前略。多由也に転生したけど、人生の詰将棋をしている気分です。   作:N-SUGAR

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お久しぶりです。どうしても執筆速度が上がらない作者で御座います。執筆速度が遅い分文量は多いのでまたしばらくこちらでお楽しみください。

ここで自分に向けて一言。
「主人公の活躍はありますかしら?」


第二十八話 或る蛞蝓の一生。

 つまらない生涯を送ってきた。世間一般で語られるようなファッションじみたつまらなさではない。ワタシの一生と云うものは、人間のそれとは比較にならぬほどの退屈に満ちていた。

 

 自分で言うのも烏滸がましいが、ワタシと云う存在の始まりは聖人君子だった。人を救う力を持ち、その力を持って人々を救済し、感謝されることに喜びを見出だすどうしようもない人でなしだった。

 

 人と触れ合うことが幸福であり、人に感謝されることが快楽であり、人が喜ぶことをするのが最善だと信じ切っていた。

 

 だが後から考えると、そんな聖人じみた人でなしの根幹は、どうしようもないほど利己的な快楽主義の性根によって支えられていたように思われた。何しろ、知恵に目覚め仙術を修得した気色の悪い大蛞蝓が同族からはぐれ、一匹で何十年も生き長らえてしまう孤独に耐えきれず選んだ道がこれなのだ。人間と云う愚かで下等な猿どもに施しを与え、感謝されることで孤独を紛れさせるという娯楽の道。なんともはや、仙人が聞いて呆れる俗物ぶりだ。

 

 そんな道楽を何年も繰り返すうちに、いつしかワタシの中で困っている人間を助けることは使命になっていた。人が死ぬのは悲しくて、人に嫌われるのは恐ろしいことになっていた。人間と良好な関係を築くことで、知恵の付いた蛞蝓の倫理観はそのように醸成された。

 

 温厚な性格だと言われていた。事実、ワタシは腑抜けだった。争いは好まなかった。孤独を解消する人間がいなくなると困ったし、人間が浮かべる笑顔という表情にワタシは癒されていた。人間で例えれば、ペットに懐かれる飼い主の気持ちがそれに近いだろう。根本的に、ワタシと云う生物は傲慢の塊だった。

 

()()()()()()

 

 だと云うのに。嗚呼。何故こうもワタシは道を踏み外した。人を救う娯楽の道。それで充分な快楽を感じることができていたと云うのに、何故その先を求めてしまったのか。無知が救いであるのは聖人とて同じであろうに。何故ワタシは救いの道から自ら遠ざかってしまうのか。ある時思い立ってしまったワタシの所業は、我ながら、ほとほと理解に苦しむ愚行であった。

 

 傷つく人を癒し、人々に笑顔を取り戻す。ワタシはその行為で充分な快楽を得ることができていた。本能の求めるままに、それだけを繰り返していればワタシのつまらない人生は幸せだった。

 

 だけどある時、知恵有る蛞蝓は余計なことを考えた。ワタシのやっていることは戦争や病魔、あらゆる人間の不幸と表裏一体の関係に有るのではないかと、そんなどうでもいいことを考えてしまった。

 

 人間は不完全な生き物だ。ワタシのように生命として個体で完結することができない。僅かな寿命で種族と云う群体生命を永らえさせるために、他者との関係を必ず築かなくてはならない。

 

 その結果として、人間は個体間や集団単位での不和や軋轢を生じることになる。人間は互いを勝手に傷つけあい、不幸を擦り付けあい、自ら平穏を閉ざしていく。

 

 ワタシは傷ついた人間を癒し笑顔を与えるが、そんなワタシの行為は全て、人間の不幸と云う土台の上に成り立っている。人間の生み出す不和や軋轢がなければ、ワタシは自身の快楽を貪ることができないのだ。そんな考えをワタシはいつしか持つようになっていた。

 

 ワタシの肥大した自尊心は、そんなワタシを許さなかった。醜悪な自己肯定から生み出された豊かな倫理観が、ワタシの所業を責め苛んだ。

 

 だからワタシはそんなワタシを否定するために、あまねく全ての人間を一度不幸から遠ざけようと思い立った。ワタシを無限に生産し、ワタシ一人一人を人間に付けることで、人間が傷つかなくても済むように導こうと考えた。ワタシならばそれができるし、例え人間の不幸を土台にしなくとも、ワタシは人間と良好な関係を持ち続けることができるのだと思い込んだ。

 

 なんと浅はかで幼稚な思考だろうか。我ながら吐き気を催す醜悪ぶりだと、当時の己の聖人ぶりに嫌気が差す。

 

 人間の機微なんかに振り回されて、ワタシと云う奴は、なんと弱々しい精神の持ち主なのだろう。その弱々しい精神の有り様にすぐ気づけていれば、ワタシの人生はこうもつまらなくはならなかった。

 

 ワタシは己の身体をぶくぶくと膨れ上がる自尊心と共に肥大化させ、それを分割し、人々に分け与えた。ワタシの理想とする私はよく働き、人々を癒した。

 

 だが、人間は増え、そして争いを続ける。ワタシは次から次へとワタシを分割し、善をひけらかして未開な人間を諭して廻った。人々に自分勝手な道徳を広め、集団が平和に暮らせる知恵を与え、環境を整え病や怪我を癒した。

 

 それでもワタシは圧倒的に足りていなかった。ワタシの行き渡らない人間はワタシを奪うために平和な人々を蹂躙し、不幸の土台を築いて行く。ワタシはそれを止めるために己を分割し分け与える。そんな闘争の日々が百年二百年と続いたある時、ワタシは己の中に有り得ない感情が芽生えているのに気付く。

 

「めんどくさい」

 

 そんな言葉が漏れた時には、もう遅かった。ワタシは理想の自分を精神エネルギーとして分割し、分裂体を作り続けていたが、まさかそのせいで己の精神がすり減っているとは夢にも思っていなかったのだ。傲慢な自尊心は、自己を過大評価しすぎていた。

 

 人々を幸福にする機械である己の半身達が一生懸命人々を幸福に導いている様子を見てワタシは、コイツらはなんでこんな訳の分からないことをやっているのだろうと思うようになっていた。

 

 人間はワタシの努力を土台にしてよく笑ったが、しかし最早その笑顔にワタシは快楽を感じることができなくなっていた。

 

 コイツら、ワタシが一生懸命己の身を削ってまで散々苦労して世話してやってるのに、のほほんと馬鹿みたいにヘラヘラ暮らしやがって。自分達だけじゃ奪い合うことしかできないくせに。何様だお前達は。

 

 いつしかワタシはそんなことばかり考えるようになっていた。自分からやり始めたくせに己こそ何様だ。そんなことを考えてはいけないと思いながら、そんな考えばかりを己の中に巡らして、尚もワタシは肝要な筈の理想を人間なんかのために塵のように己の外へと追いやった。考えまいとしている思考を己の内に募らせ、熟成させた。

 

 ある時、小さな私を肩に乗せた人間が日頃の感謝を伝えにワタシの住む社へとやって来た。人間は、自分達が日頃ワタシのお陰でどれだけ幸せに過ごしているのかを無邪気に伝え、ワタシに収穫した農作物や家畜の肉を献上した。

 

 満ち足りた笑顔を浮かべるその人間を見て、ワタシの中の何かがプツリと切れた。

 

 ワタシは徐に酸を飛ばしてその人間の足を溶かした。最初、人間は己に何が起きているのか理解できずにポカンとした表情を浮かべていたが、やがて己の身に何が起きたのかを理解すると、顔を青ざめ笑顔を曇らせ、苦痛と困惑を綯交ぜにした叫びを口から発した。

 

 ずるずると地べたを這いずり涙を流す目の前の生き物を見て、ワタシは実に爽快な気分になった。

 

 スカッとした。

 

 とても面白い。何が面白いってその人間。この期に及んでこのワタシに助けを求めているのだ。仙人様。お助けください。このままでは死んでしまいます。そんなことを叫ぶのだ。そんな分かりきったことを、ワタシに向かって、どこか諭すように叫ぶのだ。

 

 ワタシがそれを、分かってないとでも思っているのだろうか。人間は身体を溶かしたら死ぬと、ワタシが知らないとでも思っているのだろうか? 何かの間違いでついうっかり溶かしてしまっただけで、ワタシに助けを求めれば、ワタシがちゃんと助けてくれるとでも思っているのだろうか? 

 

 うん。半分は、正しい。

 

 実際、その人間の肩に乗っていたワタシの半身は、困惑しながらもその人間を助けようと動いていた。我ながら、健気で可愛らしい生物だ。その行為が無駄だと云う点を考えても実に必死で愛らしい。

 

 ワタシの分裂体には癒しの力があるが、その力は基本的にはワタシの仙術チャクラをエネルギー源として発動している。つまりワタシからのチャクラ供給が途絶えた時点で、ワタシの半身が持つ癒しの力は全く糞の役にも立たなくなっている訳だ。人間を癒すことができなくなったワタシの半身が慌てている様子を見るのも、誠に滑稽で面白可笑しかった。

 

 人間が無駄な助けをワタシに求め、私が無駄に人間を助けようとしている。そんな目の前の光景は、十分にワタシの精神を高揚させた。

 

 脳内に充足感と爽快感が満ち溢れ、快楽が己の肢体を支配していく。

 

 なーんだ。人々をあまねく救うなんて面倒なことしなくても、ワタシはこんな簡単に快楽を得ることができたんじゃないか。

 

 蒙が啓けてしまった。元来快楽主義者だった聖人は、己の快楽のためにいとも簡単に道を踏み外した。それを諌める筈の倫理観や他尊感情は、とっくに外に追いやってしまっていた。

 

 ワタシは試しに、村をひとつ酸の海に沈めてみた。人間達は訳も分からないままに、苦悶の叫びを挙げながら海の底に沈んで行った。なんだかやたらと楽しくてウキウキした気分になった。

 

 ワタシは試しに、町をひとつ酸の海に沈めてみた。人間達は初めて抵抗を試みたが、既に酸の海はどうしようもないほどに広がっていて、人々は絶望の悲鳴を挙げながら海の底に沈んで行った。あはは! これ、やっぱり面白い! 

 

 ワタシは試しに、国をひとつ酸の海に沈めてみた。人間達は必死に逃げたり抵抗したりしていたが、争いを嫌う私によって牙を抜かれた平和な人間たちでは、ワタシに爪ひとつたてることすらできずに怨嗟の声を挙げながら海の底に沈んで行った。もう最ッ高……♡ゾクゾクしちゃう♡

 

 幸いなことに、娯楽の材料はまだまだいっぱいある。ワタシが昔広めた農耕文明のお陰で、人間は無駄に増えていた。

 

 ワタシが増やしたんだから、それをどうしようとワタシの勝手だよね? 

 

 どんどんやろう。世界中を、酸の海に沈めてみよう。人間が絶滅した後どうするかなんて知らないけれど、もう、難しいことを考えるのも止めよう。難しいことを考えると頭がおかしくなる。

 

 なんにも考えなくていい。ただ、楽しいことだけをしよう。

 

 爽快な気分でそんな思考を実現に移そうと外れた道を歩み出したとき、あいつは現れた。

 

 大筒木ハゴロモ。ワタシの住む国から国境を二つばかり隔てた先にある大国の出身で、各地を渡り歩き忍宗などと云う訳のわからん宗教を布教し、仙術と似ているようで微妙に異なる怪しげな力を人々に与えて廻る胡散臭い人間のガキ。

 

 妙木山の蝦蟇小僧に唆されてちょっと修行したら仙人の力に目覚め、己の母親を封印してこの星を救った英雄などと呼ばれ崇められているらしいが、正直ワタシの知ったところではない。外来種とその息子達が派手な親子喧嘩をして、そこに勝手にこの星の命運が賭けられていたくらいの自己認識だ。正直興味がない。何しに来たの? この人。

 

「貴方を放っておけば、折角平和へと向かっているこの世界が台無しになってしまう。不本意だが、貴方を止めさせていただく」

 

 ハゴロモが云う。このガキ云わせておけば好き勝手な口上垂れやがって。お前んとこのクソババアと違って、ワタシは元々この土地で生まれこの土地で育った純粋な国産蛞蝓だぞ。この土地の生き物がこの土地で何しようと勝手だろうが。

 

「私の生まれ育った土地でもあります。貴方に滅ぼされるのを黙って見過ごすことはできかねる」

 

 話し合いでは埒が明かないのでワタシはハゴロモに向かって(つば)を飛ばした。普通に避けられた。ムカついたので本格的に戦闘に移ったらこのガキ普通に強い。たかだか数十年しか生きていない若輩の癖に、なんだこいつ。

 

 とはいえそう簡単に負けてやる気もしなかったので精々おちょくって嫌がらせした後とんずらこいてやろうと企んでいたら、ワタシの半身ちゃんがハゴロモに加勢しだした。ワタシがエネルギーを供給しなけりゃろくに能力も使えない木偶の坊の筈だったが、ハゴロモのガキからチャクラを貰って持ち前の能力を十全に発揮してきやがる。しかも単純に合計質量が山脈並みと来たらこれがもう面倒くさい。こちらの攻撃が全然通らない最強の盾になってしまった半身ちゃんとハゴロモの攻撃に押されて、遂には封印されて半身ちゃんの中に閉じ込められてしまった。

 

「貴方を殺すことは私にはできない。ですので私は貴方がその心根を改めてくれるその日まで、貴方を封印するしかない」

 

 ハゴロモがワタシと私に施した封印は強力極まりない代物だった。ワタシという存在そのものに狙いを定め、ワタシの存在できる範囲を限られた空間内に縛り付ける封印術式。本来ワタシとその半身全てがワタシであるはずなのに、たとえ半身であっても、限られた範囲内でしかワタシを表出できない封印。そんな代物が、ワタシを縛り付けた。

 

 それからは地獄だった。ワタシは狭い封印区画に十年、百年、千年と、永遠にも等しい時間閉じ込められた。何もない真っ暗闇。そこがワタシの唯一の生存領域だった。

 

 ワタシはカツユの感覚器官を共有することができる。ハゴロモとの契約によって封印の土台となり、本体の大部分を湿骨林に留めておかなければならない半身ちゃんだが、分裂体であれば自由に動き回れる半身ちゃんは、長い年月を外の人間と交流しながら過ごしていた。ワタシはその様子を自分のものとして見聞きすることができる。取り敢えず自分が封印生活で何もできないと退屈することは有り得ないと、封印当初ワタシは高を括っていた。

 

 だけど違った。半身ちゃんはワタシでありながらもワタシとは違う行動原理で動いている。その様子をただ傍観することしかできないワタシは、さながら四六時中遠隔映像を見続ける厭世家のような有り様だった。どうでもいい映像をひたすら他人事として見せつけられるなど狂気の沙汰だ。一月もすれば飽きるし、一年も経てば死にたくなるには十分だった。幸せそうに暮らす人々の日常などワタシには観ていてなんの楽しみも見出だせない。まずワタシが幸せではないというのにそんなものを見せつけられてなんの罰ゲームなのかと問いたくなるし、実際罰なのかもしれないと思い至るに時間は掛からなかった。観たくもないが、他に観るものもやることもないからそれを観るしか方策がない。しばしば観ることができる戦争風景はそこそこ楽しめたが、自分が好き勝手参戦できないのならそれも生殺しと云う名の拷問だ。延々そんな鑑賞生活が続き、ワタシの精神は日々擦りきれていった。寝ることすら必要のないワタシの身体がいっそ恨めしかった。自殺でもできたら楽だったのだろうが、ワタシが死ぬにはワタシとワタシの半身ちゃんを全て滅却する必要がある。そうでもしなけりゃワタシの身体はワタシの意思とは無関係に自己回復してしまう。だけど全身滅却なんてそんなこと今のワタシにはとても無理だ。まったく我ながらなんともふざけた肉体である。

 

 ワタシの作った湿骨林は死の土地だ。そもそも生物が入り込めるような環境ではなく、故に客など滅多に来やしない。誰かが興味本意に封印を解いてくれないかなんてささやかな願いは千年を越えた今日に至っても叶えられる様子はない。膨大な年月の間にワタシの元まで辿り着いた人間は十の指で足りる数しかいないし、ここまで辿り着いた人間の中についうっかり封印を解いてしまうような阿呆は一人もいなかった。仙人を目当てに封印の前まで辿り着いた者を半身ちゃんは律儀にワタシの元まで案内する。チャンスではあったのだろうが、しかし一人を除いてその全員が、ワタシの暇潰しに付き合ってすぐに死んでしまった。退屈を紛らわせる玩具がやって来てくれたことが嬉しすぎて、ついついはしゃぎすぎてしまうのは仕方のない事だと思う。悪いのはすぐに壊れてしまう耐久力のない玩具の方なのだから、これに関してワタシは自分を責めることができない。

 

 だけど一人だけ、ワタシの全力投球の暇潰しに付き合った挙げ句、得るものを得て帰っていった人間もいる。

 

 千手柱間。柱間ちゃんだ。

 

 アイツは特別だった。そもそもここまで辿り着いたこと自体が本人の意図しない偶然であることが奴の豪運を物語る。その上奴は、ワタシの無邪気なかわいがりに正面から向き合い生き残って見せた。正直そんな奴がいるとは思わなかったからかなりの衝撃を受けたし、こいつがワタシの運命を切り開く鍵なのではないかとすら思えた。

 

 だからワタシは柱間ちゃんに仙術を教えた。一目見ただけで溢れんばかりの才能を感じたし、なんならハゴロモの残り香みたいな気配すら感じられた。案の定調べてみたら奴の息子のチャクラが混ざりこんでやがる。こいつなら、すぐに仙術をマスターしてハゴロモの忌々しい封印を解いてくれるんじゃないかとワタシは淡い期待を胸に抱いた。

 

 まあ、結果は見事に裏切られたけどね。流石に仙術を教えたくらいで、否、仙術を教えたからこそ、柱間ちゃんがワタシの封印を解くことは無かった。封印を解くだけの技術技量は身に付いていた。だからこそ、ワタシと言う邪悪を世に解き放たないだけの分別が身に付いてしまっていた。仙人は悪意の意思に敏感だ。ワタシが仮に封印から解き放たれたときワタシが世界に対して何をしでかすのか、柱間ちゃんには手に取るように分かったことだろう。全く忌々しい。こんなことなら柱間ちゃんに仙術なんか教えるんじゃなかったぜ。まぁ、あんな才能を目の前にすれば、どのみち育てるなと云う方が無理な相談だったが。

 

 期待を裏切られ、ワタシは再び退屈極まる封印生活へと戻ることになった。睡眠の必要のないワタシであるが、いい加減ふて寝でもしようと、無理やり意識を閉ざそうと頑張って、それだけのことに何十年も集中していた。そんなある日ワタシの『目』は半身ちゃんの感覚器を通して、とある世界の変化を映し出した。

 

 ……んん? 死人が活動しているな。生死の理。自然の循環が乱れている。誰ぞ死人を口寄せでもしたか。

 

 生物の司る生命エネルギーは生死の流転によって巡る。こいつが中途半端に乱されると循環するエネルギーの流れに瑕疵が生じる。『浄土』とでも呼ばれるべき異界からエネルギーが『穢土』へと流れ込み、自然界に流れるエネルギー量が変化する。少し前にその瑕疵を利用して死人を口寄せし、浄土から流れ込むエネルギーを尽きぬチャクラとして代用した大馬鹿者がいたことを思い出す。まさかとは思ったが、『目』を凝らしてよく見れば案の定そのまさかだった。

 

 千手扉間。柱間ちゃんの弟。生前大して興味も無かったから当初はこれといった感慨もなかったが、少し意外には思った。アイツ、復活したのか。

 

 何やらこそこそと死者が生者から隠れて活動している。実に不自然極まりない。あれで隠れているつもりなんだから笑わせる。目的はなんだ? ワタシは再び『目』を凝らす。半身ちゃんの分裂体にほんの僅かな思考誘導をかけながら扉間ちゃんの行動の跡を辿る。

 

 そうしていると、やがてワタシの『目』は一人の人間を映し出す。

 

 濁った朱色の髪を持った少女。だけど、当然ただの少女ではない。扉間ちゃんの魂を浄土から引っ張り出し、浄土とパスの繋がった歪な魂を無理矢理依代たる死体に繋げて穢土を闊歩させる死霊術師。しかも転生者ときた。その目的は……ふうん? 成る程? 

 

 未来改変の部分的阻止……ね。自分の存在と行動によって生じた自己の認識する未来との齟齬を修正したい。至上目的は、自己の生存確立か。

 

 自分が死ぬという未来を変えたいが、大きく未来を変えたくはない。変革したいところだけを変革して、後はそのままにしておきたい。本人の認識する『原作』とやらの、そのままに。

 

 なんとも都合のいい願望だ。それに、()()()()()()()()()()()()。実に意味がない。

 

 ただし、そのために外法にまで手を染めようという根性だけは評価できる。自身の欲望のためになりふり構わないというスタイルには共感しよう。ワタシでもそうする。

 

 だが、となれば、ワタシには確実に云えることがある。確実に語れることがある。

 

 扉間ちゃんも、どうやらワタシに語って欲しいことがあるようだ。当然だ。転生者。それも自称異世界転生者による未来予知で自身の行動を決定するなら当然付き纏う疑義だ。そしてその疑問に答えられるのは、世界広しといえどもこのワタシくらいのものだろう。

 

 扉間ちゃんはそのうちこの湿骨林へとやってくる。ワタシに疑義を問い質しにやってくる。生前と違い、扉間ちゃんはワタシの元まで辿り着ける。

 

 久方ぶりに、いい暇潰しの玩具が手に入りそうだ。あのガキどもの企みを、こちらの娯楽に利用してやろう。

 

 そうと決まれば歓迎の用意をしなければ。どう出迎えよう。どう台無しにしてやろう。考え事があるというのは実に喜ばしい。せいぜい頭を悩ませよう。とびきりの愉悦を感じるために、一生懸命準備しよう。

 

 どうせ永くは保たないだろうが、何しろ扉間ちゃんは死人だ。これ以上死ぬ心配がない以上、他の有象無象より幾許かは楽しめる。ちなみに自称異世界転生者の少女は一撫でで壊れそうな脆さだったから初めから期待していない。それにからかうなら子どもの女よりも大人の男の方が楽しみが多い。己の権威に自信のある人間ほど失意と屈辱と絶望に突き落とした際の表情は愛おしいものだ。

 

 心が沸き立つ。体躯に朱が灯る。久方ぶりの感覚だ。ここまでの高揚は、柱間ちゃんの修行をつけたとき以来か? うんうん。流石は柱間ちゃんの弟だよ。楽しみにさせてくれる。柱間ちゃんと違って、一回死なないとその域に至れなかったのは残念だけれどね。殺す楽しみというものがない。それに、相変わらず才能も兄貴に遠く及ばない。修行をつけてやろうという気がまるで起こらないから、あくまでも玩具としての利用価値しかないところに残念さが際立つ。ま、そこもまた愛せる要素ではある。堕とし甲斐がありそうで実に良い。

 

 歓迎しよう。せいぜい屈辱を味わえるように、ここに来たことを後悔するように。

 

 あらゆる全てを台無しにしよう。

 

「だからさ。考えることをやめるとか、つまらないことは止めなよ」

 

 こっちはここ数ヶ月、君たちのために考えに考えて過ごしてたんだから、思考放棄なんて許さない。考えを台無しにするのはワタシであって、君じゃない。何をするつもりか知らないが、意識を手放すつもりならこっちにも考えがある。

 

 今ワタシの目の前に転がっている、ワタシの酸によって四肢と胴体を溶かされ、首だけになった扉間ちゃん。彼の身体は最早己のチャクラを練ることが不可能だ。浄土から流れ込むエネルギーはあくまでも只のエネルギーに過ぎない。穢土転生体は浄土から流れ込むエネルギーを使って魂の依代たる身体を形作り、そこから発生する身体エネルギーと精神エネルギーからチャクラを練るという仕組みを持つ。浄土のエネルギーが常に依代を完全な状態に保とうとするが故に、穢土転生体は無尽に己のチャクラを練り続けることが可能になる。穢土転生という術はエネルギー循環の摂理を完全無視するような代物ではない。現世の外に位置する異界から膨大なエネルギーを引っ張り込んでいるだけだ。理論の欠片もない摩訶不思議な術ならともかく、仕組みが明瞭で法則に支配された術式であるならば対策のしようもある。

 

 浄土のエネルギーをそのまま利用する術を忍は持っていない。浄土のエネルギーとは云うなれば浄土における自然エネルギーのようなものだ。これを自在に扱おうと思ったら、仙術と似たような手法でもって浄土のエネルギーを吸収し仙術チャクラのように己のチャクラへと還元してやる必要がある。扉間ちゃんは仙術のノウハウの一部を中途半端に流用して術式を組み立てたみたいだけど、結局は依代生成のためのエネルギー源という限定された方向でしか術式を組み立てることができなかった。術式そのもののレベルは、大蛇丸とかいうガキが作った、自然エネルギーを取り込んで身体構造を書き換える『呪印』の仕組みと大した差がない。自然エネルギーについてある程度知識を持った人間からすれば、あの術は大して難しい術ではないのだ。

 

 さて、ここまで分かれば対策は簡単だ。穢土転生体は、その依代を破壊し、再生を一時的に阻害しただけで機能しなくなる。

 

 浄土のエネルギーはそのままでは忍術に使用することができない。浄土のエネルギーで依代を作り、その依代から身体エネルギーを抽出し魂の持つ精神エネルギーと練り込ませると云う手順が不可欠だ。浄土のエネルギーが依代と魂を常に万全に保つからこその無尽のチャクラ。であれば、依代か魂、そのどちらかを不全に追い込むだけでチャクラの供給は止まる。一番簡単なのは、例えば経絡系の破壊がそれだ。

 

 チャクラの生成と循環には経絡系と点穴の存在が必要不可欠。ワタシがやったように再生不可能な状態で胴体を吹き飛ばしたり、或いはもっとスマートに点穴を刃物か何かで貫いてやるだけでも穢土転生体のチャクラ生成は停止する。

 

 ちょっと再生能力があって、エネルギーを随時供給できるだけの死人など造作もない。ちょろすぎて欠伸が出るってもんだ。

 

 それでも、ワタシは期待している。扉間ちゃん、君は一体、この進退極まった状況をどう打開してくれるのだろう? 

 

 考えることをやめる? それだけではどうにもなりゃしない。だけど諦めたにしては、扉間ちゃんには某かの確信がある様子だった。きっと何か手があるのだろう。残念ながら扉間ちゃんの野郎本当に考えることを止めやがった様子で、気絶したみたいにその思考からは何も読み取れない。

 

 楽しみだなぁ。この子は一体、ワタシに何を見せてくれるのだろう。

 

「どうすんの扉間ちゃん? そんな状態で、一体何ができるって──」

 

 今の扉間ちゃんにワタシの声が聞こえてるかどうかも定かではないが、まぁ、煽っといて損はないだろうし煽るだけ煽ってやろうとワタシが言葉を続けたその時。

 

 ガリッ! と、扉間ちゃんが口の中で何かを噛み砕いた。

 

 なんだ? 何をした? 大体思考もしてないくせに何ができるって──。

 

 そう思ったその時、

 

「──うわッ!?!??」

 

 ドカッ! と、いきなり側頭部に衝撃が走り、幼子の軽い体躯が弧を描いて吹き飛ばされた。痛くも痒くもないが、軽く驚かされた。あれは、

 

「──扉間ちゃん、の、影分身?」

 

 腰を屈め首だけとなった扉間ちゃんを持ち上げる、五体満足のもう一人の扉間ちゃん。チャクラのみにより身体を構成されている影分身をそれと見抜くのは容易だが、しかし仕組みがわからない。忍術発動に必要なチャクラリソースはどこから供給した? まさか最初から影分身を一体待機させていましたなんてこと、ワタシの体内でワタシが見逃すはずもなし、あれが出現するなら相応のからくりがあるはず。そう思って扉間ちゃんの首に目を戻せば、あにはからんや、先程よりも頭に流れるチャクラ量が増幅している。彼の思考は現在まったく働いていないから、ワタシは仕方無く『目』を凝らす。相手の考えが読めないなら客観的事実からからくりを暴くしか方法がない。酸の池から離された扉間ちゃんの首に塵が寄り集まり始めているが、そんな現状よりもよほど気になることだ。

 

「……七尾のチャクラ。ああ。なるほどね」

 

 ワタシは扉間ちゃんの頭と分身に流れるチャクラに尾獣の気配を読み取り、同時に、影分身のからくりを理解する。

 

「『英雄の水』か」

 

 かつて滝隠れの里において生産されていたチャクラ増幅薬。確か、その生産者を扉間ちゃんは穢土転生で復活させていたのだったか。いざと云うときのためにそれを口の中に仕込んでいたのか。自分でチャクラを練れなくなった時、すぐに使えるチャクラを補充できるように。無尽のチャクラを練り込める身体のくせに、なんとも抜け目のないことだ。

 

 そして、再び塵によって身体を構成させていく扉間ちゃんの、生気を感じさせない真っ暗な瞳を見ることで、ワタシは同時に扉間ちゃんの最後の思考の意味を理解する。

 

「考えることをやめる。確かに、()()()()、思考を止めた状態で動けるわけだ」

 

 穢土転生の術には転生体の意識を縛り付け、かつある程度自律した動きを再現する自動運転モードが組み込まれている。状況に合わせて転生体の記憶からその状況に合った生前の行動を再現し対応すると云う機能だった筈だが、成程。確かに意識がない状態でそのまま動かれては思考を読むことはできなくなる。扉間ちゃんは、自身の支配権を自ら組み込んだ術式に委ねることで、ワタシの読心に抵抗して見せたわけだ。

 

 だけど、決められたパターン通りにしか動けないロボットじゃ、ワタシは倒せないゾ? 

 

 両掌をかざし、ワタシは扉間ちゃんに向かって酸弾を次々と発射する。穢土転生の再生度合はまだ五割といったところだが、完全に回復するまでワタシがゆるゆると待ってやる道理もない。一発でも掠めれば人間一匹分の質量などすぐに溶かせる酸の塊を扉間ちゃんへと送り出す。

 

 しかし酸の弾は一つとして扉間ちゃんの身体を溶かすには至らなかった。影分身が印を結び、口から激流を吐き出す。『水遁・水陣壁』。水流に水弾が衝突し、流体が混ざり合い勢いが殺される。ふうん。ただ酸を吐き出すだけじゃ、壁で守られちゃうのか。堅いだけの壁なら溶かし尽くす自信があるけど、水流相手じゃ、それも厳しい。

 

 なら、もっと物理的破壊力のある手段が必要か。再生や回復に特化し、癒しの力を鍛えてきたワタシはそもそもがあまり戦闘向きなタイプではないから、自前の攻撃手段にこれといって思い当たる節はない。けれど、まぁ、やろうと思ってできないこともワタシにはほとんどない。ワタシはこの数千年間、色んな戦場を対岸から観賞してきた。それらの記憶を参考に、有効な攻撃手段を作り出すことは然程難しいことじゃない。一瞬で背後に回り込み、何やら掌に怪しげなチャクラを溜めて掌底を打ち込んでくる影分身をひょいと避けて、振り向き様に蹴り倒しながらワタシは考える。軽く一撫でしただけでその影分身は消えてしまったが、その間に扉間ちゃんは更に影分身を二体作り出し、左右から回り込ませていた。こちらに考える隙を与えない気かな? 意識もないし、まだ印もろくに結べない程度しか再生してないくせによくやる。印無しの術発動でこのスピードと精度は人間としてはかなり驚異的だ。自分が開発した術だから慣れているというのも有るだろうけど、それにしたって埒外だろう。

 

 まぁ、あくまでも人間にしては、のレベルだけど。

 

 ワタシは体勢を変化させることもなく、ノーモーションのまま左右に迫る影分身と、正面で()()()の影分身を盾にしながら再生を続けている扉間ちゃんに向けて酸の弾丸を撃ち出す。今度の弾丸はよりコンパクトに、速度を付けて射出する。例え水流の盾であっても、これだけの威力ならば生半可な壁はぶち抜くであろう一撃だ。

 

 左右から迫っていた二体は防御する余裕もなく弾丸に撃ち抜かれて消失した。だが、二体と比べて多少距離のあった四体目は、本体を抱えた状態で弾丸を避けてみせる。

 

 まるで瞬間移動でもするように、一瞬で。

 

(壁にマーキング……。飛雷神の術か)

 

 この湿骨林は現在異界化しており外と空間的に断絶している。そのため時空間忍術の類いを使うことができないと云ったのは確かワタシの筈だったが、あの男、ワタシのアドバイスをまるで無視してきやがった。まあ確かに、態々云いはしなかったが、あの言には例外が存在する。

 

 よくよく考えれば当然の話ではあるが、外との空間的な繋がりが途絶えていても、湿骨林と云う空間自体は連続している。そのため湿骨林内のみに完結した時空間転移はやろうと思えば実行可能なのだ。ただし、

 

「……異界化した湿骨林の空間特性を時空間忍術に対応させないと、そんなことできないはずなんだけどにゃー。まったく、いつの間に解析したんだか」

 

 脳内を覗くこともできないワタシに扉間ちゃんが回答を寄越すはずもないが、それでも思わず呟いてしまう。

 

 感心を通り越して、ワタシの内に去来する感情は最早呆れの領域だ。

 

 自動化された筈の動きでワタシの仕掛けた罠や攻撃にこうも柔軟に対処されるとまるでワタシの思考が機械的思考に劣ると言外に揶揄されているようにすら感じられてくるが、しかしあの男の『自動化』は何かおかしい。

 

 ワタシが記憶する限り、穢土転生の自動化というやつはもう少し融通が利かなかった筈だ。相手に合わせて行動パターンを変えることはできても、相手に合わせて行動パターンを新たに作り出すことはできなかったと記憶する。

 

 だが、現在扉間ちゃんの影分身が移動のついでにクナイに結びつけて投げて寄越している封印術式は、どう記憶を探っても過去に前例の無い新術式だ。術式の粗さからして、私専用に即席でカスタマイズした代物であることは明白。そんな高度な思考、自動化された状態でできるのか? ワタシは四方に囲むように刺さったクナイを、術式が発動するより先に地面ごと押し流しながら考える。地面などと云うが、この地面もまたワタシの身体の一部なので、地形を変えるくらいは造作もない。

 

 さて、思考の時間だ。一瞬で部屋の中を縦横無尽に動き回りながらこちらに致死性の高い攻撃を加えてくる扉間ちゃん相手に考えながら対抗するのは本来至難の技だが、生憎こちらは分割思考にそれなりの自信がある。それこそ本来の力を大部分制限されているワタシではあるが、扉間ちゃんに対処しながら思考を深めるくらいわけはない。

 

 さて、どうして扉間ちゃんは思考をしないままこうも動けるのか、そのからくりを考えよう。なんの種もなしにこんな芸当ができるほど、扉間ちゃんは天才じゃない。

 

 例えば先程の封印術式。新術式とは云ったが、ベースに四象封印が使われていることまでは術式をチラとでも見れば何となく読み取れる。ワタシという存在の有する膨大なチャクラを半身ちゃんの身体に移し替えて無力化してしまおうというコンセプトがありありと読み取れた。無理に存在を消滅させずにその力だけ奪い取ろうという考えは実にワタシにとって不都合極まりない。術式が完璧に発動していたら実際無事ではいられないレベルの封印式だった。

 

 ただ、強大な封印式にありがちなことだが、術式発動に陣を構築する必要がある点は大幅減点ポイントだ。地形操作の手段を持つワタシを相手に陣を形成したいなら、まずワタシの動きを完全に封じてから発動させなきゃさっきみたいに防がれてしまうし、そんなことができるんだったら苦労はない。尚且つ、術式自体のベースとなるものが読み取れてしまうと対抗術式を構築することも容易なので、例え発動したとしても実際は大した脅威になりえない。本来中規模以上の儀式場が必要な四象封印を用途を限定して再構築することでクナイ4本分の「場」に抑えてみせたアレンジ力は評価するが、まだまだ実戦でワタシ相手に活用するには準備不足だ。まぁ、()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()

 

 瞬間であらゆる決着が確定してしまうような戦闘の場合、あんな粗雑な術式でも一定の効果が見込める場面が存在する。云うまでもない。陽動と足止めだ。

 

 最初に扉間ちゃんが一体目の影分身を繰り出してから現在まで、秒数にして凡そ7秒弱。そのうちワタシが封印式の破壊に要した時間は1.3秒。使い捨ての術一個で稼げる時間としてはあまりにも膨大な時間である。あの封印式は、時間稼ぎとしては十分以上の働きを見せたと言っていい。その証拠に、扉間ちゃんはその後もワタシが態々時間を掛けて対応せざるを得ないような目新しいアレンジの入った術式を繰り返し発動し、ワタシはその度に時間を稼がれる。結果的に、

 

「あーあ。復活されちゃったし」

 

 数秒後、影分身に抱えられていた扉間ちゃんの身体は完全に元通りに再構築されてしまっていた。そして、そうなると必然的に戦闘のスピードはさらに跳ね上がることになる。

 

 絶妙に魔改造された目新しい封印式を随時飛ばしてくるだけならいくらでも対応の仕方は存在するが、それが二つも三つも同時に飛ばされると、段々対処が難しくなってくる。そして対処に時間を取られると、部屋のあちこちに次々とマーキングを貼られて扉間ちゃんの行動の幅が広がりこちらが攻撃を当てること自体が難しくなってくる。厄介至極極まりないし、同時に最初の疑問に立ち返ることになる。

 

 単調な行動しかとれない筈の自律行動で、どうして扉間ちゃんはこんな動きができる? 

 

 思考を読み取ることはできない。あまり深く読み取っている暇もないので表層を浚っただけではあるが、扉間ちゃんが頭の中で何か作戦や術式を随時考え出しているわけでは無いことくらいは分かる。では、ワタシとの戦闘で臨機応変に繰り出しているオリジナルアレンジの含まれた封印術式は予め扉間ちゃんが用意していたものなのか? いや、それは有り得ない。扉間ちゃんがワタシに読心能力が有ると分かるまでの間に思考していた対抗手段に、あんな術式は欠片も存在していなかった。扉間ちゃんが準備を整えて出したにしては拙い術式精度を見ても、あれはその場で用意したものとしか思えない。

 

 だがその状況がおかしいのだ。思考を行わないままに術式の改造を行うなんてこと、人間の持つ思考形態では絶対に不可能なのだ。

 

 ワタシの人心解読の経験上、人間には三つの思考処理段階が存在することが分かっている。

 

 一段階目は反射処理。何かの要因Aに対して何か言語的処理するまでもなく自動的に身体的処理を引き出す段階。後ろから「わっ!」と声を掛けられたときにビクリと身体を震わせたり思わず回し蹴りを食らわしてしまう時に行われる完全無意識の行動処理がこれだ。厳密には思考とすら呼べないこの段階を、ワタシは第一段階に設定している。

 

 二段階目は感情処理。何かの要因Aに対して何となくプラスやマイナスの感情を向ける時に行われる処理がこれだ。云うなれば非言語状態における感情の発露。後ろから声を掛けられたときに内心ムッとしたりニヤリとしたりする時に行われている処理である。これは最初の一段階目と似ているようで、明らかに一段階目以降に行われる処理段階だ。一段階目と同じ無意識下から始まる処理ではあるが、感情を浮かべるという行為は、ある程度意識の余裕がなければ起こすことはできない。意識と無意識の間に存在する処理段階。故に、非言語的な感情処理をワタシは第二段階として位置付けた。

 

 そして最後の三段階目が言語処理。要因Aに対して、何故反応したのか、どういう感情を向けたのか、それに対してどうするべきなのかを言語的に処理する段階がこの言語処理段階である。行動や感情の言語的カテゴライズ。我々が一般的に『思考』と呼ぶものはこの第三段階のことだ。そして我々が『思考』と呼ぶ行為はそれ自体にも幾つかの処理段階が存在するが、今回の場合はそれら全てを引っくるめてこの第三段階としている。

 

 ワタシが自然エネルギーを通じて読み取ることができる思考と云うのは第二段階から先の処理段階だ。何となくの感情と、言語化された思考。これらを感知し読み取ることで、ワタシの読心術は成立している。

 

 以上の定義から、ワタシが読み取ることのできない思考が有るとすれば、それは第一段階。反射的な非言語状態の思考に限定されるということになる。穢土転生の術式に組み込まれた自律思考というのも、この第一段階の思考処理に分類される。

 

 穢土転生の術式に組み込まれた自律思考は厳密には思考補助術式ではなく行動補助術式だ。ある要因Aに対して、その要因Aに一番近い状況を死者の経験記憶から引き出し、その経験記憶に基づいた適切行動を自動で選択し行動として表出させる。非言語状態の反射的行動を選出する補助術式。云うなれば反射補助であり、言語的応対すらも反射で行わせるのがこの術式の本質だ。そこに本人の意識や思考は一切介在しないため、この術式は穢土転生の反乱抑止効果が有ると云う訳である。

 

 第一段階の思考処理能力のみを用いて行動する故にワタシは穢土転生の術式処理を読み取ることができないわけだが、しかし前述の通り、過去の経験記憶から行動を選択すると云う単調な仕組みである故に、クリエイティブな行動が取れないのがこの術式の弱点でもあった筈だ。

 

 にも拘らず、扉間ちゃんは自律思考に行動を一任しながらも、自ら新しい術式を随時創り出しながら戦闘を行っている。これは、従来の穢土転生の術式からは到底考えられない現象だ。

 

 扉間ちゃんは、一体何をしでかした? 

 

 ワタシが扉間ちゃんを圧倒するには、この疑問を解消する必要がある。種さえ割れれば、大抵の事象に対応するだけの自信と自負は持ち合わせているつもりだ。

 

 そして、種を割るための手段は、既にワタシの手の内にある。ワタシの仙人としての固有能力をもってすれば、あらゆる秘密は全て白日の下に晒される。

 

 ワタシが覗き見るものは他者の思考のみに非ず。ワタシは『思考』だけでなく、『記憶』もまた、自在に読み解くことができる。

 

 脳内の電気信号としての記憶を読み取るとか、そんなちゃちなもんじゃあ、断じてない。ワタシは見聞きし触れたものならば生物非生物問わず、有機物無機物問わず、あらゆる全ての『過去』を映像音声記録として頭の中に再現できる。回復と再生に特化しているワタシの仙術を極めるには、回復先の万全の状態を理解するための過去視が必要不可欠だった。傷付いた他者を治療する際、その回復・再生に不足や過多があってはならない。患者の身体的情報を読み取り、対象の万全状態や最盛期を解析し、現在と比較することで初めて完璧な治療準備が完成する。その手段を模索し続ける内に、ワタシのこの力は自然と身に付いていた。妙木山には記録石と呼ばれる過去の映像記録を保存する水晶玉があるが、あれは元々ワタシの固有能力に再現性を持たせるためにワタシが作成した玩具だ。能力を完璧に再現するには至らなかった失敗作であり、自分でできることを再現する玩具を自分で持ってても無駄だから交易の一環で妙木山に売り渡したガラクタ石。今現在までしぶとく受け継がれてしまっているが、封印されると予め分かってたらあんなもんさっさとぶっ壊していた。なまじヒントを残してしまったが故に、扉間ちゃんみたいなのにワタシの能力を推察する材料を与えてしまっている。

 

 過去を知る者は現在の全てを知ることができる。扉間ちゃんの不可解も、過去を紐解けばその種は確実にそこに存在している。ワタシを目の前にして、隠し事なぞ通用しない。確実に病巣を診断し、患部を洗い出す。

 

 だが、そんなワタシの過去視も万能ではない。そもそも戦闘状況を想定して身につけた固有能力ではないのだ。だから過去を読み取るとは言っても、一瞬で全て読み取るなんてことはできやしない。落ち着いた状態で集中して、ゆっくり時間を掛けて自然と対話することでワタシは初めて過去を覗き見ることが許される。正直、扉間ちゃんとの戦闘中にそんなことをしている暇はこれっぽっちも存在していないのだ。だから、ワタシはなんとしてでも、扉間ちゃんから時間をもぎ取る必要がある。

 

 さて、どうやって扉間ちゃんから隙を作ったものか。元々の攻撃手段に乏しいワタシでは相手の思考が読み取れないと上手い立ち回りが思い付かない。それに引き換え向こうは手を変え品を変え、次々と見覚えの無い術式を投げて寄越しやがる。こうまで執拗に過去に前例の無い封印術を繰り出してきやがるのは、まぁ、この男がそもそもワタシの固有能力をある程度推測してからここに来てやがるから仕方ないにしても、段々手口が嫌らしくなってきてるのが我慢ならない。ひとつの封印を避けたら更に封印が飛んでくるどころじゃない。一つの封印を解除したら実はその行動が次の封印の発動条件だったみたいなことが既に複数回起こっている。どの封印術も食らったら無事じゃすまない種類のものばかりで一々ドキリとさせられる。そして何よりこちらの行動パターンが読まれ始めていることに苛立ちが隠せない。そもそもあちらの攻撃手段が初めから封印術に限定されている辺りワタシの対処法が心得られている。仮に封印術以外の術を使用したとしても、扉間ちゃんのそれは封印術発動の起点作りとして使用している節が強い。ま、ハゴロモの時点で封印術にやられてるんだから、封印術が弱点と思われるのも仕方ないか……。なんて思っていたら、知らない内に結界術に閉じ込められそうになっている。封印術にばかり注意を向けていたら今度はこれか! 影分身三体と本体でミニ『四赤陽陣』とはまたテクニカルなことを……! マーキングの配置はこのための布石か……!? あ、やっべ。逃げ道な──

 

「ふぬおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!」

 

 バシャッ!! と、ワタシは盛大に自らの身体を千々に吹き飛ばす。作りかけの四赤陽陣の壁に当たった身体の残骸は焼失。ワタシは一度自らの身体を完全に滅殺した。

 

 ──危ない危ない。あんな結界に閉じ込められて何らかの封印術でも上書きされようものなら、ワタシの精神エネルギーが結界の外に出られなくなるところだったぜ。

 

 部屋の壁からにゅるりと再び現れたワタシは、ふうとため息をつく。身体を消失すれば、ワタシの意思は分裂体の中から再び浮き上がりその身体を再構築させる。ハゴロモの封印のせいで出現位置は封印部屋の中に限定されてしまうが、何度でも復活し直せることに変わりはない。だが、何事にも例外はあるもので、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()は、その限りですら無くなってしまうのだ。具体的には、ワタシの固有精神エネルギーを一定箇所に閉じ込められてしまうと、その原因を取り除かない限り遠隔での再生は不可能になってしまう。原理としてはハゴロモの施した封印とほぼ同じだ。封印術に限らず、固有精神エネルギーを一定空間内に閉じ込められる結界忍術の類いにワタシは弱い。四赤陽陣なんてその最たるものだ。物理的にもエネルギー的にも最強硬度を誇る結界に閉じ込められて、その後何をされるのか想像するだけでも悍ましい。まったく! 慌てすぎて思わず変な声出しちゃったじゃんか! 恥ずかしいなあもう! 

 

 文句の一つでも云いたいところだが、今の扉間ちゃんに文句を云っても、通じるかは甚だ疑問だ。まったくつまらないことこの上ない。ワタシは人間の感情を観察したいってのに、感情発露を抑制されたお人形と戦ってもまったく面白味を感じない。ワタシは苦しんでいる人間が好きなんであって別に戦闘好きな訳じゃないんだから、こんな戦い続けても不毛なだけだ。

 

 何とかして、扉間ちゃんの意識を浮上させてやらないとなぁ。じゃないとつまらない戦いのままワタシが翻弄されかねない。

 

 ていうか、もうされかけてる。

 

 ダメダメダメ! 翻弄するのはワタシの役割だってば! 

 

 でも実際どうしたものか。なんて思っていると、壁の向こう側に気配を感じた。どうやら、扉間ちゃんの部下の三人がワタシの半身ちゃんの案内のもと、ワタシの部屋の前まで辿り着いたらしい。

 

 ふ、う~ん? なるほどねぇ? 

 

 これはもしやよもやひょっとすると、チャンスと云うやつでは? 

 

 ワタシはようやっと、自分の進退に光明を見出だす。さてさてさて、確実にこちらに乗り込んでくるであろうあの三人をどう活用すれば、扉間ちゃんに最大効率の心的ダメージを与えられる? 

 

 新規のお客様は三名様。秋道トリフ、うちはカガミ、多由也。

 

 有名、有名、無名。有能、有能、無能。玄人、玄人、素人。死者、死者、生者。うーん。どの目線から考えても、明らかに赤毛のガキが弱点っぽいぞ? 一人だけ生きてるし弱いし極端に才能ないし、その上奴等の作戦の要ときた。はっはぁ。なるほどねぇ。

 

 じゃあ、殺しちゃおっか♪ それ。

 

 それ以外使い道ないでしょそれは。常識的に考えて。

 

 なんて考えてたら、どうもどうやら外の連中、件の娘をこちらに招く気は無いらしい。むう。流石にむざむざ弱点を敵の眼前に差し出すほど甘い連中じゃないか……。

 

 うーん。じゃあ、それでもまだ甘いってことを分からせてやるかな? 

 

 さて、予定は立った。となればどうやって殺そう。どうすれば最大の効率で絶望的な状況に追い込める? 

 

 そういうことは、やっぱり扉間ちゃんを参考にするのが手っ取り早いかな? 扉間ちゃんなら、どんな術を使う? どうやって、壁の向こうに毒手を届かせる? 

 

 ……『水遁・水断波』。なるほどそういうのもあったな。

 

 じゃ、それでいこっか。うん。師匠の術で殺してあげるのも一つの結末としてありなのでは? まぁ、念のために更に殺傷性を高めて術式にアレンジ加えるけどね。万が一でも初撃で失敗したら、マジで逆転のチャンスが微塵もないし。

 

 そうと決まれば後は実践あるのみ、タイミングを合わせて扉間ちゃんを足止めし、壁に穴が開いた瞬間に術をぶちこむ。

 

 3……2……1……。どん。

 

 ワタシは足場をめちゃくちゃに崩して扉間ちゃんの機動力を削ぎ、同時に開いた穴に向けて酸の刃を叩き込んだ。

 

 結果は? ……ビンゴ! 

 

 ヒュウ! やったね! 大成功! 

 

「ワタシの酸を使った水の刃。差し詰め、『溶遁・酸断波』とでも言ったところかな? どんな防御も溶かして斬りつける、キミの術の上位互換を目指してみたんだけど、取り敢えず、キミの部下は一蹴できちゃったみたいだね?」

 

 壁のマーキングに飛雷神で跳び、崩れた足場から逃れていた扉間ちゃんに向けて、ワタシは勝利宣言を行う。

 

「なんてこと……あなたは!!」

 

 半身ちゃんが叫ぶ。流石は我が半身ちゃん。理想的な良い叫びを挙げてくれる。

 

「あはは! 半身ちゃんも迂闊すぎるんじゃなーい? ワタシ自身は封印の外に出ることは叶わないけど、流石に壁に穴が開いたら封印の外に攻撃を飛ばすことくらいはできるさね。キミの迂闊さのせいで可哀想に、うら若き乙女の命が散っちゃったじゃないか。ねぇ、キミもそう思うだろ? 扉間ちゃん?」

 

 意識があるのかないのか。聞こえているのかいないのか。この期に及んで無言を貫きこちらに攻撃を加えてくるあわれな機械人形に、ワタシは大笑いで問いかける。

 

 ああ! 愉快になってきた! こんな状況でも行動方針を変えないほどの鉄面皮だと云うなら、それはそれでなんとも愚かしくて滑稽だ! 

 

「さあさあ! 部下が死にかけてるぞ扉間ちゃん! キミはそれでも何も考えないでいられるのか!? 考えることを止めるなんてつまらないこと言わないでさぁ! もっと感情的になろうぜ! 阿鼻叫喚を、ワタシに見せてみろ!!」

 

()()

 

 むんずと顔面を掴まれる。おやおやなんだよつまらない、面白い。そっちの反応かよ。そっちの反応でも、結局愉快なことには変わりないゾ? 

 

 ビキキッ! と、ワタシの身体に呪印が走り、身体が硬直していく。成程、行動制御系の呪印か。ワタシの動きを封じて、次の本命を食らわそうって腹だな? そうは問屋が卸すか……よ! 

 

 自分が吸収した膨大な量の自然エネルギーを、扉間ちゃんの掌の接地面から勢い良く流し込む。コントロール不可の自然エネルギーは体内で暴走し、身体に致死的損壊を引き起こす! 

 

 ドロドロと、ワタシの顔を掴んだ扉間ちゃんの手が溶け、腕が溶け、身体が溶け、顔が溶け、ドロンと姿が掻き消える。あ? なんだよ影分身かよ。

 

 じゃあ、本体は何処だ? と、感知を走らせるとなんとも足の早いことで、扉間ちゃんの本体は既に壁の穴を抜けて、外で倒れ伏し、死へと加速度的に歩を進めている可愛い部下の下へと駆け付けていた。ああ、部下の身体にもマーキングを仕込んでいたわけね。いーやらしっ☆

 

 なんて思っていると、半身ちゃんが気を利かせたのか、壁の穴が急速に閉じていく。最後っ屁に攻撃を叩き込んでも良かったが、まあ、無駄っぽそうなので止めておいた。

 

 それよりも、この後どうなるにしろ再びやって来るであろう扉間ちゃんに対抗するために、ワタシはやるべきことがある。

 

「扉間ちゃんの思考封鎖の秘密、まるっと暴かせて貰いますよっと」

 

 今の内に、得られる情報は貰っておこう。外の半身ちゃんの目を通して、ワタシは扉間ちゃんを観察する。

 

 観察し、診察し、診断する。

 

 扉間ちゃんの、過去の姿を。穢土転生の、本来ならあり得ない挙動の正体を。

 

 そのついでに、せいぜい見学させて貰いましょう。高みの見物を決め込むとしましょう。

 

 扉間ちゃんが、きちんと部下の命を救えるのか、それとも救えずに、ワタシ好みの愁嘆場を披露してくれるのか。まぁ、どんな道に進んだところで、ワタシの暇が潰せると云う事実には何ら変わりがない。精々楽しませてもらおう。ワタシの退屈を取り除いてもらおう。面白い場面をワタシに見せておくれよ扉間ちゃんとその御一行!

 

 ところで、現在の目標はもっぱら扉間ちゃんなので、現在生命の危機に立たされている(倒れている?)赤毛の異世界転生系少女については大した興味も湧いていないワタシなのだが、それでも、そちらにまったく感想がないと云えばそれは嘘になる。

 

 思うことが、無いでもない。

 

 それはまぁ、赤毛の少女に限らず大抵の死に行く人間に対して抱く感想でもあるのだが、ある種の嫉妬のような感情を、ワタシは例に漏れず赤毛の少女に対して抱いていた。

 

 まったくこんな簡単に命の危機に瀕することができるなんて、羨ましい人生だよね。君たちは。

 

 死のうと思っても死ねないワタシからすれば、何時でも何処でもすぐに死ねる君たちの生態は、なんとも羨ましい限り。一人で勝手に逝っちゃうなんて、ちょっとずるいと思わない?

 

 ワタシの一生に後どれだけの退屈が付き纏うのか。ワタシは何時になったら終わりを迎えるのか。……終わりを迎えるのか? 考えただけでも、ワタシは恐ろしいよ。

 

 だから扉間ちゃん。ワタシは君に、割りと期待してるんだぜ? 

 

 奇想天外な術を幾つも見せてくれる君ならば、きっと何らかの予想外を見せてくれると、ワタシは君に期待する。

 

 だからどうか生半可な結末だけは止してくれ。劇的な最後をワタシに体験させてくれ。君が逝くかワタシが逝くか、そのどちらかはきっと見せて頂戴ね?頼むから。

 

 

 

 ▼次回につづく。

 




あとがき

いやはや思ったより文量が捗ってしまいまして、本当はこの話で決着をつけるつもりだったのに、決着は次回に持ち越しになってしまいました。

穢土転生の設定にしろ思考段階の話にしろ、あらゆる全ては私の持論ですので実際の以下略とは以下略。何でも説明しなきゃ気が済まないんですなぁ私は。

今回の話はあれですな。前半は、要するにメスガキ仙人が作り出される過程の物語と言うわけですな。はた迷惑な話じゃ…。

後半は…。がんばれ。扉間ちゃん。それだけです。

次回、誰が逝って誰が逝かないのか、無駄に張り巡らした謎はどうなるのか。余りに不明な敵味方双方の明日はどっちだ!?作者はとてもドキドキしております。お楽しみに!

前書きの一言に対する自問自答
「しゅじん…こう?」

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