キマリストルーパー改弐 https://www.youtube.com/watch?v=NYA_0eV2qWU
ガンダムアスクレプオス改 https://www.youtube.com/watch?v=YAsyA64DR1Q
ガンダムグリープ改 https://www.youtube.com/watch?v=KkTcOWib0nc
再戦の手続きは簡単だった。
マッチングリストからお目当ての相手を選択。対戦申請をして、あっさり受諾される。
特にドラマチックな盛り上がりとかは無い。
ランダムに選ばれる戦場に転送されるまでの数秒間、無言で軽く拳を打ち付け合い、そして。
父親の趣味が戦車模型だった。
模型というものに興味を持つきっかけは、そんな理由だった。
当たり前のことだが戦車という兵器は実在する。その実在するものをスケールダウンした模造物を製作するから、スケールモデルと呼ばれる。
実在する以上、本物を忠実に再現しなければならない。そうでなければ、例えば自分の想像を混ぜた架空の戦車を造れば、それは偽物になってしまう。
ならば、そもそも架空の兵器なら? アニメーションの世界にしか存在しないフィクションの、未来のロボット兵器なら(そもそも兵器に拘っている時点で、根本的に物騒な趣味だ)自由なイメージで造ってもいいんじゃないか。
本物が存在しないなら、偽物には当たらないんじゃないか。
そういった流れでガンプラというロボット・トイを組み始めた。
女子の趣味としては一般的じゃ無かったから、ごく一部の友人しかこの趣味のことは知らない。
通っている高校に模型部があることは知っていた。
ただ、予算の配分を話し合う関係上、生徒会役員は兼部できない決まりがあるので所属してはいなかったし、詳しくは知らなかった。
たまたま部室の前を通った時、目にしたのも偶然だった。
RX-78ガンダム。その144分の1モデル。たぶん世界で一番ありふれたガンプラ。
一目見て分かった。これを組んだ人とは絶対気が合うって。
そんなきっかけで意識するようになった。
あと、兼部できない決まりというのは、予算の付かない同好会には適用されないらしい。
今回は廃墟ステージだった。
元は近未来的な街並みだったのかも知れない。
今は、その名残も無い。ただ荒れ果て、死に絶えた風景。
その一角。
倒壊したビルの残骸やガレキが散乱する中、奇跡のように開けた何も無いスペース。
ここにタクヤたちは陣取っていた。
逃げも隠れもせず、一定の距離を置いて、あえてその身を晒している。仁王立ちする姿は風格すら漂わせていた。
「レーダーに反応。12時方向」
『正面からか』
『お互い考えることは同じですわね』
「健闘を祈る」
『言うなよ恥ずかしい』
『ですわー』
適度に緊張感を纏わせたリラックスしたやり取りが終わる。
そして……宿敵たちが現れる。
『随分姿が変わったね。改修……いや、一から作り直した?』
「まあ、そんなところですわ」
前回と変わらぬバルバトスルプスに対してサカグチは答える。
実際、愛機キマリスナイトは、かなり様変わりしていた。
以前は曲線的だったボディは、直線的でかつ鋭角に。手にした武器もハルバードから儀礼的な意匠を凝らした、同時に無骨さもある騎士剣に変わっていた。
反省会で浮き出た課題に真っ向から取り組んだ結果、胴体部分を丸ごとスクラッチし直した機体。
言わば『キマリスナイトMk-Ⅱ』
『張子の虎じゃ無さそうだ。その力、見せてもらう!』
『来いやオラ、ですわー!』
最短距離で間合いを詰めるバルバトスルプス。
振り上げたソードメイスを、やはり最短距離で叩きつける。
『うおおおお!』
「やああああ!」
その軌道を遮る形で、気合いと共に真っ向から叩き込まれる騎士剣。
ゴギン!
硬く重い物同士をぶつけ合う、くぐもった鈍い響き。
そのまま鍔迫り合いに移行する。
『この前よりパワーが上がってる⁉ やるね!』
「お褒めに預かり光栄ですわ!」
『前と違うやつじゃん。あれじゃ勝てないってことぐらいは分かった訳ね』
「抜かせ」
張飛ガンダムに対するリュウジの新しい機体。
サカグチが来る前にタクヤが見ていたキットのひとつ。ガンダムアスクレプオス。その改造機。
特徴的なショルダーアーマーやバックパックは本来は青いはずだが、それが所々赤く塗り分けられている。
がっちりとした独特のフォルム、独特のカラーリング。極端に手が大きい。
左右の腰には鞘に納まった2刀。
「わざわざお前に勝つために造ったんだぜ?」
『へー、大きく出たね』
「ボコす前に名乗っとく。俺はフォース『DTS』のリュウジ」
左の刀を抜き放つ。
「機体名『紅蓮華』だ! 覚えとけよ、お猿さん」
『……レッドデビル?』
「残念。『G-リオレウス』」
『……かすってもいないわね』
赤い悪魔に例えられたタクヤの新機体。
リュウジと同じく再販キット、ガンダムグリープが改造素体。
頭や手足のかなりの範囲を赤く塗られているのも同じ。
実際、悪魔のような翼を、そして尾を備えた異形のモビルスーツ。やはり極端に手が大きい。
「あながち間違ってもいないよ」
『? どういうこと?』
「悪魔は不吉を運ぶものだろ。君に届けに来たんだ、ミレイ」
ビシャン!
尾を……いや、尾を模した鞭を鳴らす。
「敗北をプレゼントしに、なんてね」
鍔迫り合いから一転、双方跳びずさって距離をとる。
一合撃ち合って分かった。力は互角だ。
(前回は……)
ほんの僅かだが負けていた。相手の打ち込みをまともに受け止めず、受け流すことで何とか対応していたが、その差が最後に出た。
新造したキマリスナイトMk-Ⅱは無印に比べて胴体が格段に短く、キマリストルーパー本来のプロポーション・バランスに近いものになっている。その効果だ。
ルプスがソードメイスを肩に担ぐ。
『リズムを変える。付いて来れるか?』
その宣言を置き去りに、ルプスの影が蛇行して流れる。揺れるテールランプのようにカメラアイの光が歪な残像を、中空に描き出す。
「くっ⁉」
野性的、というより獣そのものの動きで叩き込まれるソードメイス。
辛うじて受け止める。
お互いの得物が軋むより速く、反転して2撃目、3撃目。
これも受ける。徐々に目が慣れる。
5撃目の終わりに反撃を重ねる。
ブォン!
空気が燃え上りそうな擦過音を奏でて、騎士剣が虚空を走る。
獣じみた跳躍を見せたルプスが、遥か後方に着地する。
『これも凌ぐか、流石だ……ならば』
そう呟くと、
『バルチェンジ! ルプス・トゥ・甲斐!』
「⁉」
いきなり切り札を切った。
拝み撃ちに打ち込んだ一刀を矛の柄が受け止める。
ズザザー!
張飛ガンダムの踵が瓦礫を砕いて止まる。
『重い⁉ それに速い!』
愕然とした響きに、血振るいの所作で応える。
(驚いたか?)
大型のハンドパーツ。これが斬撃の重さの正体だ。
だが欠点もある。黄金比を崩した代償として振りの速さが犠牲になっている……本当ならば。
剣術の概念で『手の内』というものがある。
柔らかく柄を握り、当たる瞬間のみ強く握り込むことで剣先を加速させる、そういった技術だ。
もちろん誰にでもできる訳では無い。
元ヤンの両親の(男は喧嘩強くないとアカン、という)教育方針でリュウジは色々習わされた。
武道武術に関して、素人では無いのだ。
『この間は手を抜いてたってわけ? 馬鹿にして!』
当然、違う。操作技術自体の未熟さ、それに斧という勝手の違う武器。
何より、タクヤの組んだ機体を『ただ』使っていただけだった。機体の力を何も引き出せていなかった。
『上等だっ! さっさと倒してやる!』
矛に刃を装着。振り上げ、振り下ろす。
『大爆裂……雷蛇!』
ウィップvsソード。あるいはソードvsウィップ。
今回も互角だった。
動きの速さだけなら、圧倒的にジークルーネ。
鞭を振るうG-リオレウスの腕の振りは、お世辞にも速くは無い。
リュウジ機と同じだ。力と引き換えに、速度に劣るハンドパーツ。
その欠点を補うための、鞭という『しなる』特性を備えた武器だった。
手元では遅い動きが、伝播していく過程で増幅・加速され、最終的には視認できない速度になる。
『面白い! やっぱりあなた面白いわ!』
鞭の攻撃を掻い潜ってジークルーネが探検を投擲。
「無駄だ!」
それをG-リオレウスの悪魔じみた翼が弾く。
リフレクトシールド。
ただの羽根では無く、れっきとした防御兵装なのだ。
『いいわ! もっとわたしを楽しませて!』
ミレイのギアが一段階上がる。
それにタクヤも付いて行く。
まったくの予想外だった。
攻め手を欠いたサカグチはジリジリと下がる。
それを甲斐が、唐突にルプスから姿を変えた甲冑武者が、やはりジリジリと追う。
(意図が読めない⁉)
土壇場で使うと思っていた奥の手を、何故このタイミングで?
甲斐が懐から何かを取り出す。
「……扇? いや、軍配!」
何かマズい。嫌な予感がする。
先に仕掛けようとした。
『武田鉄砲隊、前へ!』
だが遅かった。
跳び出すタメ動作に入った前傾姿勢のキマリスナイトを、どこからか飛来した原始的な銃の群れが包囲する。
「これは……サイコミュ兵器⁉」
『撃て!』
連続する銃声が辺り一面に木霊した。
「全集中! 水の呼吸!」
雷蛇を呼ぶ掛け声を圧してリュウジが吠える。
八双に構えた刀の切っ先に水の龍のビジョンが浮かぶ。
『なっ、何それっ⁉』
「ハッ!」
袈裟に斬ると同時、雷蛇と水龍が激突する。
バチバチバチィ!
激しく雷光と水蒸気、轟音を振り撒く。
形勢は……雷蛇が有利。
『なるほど……つまり、あたしのパクりって訳?』
要は透明プラ板か何かに絵を書いて攻撃エフェクトに見立てた物をダイバーギアで読み込み、当たり判定のある武器として登録した。
質量としてはプラ板1枚分。
『だったら、あたしの勝ちは揺るがない! あたしの雷蛇は複雑な接続部と可動部を補強するために、見た目以上に大量のプラ板を使ってる! 強度も質量も比較にならない!』
「ああ。水だけならな」
『えっ?』
耳を疑う。まさか……。
「雷の呼吸!」
抜き撃たれる右腰の刀。同時に嚙みつく雷龍。さらに。
「火の呼吸!」
火龍召喚。
3龍と雷蛇が、互いに打ち消しあい、ぶつかり合う。
バチッ!
遂には強大な斥力が発生。双方が同じ距離を吹っ飛ばされる。
「くっ!」
『がっ!』
全身を揺さぶる衝撃波に歯を食いしばって耐える。どちらも暫く動けなかった。
『……あたしはアルテミス。フォース「ワールド・ヒーローズ」のアルテミス』
「……さっきも名乗ったがリュウジだ」
『オッケー、リュウジ。全力で相手してあげる。来なさい、雷蛇!』
張飛ガンダムに、蛇を模したエフェクトパーツが絡みついていく。
『合神!』
『はー、はー』
「はー、はー」
双方共に息を荒げる。どちらも疲れの色が濃い。
完全に無呼吸運動で殴り合い続けたのだから、当然と言えば当然だ。
ただ、呼吸を整える。その間も相手から目を離さない。隙を伺い続ける。
特に身体を鍛えていないタクヤは、体力的に限界が近い。
(っていうか、モデラーのやることじゃないよね)
ゲームで息切れするとは思ってもいなかった。
どうやら自分は案外ノリのいい人間だったらしい。バトルジャンキーのテンションに引っ張られて我を忘れていた。
しかも、結構楽しかった。
『……ありがとう、楽しませて貰ったわ』
向こうも同じようなことを言う。
『けど……そろそろ終わらせてあげる!』
ジークルーネが両の手足を大きく、大の字に開く。見覚えのある構え。
(来る!)
黒色火薬銃独特の黒煙を模したエフェクトを切り裂いて、機影が飛び出す。
馬型のホバーマシン。頭部はクワガタムシのような大鋏。
その上に騎乗した小柄な機体、SD騎士キマリス。矮躯に似合わぬ長大な騎兵槍、デストロイヤーランスを構える。
人馬一体の騎兵突撃。
「ナイツ・オブ・ザ・キマリス!」
待ち構える甲斐が、左脚を大きく引いた。左手を鍔本に、右手は柄を柔らかく握る。
抜刀術の構え。
両者の距離が一瞬でゼロに。
激突。
雷蛇の長細いボディが5つに分割、張飛ガンダムの手足と胴体を延長する。
バチバチッ!
電撃を纏う肢体が、通常のリアル等身と同じかそれ以上の高さで睥睨する。
アルテミスの奥の手。
『雷将形態! 食らえ!』
まさに稲妻の、疾風迅雷の勢いで突進。桁違いのスピードで蛇矛を振り下ろす。
「うおおおお!」
リュウジも素早く剣を振るう。3龍が、殆ど同じタイミングで撃ち出される。
激突する。
だが雷将張飛の勢いは止まらない。
当然だ。言わばMP全てを消費してバフを掛けた状態である。
さらに、手にした2刀で諸手突き。止まらない。僅かに勢いは鈍ったがそれだけだ。
『もらった!』
勝利を確信したアルテミスが叫ぶ。
瞬間、紅蓮華が形を変える。
兜型のバックパックが頭部を覆い、ショルダーアーマーも変形して、特大のクローと化して拳を覆う。
ベースキット、ガンダムアスクレプオスの特異な可変形態。近接格闘モード。
『なっ! ここで⁉』
この場面で。
片方に傾いていた拮抗を、逆に振らせる乾坤一擲の一撃。
それは、シンプルなパンチだった。
吹っ飛ばされた雷将張飛が、空中で機能を停止する。落下、爆発。
爆光を背中に浴びながら、紅蓮華が拳を引いて決めをとる。
「借りは返したぞ」
甲斐が大太刀を振り切った。
『くっ⁉』
いや、刀は鞘に納まったままだ。抜けてすらいない。
柄を握った拳、その手前。柄尻を足が押さえている。
馬型から、さらに変形。疑似的な人型になったキマリスナイトの下半身が、横蹴りの要領でストッピングを掛けたのだ。
動きを止めた2体の、頭上に落ちる影。
ザン!
一閃。
甲斐の背後にSDキマリスが……いや、脚だけSDのキマリスナイトMk-Ⅱが着地する。
長大な騎士剣を、ヒビの走った地面に突き立てる。その衝撃で甲斐の腰に線が生まれ、そこからズレて落ちる。
敵機大破、勝利。モニターに表示される勝利宣言。
「悪くない死合、でしたわ」
『フラガラッハ展開! ブレード・ストーム!』
舞い上がるダンシング・ブレード。
(ここだ!)
タクヤも勝負を賭ける。
G-リオレウスのバックパックが回転。翼がさらに回転、横に伸ばした腕を覆い尽くす。
頭部も装甲が覆う。下半身が向きを変える。
全ての工程が一瞬のうちに終了し、
『なっ⁉』
そこには一匹のドラゴンがいた。
頂点の位置で反転、五月雨撃ちに降り注ぐ短剣の豪雨。
それが着弾するより速くドラゴン、いやワイバーンは大地を飛び立つ。
加速する。ブレードの群れが追う。
いや。
『速すぎる! 追い切れない!』
銀色の小鳥を振り切ったワイバーンが高空を旋回、遥か彼方からジークルーネを睥睨する。
顎を開く。その奥に光る、メガ粒子砲の発射準備。
「ブレス・オブ・ファイア!」
咆哮。
迸る火線。メガ粒子砲、炎の息吹。
うねる光の濁流が全てを押し流した時、そこには敵機の痕跡すら残っていなかった。
「……今日は悪ノリしてる気がする。気を付けないと」
勝った方が赤面して顔を押さえていたのは、内緒だ。
こうしてフォース『DTS』は雪辱を晴らした。
タイムリミット前日。
大事なことを忘れていたのを気付くのは……日付が変わった後だった。
「アホ」
「……言うなよ」
「俺はいいんだよ、元々部外者だし。けど部の伝統を守ってきた先輩方に悪いと思わないの?」
「お前だって忘れてただろ!」
「だから、元々部外者だって」
そう言われれば、ぐうの音もでない。
当初は余裕を持って、遅くとも期日の数日前には校内放送、対戦動画の存在を告知して新入部員を募る、そういう計画だった。
ところがワールド・ヒーローズとの再戦に熱中する余り、そのことをすっかり忘れていたのだ。
当日になって、事前に根回ししていた放送部員の友人から「あれ、結局どうなったの?」と尋ねられて、初めて失念していたことに気付く体たらくぶり。自分で自分が信じられない。
当然、新入部員はゼロ。
「それでは模型部は廃部。以降は同好会という扱いになります」
こうして廃部勧告を受ける事態に相成ったという訳だ。
「基本的に学校側からの活動費は支給されなくなりますが、それ以外は今まで通りに活動して頂いて構いません。部室も、現在他の部活動・同好会から使用申請が特に出ていないので、ここをこのまま使って下さい」
「あ、はい」
「告知事項は以上です。細かいことは、この冊子に目を通して確認して下さい」
生徒会長が黒髪を押さえて立ち上がる。「失礼します」と言って立ち去りかけたその足が、ふと止まる。
「……あ、あの、この後のことなのですが」
「失礼するわ」
「失礼します」
「やっはろー」
唐突に部室のドアがノックも無く引き開けられる。何故か会長があわあわする。
入ってきた女子生徒3人のうち、センターに立つ少女が腰に手を当てて胸を張る。
「ミレイ、1年、入部希望よ」
ボン・キュ・ボン。とても年下とは思えないスタイルだ。しかもエラい美人だ。
一言で言ってエロい。
「同じく1年、ユキ、入部希望」
こちらも美人。ミレイとはまったくタイプが違う。ざっくり言うとポニテ侍。
「アルテミス、1年だよー、よろしくー♪」
可愛い系で幼い感じ。要はツインテロリ。
「って、お前ら」
リュウジが三白眼を凶悪に見開く。
「初めまして、って言った方がいいのかなー、かなー♪」
「本名かよ⁉」
「そっち⁉ って言うかキラキラネーム言うなー!」
「言ってねえし!」
「ちなみに月姫って書いてアルテミスなんだけど」
「キラキラしてる!」
「言うなー!」
アホふたりは放っておいて、ミレイに尋ねる。
「ええっと……なんで?」
「? 入部動機を聞いてるの?」
こくこく頷く。
「それはもちろん……あなたが気に入ったからよ」
「なるほど」
掌をポン。納得。
「って、えええ⁉」
「古典的ね……でも、嫌いじゃないわ」
そんなことを呟きつつ、ミレイがにじり寄って来る。
冗談めかしているが、目がギラギラしている。肉食系女子だ。マジなやつだ。
やれやれ、といった感じでユキが首を振る。
目で助けを求めたが、普通に知らん顔された。酷い、いきなり新入部員に見捨てられた、部長なのに。
「ねえ、なんなら公私共に付き合ってあげても」
「ダっ、ダメですわー!」
思わず、といった感じで生徒会長が叫ぶ。
ついでにその場で地団駄を踏んだ。
「です、わ?」
「あ」
ふたりして固まる。
リュウジが「けっ、ラブコメか」と吐き捨てた。
その年のガンプラフォースバトルトーナメントで旋風を巻き起こすことになるフォース『DTSヒーローズ』
これはその……始まりの物語だ。
ひとまず終わりです。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。