前略。多由也に転生したけど、人生の詰将棋をしている気分です。   作:N-SUGAR

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一週間ぶりです。思った以上に忙しくて思った以上に執筆できませんでした。なんならあと数週間似たような状況が続きそうです。コロナ騒動ですっかり忘れてましたけど、コロナで休みが増えただけで私、今年が人生で一番忙しい年になる予定だったんですよね。どうしてくれよう。

そんな感じの二十話です。お楽しみください。

ここで自分に向けて一言。

「執筆ペースどうなんだよ」



第二十話 芸術は儚く散りゆく一瞬の美。

 大蛇丸様の『暁』脱退。

 

 その知らせを受け、私と君麻呂は大蛇丸様が『暁』から逃げ延びるための補助を行う任務へと赴いていた。

 

 飛段と角都が音隠れのアジトに襲来してから二週間。『暁』のメンバーに場所のバレた南アジトは放棄されることになり、現在も荷物が纏められている最中だった。私達もそのゴタゴタに巻き込まれて自分の荷物を纏めていた最中での突然の知らせだ。正直、何で今そんなことをしてしまうんだという気持ちが無いわけではなかった。

 

 しかし命令されてしまったものは仕方がない。忍として任務を選り好みするわけにも行かず、私と君麻呂は任務が行われる場所である風の国の東の大砂丘へと向かう。大蛇丸様は音隠れの里以外にも各国に隠しアジトを用意しており、今回向かう場所もまた、そのうちの一つだった。

 

 森の木々を跳びながら移動し、私と君麻呂は会話する。

 

「カブト先生の送ってきた任務概要には難易度S級と書かれていたけれど、大蛇丸様が潜入していた『暁』というのは、一体どういう組織なんだろう?」

 

 君麻呂の疑問の声を聞いて、私は気付く。そうか。君麻呂は、まだ『暁』のことをよく知らないのか。

 

 既に『暁』のメンバーとおもいっきり戦っているのに、なんともちぐはぐな現状だ。大蛇丸様やカブトさんももう少し情報共有を徹底してくれれば良いのに。部下に対する徹底した秘密主義は、こういうときに不便になる。

 

 さて、どこまで話したものか……。

 

「ウチも詳しく聞いてる訳じゃないんだがな。何でも、少数精鋭で構成された小さな組織ながらも、その構成メンバーはどいつもこいつもビンゴブックでS級犯罪者になるような実力者ばかりらしい。大蛇丸様と同等かそれ以上の忍ばかりが在籍する組織だそうだ」

 

 私は取り敢えず、以前大蛇丸様から聞かされただけの情報を使って君麻呂に『暁』の説明を試みる。

 

「大蛇丸様以上……。想像できないな。まず、そんな忍がいるのかい?」

 

 君麻呂は心底懐疑的な視線を私に向ける。まぁ、大蛇丸様至上主義の君麻呂は、当然そうなるか……。

 

「大蛇丸様は偉大な忍だが、完璧な忍って訳じゃない。じゃなきゃ大蛇丸様が力を求める意味がないからな。当然、大蛇丸様以上の忍だって世の中にゃいくらでも存在する。そこを履き違えちゃダメだ」

 

 私は君麻呂に諭すようなことを言いつつ

 

「大蛇丸様がうちはイタチの確保に失敗なされた以上、うちはイタチは大蛇丸様以上の実力を持っていると考えるべきだし、大蛇丸様にもし追っ手が掛かるとしたら当然そのレベルの忍を覚悟しなければならない。ウチらが戦った中で言えば、つい先日戦った飛段と角都。アイツらレベルかそれ以上を想定しておくと戦いやすいかもな」

 

 想定というかあの二人はまんま『暁』のメンバーなのだが、大蛇丸様は結局それを私達に教えてくれなかったのだ。君麻呂に曖昧なことしか言えないのはなんとももどかしいが、こんなところで尻尾を出すわけにも行かない。

 

「この前の……。ジャシン教徒以上の忍が初見で襲ってくるのは確かに少し遠慮願いたいな。だが、それでも種さえ分かれば……」

 

「それを今考えても仕方無いだろ。せめて大蛇丸様からメンバーについての話を聞いてからだ」

 

 なにやら思考の深みに嵌まろうとしている様子の君麻呂に私は注意を飛ばす。

 

 転生者としての私には『暁』のメンバーすべての情報が記憶として入っているが、音隠れの多由也には『暁』メンバーの情報なんて微塵も入っていない。「一族殺し」 うちはイタチ、「霧隠れの怪人」干柿鬼鮫、「赤砂」のサソリ、「爆破テロリスト」デイダラ、「上役殺し」の角都、「殺人鬼」 飛段といった面々は各里の手配書や闇市場の賞金首としてそれなりに名を馳せているが、それはあくまでも一犯罪者としてであって『暁』のメンバーとしてではなかった。アニメオリジナルの『イタチ真伝編』で登場した「元霧の忍刀七人衆」 断刀使いの琵琶十蔵の存在も確認できたが、こちらは既に死亡確認のチェックマークが入っていたので特に気にする必要は無いだろう。

 

『暁』をよく利用しているとされる岩隠れや『暁』が創設された土地である雨隠れならば弥彦、小南、長門の情報も確認できるんじゃないかと思ったが、岩隠れの表向きの手配書に『暁』の情報は載っていなかったし、秘密主義の雨隠れの手配書に至っては手配書そのものが大蛇丸様の情報網から外れていた。「山椒魚の半蔵」が鎖国主義を敷いた上からペイン六道が乗っ取り監視している雨隠れには、流石の大蛇丸様もスパイを送り込む余地は無かったようだ。

 

 そんなわけで、情報収集を欠かさず行っていた私ですら前世の知識無しでは『暁』メンバーの『暁』メンバーとしての情報は一切手に入らなかったのだ。君麻呂が一人でいくら考えた所で予測できるような面子じゃない。

 

 今回の任務の作戦指揮は大蛇丸様が直々に行う手筈になっている。潜入してたのは大蛇丸様なんだから、流石にメンバーの概要くらいは任務開始前に教えてくれるだろう。私と君麻呂が作戦を練るのはその話を聞いてからでも遅くはない。

 

 それに、『暁』からの追手に誰が来るのかも予想できる。任務を知らされてからというもの必死で前世の薄れた記憶を呼び覚まし、ようやく朧気ながらそれらしいシーンを思い出してきた。

 

 あれは確か、アニメオリジナルのイタチ真伝編でのことだ。大蛇丸様脱退後、『暁』はサソリとデイダラの芸術コンビを大蛇丸様の追手として送り込んでいた。カブトさんを通じて大蛇丸様の逃げた先を知ることのできるサソリが選ばれるのは確かに妥当な人選だと言える。

 

 起爆粘土を使って数々の爆弾を造形、爆発させる、一瞬の美を追求する芸術家デイダラ。そして、数多くの人傀儡を作り出し操り、自分自身すらも作品の一つとして傀儡化した永遠の美を追求する芸術家サソリ。

 

 お互いが自身を芸術家と名乗り、かつ、方向性を全く異にする二人組。

 

 片方は超大規模爆発と超小規模爆発を使い分け様々なバリエーションの爆弾でどんな状況にも即応できる若き天才で、片方は複雑な傀儡操作と奇想天外な仕込み絡繰に猛毒を施した天才傀儡使いだ。どちらも厄介な相手であり、しかも数々の即死技を保有している。デイダラの十八番はどれもこれも逃げられるような代物じゃないし、サソリは傀儡人形を操ることで戦力を水増しすることができる上にその攻撃はどんな小さな攻撃であろうと致命傷に繋がる。正直正面からやりあって勝てるかどうかは微妙なラインだと言わざるを得ない。

 

 だけど今回の任務は大蛇丸様との合同任務。やりようはいくらでもあるはずだ。

 

 だんだんと木がまばらになり、地面に砂の割合が多くなってくる。

 

 もうすぐで風の国だ。

 

 『暁』との戦闘を思うと憂鬱な気持ちになる。しかし、どこかそれを楽しみにしている自分がいることもまた事実だった。

 

 『暁』メンバーの中でどの二人組に一番会いたいのかと尋ねられたら、芸術コンビの二人組だと私は答えるだろう。

 

 芸術。それは、私に縁がない言葉ではない。昨今音楽家がアーティストと呼ばれることからも分かるように、音楽とは芸術の一ジャンルなのだ。当然私が扱う笛の音も、芸術の一端に関わるものである。

 

 人々の心を震わせる作品。人々が惚れ込む作品。そうやって数々の作品を通して人々の心を魅了するものが芸術であるのなら、人の心に作用し人の心を震わせる音楽もまた、立派な芸術作品だと言っていい。

 

 私は自分の奏でる音楽に自信を持っている。私の音楽は人の心を十分に震わせることができる。共感能力も高い。万人に通用する芸術性だ。そうなるように、人生を通して己の音楽の腕を高めてきた。

 

 ならば当然対抗心も生まれてくる。私の芸術がどれ程のものか試したい。私の芸術が一番だと言い張りたい。私の芸術は私以外の芸術家にどう映るのか、聴かせてみたい。

 

 己の中に絶対の芸術性を抱え込む二人の芸術家に、私の芸術は果たしてどう映るのか。

 

 それは、とても気になることだった。

 

 まあそれ以上の問題として、私が奴等に出会った場合奴等の耳に私の芸術を叩き込む前に私の耳が先にやられる心配が有るんだけどね。

 

 川本克彦様(声優)と櫻井孝宏様(声優)のコンビって、何? 私の耳を殺しに来てるのかな? そのコンビは。

 

 前回のてらそままさき様(声優)と土師孝也様(声優)の凹凸コンビも中々の破壊力を持っていたけれども、あの時は突然のこと過ぎて、私の個人的趣味に感情を割く余裕なんて何一つ持ち合わせていなかった。

 

 だがもし今回芸術コンビと対峙するようなことになったとしたら、それは事前に予測されていた事態である。気持ち的には前回のそれよりも幾分余裕があるというものだ。

 

 そんな状態であの二人の声を直に浴びるのは私の心臓に悪すぎる。芸術云々などと言う前に、私の耳が敗北してしまうかもしれない。

 

 うーん。悩ましい。非常に悩ましいぞこれは! 

 

 とにかく、私はどこかであの二人に会うことを楽しみにしているのだ。できれば敵対するにしてももっと議論の余地のある敵対の仕方をしたかったものだが、人生とは上手く行かないものだ。そんなこと、最初から期待する方が間違っている。

 

 私が思い悩んでいると、不意にすぐ隣から声が届く。

 

「僕に考えても仕方ないなんて言っておいて、君こそ何を考え込んでいるのさ多由也」

 

「あ。すまん。つい」

 

 どうやら私は知らないうちに思考の沼に嵌まっていたらしい。さっき君麻呂に注意したはずの私がそんなことしてたら、流石に君麻呂も不満を述べたくもなるだろう。

 

 考えても仕方ない。情報が無いはずの私も、何を考えたところで任務の役に立つことが思い浮かぶはずもない。しかも考えていたことの大半は任務と全く関係の無いことだったし、尚更たちが悪い。

 

 余計なことは考えず、今は任務に集中しよう。

 

 何、思い返してみれば私の隣には常に爽やかイケメンボイスを持ってる奴がくっついてて日頃から無駄にいい声を垂れ流しているのだ。

 

 流石の私にも少しは耐性くらい付いてるだろ。

 

 そう思った。そう思うことにした。

 

 だから私はそこで考えを止めて、ただ任務の場へと移動することに集中することにした。

 

 木々が途切れ、私と君麻呂は砂漠に足を付ける。

 

 ここから先は風の国。砂漠が広がる不毛の大地。目指すは東の大砂丘。

 

 さぁ、目的地はもうすぐだ。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 芸術とは、儚く散りゆく一瞬の美に宿る。

 

 つまり、芸術は爆発ってことだ。うん。

 

 『暁』という組織がオイラを訪ねてきたのはつい数ヵ月前のこと。岩隠れの里を抜け、一人至高の芸術を追い求めていたオイラをいきなり『暁』のメンバーとして迎え入れる等と抜かしやがるそいつらは、オイラの隠れ潜んでいた工房に三人で押し入ってきた。どこの馬の骨とも知れねぇ連中とつるんでる暇はオイラにはねぇ。さっさと追い返して作品製作に戻りたかったが、しかし現在、結果としてオイラは『暁』の装束を身に纏いサソリの旦那と行動を共にすることになってしまっている。

 

 不本意だ。実に不本意な結果だった。だけど仕方ねぇ。だってオイラは負けちまったんだから。

 

 勝負に負けたら『暁』に入るという条件で、三人のうちの一人だったうちはイタチと戦い、オイラはその勝負に負けてしまった。

 

 アイツの瞳術に嵌まって、危うく自分の攻撃で自分を爆発してしまうところだった。一瞬忠告が遅ければオイラは自分の芸術を完成させることもなく無様に命を散らすことになっていただろう。

 

 オイラを見下ろすあの赤い瞳。写輪眼。

 

 思わず魅入ってしまった。そして思ってしまった。

 

 あれは、芸術だと。

 

 いや、認めねぇ。断じて認めねぇ。

 

 イタチの写輪眼が芸術に値する作品であることは、悔しいけど認めてやる。だけど、アレがオイラの爆破芸術を上回るなんてのは、断じて否だ。

 

 オイラはまだ未熟だ。従ってオイラの爆破芸術も未だ発展途上である。故に、証明しなくてはならないのだ。オイラの粘土アートが最高の芸術であることを、うちはイタチに叩きつけてやらなきゃ気が済まねぇ。

 

 だからオイラは『暁』に入った。宿敵を身近に感じるために。オイラの芸術性を高めるために。

 

 それから数ヵ月。サソリの旦那とチームを組んで、オイラはイタチを襲撃して失敗し組織を抜けた裏切り者、大蛇丸を追うために風の国にまで足を運んでいた。

 

「大蛇丸はオレが殺る。デイダラ。お前は手を出すな」

 

 サソリの旦那はヒルコと名付けられた傀儡の中から声を変え、オイラに忠告する。

 

「なんだよ。旦那が一人でやるってのか?」

 

「オメェはアイツに恨みはねェだろ。いいからお前は戦闘が始まったら空からアイツを見張って逃げられないようにしておけ」

 

 オイラの質問に、サソリの旦那は煮えたぎる怒りを滲ませながら答える。恨み。恨みねぇ……。旦那はオイラとチームを組む前には大蛇丸とチームを組んでいたから、その時に何かあったんだろうとは思うが、しかしオイラが大蛇丸に何も思うところが無いと思われるのは心外だった。

 

 恨みなんて感情はまだ無いが、失敗したとはいえオイラの獲物を横取りしようとしたことについては素直に気にくわない。

 

 うちはイタチはオイラの獲物だ。そいつを狙おうってんなら、そいつはオイラの敵でもある。容赦はしねェよ。

 

 だけど、旦那の恨みの感情がとてつもない大きさなのは見てれば分かる。一体大蛇丸に何をされたのか知らないが、それだけ恨んでるのならまぁ、今回のところは旦那に譲ってやるかと思うこともできる。旦那は『暁』の先輩だし、方向性こそ真逆だが芸術家としての旦那にはこのオイラをして目を見張るところがある。オイラよりも長い年月を芸術探求に費やしてきたその生き様を評価もしている。ここらで旦那に恩の1つでも売っておくのも悪かねぇかと、オイラは旦那の案を飲むことにした。

 

「わかったよ。大蛇丸は旦那が殺る。オイラはその援護に徹する。そういう感じでいけば良いんだな?」

 

「あぁ、それでいい。余計な問答はここまでだ。大蛇丸の野郎。呑気に待ち構えてやがる」

 

 旦那の言葉を受け正面を見る。東の大砂丘。その真ん中に堂々と立っている岩でできた大蛇丸のアジトの入り口に、これまた堂々と大蛇丸は待ち構えていた。

 

 しかも。

 

「旦那。大蛇丸の後ろにいやがる二人組。ありゃなんだ?」

 

「さァな。見たとこお前と年の違いもなさそうだ。差し詰め大蛇丸の部下ってとこじゃねェか? 大蛇丸も馬鹿じゃない。己の身代わりくらい用意してるってことだろうよ」

 

 年の違いは無さそうだとか、オレをガキみたいに言うなよな。うん。アイツら見たとこ10かそこらってとこだ。流石のオイラもそこまでガキじゃねぇよ。

 

 オイラは12歳。確かに旦那からすりゃ大した違いは無いのかも知れねぇが、成長期における1年2年の違いは結構大きいんだぜ旦那。

 

「とにかく、直接訊けば良いだけの話だ。大蛇丸。オレ達がここまで来た理由は、勿論分かってんだろうな?」

 

 旦那はオイラへの返事も早々に、大蛇丸へと言葉を投げる。

 

「えぇ、モチロン。私としては追手はイタチくんが来るものだと思っていたのだけれど、まさかアナタだったとはね。サソリ」

 

 大蛇丸は薄気味悪い笑みを浮かべながら、余裕のある態度を崩さずに旦那へと返事をする。発言から察するに、旦那が大蛇丸の下にスパイを潜り込ませていることはバレていないようだ。そう考えると、既に一本取ってやったような気分になって悪い気はしない。

 

「それに、サソリの新しい相方はデイダラになったのね。まァ、順当と言ったところかしら? 私がいなくなったことで子守りを押し付けられたわね」

 

「テメェ! オイラをガキ扱いすんじゃねェぞ大蛇丸!」

 

「安い挑発に乗るなデイダラ。それこそガキみてぇに見える」

 

 うっ……。そういわれれば確かにそうだ。オイラとしたことが大蛇丸の言うことを真に受けちまった。

 

 オイラは深呼吸をして心を落ち着かせる。オイラはガキじゃねぇ。だからクールに徹するべきなんだ。

 

「子守りというのなら大蛇丸。テメェの方こそ二人もガキを連れやがって。『暁』を抜けたと思ったらベビーシッターにでも転職したのか?」

 

 おお! いいぞ旦那言ってやれ! 

 

 旦那の切れのある挑発に、オイラは思わず心の中でガッツポーズを決める。大蛇丸の後ろに立つガキの内、白髪のガキが眉間に青筋を浮かべるのを見て愉快な気持ちになる。

 

「そうね。そういう側面も有るのかもしれないわ。私の部下であるこの子達があまりにも嬉しい成長を遂げてくれるものでね。少し、経験を積ませてみたくなったのよ」

 

 しかし、大蛇丸は旦那の挑発をさらりと受け流す。ちくしょう。あれも大人の余裕ってやつなのか? いや、なんか違う気もする。大蛇丸のあれはなんというか、普通に気持ち悪いな。うん。

 

「手筈通りだデイダラ。オレは大蛇丸をやる。お前は大蛇丸が逃げ出さねぇよう監視しつつ、あの二人のガキが邪魔しねぇように適当にあしらっておけ」

 

「オーケー。思ったよりも暇にはならなそうで良かったぜ。大蛇丸の部下にも、オイラの芸術を骨身に刻んでやらねぇとな! うん!」

 

 サソリの旦那が巻物を取り出し、オイラは両腰に付けたバッグに手を突っ込んで中の起爆粘土を()()()()()()()()

 

 さて、どうやってあの二人を大蛇丸から引き離したもんかなと思っていると、大蛇丸が背後の二人に話しかけた。

 

「私はサソリの相手をするから、アナタたちは二人でデイダラの相手をしなさい。頃合いになったら合図を送るわ」

 

 大蛇丸にはどうやら何か作戦があるようだな。うん。だが、二人がオイラの方の相手をするというならこちらとしても丁度良い。作戦ごと、大蛇丸のお気に入りらしいあの二人を木っ端微塵に吹き飛ばしてやるぜ。

 

 白髪のガキと赤髪のガキが動き出す。二人は岩でできたアジトの壁を垂直に駆け上がり岩の頂上に辿り着くと、女の方が湿気た顔のまま無言でこちらに手招きをする。ありゃ明らかに誘ってやがんな。うん。

 

 なにか罠があるかも知れねーが、その誘いに敢えて乗ってやろうじゃねぇか。あんまり舐めてっと痛い目に遭うってことを、生意気な後輩に教えてやらなきゃな。

 

 オイラは取り敢えずチャクラレベル1、つまりC1で鳥の形を造形し、そこに更にチャクラを練り込むことで巨大化させる。そうして出来上がった移動用起爆粘土、『C1コンドル』の背に乗ってオイラは大空へと飛翔した。

 

「さぁて、悪いが手加減なんかしてやらねぇぞ。上空から一方的にぶちのめさせてもらうぜ。うん!」

 

 両手についている口から大量の小さな蜘蛛の形をした粘土を取り出すと、それを膨らませて上から一気にガキ共の頭の上にばら蒔く。

 

 大蛇丸のお気に入りだかなんだか知らないが、『C1スパイダー』の爆撃なんかにやられるようなら、オイラと戦う土俵には上がれないぜ? うん。

 

 ヒュルヒュルと頭上に落ちていく無数の蜘蛛爆弾に対し、白髪のガキが背中から白い壁を展開する。

 

 あれは……まさか骨か? 

 

 球状に二人を包み込んだ骨に『C1スパイダー』が次々と貼り付く。骨で防御壁を作り出すとはけったいな体質を持ったやつもいやがるもんだ。血継限界の類いだろうか。流石にゲテモノ大蛇丸は、揃える部下までゲテモノらしい。

 

 取り敢えず、あの骨の壁の強度を確めねェとな。うん。

 

「喝!」

 

 オイラの結んだ印に反応して、骨の壁に引っ付いた蜘蛛達が次々と爆発する! 

 

 爆発による震動がオイラの肌に心地よい感触として伝わり、オイラの心を震わせる。

 

 うーん。やっぱり爆発はいいな。これこそオイラの芸術って感じだ。

 

 さて、骨の壁はどうなったのか。気になるところだな。うん。

 

 爆炎が徐々に晴れ、白い壁が見え始める。

 

「……へぇ、結構頑丈じゃねぇか」

 

 骨の壁はオイラの爆弾によって多少煤けていたが、それでもヒビ一つ入ることなくそこに残っていた。

 

 いいね。そうでなくちゃ面白くねェ。

 

 オイラはニヤリと口角を吊り上げる。C1では通らない壁か……。一先ず第一関門はクリアってとこか? 

 

 良いだろう大蛇丸の部下。お前らは、オイラの敵として認めてやんよ。

 

 初見の相手ならば、普段ならここで名前でも聞いておくところだが、骨の壁に閉じ籠られちゃそういうわけにもいかなそうだ。あの骨の強度が如何程かは知らないが、少なくともそこら辺の鋼鉄よりは硬いと分かった。だとすりゃあ、オイラの声が届くかは怪しいだろう。

 

 だったら、まずはあの壁を木っ端微塵に打ち砕くことから始めるとするか。うん! 

 

「さぁて、C1が駄目ならお次はC2を使うしかねェよな」

 

 両手の口がクチャクチャと起爆粘土を咀嚼し、次の作品を形作る。粘土形成が終わると、右手の口から一匹のミニチュアドラゴンが吐き出された。

 

『C2ドラゴン』。こいつはオイラの作るC2爆弾の中では現状最も威力の高い作品だ。こいつの体内には複数の地雷粘土が内包されていて、それらを地雷として使うのもいいし、ドラゴンごと突っ込ませて連鎖爆発を起こさせるのも悪くない。これひとつあれば小さな町なら余裕で吹き飛ばす。C2とは、そういうレベルの爆弾なのだ。二人の足元のアジトごと倒壊させちまうかも知れねぇが、そんなことは知ったこっちゃねぇ。

 

 これぞ芸術! やはり小さな爆発を正確に起こすのも悪くはないが、一番気持ちが良いのはC2以上の大規模な爆発ってなもんだ。形あるものが一瞬にして、しかし華々しくその存在を高次元へと昇華させる。大きな爆発にはそれ単体で大きな魅力を内包する。シンプルゆえに力強く、だからこそ真理に一番近い場所に到達できる可能性を秘めた究極芸術。まさに「一にして全」というやつだ。

 

 良い爆発をオイラに見せてくれよ『C2ドラゴン』。

 

 さぁ行ってこい! オイラは掌からドラゴンを放つ。ドラゴンは一直線に骨の壁へと大きさを増しながら向かおうとする。

 

「それがテメーの十八番か? デイダラ」

 

 何処からか女の声が聞こえた。なんだこれ。すぐとなりから聞こえるような気もするし、遠くから聞こえるような気もする。まるで何かに反響しているような近くて遠い声。そんなものが、オイラの耳に届いた。

 

 次の瞬間。骨でできた球体に変化が起きた。壁の一部が変形し、筒状の穴が形成される。そして、その中から何かが高速で飛び出し、肥大化しながら落下する『C2ドラゴン』に突き刺さる! 

 

「な……に!?」

 

 思わず驚愕の声を上げる。おかしい! なんだこれは! 

 

C()2()()()()()()()()()()()()()()()()!! 

 

 バサリ! と、『C2ドラゴン』は翼をはためかせ、オイラが命じたわけでもないのに空中でホバリングする。そして、そのまま勢いよくUターンし、オイラの方へと戻って来ようと動き出す。

 

「クソ! どうなってやがる!? 喝ッ!!」

 

 万が一オイラの側で爆発されてはたまらない。オイラは印を結び、空中で『C2ドラゴン』を爆発させる。轟音を上げて、凄まじい爆風を起こしながら『C2ドラゴン』は無意味に散っていった。

 

 有り得ねぇ。何故オイラの起爆粘土がオイラの制御から外れた? 

 

 オイラは考える。あの感触、まるっきりオイラの制御を無視してたって訳じゃねぇ。オイラの制御は確かに利いていたが、それ以上の力が内部からかけられて無理やり動かされたような感じだった。こんなこと初めてだ。どうしてそんなことが起こる? これも、あの白髪のガキの能力だってのか? 

 

 それとも……。

 

 考えに耽っていると、同じ筒の穴から今度は赤い霧が噴き出し始める。赤い霧はみるみる骨の球体を包み隠し、尚もその規模を広げていく。次から次へと……、一体あの骨の中で何が起こってるっつーんだ。

 

 いい加減油断がまったくできねぇ相手だってことは薄々分かり始めている。大蛇丸の集めた部下は、どうやらただのゲテモノじゃあ無さそうだ。

 

 オイラは滞空高度を上げようとC1コンドルの翼を動かす。

 

 だが、異変はそれで終わらなかった。

 

 すぐ側から笛の音が聴こえる。辺りを見回しても何かがあるわけでもない。しかし確実に、反響を伴いながらねっとりとしたどこか甘ったるい旋律がオイラの鼓膜を揺さぶり、──そして。

 

「ぐ、あああああああアアアアア!!」

 

 あ……が……! 痛ェ!! なんだこれ!! なんなんだこれは!? 

 

 突然の激痛がオイラの全身を蝕む。痛い! 痛い! 痛い!! もはや痛いとかそういうレベルじゃねェ!! 全身をぶっとい杭で串刺しにするような、有り得ない痛みが脳を駆け巡る! 

 

 グラリと、C1コンドルが落下を始める。くそ! 痛すぎて起爆粘土の制御に思考が全然回らねェ!! 

 

 これは、なんだ!? 何処かを怪我してるって訳でもねぇ! 身体に異常は見られない! なのに突然痛みだけが発生しやがった!! こんなこと、幻術でも掛けねェ限り有るわけが……!! 

 

 ……幻術? 

 

 まさかコレ、幻術なのか!? 

 

 いや、確かに幻術ならば幻の苦痛を与えることもできるだろう。

 

 でもそういうのって、普通、苦痛を伴う幻覚を通して与えるもんじゃねェのか!? 痛みだけ突然与えるなんてそんなのアリかよ!? 

 

 クソ……! 痛みが酷すぎてまともに考えることもできやしねェ。だけど、もしこれが幻術だとしたら、オイラは幻術使いに二度も敗れることになる……。

 

 それだけは……認められねェ!! 

 

 オイラは苦痛の中、幻術対策用に鍛え始めた左目の瞳孔を絞り、チャクラの乱れを引き起こす。

 

 一部の血継限界や秘伝忍術を持つ忍は手の印を結ばず、目の動きや特殊な動作から印を結ぶことが出来るという。オイラがイタチの写輪眼対策に用意した手法はそこまでデタラメなものではないが、それでも手の印を用いず、かつ動きを縛りにくい瞳孔の収縮を利用し、それを印の代わりとする幻術返しだ。数ヵ月を掛けてやっと形になり始めたオイラの新技術だが、理論上これを使えば幻術を返すことができるはず!! 

 

 フッ……と、痛みが軽くなる。全く無くなったわけではないが、何とか他の事に気が回せそうな位には痛みが和らいだ。やっぱりこの痛みは幻術だったのか……! 

 

 完全には解ききれていない。完全に解ききれないのは、恐らくオイラの技術が足りないのではなくこの幻術が今も尚掛け続けられているからだ。普通この手の幻術は一度解いたら掛かりにくくなるもんだが、この幻術のトリガーは恐らくさっきから聞こえ続けている鬱陶しい笛の音だ。非常に分かりやすいトリガーであるだけにトリガーとしての効果は抜群なのだろう。多少耐性が出来ても、音が続く限り尚かかり続ける。この幻術に対抗するには、今オイラがやっているように幻術返しを自分に掛け続けるか音そのものを聞こえなくさせるしかない。対象を混乱させたり縛り付けるような幻術ならばまだ決定打に欠けるが、この幻術は精神的ダメージそのものが決定打になるレベルだ。考えれば考えるほど厄介至極この上ない。

 

「だが! 破った! その幻術はもうオイラの致命打にはならねェ!!」

 

 真っ赤な霧が目前に迫っているが、今C1コンドルの体勢を立て直せばまだ間に合う。霧の中に巻き込まれることなく、再び空に舞い上がれる!! 

 

()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 馬鹿な……! 落ちている最中とはいえ、まだ地上まで8メートルは有る筈だぞ! この高さを跳躍したって言うのか!? 

 

 驚愕に目を見開くと、影の背中から翼のようなものが生えているのを見てとれた。なんだコイツ……! 人間の癖に翼なんか生やせるっていうのか!? 大蛇丸の部下はどこまで人間を辞めていやがるんだ!? 

 

 影が右腕を振り上げ、勢いよくオイラの身体にその拳を振り下ろす。オイラは腕を上げて拳をガードしようとするが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、オイラは上昇し始めたC1コンドルの上から落下する。

 

「さぁ、止めだ」

 

「いいや! まだだね! うん!」

 

 霧の中からようやくハッキリと姿を現した白髪のガキに、オイラは凄惨な笑みを浮かべる。

 

 やっぱり何事にも事前準備ってのは大事だよなァ! うん! 

 

「何!?」

 

 ()()()と、骨が突き刺さったオイラの姿が崩れ、身体が白く変色する。

 

「これは……、粘土分身か!?」

 

「今更気付いても遅い! 死ねクソガキ!!」

 

 ()()()()()()()()()()()()()C()1()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()()()

 

「喝ッ!!」

 

 人間大の起爆粘土が爆発する。態々自分から生やした骨で突き刺してやがるんだ。逃げられるわけがねぇ! 

 

 ハハ! ハハハハ! やったぞ! やってやった! 先ずは一人!! 

 

 まだ笛の音は続いてやがるから恐らく鬱陶しい幻術を掛け続けていやがるのは赤髪の女の方だ。まだ霧の中に居やがるのか居場所がはっきりとしねェが、種の割れた幻術使いほど容易い敵はいねェ。最悪霧のかかった一帯をC2で吹き飛ばせば確実に落とすくらいワケないだろう。

 

 勝った! これでオイラは──

 

「──と、思わせつつ」

 

 何処からか、声が聞こえる。

 

 相変わらず、あらゆる音が反響していて何処から聞こえてくるのかさっぱり分からねぇ。何処だ? 下か? 右か? 左か? 後ろか? ──それとも

 

()()()?」

 

 バッ! と、オイラは瞬時に頭を上に向ける。

 

「な……んだ……。その姿は……」

 

 オイラの頭上、その10メートル程上空に女はいた。どうやら先程の白髪のガキとのゴタゴタの間にオイラの上を取っていたらしい。

 

 だけど、この女、本当にさっきの赤髪の女と同一人物なのか? 

 

 髪の色が赤いのは、先程と変わらない。だけどバンダナのような額当てが外れ、その下から大きな角が生えている。肌は褐色に染まり、目は黒く染まり、その両肩からは、悪魔のような漆黒の翼が二枚生えて、風を生み出しながら女の身体を空に留めている。

 

 悪魔。そう、悪魔だ。コイツは、どう考えても人間の姿じゃねェ……。

 

 古い宗教画にでも登場しそうなその姿形に、後ろから強い陽の光が差し込み、まさに絵画そのものの中にいるような錯覚をオイラに抱かせる。

 

 これは……。これは……。

 

「──ほら、()()()()()()()()()()()()()()

 

 女はそう言うと、ぽいッと、ゴミでも捨てるような気軽さで、こちらに向かってクナイを投擲する。

 

 一瞬ボーッとしてしまって出遅れたが、慌ててオイラは対処を始める。

 

 逆光でよく見えないがクナイ一本ならどうにかなる。オイラは粘土で壁を作ってクナイを受け止めようとして──クナイの後ろに、何かがくくりつけられているのが目に入った。

 

 あれは──起爆札? 

 

 起爆札ってことは、つまり、爆弾か。ありゃ。

 

 そう言えばあの女、オイラの芸術を花開かせるとかなんとか……。

 

 起爆札が爆発したら──オイラの起爆粘土は──。

 

 ああ……。うん……。そういうことか。

 

 トス、と、鈍い音を立ててクナイが起爆粘土の壁に突き刺さる。そして──。

 

 ドガアアアアアアッ!!!! と、盛大な爆発音を立てて、起爆札が爆発した。起爆粘土が飛び散り、オイラの身体が吹き飛ばされる。

 

「あれ? 思ったよりも爆発しないな。てっきり起爆粘土に誘爆するかと思ったんだが」

 

 女が頭を掻きながら呑気に呟く。

 

 舐めるな。オレ様を誰だと思ってる……! 起爆粘土のスペシャリスト、デイダラ様だぞ……! 起爆粘土の誘爆対策ぐらいしっかり持ってんだっつーの! うん! 

 

 そう叫びたい所だったが、しかし粘土の壁で緩和されているとはいえ、起爆札一枚分の衝撃はしっかり受けちまっている。爆発の衝撃でとてもじゃねーが口が開けるような状態じゃない。起爆粘土に誘爆しないようチャクラで保護するのに精一杯で、自分自身のガードが疎かになってしまった。

 

 チクショウ! このオイラが、爆破攻撃にやられるなんて……! 

 

 あの女、許さねェ……。絶対に……絶対にぶち殺す!! 

 

 オイラは墜落の衝撃を和らげるために、両手の口から出した起爆粘土を肥大化させ、クッションにする。

 

 バフッ! と、軽い音を立てて砂漠に墜落したオイラは、即座に立ち上り、岩の上を睨み付ける。

 

 二人分の影が、岩の上からオイラを見下ろしていた。

 

 漆黒の翼を持つ女と、赤黒い翼を持つ男の二人組。

 

 あの白髪のガキ……! 皮膚の下にも骨を張ってやがったのか! 爆発によって多少皮膚が爛れているが、その下から覗く骨には傷1つ付いてねぇ……! 

 

 殺せて……なかった。

 

 それに、女の方の翼は完全に悪魔のそれだが、男の方の翼、よく見りゃあれは、血液か? 

 

 血液が翼の形に固まったような、そんな不気味な色をした翼を白髪の男は背中から生やしていた。あのやろう、まさか骨だけでなく血液まで操るのか? 

 

 二人とも空を飛ぶ忍だったのか。アイツらは……。

 

「オイ、デイダラテメェ……。何ボロボロになって帰ってきてやがる。大蛇丸の下っ端風情にやられてんじゃねぇよドアホ」

 

 聞きなれた声が側から聞こえ振り向くと、ヒルコに隠れたサソリの旦那が、割とすぐ近くに立って傀儡を操っていた。起爆札一枚でこんなとこまで吹き飛ばされてたのかオイラは……。

 

「済まねェ旦那……。でも、アイツらおかしいんだ」

 

「んなもん見りゃわかる。大蛇丸の野郎、どうせあのガキどもにろくでもねぇ実験でもしてやがったんだろうさ。こっちも大分おかしな事になってやがるからな……」

 

 言われて旦那と大蛇丸の戦闘状況を見てみると、確かに一目でおかしいと思える光景が目の前に広がっていた。

 

「旦那がお気に入りの三代目風影を使っているのは別にいいとして……。なんでその三代目風影が、大蛇丸の側にもいやがるんだ?」

 

「それが分からねェからこうして苦戦してるんだろうが。穢土転生とかなんとか、聞いたような聞かないようなことを言ってきやがるが……」

 

 穢土転生? 確かにそれは聞き覚えがあるような気がする。……あれはたしか……。

 

「……この前、角都の旦那がオイラたちに似たようなことを口走ってなかったか?」

 

「ん? ああ。確かに言ってたな。大蛇丸の部下に二代目火影の術を使う危険な忍がいるから気を付けろとかなんとか……。ジジイの戯言だと思って大して気にも止めなかったが、ふうん? あれがそうなのか……」

 

 あぁ……。そうか。角都の旦那が言っていた大蛇丸の危険な部下……。アイツらがそうか。じゃあ、あの赤髪が……。

 

「確か……多由也……とか言ったか?」

 

「ああ? なんでテメーがウチの名前を知ってんだ。ストーカーか?」

 

 思わず頭の血管が切れそうになる。なんで名前を確認をしただけでこんなにイライラしなくちゃならねーんだ。口悪すぎだろあのメスガキ。

 

 だが、まぁ、相手がそこら辺の雑魚ではなく角都の旦那が警戒するほどの忍だってんなら、ある程度溜飲も下げられる。

 

 どのみちぶっ殺すが、モチベーションってもんが違ってくる。

 

「旦那。本当に済まねェな。だけど安心してくれ。オイラ、今からちょっと本気出すからよ。うん」

 

「最初から出しとけ。だがそうだな。オレの方も、少し本気を出す必要があるか……」

 

「お互い様じゃねーか。じゃあ、二人で一緒に、本気出して行くとしようぜ。芸術コンビの本領発揮だ! うん!」

 

 オイラは立ち上り、起爆粘土を両手で練り始める。

 

 C1だとかC2だとか、ケチケチしてらんねェ。

 

 オイラの十八番で、一気にけりをつけてやる。

 

 オイラの芸術は至高なんだ! こんなところで躓いていいはずがない! 

 

 うちはイタチに敗れた大蛇丸の、部下くらい倒せないで、何が究極芸術か! 

 

 あのクソ生意気なガキどもに、オイラの芸術の真髄を思い知らせてやる! 

 

 ゲップと、重ね合わせた掌の内で、オイラの十八番が完成する。

 

 

 『C3コアトル』。

 

 

 オイラはコイツで、全ての因縁を吹き飛ばす!! うん!!

 

 

 

 

 ▼次回につづく。

 

 




はい。少しテイストを変えてみようとチャレンジしてみましたが、なんだか主人公が変わったような気分になりますね。大蛇丸の時は大蛇丸は基本戦ってなかったし、君麻呂のときも話の主体はあくまでも多由也だったんですけど、今回この人多由也について語ること無いですもんね。一人称が変わると共に時間軸も飛んだりして、かなりトリッキーな構成になっているので読みづらいかもしれませんね。実験に付き合わせてしまい申し訳ないと思っています。

あとは、そうですね。デイダラの作品名が少しオリジナル入ってんのと、君麻呂がいつの間にか空を飛べるようになってることくらいですかね。見るべきところ。

いや、君麻呂空飛んでるよ!いつの間に飛べるようになったのさ!

A.不死コンビと戦ったあと、多由也との修行の間に。

多由也の状態2を見て、これ、骨血で行けるよね?とか思っちゃったんですね。いやぁ、怖いですね。成長速度。

前書きに対する自問自答。

「しばらくは週一で書ければ御の字かなー…」

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