前略。多由也に転生したけど、人生の詰将棋をしている気分です。 作:N-SUGAR
ここで自分に向けて一言。
「なぜこうも長くなってしまったのか?」
音隠れの忍。多由也は音楽家だ。笛の音を使い様々な曲を奏で、人々に音楽を届ける。
私の音楽は時に人を惑わし、時に人を操り、時に人を癒す。
まぁ、できるというだけで、私が人を癒すことなんて殆どないんだけれど。
たまに修行が終わった後なんかに、手持ち無沙汰になったとき君麻呂に聴かせてやるくらいで、精神を落ち着かせ気持ちをリラックスさせるような曲は基本日常でもバトルでも使わない。そう考えると、私の音楽というやつは、いささか攻撃的な側面が強すぎるとも言える。
私は攻撃的な曲に頼り続けなければ生きていけない環境で育ってきた。だから、私の音楽が攻撃的な方向に偏るのも仕方の無いことではある。私の曲は基本的に、染み入る曲ではなく叩きつけられる曲だ。繊細な技量を必要とはするが、効果は乱暴で、刺激的。自分の価値観を人に押し付けるどころか、他人の意思や思想を無視して人を操りさえする支配的な音楽。
音楽によって引き起こされる幻覚、催眠、幻痛。そして、それらを利用した傀儡支配術等、私の魔笛は基本的に他人に対して音で幻術を掛けることを主な戦闘スタイルにしている。
音で相手に幻術を掛ける。幻術を掛けた傀儡で攻撃する。私がサソリに対して行った戦術は基本的にこの二つだ。そして現在、この二つの戦術はものの見事に失敗している。
モンザエモンを音で操り、モンザエモンが糸で10体の傀儡を操る。
近距離型の傀儡、遠距離型の傀儡、広範囲殲滅型の傀儡、様々な穢土転生の傀儡を操ってサソリを追い詰めた私だが、サソリはその全ての傀儡を自身のチャクラ糸で支配することにより状況を覆した。
砂隠れ伝統の傀儡使いの弱点。それは、傀儡使い自身やその傀儡使いが操るチャクラ糸と傀儡本体、そのどれか一つでも操作権を奪われたら術が機能しなくなるというところにある。
だけど歴戦の傀儡使い相手に、チャクラ糸や傀儡使い本人を狙って攻撃するのは至難の技だ。基本的に傀儡使いは傀儡を前面に押し出し、自身を後方の安全な場所に置いた状態で傀儡を操る。そのため傀儡を何とかしない限りは傀儡使いに敵の攻撃が届くことはない。また、傀儡のプロでもなければ傀儡を操るチャクラ糸の動きを辿ることなどできないし、チャクラ糸の着脱技術は傀儡使いの基本技能として極まっている。たまさか運良くチャクラ糸を切断できたところで、モンザエモン程の術者ならばすぐにチャクラ糸を付け直すことができるだろう。傀儡使い相手に傀儡の操作権を奪うのは正攻法ではあるが、そんなことは傀儡使い自身が当然承知している。正攻法ではあったとしても、実行に移すとなればそれは容易なことではないだろう。
だがこれが傀儡師同士の戦いとなると、いささか様相が異なってくる。何しろ同じ技術を使う者同士だ。互いの手管は知り尽くしている。しかも、サソリはモンザエモン程ではないにしても、稀代の天才と謳われたその道のプロである。傀儡とチャクラ糸の操作技術は相当なものだ。優劣はあっても、隔絶というほど技術に差があるわけではない。
そうなれば、敵味方問わず、より最新かつ詳細な情報と技術を持っている者が勝つのは必定である。今回の戦いでは、その事実がより明確な格差として浮き彫りになった。
モンザエモンはサソリを知らないが、サソリはモンザエモンを知っている。モンザエモンが扱う『白秘技の操演』は技術として砂隠れに継承されているし、特にサソリの祖母であるチヨバアはその第一人者だった。実力差があったとしても、技術そのものは見覚えのある代物だった筈だ。
だけど、モンザエモンはサソリの扱う『赤秘技の操演』を知らない。『赤秘技』はサソリが自分で編み出した傀儡操作術だ。しかも現代の傀儡操作技術には、モンザエモンの時代には無かった対傀儡師用の次世代技術がふんだんに搭載されている。サソリはこちら側が全く知らない技術を使うことで、完全に私とモンザエモンの裏をかいてみせた。
原作知識が有るからと言って、原作に出てきたキャラクターの全てを知っていることにはならない。専門知識などいくら学んでも学び足りないくらいなのだ。そんなこと、私は自分の使う秘伝忍術を通して理解できても良かったくらいなのに、完全に失念していた。
私は穢土転生の使い方がまだまだ未熟だった。無限の再生能力が有るから封印術にさえ注意しておけば相手の攻撃はこちらに通用しない? 冗談じゃない。穢土転生を傀儡として扱う時点で、その穢土転生には傀儡の弱点が継承されてしまうのだ。
いくら遠距離からしか攻撃しなくても、動かす糸が絡め取られれば動きは封じられる。
いくら全ての物理攻撃を無力化できたとしても、本体を操るのに必要なチャクラ糸を腐らせたりすり抜けたりするような命令は下せない。
いくら姿を隠し、糸を隠しても、プロの操者であればモンザエモンの指の動きからある程度術者の位置取りは掴めてしまう。指以外の関節を使って操縦すればその限りではなかっただろうが、今回はそうはしなかった。
結果、10体の穢土転生達と、それを操るモンザエモン。その全員がサソリの手に落ち、操作権を奪われ私に牙を剥く。まったく、とんでもないどんでん返しもあったものだ。私としたことが思いっきり冷や汗を流してしまった。
知識不足と経験不足。経験不足はともかく知識不足になるなんて知識チートが聞いて呆れる。間違いなく私の敗北だ。
だけど、サソリは一つだけミスを犯している。
「退!」
私が印を結ぶと、ボボボボ! と、11体の穢土転生は煙をあげて砂漠から姿を消した。穢土転生は口寄せだ。三代目風影のように特殊な封印術で封印でもされない限り、例え相手に縛られ操られていようと、口寄せを解けば穢土転生はこの場に留まることができなくなる。
原作の多由也がシカマルの影縛りによって人形の制御を奪われたときに取った手がこれだ。遠方から戦力を継ぎ足し、奪われたら解除して利用されることを防ぐ。 時空間忍術ゆえにチャクラ消費が激しいのが難点ではあるが、その代わり、敵が口寄せ動物や武器を奪い操るのは至難の技だ。出来てせいぜい封印まで。私の駒で将棋なんてやらせるものかよ。
それをしていいのはウチだけだ!
「はっ! 残念だったなコラ! 苦労して奪ったコマが使えなくて!」
「チッ……。まァいい……。オレのコレクションはまだまだ有る」
サソリは私の安い挑発に舌打ちしつつ、背中の巻物を一本勢いよく開く。大量の煙と共に現れる百機を超える人傀儡達が、再び砂漠の空を覆う。
おいおい……。まだあんのかよ。人傀儡コレクション……。
「オレの人傀儡コレクションは二百以上。『百機の操演』は、一幕限りの演目じゃねェ」
「最初にベンチに回された二軍を脅威に感じるウチだと思うか? ウチがさっきの二の舞を演じるような奏者だとでも?」
口では強気なことを言ってみるものの、私は振り出しに戻ったかのような状況を前に少し焦りを覚える。だが、穢土転生が一先ずこちらに戻ってきた以上、状況はそう悪いものでもない筈だ。私は再び口寄せの印を結び、穢土転生を呼び寄せる。
私の目の前に、3体分の棺が出現し、棺の蓋が開く。
雪麗、フヨウ、ササキ。3体の穢土転生たちが再び姿を現す。モンザエモンがいないので、その表情はすべて固定されている、無感情な人形達だ。
「モンザエモンはもう怖くて使えないか? そんなもんでオレの百機に勝てるとでも?」
「勝てるわクソが。余裕過ぎる」
モンザエモンを再び召喚して同じことを繰り返せば、サソリの傀儡コレクションを全て叩き潰すことはできるだろう。もしさっきと同じように再び穢土転生の制御を奪われても、口寄せを解くことで穢土転生たちを取り戻せることは証明された。
しかし、私は再びモンザエモンに穢土転生を操らせようとは考えなかった。そこら辺の雑魚相手ならともかく、相手は赤砂のサソリ。同じ手が今後も通用するとは考えない方が賢明だ。口寄せ解除による支配対策など、チャクラ糸にちょっと封印術を仕込むだけで簡単に攻略されてしまう。三代目風影という例がある以上サソリがそれに気付かないはずがないので、もっと根本的に戦略を変えなければ、さっきよりも更に取り返しのつかない事態になりかねない。だとすれば、私に残された手段はおよそ一つに限られる。
「傀儡使いの弱点は分かった。今度はウチが、その知識を利用する番だ」
「ほざけ。糸を使ってねェ傀儡だから支配できねェと思ったら大間違いだ。今度はお前ごと糸で雁字搦めに縛ってやる」
サソリの操る人傀儡の第二波が、三体の穢土転生達に殺到する。
モンザエモンを使えない今、私が同時に操作できる傀儡はこの三体だけだ。
だけど、今の私にはこの三体で、戦力としては十分過ぎる。
私は笛に口を付け、演奏を始める。演奏曲は、『魔笛・人形音傀儡』
人形を操り動かす。もちろんその効果は有るが、今度の曲では、操り方を少し変化させる。この曲は穢土転生の持つ個別の術とは別に、予め穢土転生に仕込んでおいた共通の仕掛けを発動させる。
曲名は、『終曲第九節 魔境の乱』。
草笛の一族に先祖代々伝わる由緒正しい楽曲の一つで、特殊な陰のチャクラ性質を用いた秘伝忍術。音によって私のチャクラを人形に伝え、人形から、物質化霊と呼ばれる特殊なチャクラの塊を出現させる。
3体の穢土転生の身体からボコボコと湧き上がった複数の口を持つ半透明のチャクラの塊。物質化霊。だらだらと涎を滴り落としながら、蠕虫のような見た目をした霊達が迫り来る人傀儡達に殺到する。
「……何!?」
サソリが驚愕の声を漏らす。それもそのはず。何しろ物質化霊がすり抜けた傀儡達はその全てが一瞬にして制御不能になって行くし、傀儡達に交ざって放たれる傀儡支配のチャクラ糸も全てが無効化されているのだ。驚愕しないはずがない。
「なんだ! それは!?」
「お前を殺す曲だよ。存分に聴き入っとけコラ」
陰のチャクラ性質に片寄った不安定なチャクラの塊を放出する術。それが、私の一族の秘伝忍術である『物質化霊の術』であり、『終曲第九節』は、その物質化霊を半物質化させて自在に操る曲目だ。その殆どを精神エネルギーのみで作られた物質化霊達は、常に身体エネルギーに飢えている。故にこの物質化霊達は忍の身体エネルギーに反応し、それを食らう性質を持つ訳だ。しかし、この術の使い方はそれだけでは収まらない。
そもそもチャクラというのは精神エネルギーと身体エネルギーの混合物だ。つまり身体エネルギーに食らいつく物質化霊達には、チャクラから身体エネルギーのみを抽出、捕食し、チャクラ自体を分解してしまう性質がある。今回の場合、コイツらは傀儡をすり抜け、サソリの放つチャクラ糸に流れる身体エネルギーへと的確に食らいつき、チャクラを分解する。
通常のチャクラは身体エネルギーと精神エネルギーを1:1の割合で練り合わせたものだ、故に当然、その割合を大きく崩されればチャクラは機能しなくなる。あまり膨大な質量を一気に食らうことはできないが、チャクラ糸のように少ないチャクラを流し続けることによって機能する術に対し、私の物質化霊は絶対的なアドバンテージを誇る。
チャクラ糸が生命線である傀儡師にとって、傀儡本体をすり抜け確実にチャクラ糸を無力化する物質化霊はこれ以上ない天敵だ。モンザエモンに操らせている間は操作方法の関係上無闇に発動できなかったが、直接操る三体からなら、私は自在に物質化霊を出現させ、操ることができる。
「幻術に嵌めるだけがウチの音楽じゃねェ。ウチの『終曲』は、あらゆる忍の天敵だ。もう終劇なんだよテメーの演劇は!」
原作において、多由也はこの曲を聴いて生きていた奴はいないとまで豪語していたが、実際この『終曲』はかなり強力な術だ。一部とはいえチャクラの素を食らい、チャクラそのものを崩壊させる。そうすることで、敵自身や敵の術を機能不全に陥れる。自他双方の術理を理解し上手く使いこなせば大抵の忍は無力化できる。無力化できないのは、捕食が追い付かないほどの大規模忍術か、私と同じ精神エネルギーを主体とした特殊なチャクラを使う忍術くらいのものだ。それ以外の全ての忍術は私の捕食対象である。強力でない筈がないし、実際に使ってみれば、普通に原作の後半戦にも通用する術だと実感できる。
穢土転生のごり押しだけで事足りる。そう思っていた時期が私にもありました。だけど、実際そうはならなかった。
ならば出し惜しみは無しだ。文字通りの全力全霊。油断なく希望なく、サソリの全ての行動の芽を摘み取っていく。
何もやることは物質化霊の操作だけではない。せっかくの穢土転生。彼らの術も、存分に活用していく。
雪麗が氷で幾つもの巨大な壁を作り、傀儡の行動範囲を制限する。氷に物質化霊のチャクラを混ぜ合わせれば、氷に巻き込まれた傀儡達はそれだけで行動不能になる。
フヨウが物質化霊のチャクラを宿したバクテリアを空中に散布すれば、そのバクテリアに感染した傀儡達は軒並みチャクラ糸を蝕まれ、本体を腐らせ崩れ落ちていく。
ササキの刀にチャクラ刀の要領で宿った物質化霊は、それ自体を刃として長刀の刃渡りを水増しする。最大20メートルにも及ぶ物質化霊の刃によって繰り出される『燕返し』は、不可避の斬撃を広範囲に行き渡らせ、氷でできた隘路に誘い込まれた傀儡達を同時に何機も斬り伏せて無力化していく。
三体だけでもサソリの傀儡に対抗するには十分過ぎるし、物質化霊を併用すれば、どれだけチャクラ糸を伸ばされたところで穢土転生にチャクラ糸が触れることは叶わない。私を含め、私の手駒には全て物質化霊が宿り、その身体に触れるサソリのチャクラを食い荒らしていく。サソリの用いる傀儡支配の術は、完全に無力化されていた。
今度こそ、終わりだ……!
「成る程。相性が悪すぎるな……」
私の確信とほぼ同時に、ポツリとサソリが呟く。そりゃあそうだ。もはや私に傀儡師の弱点は存在しない。サソリの人傀儡では私の穢土転生に敵わないし、先程のような搦め手も、もはや通用しない。
お前にできることはもはや何もない!!
既に百機の内の、半数は仕留めた。残り半数。コイツらを片付けるのに、そう時間は掛からない!
「これで終わりだ!!」
「業腹だが、確かにその術、オレにとっては天敵だな」
サソリが素直に言葉を返す。悔しそうに歯を食いしばりながら。
これは、もしかして本当に──
「
私が勝利を確信した、まさにその瞬間。
──私の足元が盛大に炸裂し、砂漠に爆音を響かせた。
サソリが悔しそうに眉を寄せつつ、それでもニヤリと口角を上げる。
「『暁』はツーマンセルだ。チームってのは、弱点を補い合う関係でなくちゃ意味がねェ。そうだろ?
「負けそうになってんのに偉そうなこと言ってるなよ旦那。カッコ悪いぞ? うん」
「先に戦線離脱した奴に言われる筋合いはねェ。そもそもこの女はお前の担当だっただろうが。時間を稼いでやっただけ有り難いと思え」
ムクリ、と、私の後方で砂漠に倒れ伏していたデイダラが起き上がる。サソリとの戦闘前に磁遁でぶん殴って気絶させていたデイダラが、目を覚ます。否。
何時のタイミングかは知らないが、デイダラは、
気絶した振りをして小さな『C1スパイダー』を作りだし、私の足元までこっそりと移動させ、それを爆発させる。デイダラの踏んだ手順はそんなところだろう。サソリとの戦いに集中しすぎていて気付けなかった。あまりにも迂闊すぎる!!
「ゲホッ! クソ……! 少し食らっちまったじゃねーか!」
辛うじて爆発直前に退避行動を取ったため直撃は免れたが、爆風が私を吹き飛ばし、砂漠へと衝突させる。
致命的な隙だ。当然、それを見逃すサソリではない。
「どうした。動きが止まっているぞ」
「……チッ!」
予想外のダメージを受け笛を吹く手を止めてしまったため、穢土転生の動きが一瞬止まる。操作をすぐにオートへと切り替えるが、人格を縛ったオート操作には粗が多い。穢土転生がどんなに強力であってもパターン化した行動はすぐに見抜かれるし、何より物質化霊は、私の笛の音でしか操作できない!!
物質化霊の消えた穢土転生達に、人傀儡の群れが殺到する。
氷の壁を掻い潜ってきた五体の傀儡達がワイヤーや鎖で雪麗を押さえつけ、
火遁の傀儡が周囲のバクテリアを吹き飛ばし、その後ろから続いて接近してきた水遁の傀儡が、フヨウを封印付きの『水牢の術』に閉じ込め、
六本の腕に三本の刀を持った傀儡がササキの『燕返し』を受け止めて、その背後から現れた捕獲封印用の傀儡がササキをその身体の中に閉じ込める。
意思が無く一定の動きしかしない人形など、どれだけ強力な術を保有していようと、少しでも相性の良い戦力を用意すればすぐに対応することができる。
サソリは本来、無数の人傀儡を作り操ることで、一人でどんな相手にでも対応できるオールラウンダーだ。私がサソリ相手に一方的な試合ができていたのは、私が穢土転生達を効率よく戦略的に操ることで、傀儡師という存在そのものにメタを張った戦いをしていたからに他ならない。
だから、私が笛で操れば……あんな状況……!!
私がいくらそう思ったところで、現状はそれを許さない。
「奴に笛を吹かせるな! 畳み掛けろ!」
「分かってるっつの! うん!」
どうやら気絶した振りをしながら起爆粘土を練りまくっていたらしいデイダラが、息つく暇もなく次々と小さな蜘蛛の爆弾を私に放り投げる。私は走ってそれを避けるが、何十もの小さな蜘蛛の爆発を避けるのに集中しているせいで、笛を吹くことができない。
私は印を結び、自身の身体から物質化霊を放出する。
物質化霊がデイダラの放り投げた蜘蛛達の一部をすり抜け、そのままデイダラの方へと接近していく。
「喝!」
しかしデイダラの声とともに、無数の蜘蛛の子が至近距離で爆発四散する。爆風に煽られ私の身体が宙を舞い、物質化霊が雲散霧消する。だけど、私は一連の行動の結果を見逃さなかった。
(物質化霊がすり抜けた起爆粘土が不発のまま動かなくなってる! やはりウチの物質化霊は、起爆粘土を無効化できる!)
ちらほらと見受けられる不発弾。その全てが、私の物質化霊に身体エネルギーを奪われた起爆粘土達だった。
デイダラの『爆遁』は確か、岩隠れの秘伝である「物質にチャクラを練り込む禁術」によって作り出される代物だったはず。つまりデイダラは、ただの粘土に自分のチャクラを練り込むことで起爆粘土を作り出している。ならば練り込んだチャクラを分解してしまえば、デイダラの起爆粘土が爆発する道理はない。雷遁が使えなくとも、デイダラの起爆粘土は無力化できるのだ。
攻略の取っ掛かりは見えてきた。問題は、無力化できるのはあくまでも爆発前の起爆粘土であって、爆発した粘土の爆風を無力化することはできないってことだ。蜘蛛の子を散らすように四方八方から次々と接近する蜘蛛型起爆粘土を私一人分の物質化霊で全て無力化するのは不可能だ。即席の結界はすぐに破壊されるから、せめて君麻呂の骨か三代目風影の砂鉄か雪麗の氷かで絶対防御を張りたいところだ。しかし生憎どれもこれもすぐには使えそうにない。攻略法が既に潰されていて、完全に後手に回ってしまっている。
『暁』二人を相手にするのは、流石にキツイ。骨が折れるってレベルじゃねぇ。
だけどそれでも、勝機が無い訳じゃない。サソリは新たに穢土転生三体を封印したが、口寄せ解除で戻されてしまう危険があるのでその穢土転生を利用することはできないし、デイダラの起爆粘土には限りがある。既にC3まで消費しているデイダラの粘土の手持ちはそう多くはないはずだ。実際、C1の小さな爆弾しか使ってこないところを見るに、大きな爆弾を作るほどのストックは既に無いように見受けられる。
つまり私の取るべき作戦は、サソリの傀儡達とデイダラの起爆粘土達を上手く避けながら時間を稼ぎ、デイダラの粘土が尽きるのを待つということになる。お世辞にも楽勝とは言い難いが、私の残りの穢土転生と『物質化霊の術』を活用すれば、不可能ってほどでも無いだろう。
「あ」
私がそんなことを考えていたその矢先、デイダラが間抜けな声を上げる。
何かと思っていると、動きを止めたデイダラが、サソリに向かって手を上げる。
「悪ィダンナ。起爆粘土が尽きちまった」
「ブチ殺すぞデイダラてめェ!!」
「……」
……思ったよりも早かったなー。攻略。
この分なら、割と簡単に終わりそうだな。
私は見るからに焦っている二人の様子を尻目に、照美ヨウ、舜静、レップウの三体を再び召喚し、笛による演奏を再開しようとする。
こんな勝機を見逃す手は無いよね。うん。
そう思っていると、
「ならデイダラ。今この瞬間だけでいい。
サソリがドスの利いた声で呟く。デイダラは、サソリのその言葉に目を見開いて動揺する。
「旦那……。だけどそりゃ……」
「無理な相談でもなんでも聞いてもらう。テメェの準備不足で死にましたなんて、そんなことになったら芸術もクソもありゃしねェんだ。テメーが勝手に死ぬだけなら好きにすれば良いが、オレにまで迷惑掛けんじゃねぇ。オレ達が今後芸術家であるために必要なことだ。この場の芸術性を、今だけ捨てろ」
なんだ? サソリは何を言っている?
サソリはデイダラに、何をさせたいんだ?
「できねぇとは言わせねェぞ。
「…………クソ! 旦那……。一つ貸しだぞ!」
「ほざけ。自分の芸術材料を絶やすテメーが間抜けなんだ」
デイダラは歯軋りをしながら口のついた両掌を砂漠に突っ込む。何をする気か知らないが、どうせろくなことでは無いのは明白だ。私は笛を吹いてデイダラの動きを止めようと──
「させるかボケ」
──できそうにないので、私に押し寄せてくる傀儡の迎撃へと穢土転生を回す。
数十体の傀儡相手では流石に三体の穢土転生全員を迎撃に当たらせるしかない。再び『終曲』を奏でられるようになったため、傀儡に対して優位には立てるが、デイダラが何かをやって来たとき果たして対応できるかどうか、その時になってみないと分かりそうにない。
サソリの動きは明らかに時間稼ぎを狙ったものだ。デイダラの術の準備を終わらせるための、時間稼ぎ。つまり、私は現在まんまとサソリの狙い通りに動かされているわけだ。明らかにまずい。だけど、穢土転生を全面に押し出しているせいで忘れがちだが、サソリの傀儡にはその全てに毒が仕込まれている。一撃でも私に攻撃が当たれば即終了なのだ。万が一にもサソリの傀儡をこちらに近づけるわけに行かない以上、三体の穢土転生は一人たりともデイダラに割くわけにはいかないのである。
「だから、ウチが自分で動くしかねー訳だが……」
穢土転生はこちらに回せないが、こちらだって穢土転生をオートにして時間稼ぎをするくらいはできる。この場合、物質化霊が使えなくなるし動きが単調になるしで遠からず封印されてしまうが、棒銀を渋って飛車が機能しなくなるみたいな盤面になってしまったら意味がない。しかもこちらの銀は取られたところですぐに奪い返せるのだ。銀のストックに余裕がある以上、ここは積極的に銀を捨てていく場面だろう。他の駒を有効に活用するためにも、私は三体の穢土転生を捨て駒にする。
「とりあえず、テメーは大人しく眠ってろ」
私は笛を咥え、『魔笛・夢幻音鎖』を奏でる。デイダラは瞳孔の収縮を利用した幻術返しを使うことができるが、それでも『夢幻音鎖』レベルの幻術ならば、片手間で幻術返しを行うことなどできやしない。少なくとも、現在デイダラが行っている術の準備を中断させることくらいはできるはずだ。一瞬でもデイダラに隙ができれば、私はすぐに別の術でデイダラを追撃できる。
そんな企みを抱きつつ私の笛が曲を奏で始める。しかし、
「……『土遁・爆流砂』」
ドゴオオオオオォ!!!! と、盛大に巻き上がる砂と爆発音が、私の魔笛の音色をかき消す。音が聴こえなければ私の幻術に意味はない。より大きな音で音を打ち消す。ある意味一番単純な方法でいとも簡単に術を破られ、思わず舌打ちする。しかし、そんな苛立ちと同時に、私に大きな疑問が沸き上がる。
……起爆粘土が尽きているのに、どうして砂漠が爆発したんだ?
押し寄せる砂の津波を避けようと動きながら、ふと沸いてきたそんな疑問に、私は嫌な予感を覚える。
「物質にチャクラを練り込む禁術……。いや、まさか……」
「ほう。お前、デイダラの使う術の正体に気付いたか」
私の呟きに対し、傀儡仕掛けのプロペラを用いて滞空するサソリが空から見下し反応する。どうやら私の呟きの内容から、私がデイダラの術の仕組みに気付いたと思っているようだ。だけど私は残念ながら、デイダラの術について詳しい理論は露程も知りはしない。もしサソリがそう思っているなら、それはサソリの勘違いだ。
だが、それでも現状と既知情報から推測を働かせることくらいはできる。そして、もし私の推測が当たっているのなら……。
……認めるしかない。デイダラは、私が当初想像していたよりも、余程恐ろしい忍だ。
というか、本気でまずい。もし私の予想が当たっているならあの砂の津波、間違いなく、
あんな膨大な質量、私の物質化霊程度じゃ無力化できるわけがねェ! てか、もし爆弾の性能が起爆粘土と同じだったら、ここら一帯全部吹き飛びかねん質量だぞこれ!!
「……喝」
私が慌てるのも束の間、デイダラの覇気の感じられない呟きが耳に届く。何であんなやる気のない声なのか分からないが、そんなことを気にしてる余裕もない。私は急いで印を結ぼうと────
────目の前が、真っ白な閃光に塗りつぶされる。
鼓膜が吹き飛ぶような爆音が、砂漠を包み込む。
私は──。
岩隠れの抜け忍。デイダラは、粘土造形師だ。粘土を用いて、ありとあらゆる世界の事物を表現することを生業としている。
しかし、オイラには凡百の造形師には無いこだわりがある。それはズバリ、「形有るものはいずれ滅び、消え去る」という真理の追求へのこだわりだ。大抵の粘土造形師どもは、粘土で物を作ったら、その作った形で全てを表現し、その表現を後世に残そうと躍起になる。「破壊」や「滅び」を表現する時でさえ、粘土の形でそいつを表現しようというのだから呆れてしまう。破壊くらいなら形を保ったまま表現できなくもないだろうが、滅びを形を保ったまま表現するなどナンセンスも良いところだ。オイラにはその神経が理解できない。うん。
やはり滅びの瞬間は、塵一つ残さないような圧倒的な滅びが相応しいし、そして何より、その滅びは華々しくあるべきだ。形有るものはいずれ滅び無くなる。なら、最後の瞬間は万人の目に鮮明に焼き付く終わりでなけりゃあ芸術じゃねぇ。オイラは、その最後の瞬間を表現したかった。
オイラの作る粘土細工が基本的に動物の形をしているのは、動物が一番滅びの瞬間をイメージしやすいからだ。産声をあげ、成長し、やがて死ぬ。すなわち生滅。一連の流れがはっきりしていて分かりやすい。オイラはこの一連の流れを全て余すところなく表現したかった。好きな粘土いじりでそいつを表現することが、オイラの芸術家としての、一番最初の目標だった。
最初の内は、爆発する芸術を目指していた訳ではなかった。ただ単純に、命を宿し、死を経て、やがて跡形もなく消え行く生命の理を粘土細工で表現できないかと躍起になっていた。華々しい最後を目指して粘土をこねくりまわしては潰し、こねくりまわしては潰し、試行錯誤を繰り返していた。オオノキのジジイに、「粘土遊びなどしておらんでちゃんと修行をせんか」と揶揄されていたのはこの頃からずっと変わらないが、確かにこの頃のオイラがしていたことは、粘土遊びと言われても仕方なかったことだと思わなくもない。この頃鍛えた造形技術が今に繋がっていることを思うと、やっぱり短絡的に遊び扱いされるのは癪に触るが、この頃のオイラには、少なくとも真の芸術は備わっちゃいなかった。
やがてオイラは、岩隠れの爆破部隊に配属されることになる。爆破部隊とは言っても、何か特別な術を使って爆発無双するような派手な仕事ではなかった。火薬や起爆札を指定の箇所に仕掛け地雷などの罠を作る。入隊当初は、そうした地味な作業の繰り返しだった。ろくに忍術の修行もしない小僧には、忍術を必要としない地味な仕事がお似合いだと、オオノキのジジイに無理矢理やらされたつまらねェ雑用係。やる気は全く無かったし、いつ逃げ出してやろうかと常に考えていた。思えば里抜けを真剣に考え始めたのはこの頃からだった気がする。
だが、オイラはこの爆破部隊の仕事中に、運命と邂逅することになる。
爆破部隊第一分隊長、ガリ。今はもうおっ死んじまった先輩だが、あの人の使う爆遁の血継限界は、オイラの芸術観に多大なるインスピレーションを齎した。
爆死。死と滅びを同時に表現できる上に、この上なくド派手で華々しい。形有るものの最後として、これ以上ふさわしい最後は他にねぇ。大体一般的に死は生命の終わりだと言うのに、死後死体が長々と残り続けるのは美しくない。その点ド派手な爆発を生命の最後に持ってくれば死体がむざむざと残ることもない。ジジイの塵遁も魅力的ではあったが(だから態々ジジイに師事していたというのもある)、しかしジジイの使う『原界剥離の術』は呆気なさ過ぎる。正直オイラの芸術に相応しいかと言えば、それは微妙なラインだった。
だけどガリ隊長の爆遁は、オイラの芸術観にすっぽりと収まった。そうか。芸術って、爆発だったのか。あのときの新鮮な驚きは今でも記憶に焼き付いている。
オイラは爆発という新芸術を自分の粘土細工に落とし込もうと研究を始めた。残念ながらガリ隊長の爆遁は血継限界なので、どうあがいてもオイラには使うことができない。だったら自分で血継限界を必要としない新たな爆遁を作り上げるしかないと、試行錯誤を重ね、文献を読み漁った。
そうして辿り着いた術が、オイラが現在使っている禁術だ。物質にチャクラを練り込む禁術。この術には、正式な術名が存在しない。正式名称がつく前に、この術は禁術として封印されてしまったからだ。
この術は形態変化の最奥の一つだと巻物には記されていた。チャクラを物質に練り込み、チャクラの形態変化を通して、物質の形や構成を自在に操る術式。
チャクラは術者の意思や才能によって様々な性質を付与することができる。そのようなチャクラの扱い方は『性質変化』と呼ばれ、火、水、土、雷、風の基本性質やその応用である爆遁や塵遁といった血継限界、血継淘汰の性質をチャクラに与えることができる。人によって得意不得意はあるし、血統によってしか使えないような性質変化も数有れど、チャクラは性質を変えることで様々な物質や現象を作り出すことができる。
対してチャクラの形態変化は、単純にチャクラの流れや形を操作する技術だ。性質が変化しているかどうかは関係なく、あらゆるチャクラの形を操り整える。例えば『土遁・土流壁』を行使したい場合、その場に新たに土を作り出すのはチャクラの性質変化による仕事だが、その土を壁の形に整えるのはチャクラの形態変化による仕事になる。土が豊富にある地面で術を使うときなどは、性質変化は土の強度を上げ下げするのに使う程度で殆ど出番がない。強度を気にしなければ、形態変化のみで実行可能ですらある。チャクラの形態変化には特別な血統や才能は必要ない。故に、実は地面の上で行う『土遁』には、性質変化の得意不得意があまり関係ない。そして忍術の基本である形態変化技術は訓練さえ積めば誰でも使うことができるものだ。だから簡単な土遁忍術である『障壁の術』は、例え土遁が不得意な者でも、土さえその場にあるなら誰でもすぐに扱うことができるという訳だ。
雪の国の雪忍とかいう連中は、氷まみれの環境を利用し、水遁と形態変化のみで本来血継限界であるはずの氷遁を扱うことができるらしい。本物の氷遁には及ぶべくもない擬きではあるが、それでも、環境さえ整えてやれば、血継限界もどきを使うことは可能であるという訳だ。そして岩隠れの禁術は、雪忍の氷遁と同様の現象をさらに高い精度で実現することを可能にする。
形態変化で物質の形や構成を作り変え、無理矢理爆遁と同様の現象を発現させ、その形態変化のプログラムを粘土の性質として付与する。
初代土影が開発したと言われているこの術は、先程も語った通り、術名を名付けることすら許されずに開発後即禁術指定となっている。本来初代火影に対抗するために開発されていた術らしいが、この術が完成したのは初代火影の死後で、初代火影以外に使うには危険な上に明らかに戦力過剰だった。難易度は高いが、修行を積めば誰でも使える可能性を持つ上に、身に付けた者全員が、
オイラはこの術を起爆粘土として扱うために土遁の性質変化を利用し改良を加え、粘土にチャクラを練り込み使用するが、本来この術の使用には特定の性質変化や特定の材料を必要としない。自分が行いたいと思う現象が起こるように物質にチャクラを練り込み、プログラムする。形態変化を物質を通して行い、ありとあらゆる性質変化を実現する。通常の形態変化で氷遁もどきを使うには氷や氷点下の環境が必要不可欠だが、この術があれば、そんなものなくともそこら辺の土や水にも氷の性質を付与できるだろう。だから、基本五性質に限らず、陰陽遁、血継限界、血継淘汰、何でもありだ。もちろん、使いたい術によってオイラみたいに術をカスタマイズする必要はある。その分の手間や難易度はあるが、しかし作ろうと思えばどんな術でも自由自在に再現、創作できる。あまりに自由度が高すぎて、迂闊に使うと術が暴走する危険を孕んでしまうほどに。
オイラはこの術を起爆粘土に限定して使用しているが、やろうと思えば粘土に限らずありとあらゆる物を爆弾に変えることができる。砂でも、水でも、動植物でも、チャクラさえ練り込めばすべてがオイラの爆弾だ。種類大きさ問わずチャクラの尽きぬ限り全てを爆弾にする。地面も、大陸も、空気も、星も、全て全て全て、爆弾にできてしまう。必要とするチャクラ量的に現実的ではないが、やろうと思えば実行可能であるというその一点だけでも、禁術にする理由としては十分すぎるだろう。扱い方を間違えれば、世界はともかく国くらいは簡単に滅ぼしかねないのだから。
だが、オイラが興味あるのは爆発する粘土を作るというその一点のみだ。オイラが表現したいのは、オイラが創作した造形物の美しき最後のみ。粘土細工以外を爆発させてもそこには意味がない。オイラの作る芸術的な造形物こそが華々しい芸術的な最後を迎えるに相応しいのであって、オイラの粘土アート以外のものを爆発させても、そこにオイラのアートは無いのだ。
だから、オイラが起爆粘土以外にこの術を使うことは決してない。オイラはオイラの芸術のためにしか、忍術は使わない。
だってオイラは、忍者である前に芸術家なのだから。
「……気に食わねェ」
だから今の状況を、オイラは認めることができない。否、決して認めてはならないのだ。
サソリの旦那に唆され、起爆粘土以外のもの──そこら辺のただの砂を爆発させているこの現状を、オイラは認めてはならない。
忍である前に芸術家でなければならないこのオイラが、凡百の忍のように振る舞わなければならないこの現状は、オイラの芸術家としての死を意味している。それも爆発的な最後ではなく、材料不足とかいうありふれた、尻すぼみな芸術性の欠片もないおよそ考えうる限り最悪の死に方だ。
芸術家としての生き方を決めた以上、オイラは最後の一瞬まで芸術家でなけりゃならねェってのに!!
死にたい。最早自殺まで考えるレベルだ。だけど死ぬなら、オイラはやっぱり起爆粘土で死にたい。そして自爆するなら、他の何も目に入らなくなるような今までにない最高の爆発を以って終焉を迎えたい。
だけど、その全てが何一つとして実行不可能なのだ。理由は単純。起爆粘土が、この場にないから。
「気に食わねェ!」
砂漠にチャクラを練り込み、砂を爆発させる。
爆発させた砂によって巻き上がる砂埃の波が赤毛のくのいちへと雪崩れ込み、雪崩れ込んだ砂がまた爆発する。
だけど、そこにオイラの造形と終焉の美学はどこにもない。芸術は爆発だ。だが、ただ爆発するだけのものが芸術であっていいはずがない。
これだけの爆発ならばあの多由也とかいうガキも流石に死んだだろう。だが、全くと言っていいほどそこに達成感はない。殺すなら、オイラの芸術で殺したかった。忍術の完成度ではなく、芸術の完成度を示したかった。
もうもうと立ち込める砂煙の中、オイラはため息を吐く。
「クソ。つまらねェ決着だぜ」
「
……!? 何だと!?
背後から聞こえた声に、オイラは完全に虚を突かれた。
爆発から逃れただけならともかく、何時の間にオイラの真後ろに回り込んだんだ!? コイツは!?
振り向き様の視界の端に、赤毛が笛を構えているのが見える。とても戦闘中の格好とは思えないが、コイツにとってこの動作は、印を構えるのと同じ意味を持つ。
「……ッ!! 喝!!」
オイラは印を結び、赤毛に近い方の足を踏み抜く。そうすることで、足元の砂に練り込んだオイラのチャクラが爆ぜ、多由也に襲いかかる。
「これで……!!」
「
笛の音が、オイラの耳に侵入する。身体中に激痛が走り、立っていられなくなる。
「ガ……!? なん……で、後ろに……」
背後に振り向いたオイラの目の端に赤毛が映る。更にその背後には、
「馬鹿野郎!!」
サソリの旦那が怒号を飛ばし、三体の傀儡人形をこちらに寄越す。二体の傀儡人形に多由也と見知らぬ穢土転生が対処している間に、残り一体の傀儡が踞るオイラを拾い上げ、空に退避した。
「影分身だ。そのくらいすぐに見抜けアホ」
「無茶言うな旦那! オイラは旦那と違って俯瞰視点じゃねぇんだっつの!」
影分身。オイラが足元の爆破で退けたのが影分身で、謎の穢土転生と一緒に背後に立っていたのが本体というわけか。まんまと騙されたが、全体の戦況を把握し、必要に応じて戦力を供給できる旦那のお陰で、辛うじて一命を取りとめた。
「だが、よくやった。よく、
オイラの失態に呆れつつも、しかしサソリの旦那は快哉を叫ぶ。
旦那は赤毛を見下ろし、語りかける。
「最後の足掻き、ご苦労だったな。もうテメーにチャクラは残っていない。そうだろ?」
「……!」
あちこちに傷を作り肩で息をする赤毛のガキ。旦那の言葉を受けてジロリとこちらを睨み付ける姿は、弱々しく今にも力尽きそうだ。確かに、別段感知タイプでもないオイラにも、目の前のあの赤毛にもうほとんどチャクラが残されていないことはすぐに分かった。影分身はデコイとしてこれ以上なく優秀な術ではあるが、実戦で使うときは、チャクラに余裕がある状態で使わないとあっという間にチャクラを全て失うことになる。オイラとの初戦で強力な幻術を使い、旦那との戦いで時空間忍術を使いまくったアイツに、チャクラの余裕が有る筈もない。
「さて、次はどうする? 何を見せてくれる? 確か、穢土転生には無尽蔵のチャクラがあるんだったか? 穢土転生からチャクラの補給でもしてみるか?」
余裕綽々といった様子で、旦那が多由也を挑発する。もし旦那の言ったようなことが本当にできるんだったら、形勢なんか余裕で逆転されると思うのだが、まぁ、そんなことは決してないと確信した、高を括った発言だろう。実際、オイラも旦那と同意見で、あの多由也とかいうくのいちにチャクラ吸収系の術が使えるとは思っていない。
アイツが使ってくる物質化霊は身体エネルギーを食らう怪物だが、もしチャクラそのものを奪い取れる術が有るなら態々そんなものを使う必要はない。逆説的に、この術の存在はあの女がチャクラ吸収系の術を所持していないという事実を証明してるって訳だ。うん。
「……チッ。このクソヤローども……」
多由也が悪態を吐くが、それ以上の何かをする動作は見えない。
何もしてこない。何も、できない。
この様子なら、流石に……。
「確かにウチにもはやテメー等に勝つほどの力は残ってねェ。だが、勝てねぇからと言って殺せねぇ訳じゃない。今のウチにも、
──瞬間、多由也の背後にいた穢土転生が自らの胸に手を突っ込み、何かを引きずり出す。
あれは──起爆札? それも一枚ではなく複数枚の……。
バサリ! と、宙に舞い上げられた数枚の起爆札が風に煽られ、そして──。
明らかに見た目以上の爆風がこちらにまで襲いかかり傀儡達とともにオイラと旦那が吹き飛ばされる。この爆発の仕方、ただの爆発じゃねェ。
これは──連鎖爆発だ!!
「旦那!」
「うるせェデイダラ!! 今盾を──!!」
慌てて防護策を講じるオイラ達の耳に、自らを爆炎の中心に巻き込み特大の爆発をこちらに食らわせた張本人の声が届く。
「穢土転生に仕込まれた互乗起爆札。一体分の爆発で軍隊を一つ蒸発させるほどの爆発を引き起こす。……さて、
「────!!??」
ヤバい。そう思ったときにはもう全てが遅すぎた。
旦那やオイラの周囲を飛んでいた傀儡の、そのうちの六体。
そこにはそれぞれに、穢土転生が封印されていた筈。
カッ! と、光がすぐ背後から照らされる。
「クソ……この……!」
「やっぱり芸術ってのは、華々しいのが一番だよなァ。デイダラ」
印を構え、文字通り最後の術を発動せんとする多由也がオイラ達に凄惨な笑顔を向ける。
「芸術は爆発だ。華々しく散れ。『暁』」
それは──オイラの──!
熱が迫る。肌が焼ける。視界が黒に染まっていく──。
砂漠が爆炎によって、吹き飛ばされる。
どういう仕組みなのか、連鎖する爆発はその規模を時間とともに増していき、ついには東の砂漠全体にその衝撃波を轟かせるに至る。
長大な爆音は、砂漠全体を震撼させる。この日、東の砂漠地帯はその全体の3分の1もの面積に、大きなクレーターを残すことになった。
生存者が残る可能性は絶望的だった。
──防御の術を、持たぬ者にとっては。
砂隠れの抜け忍。サソリは傀儡使いだ。それも、ただの傀儡ではなく生きた人間を材料とした人傀儡を扱う、唯一無二の傀儡使いである。
オレは永遠の美を求める芸術家だ。永遠を愛し、永遠を産み出すことに血道をあげているが、勘違いしてはいけないのは、オレの芸術の主体は「永遠」ではなく、あくまでも「美」の方に有るということだ。
永遠という要素は、オレの美を表現するための手段に過ぎない。それに、永遠の美そのものはこれといって珍しいものでもない。自らの産み出した自慢の芸術作品をいつまでも残しておきたいというのは、芸術家としてはむしろ一般的な思考だし、価値の有るものを永久保存しておきたいと思うのは、文化人として至極真っ当な感性であると言える。
誰だって美しいものは永遠に残しておきたいと思う。それが、人の性ってもんだ。だから、何でもかんでもすぐに爆発させて跡形もなく消滅させてしまうデイダラのことを、オレは頭がおかしいとしか思えない。
永久の美を残す。ただこれだけの主義ならば、オレの芸術性は凡庸だ。刹那主義のデイダラと違って尖っているところがなく、保守的な芸術性とすら感じられるかもしれない。
だが、そんな保守的で凡庸な芸術性も、極めれば異端とすら呼べるような先進的で前衛的な芸術観に変わる。オレの場合は、求める「永遠」を作品に限らなかったことが、異端を極める要因となった。
永遠の作品を作りたいのならば、作品を作る側もまた、永遠でなければならない。
永遠に美を生み出し続ける芸術家もまた、一つの永久芸術である。
後世に残り続ける作品など珍しくもない。だが、後世に残り続ける芸術家などかつてどこにも存在し得なかった。
オレが目指すべきは、その前代未聞の境地なのだ。
そしてその境地にこのオレは、未だに辿り着いていない。
自らを人傀儡とすることで、老いぬ身体を手にいれた。
だけどこの身体は永遠ではない。老いないからと言って、朽ちない訳じゃない。定期的に検査し、部品の入れ替えを行わなければ稼働年数は良くても五年。有る意味では、今のオレは人間よりも脆い存在にすら成り下がっている。
それでもオレがこの身体を選んだのには理由がある。
一つはもちろん、永遠に美しい状態を保てるという理由からだが、もう一つ。
この身体は唯一無二ではないから。そんな理由から、オレは現在の状態に身を置いているのだ。
人間という生き物は不便だ。腕がとれたら容易に付け替えることができないし、重要な臓器にダメージを受ければそのまま死んでしまう。なまじ機能が多い故に、取り換えのきかないパーツが多すぎるのだ。
その点このオレの傀儡の身体は良い。バラバラになっても糸さえあれば容易に繋ぎ直せるし、粉々に砕けても作り直せる。パーツが古くなっても、新しい部品と取り替えればいつまでも新品だ。永遠の美を求めるオレに、実に相応しい身体であると言える。
だが、この身体はまだまだ未完成で不完全だ。身体の大部分のパーツは取り換えのきくものなのだがただ一点、胸に填まっている生身の核の部分だけは、どうにも取り替えがきかないままなのだ。これでは永遠が聞いて呆れる。この部分だけは破壊されればそれまでだし、この部分だけは、どうしようもなく経年劣化していくのだから。
この唯一残されたオレの弱点に対して、有効な答えをオレは全く導き出せていなかった。悔しいが、この部分だけは、オレの命を繋ぎ止めるためにどうすることもできないのだと諦めてすらいた。
だけど、そんなオレに、ようやく天啓が降って湧いたのだ。
大蛇丸とその部下が使った穢土転生の術。この術には、世界の真理が内包されていた。
すなわち、「人間は魂という永久不滅の器官が存在する限り記憶と自我を完全に失うことはなく、そして、魂の情報を表出するのに、必ずしも人間個人としての臓器や身体は必要ではない」という、世界の法則。
これさえわかれば、後は簡単だ。魂が定着できる身体と、魂をその身体に繋ぎ止める術式があれば、オレという芸術家は完成する。
まだやり方はわからないが、可能であるという事実さえあれば、そんなもの、どうとでもなる。
オレという傀儡が完膚無きまで破壊された時、そこには不滅の魂だけが残る。通常ならばその魂は、いわゆる成仏という現象によってどこかよくわからんところに飛ばされてしまうのだろう。それが何処なのかは知らないが、いわゆるあの世なんてものがもしかしたら有るのかもしれない。そんなところにオレは興味がない。オレが死んでこの世界に永遠の美という形を残せなくなるのは屈辱極まりないことだ。だけどもしその時、予め『予備の身体』と、『魂を呼び寄せる術式』と、『魂を定着させる術式』があったら?
オレの魂は何者にも邪魔されることなく予備の身体に宿り、オレは、再び記憶と人格を持ったまま人傀儡という芸術に生まれ変わることができる。
完璧だ。あまりにも完璧すぎる。この構想は、是が非でも実現しなければならない。
降って湧いたインスピレーション。これを、実行に移すために、オレはこの場をなんとしてでも生き残る必要がある!
あの小娘相手に完全勝利の芽が出てきたと思ったら、今度は自爆特攻の連鎖爆発術式だと?
ふざけるな。死ぬなら一人でさっさと死にさらせ!
小娘が最後の力で結んだ印に合わせて、オレの傀儡に封印された穢土転生どもの中に仕込まれていたらしい連鎖爆発式の起爆札が爆発する。ちらりと見えた起爆札の術式の一部に口寄せ系統の式が垣間見えた。あの起爆札はおそらく、起爆札が起爆札を口寄せし続け、連鎖的に爆発し続けるという代物だ。起爆札をどれだけ持っていやがるのか知らねェが、ろくでもないことになるのは目に見えてる。爆発箇所が八ヶ所も有りやがるのもいただけねェ。封印した六体分の穢土転生、最初に封印した三代目風影、小娘の隣にいる謎の穢土転生が放った起爆札、上手い具合に囲まれていて逃げ場がまるでない。避ける、などということは考えない方がいい。
この規模の爆発に巻き込まれれば確実に木っ端微塵だ。間違いなく死んでしまう。だが、こんなところでこのオレ様が死ぬなど断じて有り得ない。
オレは、この現状で、恐らく唯一生き残れるであろう道筋を瞬時に導き出して、それを実行に移した。
穢土転生の封印にリソースを割いているオレの三代目風影の人傀儡を呼び戻し、砂鉄を用いて絶対防御を展開させる。
「『砂鉄球』……を、『砂鉄大壁』の量と密度で……!!」
こちらに呼び寄せた三代目風影の傀儡を中心に、オレとデイダラの周囲に砂鉄が球体状に集まっていく。砂鉄の壁が爆風から俺達を守る……が、連鎖爆発によって規模を増していくヤツの術の前に、このままでは壁が足りない。
オレは全力でありったけのチャクラを三代目風影に注ぎ込み、砂漠全体から砂鉄をより集め固めていく。
もっと、もっと、もっと、もっと!!!!
連鎖爆発によって砂鉄の壁が次々と剥がれ落ちていく感触が伝わってくる。オレはチャクラを空にする勢いで必死に砂鉄を集め続ける。
砂鉄を集めて、固めて、集めて、固めて……。
その繰り返しのうちに、やがてチャクラが底を尽き、意識が遠退いていく。
クソ……! まだ爆発は続いてるってのに!!
こんなところで、終わるのか!?
そんなことが……あっていいのか?
あって……いいわけがない……!!
オレは……まだ……!
遠退いていく意識の中、ふと、デイダラの声が聞こえたような気がした。
「……土遁……──―」
目が覚めたとき、オレは砂漠の上にいた。
「……ここは」
ギシリ……と、軋む音をたてて、身体が動く。傀儡の身体。オレは……生きているのか?
仰向けの状態のまま、ボーッと青く澄みわたる空を眺めていると、黄色のうっとうしい長髪が太陽を遮り影を落とす。
「やっとお目覚めかい? 旦那」
「……クソ。最悪の目覚めだ」
ニヤニヤと笑うデイダラの姿を振り払うように起き上がる。傀儡の身体になって約15年。意識を失ったのはこれが初めてだ。
「見ろよ旦那。スゲーことになってるぜ。うん」
デイダラがそう言って指を差す方に振り向くと、そこには砂漠一面に広がる大きな下り坂があった。
こんなデカイ坂、この砂漠にあったか? 一瞬思って、すぐに思い至る。
これは、坂じゃない。
これは……クレーターか!?
「とんでもねー爆発跡だぜ。うん。直径10キロ以上は有るんじゃないか? これ」
「……あの女は……どうなった……」
あまりの光景に呆然自失しながらもなんとか絞り出した言葉に、デイダラは首を振って答える。
「一応一通り見渡してみたけど、人っ子一人いやしなかったぜ。うん。固形物は木っ端微塵に蒸発したとみていいだろうな。アジトの跡も、旦那の傀儡も、穢土転生も、あの多由也とかいうくのいちも、みーんな欠片すら残ってない」
「……生死不明ってことか?」
「死んだ。で、良いんじゃねーか? 流石に。自爆特攻っぽかったし、旦那の作った壁にオイラがチャクラを練り込んで補強してようやく生き残れたような爆発をあんな間近で受けて、生きてる方がおかしいだろ。うん」
「……」
死んだ。のか? アイツが。本当に?
最後の最後、どうしようもなくなって、やけになって自爆特効で道連れにしようとして、死亡?
そんなタマには見えなかったが……。
それに、
「穢土転生……。アレは消えたのか? バラバラになっても再生するのに?」
「術者が死んだから術も解けたんじゃねーか? それ以外に何かあるってのか? 旦那」
術者が死んだから術が解けた。確かに、そう考えれば納得できないこともない。
だが、何かがおかしいような気がする。どうしようもない違和感が脳内を支配する。何だ? 何かがおかしい。
……このオレを驚嘆させた穢土転生の術というのは、術者が死んだ程度で解けてしまうような術なのだろうか……。
そう。引っ掛かるのはそこだ。大蛇丸が鼻高々に自慢し、小娘が大蛇丸の契約を奪って再度三代目風影を口寄せしたあの術が、術者死亡程度で解けるような術だとは、オレにはどうしても思えないのだ。
とはいえ、この推論には根拠がない。例えこの推論が間違っていなかったとしても、それが示すのがつまりどういう展開なのかと聞かれても、それに答えることができない。
分からない。全く分からない……が、とりあえず、現状オレ達の周囲に敵の気配は影も形もない。本当に文字通り、辺り一面砂しかないただの砂漠地帯だ。
例えどんな展開であろうとも、オレ達はあの小娘に勝利した、と言って良いだろう。
だが、勝利した。というただそれだけでは、この戦いは終わらない。
「この爆発を……オイラが起こせるかってのを考えると、素直に勝ったって喜べねーけどな。うん。あの女、とんでもねー有終の美を飾りやがった。オイラも負けてられねぇ……」
「……お前の言ってることに何一つ共感することは無いが、こうして生き残った以上、オレにもやることができた。今回の戦いは、中々どうしてオレに素晴らしい発想を齎してくれたからな」
オレはようやく心を落ち着かせ、現状に納得することができた。大蛇丸やあの小娘が生きているのかいないのか、
「帰るぞデイダラ。これから、オレは芸術活動に打ち込まなきゃならん」
「奇遇だな旦那。そりゃオイラもだ。オイラの起爆粘土が世界一だってことを示すために、このクレーターよりデカイのを一発作ってやらなきゃならねぇからな! うん!」
そう言ってこちらの返事も聞かずにのしのしと先に歩いていくデイダラの後ろ姿を他所に、オレは足元を見る。
三代目風影の人傀儡。この戦いで爆発から逃れることのできたオレのコレクションは、結局これだけだった。
……人傀儡コレクションも、一から集め直さなきゃいけない……か。
少しの寂寥感が胸に残るが、この戦いを機にオレが得るものは、きっと失ったものより大きい筈だ。
オレは自らのインスピレーションを確実に実現すると再び決意すると、三代目の口寄せを解いて巻物に戻し、デイダラの後に続いて歩き出す。
相手が自爆しようが何だろうが、勝ちは勝ち。
万が一ヤツが生きていたとしても、それはむしろ好都合だ。
その時は、完璧な芸術へと昇華したこのオレが、今度こそ奴をオレのコレクションに加えてやればいいんだからな。
気にすることなど何もない。今のオレの目には、芸術完成への明確なビジョン以外何も映っていないし、映す気もないのだから。
▼次回へつづく。
あとがき。
こうした創作活動って、それ自体を仕事にするか、死ぬほど暇じゃないと書けないよなぁと思う今日この頃です。何か予定がつまっていると全く書けない!!
構想はあるのに書けない日が続き、気づけば一ヶ月経ってしまいました。実は私が真に忙しくなるのはこれから9月末になるまでがピークだったりするので、もうしばらくお待ちいただくことになってしまうやもしれません。気長にお待ちいただければ幸いです。
(あと、この話とは全く別の二次創作の構想が頭に浮かんじゃったというのも要因の一つかもしれない。)
さて、作品の後書きに入ってみましょう。
私は設定過多で、考察の余地がある作品がすごく好きで、それ故にNARUTOもまたこのように好きなわけですが、デイダラの起爆粘土に使われている「物質にチャクラを練り込む禁術」ってのに、中々考察の余地を感じたわけです。ていうか、それって、何がヤバくて禁術になったの?塵遁も禁術になってない岩隠れで!?と、思い、逆にどこまでヤバかったらこの術は禁術になるのだろうと、私なりに解釈した結果が今回のあの術な訳です。
土遁をベースに爆遁が作れる→カスタマイズによってどんな血継限界でも(物質を通せば)作ることができる。という発想の飛躍が起こってしまったわけですね。
デイダラは土遁を使ったカスタマイズで爆遁を作り、実は粘土じゃなくてもなんでも爆弾に変えられる、と。
因みに発想元は、某オサレジャンプ漫画に登場する、(アニメ化に際して私が一番楽しみにしている)某クインシーのあの娘。絶望顔が好きと表明しているこの私が、リョナが嫌いわけないじゃない!!
はい。まぁ、どうでもいいっすね。デイダラはなんでも爆弾に変えられるけど。自身の芸術家としてのプライドから、自身の粘土アート以外を爆発させる気が微塵もない。彼は忍者である前に芸術家だから。そのくらいのロマンを持っていてほしいと思い、そんな風に書きました。
翻って、サソリ様。こちらは穢土転生との対面と多由也との戦いによる危機感から、新たなる着想を得たご様子。こちらの着想の発想元は、実は感想欄で誰かが予言してたんですけど、某型月作品にたびたび登場する某傷んだ赤色さん。人形遣いと言えば私の中では彼女かもう一人かくらいのレベルの代表者だし、彼女のあれはもう擬似的な不死どころか人形造形師の究極とすら言えちゃいますからね。髪の色も似てるし、これはもう、やるしかないと!予言されたときは、思わずニヤリと笑っちゃいました。似たような考えを持つ人はいるもんだなー。と。
さて、あとがきで語るのは、こんなとこかな。え?主人公生死不明?そんなこと思ってる人います?てなわけで!
次はいつになるかわかりませんが、気長にお待ちください!
前書きの一言に対する自問自答。
「それは、文量が?それとも期間が?」