倉橋さん、あんな態度をとっていた僕を助けに来てくれて、本当にありがたく思うよ」
「そ、そんな……気にしないで」
ほぅ、少しは成長したんじゃないか?
夏目も。
―――四日後、俺の部屋。
「あぁたりねぇ……やっぱ昨日の偽物じゃあ俺のストレスは発散できねぇ」
「確かにな。本物の鬼はあんなもんじゃねぇ」
俺の部屋には俺、冬児、天馬、京子がいる。
昨日の件について話していたのだ。
「ていうか、あなた全然元気じゃない。四日も休むから、心配して見に来てやったのに」
「あー……まぁ、さぼりってやつ?」
「なんで疑問形なのよ!!……ねぇ、夏目くんは来てないの?」
「「気になるか?」」
俺と冬児がハモりながら聞く。
「もういいわよ、それは!!」
プリプリしながら返してくる。
ポン
煙が出てきた。
「刃様……」
こんに促されて部屋の外を見ると、そこには式神が荷物を部屋の中に運んでいた。
「これはそっち、これはあっち」
部屋の中では夏目が式神に指示を出していた。
「夏目、どうしてここに?」
「やぁ、僕、今日からここに住むから」
「ほぅ……いいねぇ。じゃあ、部屋をつなげて同棲するか?」
「どどど同棲!?ま、まぁ刃がどうしてもって言うならいいけど……」
人差し指どうしでツンツンしてる。
……かわいいっす。
「どうしても同棲したい」
「わ、わかったよ……こ、これからよろしくね」
「あぁ、よろしく。マイハニー。というわけで、ほい!!」
俺は壁を取っ払った。
ついでに下にあるという夏目の荷物をすべて転移させた。
「さて、頑張りますか」
「おー!!」