前略。多由也に転生したけど、人生の詰将棋をしている気分です。   作:N-SUGAR

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ある意味危険だけど、とりあえず平和な日常回?なのかな?この物語でも、たまには日常回やりたいよね?そんな話を目指しています。お楽しみください。


ここで自分に向けて一言

「お前の設定がめんどくさい」




第七話 好敵手という糧。仲間という武器。

 君麻呂との衝撃的な初遭遇から、5ヶ月が経った。

 

 1ヶ月の昏睡から目が覚め、リハビリが大変なんだろうなと、起きて早々憂鬱な気分になりながらも、それからなんとかかんとか4ヶ月を過ごしたことになる。

 

 その間、大蛇丸様は一回も帰っては来なかった。

 

 定期的に帰ると宣言していた大蛇丸様が未だに帰って来れない所を見るに、『暁』での仕事というのは思った以上に厳しく隙のないものなのかもしれない。

 

 全治一年を宣告されただけあり、私は身体の全てが元通りとはお世辞にも言えない状態だった。移植されたという重吾の細胞や、柱間細胞が身体に様々な違和感をもたらし、活動に支障をきたす。

 

 とはいえ、幸い柱間細胞に関しては、どうやらエッセンス程度にしか使用されなかったらしい。一定以上の柱間細胞を移植した者特有の症状である、肌に初代火影、千手柱間の顔が浮き出るといった人面瘡のような恐怖体験は、今のところしないで済んでいる。だが、それでも最初の方は身体中がむず痒くなったり身体の一部がおかしな色に変色したり小さな木が生えてきたりと、目立った症状が複数現れて大変な目に遭った。

 

 カブトさんによれば、細胞が身体に適応しても、完全に馴染むまでには最低8ヶ月から12ヶ月は必要になるのだという話だった。

 

 しかし日々のリハビリが功を奏し、私と君麻呂の二人は、何とか最低限忍としての活動が送れるまでに身体機能を回復させることに成功していた。

 

 振り返ること5ヶ月前、いまいち記憶には無いのだが、私は君麻呂の頼みを断りきれずに修行の相手をすることを了承してしまったらしい。

 

 期待に目を輝かせる無垢な少年のような君麻呂を前に、私は拒絶の態度をとることができず、リハビリも戦闘訓練も君麻呂とこなすことになってしまった。

 

 今日は、私達がそんな入院生活を送り始めてから、何度目かの実戦訓練である。

 

「それじゃあ、始めようか」

 

 アジトの外。建物を隠すように生い茂る森の中。

 

 青の患者衣に身を包んだ君麻呂が、発煙筒を用いて私に訓練開始の合図を出す。

 

 私は、そんな君麻呂から数百メートル離れた木の影で、君麻呂と色違いの桃色の患者衣を身に纏って発煙筒の煙を確認していた。

 

 戦闘訓練。森における、忍同士の一対一の遭遇戦闘。

 

 今回は私に有利な条件下における模擬戦だった。

 

 ……とは言うものの、私達の格好を見れば判る通り、そんなにマジな戦闘訓練じゃない。軽く身体を動かす程度の、忍としてはむしろ準備体操に近いような訓練だ。私達はまだまともな戦闘にはドクターストップがかかるような、そんな状態なのである。

 

 私は印を結び、ここら一帯に広く『結界秘術・乱反響結界』を張り巡らす。これで、笛の音から自身の位置を特定される心配はない。

 

 更に。

 

(──―感度良好。クク……。居場所はバレバレなんだよ。君麻呂)

 

 大蛇丸様との戦いの時には術が未熟すぎてうまく働かなかった感知結界としての機能も、今の私なら十全に働かせることができる。そうして周囲の音と、結界を伝わる振動を掌握し、私は自身を隠しながら君麻呂の移動の様子をありありと聞き取ることができる! 

 

 それに、私は元々体術使いじゃないから、病み上がりと言っても普通に術を使うだけなら身体をそこまで酷使するわけでもない。

 

 対して、君麻呂はごりごりの体術使いな上に、使う術は骨を改造して身体を作り替えるという身体への負荷が大きい代物。

 

 その上呪印の使用は禁止されてるから、そもそも屍骨脈を十全に使用することすら君麻呂には難しい! 

 

 悪いがこの勝負は、私の勝ちだ! 

 

 私はほくそ笑みながら笛を構える。

 

 すると、

 

「甘いよ多由也」

 

 そんな声が聞こえたかと思うと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()! 

 

「なんだと!? 何故位置がばれた!?」

 

 声が反響し、森全体に私の声が乱反射する。

 

「相手の動きを感知する術を新しく修得したのは、何もキミだけじゃないということさ」

 

 猛スピードでこちらへと接近する君麻呂を仕留めるため、私は急いで笛を奏でる。

 

「それも無駄!」

 

 バサッ! と、君麻呂が軽やかにジャンプし、私の笛の音を意に介さず私の立つ木の枝に着地する。

 

 君麻呂が、私に骨の剣を振り下ろし、私はそれを手に持つ笛で受け止める。

 

 ガイン! と、笛と剣が、火花を散らして衝突する。

 

 君麻呂の剣なんか受け止めたら、笛なんて通常ひとたまりもなく断ち斬られてしまう。だが、今私が持っている笛は、特別製だった。

 

 先日、君麻呂に頼んで作ってもらった、君麻呂の骨を材料に作られた特注品。

 

 滅多に傷がつくこともなく、なんなら力いっぱい笛先を振るえば容易に人を撲殺することができる、凶器仕様。

 

 その上チャクラの通りもすこぶる良いというのだから、もう最高の横笛だった。

 

 私は数合君麻呂の剣と打ち合うと、隙を見て木の幹を駆け上がる。君麻呂もそれに続いて私の後を追ってきた。

 

 木の天辺に着いた私は足元を蹴って、隣の木の上に飛び移る。

 

 君麻呂は、木の天辺に辿り着くとそこで足を止める。

 

 そして、二人は向き合った。

 

「オイ君麻呂。どういうことだ。なんで異形化もしてねーのにウチの音が効かねーんだ」

 

「異形化しなくても、身体の中での精密改造を施せるように特訓したからね。骨伝導対策まで完璧さ」

 

 うげ。なにそれずるい。

 

 いや、待て。

 

「そりゃおかしい。じゃあ、なんでお前今ウチの声が聞こえてやがるんだ」

 

「だから言ったろ? 感知の術を修得したんだ。今のボクは周囲の微細な振動を骨で感じ取って、周りの動きを把握することができる。キミの声や笛の音も、聴覚ではなく触覚として、認識することができるようになったのさ」

 

 キミの骨伝導をヒントに開発した、ボクの新術だよ。ご覧の通り、いい感じだろう? 

 

 君麻呂は得意気な顔で私に自慢する。なにそれ怖い。

 

 この短期間で、どうしてそんな超スピードで成長してやがるんだコイツは。末恐ろしいとかそういうレベルじゃねーぞ。

 

 だが、ふうん? 

 

 ()()()()? 

 

 ()()()()()()()()()()

 

「ほほーう? 良いこと聞いたぞ? つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 私は君麻呂に指先を向け、挑発するようにニヤリと笑う。

 

 君麻呂はその言葉を聞くと、ゾクゾクと身体を震わせ、口角を上げる。

 

「恐ろしいな。それができたら、ボクはまた新しい対策を1から考えなければならなくなる。……というか、振動を吸収するような骨の鎧で完全に皮膚を囲って、一切の感覚を遮断するしかなくなってしまうよ!」

 

 周囲に静寂が漂い。風がざわめく。

 

 緊張の糸が張り詰め──―そして。

 

 ぷ! と。

 

 お互いを見つめる私達は、どちらからともなく吹き出し、笑いあった。

 

 確かに。

 

 認めるのは癪だが、君麻呂の言った通りだ。

 

 実力の近い者同士が修行すれば、新しい発想が生まれ、成長が促進する。

 

 それに何より、年の近い者同士が頭を突っつきあわせて作戦を考え訓練し合うのは、同年代の友達と悪ふざけをして遊んでるみたいで、正直、楽しい。

 

 君麻呂は、自分より格下だと思う相手には高圧的に接するが、同格以上と認めた相手には、相手を尊重した態度を取る。

 

 心を開くまでは難しいが、一度心を開けばこれほど付き合いやすい相手も珍しい。

 

 君麻呂を修行相手に選んだ私のうっかりの結果は、まあまあ上々だった。

 

 と、認めてやらなくも、……ない。

 

 うん……。

 

 …………。

 

 

 ともあれ、そんな感じで訓練を終えた私と君麻呂は、森の中で弁当を持ち出し、昼食を取ることにした。

 

「──だからさ。ウチは状態2になんてなったことねーんだって。そんなんチャクラがいくらあっても足りねーんだよ」

 

「そんなことはない! ボクは確かに見たぞ。君の状態2を。あの戦いの時に! ボクはあの姿を、もう一度見てみたい!」

 

「ウチの記憶に無いのなら無いのとおんなじだ。そのときたまたま呪印を制限なく解放しただけだろ。無理無理。そんな無茶もうできるかっつの。死ぬわボケ」

 

 私は自分で作ったおにぎりを頬張りながら、熱弁する君麻呂に答える。

 

 状態2……。状態2ねぇ。

 

 なりたいとも思わないし、だいたいそんなにメリットあるのか? あれ。

 

 原作の多由也だと、状態2になっても上忍に追い付けないくらいの実力しか発揮できなかったじゃないか。

 

 天の呪印が多少特別だったとしても、身体の形を変えられるとか、変な形の翼を生やせるとか、そんな感じだろ? 

 

 私に意味あるか? それ。

 

 空を飛べる翼は少し魅力的だが、当面の間は身体強化ができればそれで十分だし、それなら仙人モードの方がよほど頑丈な気がする。

 

 わからないけど。

 

 そんなことを思っていると、君麻呂がずいっと身体を寄せてきて、私に言う。

 

「今、一度だけやってみないか?」

 

「あまり無茶はするなってカブトさんの言葉を忘れたのか? 医者の言うことはよく聞くもんだぞ」

 

 そっけなく答えると、君麻呂はしかめっ面をしてむくれる。

 

「カブトなんて……。いや、それ以前に、ボクと同レベル以上の君が、状態2になれないなんてことは絶対にないはずだ。君なら余裕でできる」

 

「だから、お前の方が実力も才能も余裕で上なんだって。何度も言ってんだろーがこの天才バカ!」

 

「そうやっていつもボクを立ててくれるのは嬉しいけど、あまり過ぎた謙遜は君の実力を半端に鈍らせると、それこそいつも言っているだろう!」

 

 あーダメだ! こいつ話聞かねー! 

 

 君麻呂はいざ関係を持ってみると付き合いやすい相手だが、それでも、たまにこうやって人の話を全く聞かなくなるのが玉に瑕だ。

 

 自我が強いんだよな。コイツ。

 

 はあ……。と、私は大きくため息をつく。

 

「分かった。やってやるよ」

 

「おお! ついに!」

 

「そんでお前を殴る」

 

「なんで!?」

 

 困惑する君麻呂に構わず、私は、それこそ5ヶ月ぶりに首筋の呪印の封印を解く。

 

 あれ? 

 

 と、ここで、まず違和感に気付く。

 

「勝手に発動しない……」

 

 今までの呪印は、私が封印の秘術で無理やり抑え込むことで呪印の発動を防いでいた。そうでもしないと、呪印が少しでも私のチャクラに触れた瞬間、勝手に発動して身体を侵食し始めてしまうからだ。

 

 ……重吾の細胞を身体に取り入れたことで、呪印への適合力が増した? 

 

 何にせよまた呪印について研究する必要を感じた。

 

 私は、今度は意識的に呪印へとチャクラを流し、呪印を活性化させる。

 

 ぞわぞわぞわ……。と、呪印の痣が、私の身体に広がっていく。

 

 そこで、更に気付く。

 

 あれ? 

 

 なんだ? この感じ……? 

 

 チャクラ量が……増えてる? というか、これは……。

 

「仙術チャクラ?」

 

「ん? どうした?」

 

 君麻呂が不思議そうに尋ねる。

 

「え? いや、あの。あれ? 呪印で……。仙術チャクラ?」

 

 私は、混乱した頭でしどろもどろな言葉を繰り出してしまう。

 

 おかしい。私が自分の呪印を研究した段階では、呪印は自然エネルギーを取り込むだけのもので、仙術チャクラを練る段階まではいかなかったはず……。

 

 だが、君麻呂が次に言った事が、私を更なる混乱の淵に叩き込む。

 

「どうしたんだ多由也。呪印は、仙人のチャクラを作り出すものだろう? 一体何を……」

 

「え?」

 

「え?」

 

 え? 

 

 私は、ポカンとした表情で君麻呂を見つめ、君麻呂も、ポカンとした表情を返す。

 

 呪印が、仙術チャクラを練る? 

 

 いや、だって……。

 

 あれ? でも、原作のサスケが出した、仙術スサノオは……。

 

 あれ? 

 

 おかしい。

 

 何かがずれている。

 

 ()()()()()()()()()()()()? 

 

「……呪印は、仙術チャクラを練るもの……なのか?」

 

 私は、恐る恐る君麻呂に尋ねる。

 

 君麻呂は怪訝な顔をして

 

「だから、そう言ってるだろう。呪印というのは、重吾の細胞を取り込むことで、自然から力を得て、それをチャクラに還元するものだよ」

 

 と、答えた。

 

 嘘だろオイ。

 

「でも、ウチはそのチャクラを作ったことがない」

 

「はあ? そんなの、大蛇丸様の作られた丸薬を飲んで、重吾の細胞に身体を適応させれば誰でも自然に……」

 

 ああ。分かった。

 

 そこまで聞いて、理解した。

 

 そうか。そうだったのか。()()()()()()()()()()()()()()()!! 

 

「……多由也。詳しい話を、聞かせてくれないか?」

 

 君麻呂が、真剣な表情をして、私の困惑の訳を尋ねる。

 

 私は、話を整理するために、君麻呂に私の今までの呪印の解釈を白状した。

 

 私が、一度でも死ぬのが怖くて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ことも合わせて……。

 

 …………。

 

「……成程ね」

 

 と、話を聞いた君麻呂は頭痛を堪えるような表情をして私の解釈を飲み込む。

 

「ボクも、そこまで大蛇丸様の研究に詳しい訳じゃないから確かなことは言えないけど、君の話と、ボクの感覚と、あと、重吾との会話の記憶から言わせてもらうと……」

 

 君麻呂は、言葉を選びながら話す。

 

「君の言う自然エネルギーが、体内に入り込んで、それが身体能力の強化や異形化を引き起こす。これは、正しいと思う」

 

 まずは、私の解釈を肯定し、そして。

 

「でも、それは、取り込まれた自然エネルギーが重吾の細胞でボクたちのチャクラと反応し、仙術チャクラを精製した後、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 私の間違いを、修正する。

 

「重吾の一族はね。その自然エネルギーを取り込んで、特殊なチャクラを作り出すことができる珍しい一族なんだ。彼らは特殊なチャクラを持つ一族のその能力を『仙人化』と呼んでいる」

 

 その呼称は、知ってる。

 

 原作にあった。

 

「だけど、この仙人化の能力が上手く使えないと、身体に不自由な異形化が起こったり、精神が安定せず意図しない衝動を引き起こしてしまうことがある。そして、重吾の呪印を他人に適合させる時、それらの症状が現れないように呪印を安定させる身体に作り変えるのも、大蛇丸様の開発したあの丸薬の効能だ」

 

 だけどそれは、知らなかった。

 

 大蛇丸様の過去の研究資料の中で、呪印に関する資料が極端に少なかったせいだ。

 

 おそらく大蛇丸様は、研究資料をその研究を行う実験場毎に保管していると思われる。

 

 万が一どこかのアジトが敵に占領された際、全ての資料を奪われないようにするリスク分散の要領だ。

 

 だから私は、呪印に関する資料は原作で重吾がいたという北アジトにあるのだと確信して、仕方なく自分で自分の呪印を分析したのだ。

 

 今回は、それが裏目に出たと言える。

 

「呪印は、君の言う仙人モードとかいう技と比べてチャクラを無駄に消費しているという話だったけど、おそらくそれは、異形化を随意的に行うよう余分な自然エネルギーをコントロールするのにチャクラが必要だからだと思われる」

 

 成程それなら、辻褄は合う。

 

 つまり私は今まで、自然エネルギーを取り込んで、本来呪印に適合してれば自然と起こるはずの「仙術チャクラを精製する」という過程を省いて、異形化直前で呪印を止め、その()()()()()()()()()()()()をコントロールして、身体機能の強化を行っていたというわけだ。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あー……」

 

 私は項垂れる。

 

 そっかー。まじかー。

 

 勘違いしちゃってたのかー。

 

 …………はずかしっ!! 

 

「ボクは今まで多由也のことを冷静で頭が良いと思ってたんだけど、もしかして意外とバカ?」

 

「ばっ……! ちげーし! 単に知らなかっただけだし!」

 

 君麻呂に追い討ちを掛けられ、私は顔から湯気が出るのではないかと思うくらいの羞恥攻めに遭う。

 

 自分でも、顔に熱がたまっていくのがわかる! 

 

 大体、その冷静と頭が良いはどこからやって来たんだ! 

 

 前世でただのOLだった女に無茶を言うな! 多少現代知識と原作知識を余計に持ってるくらいで頭なんか良かないし、冷静だった記憶に至っては微塵も持ち合わせてないわ! 

 

「でも、良かったじゃないか」

 

 君麻呂は言う。

 

「たぶん、重吾の細胞を大量に移植され、慣らされたことで、君の身体は呪印に完全に適合したんだ。もはや君は完全に呪印をコントロールすることができる。何より、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 その言葉に、私ははっとする。確かにそうだ。今までは呪印に一方的にチャクラを奪われるだけだったから状態2になることに躊躇を覚えていたが、()()2()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 私は、じわじわと広がっていく呪印に、更にチャクラを流し込む。

 

 私の身体が、全身褐色に染まっていき、頭から、ゴツゴツとした角が、バンダナのように被った額当てを突き破って生えてくる。

 

「ああ……。それだ。それが、キミの状態2だ。……でも……!」

 

「…………」

 

 私は、更に、より多くのチャクラを流す。

 

 両肩の肩甲骨のあたりに、意識を集中させる。

 

 天の呪印が原作通りであるのなら……。

 

 ビリ! バサッ! と、

 

 私の患者衣の背中を突き破り、二枚の翼が生える。

 

 原作でサスケの背中に生えていたものとは違い、黒い、コウモリの羽のような……。

 

 私が自由に空を羽ばたくための……翼……。

 

 私が少ししんみりしていると、私の姿を見た君麻呂が、興奮した声を上げる。

 

「ああ! あのとき見た通りだ……! 凶悪で、禍々しくて、しかしどこか可愛らしい……。フフ……。差し詰め今の君は悪魔……。いや、小悪魔だな!」

 

「いや、そんなマジマジ見るなし……」

 

 君麻呂が変なことを言うもんだから、なんだか急に恥ずかしくなって、私は君麻呂の視線から身体を反らす。

 

 だけど君麻呂は、夢中になって私の観察を続ける。

 

「目の回りに隈ができるのは、ボクとそんなに変わらないね。髪は、綺麗な赤色のままだ。あと身長が少し伸びた……。いや、それは角のせいか? うーん……。あ! 胸部が少し大きくなったかい?」

 

「変なとこ見てんじゃねェこのヘンタイが!!」

 

 ガンッ! と、左手で身体を隠しながら、右手で君麻呂のおでこに思い切り拳を叩き込む。

 

 君麻呂は私の予想した数倍の勢いで吹っ飛ばされ、向かいの木の幹に脳天からぶつかって地面に落ちる。

 

「あ! ちょ! 大丈夫か!? 君麻呂!」

 

「ああ、うん。最初に殴ると言われてたからね。防御の用意はちゃんとしてたよ」

 

 私の心配をよそに、君麻呂は何事もなかったかのようにむくりと起き上がる。

 

 いや……。無事ならそれでいいんだけど……。それはそれでどうなんだ? 

 

 なんかモヤモヤする……。

 

「すまない。何か嫌なことを言ってしまったみたいだね」

 

 パンパンと、衣服についた埃を払いながら、君麻呂が私に謝罪する。

 

 下心は、微塵もないんだよなー。コイツ……。

 

 数ヵ月の付き合いで、君麻呂にはデリカシーと呼べるものが一切ない大ボケヤローだってことは既に分かっている。まあ、幼い頃から大蛇丸様に拾われて、閉じた環境で育てられればそりゃあそうもなるわなと納得はできる。

 

 だけど、いい声でいきなり変なことを言われると、こっちがビックリしてしまうのだ。

 

「いいか君麻呂。これ以上ヘンタイと呼ばれたくなければ、今後女性の胸部についてのコメントはいざってとき以外は心の中にしまっておけ。世間様は男子のそういう発言を許してはいない」

 

「成程。またひとつ多由也に教えられた。因みにいざってときとは?」

 

「ウチが知るかそんなもん!!」

 

 ほんっとうにデリカシーがない! 誰か助けてくれ! 

 

 ……もういっそのこと、コイツにイチャイチャパラダイスでも読ませてしまおうか……。

 

 いや、私、あれの内容知らないけど。

 

 書店に売ってるのかな? NARUTOファンとしては、是非とも一度読んでみたい書籍ではある。

 

 まぁ、私、恋愛官能小説とか前世でも読んだことないけど……。

 

 乙女向け恋愛ボイスドラマなら……いや。何でもない。

 

 とにかく。私は一つ咳払いをして、話を無理矢理変える。

 

「しかし、重吾の一族ってやつは、本当にどういう身体をしてやがるんだ? 普通の人間なら自然エネルギーを吸収しすぎると異形化した上で石になるって話なのに……」

 

「さて。そこら辺はボクもよく知らないよ……。ただ、関係あるかどうかは分からないけど、重吾は、自分の一族は自然のエネルギーを吸収すると細胞がガンのようになるらしいと、大蛇丸様から聞いたらしいよ」

 

「細胞がガンのように?」

 

 どういうことだ? 

 

 細胞がガンのようになったら、普通に死ぬだけだと思うのだが……。

 

 ガン……。腫瘍……。染色体異常……? 細胞分裂の……。

 

 あ。

 

 細胞分裂の異常! 

 

 不死細胞か! 

 

 私は、その昔聞き齧った現代知識から、重吾の一族の異常性を理解する。

 

 細胞には、寿命が存在する。

 

 概念的な話ではなく、物理的に、生まれた瞬間から細胞はその分裂する回数に限りがあるのだ。

 

 動物のほとんどは、細胞分裂によってその身体を形作る。

 

 細胞が分裂しなければ、新しい細胞が作られず、生物はその細胞を老化させて死ぬことになる。

 

 細胞を永遠に、安全に分裂できれば、ひょっとすると生命は寿命に寄って死ぬことはないのかもしれない。だけど、細胞分裂は、その回数が始まりの細胞から決められている。生命が身体を安定して運行するために、その機能が必要だからだ。

 

 何故細胞分裂に寿命が生まれるのか。それは、正常な細胞は全て、末端複製問題と呼ばれる課題を抱えているからだ。

 

 細胞が分裂増殖するには、自身のDNAを複製する必要がある。だが、複製されたDNAは、その両端にあるテロメアDNAだけが完全には複製されず、複製する毎に短くなっていく。

 

 テロメアは、DNAの末端を保護する役割を担う染色体だ。これがなくなると、末端保護問題が起こり、DNAの複製が停止される。すると、細胞分裂がそれ以上できなくなり、その瞬間から、全ての細胞が老化へと歩を進めることになるのだ。

 

 だが、染色体異常によって、このテロメアがどれだけ複製されても短くならない細胞が生まれることがある。

 

 ガン細胞だ。

 

 ガン細胞の一部は、テロメラーゼと呼ばれるテロメア合成酵素が活性化しており、複製後もテロメアが安定に維持される。ガン細胞は、無限に細胞分裂ができるのである。

 

 無限に細胞分裂し続けるガン細胞は、人体の制御を外れ、周囲の細胞を無差別に攻撃し、最終的には生物を死に至らしめる。

 

 しかし、ガン細胞の一部が不死性を持つ事実に代わりはない。実際、1951年に亡くなったある女性のガン細胞が現在でも尚生き続け、無限に増殖を続けているという。

 

 まるで柱間細胞だな。その話を聞いた時、私はそう思った。実際問題、あれはもう一種のガン細胞みたいなものだ。じゃなきゃ、本人が死んでるのにいつまでもいつまでも生き続けて増殖を続けるあの化け物細胞の説明がつかない。

 

 初代火影は、突然変異の全身ガン細胞人間だ。

 

 そりゃあ、移植すれば実験体がバタバタ死んでいくはずである。

 

 そんなもんが私の身体の中に少量でも含まれてるのかと思うとぞっとしないが、重吾の細胞にも限定的に同様の性質があるとすれば、つまり自然エネルギーが人体に及ぼす影響とは、細胞の活性化による急激な細胞分裂に他ならない。

 

 自然エネルギーは細胞を活性化させ、人体を強化する代わりに急激な細胞老化を引き起こす。ただの人間が自然エネルギーを細胞に取り込み続けると、異常な細胞分裂による異形化が起こり、急激に細胞が老化することで干からび、何らかの反応で石になる。

 

 あまり科学的ではないが、こう説明するのが、おそらく一番手っ取り早い。

 

 では、重吾の細胞ではどうかというと、確かに自然エネルギーを吸収することで、重吾の細胞は異常な細胞分裂を引き起こし、急激に増殖する。だが、重吾の細胞はこの時、細胞分裂によってテロメアが減少しない体質を持っているのだ。むしろ、酵素が活性化することでテロメアが長くなる可能性すら内包している。

 

 原作において、サスケに自身の身体を分け与えた重吾が子供のように小さくなったり、また、すぐに元の形に戻ったりと、人体として異常すぎる振る舞いをするのも頷ける。その細胞が、そもそも異常な行動を示しているのだ。

 

 細胞が限定的とはいえ不死性を持っているから、重吾の身体は異形化はしても、細胞の寿命で石になることだけはあり得ないのだ。

 

 大蛇丸様が、研究するわけだ。

 

 この呪印は、大蛇丸様の仙術の研究結果であると同時に、大蛇丸様の不死の研究結果でもあったのである。

 

 大蛇丸様がお気に入りにわざわざ呪印を埋め込むのには、そういう理由もあるのかもしれなかった。

 

 私は、褐色に染まった自分の手を、じっと見つめる。

 

 そっかー。これ、ガン細胞かー。

 

 細胞が、めっちゃ分裂してんのかー。

 

 自分の身体が、なんだか得体の知れないものに変えられてしまった気がして、少なからずショックを受ける。

 

 君麻呂が病魔に犯されたのって、普通に拒否反応だったりしない? 

 

 まぁ、いまさら気にしても、もはや後の祭りなんだけど。

 

 君麻呂……。

 

 病気……か……。

 

「何か、分かったのかい?」

 

「いや、何も」

 

 君麻呂の問いかけに、私は嘘で応じる。

 

 こんな知ってもどうしようもないこと、教えたって、どうにもならない。

 

 ま、私の胸の内だけにとどめておくような、ただの戯れ言だ。

 

「どうでもいい。こんなもんよりウチはさっさと昼飯を食いたい」

 

 私は呪印を解きながら、地面に座って残りのおにぎりに手をつける。

 

「もういいのかい? もうちょっと見ていたかった気もするけれど、まぁ、また見る機会もあるか。君の作ってくれたおにぎりが固くなったら、困るからね」

 

「うっせ! 黙ってさっさと食え!」

 

 私は、嬉しそうにおにぎりを頬張る君麻呂を、なんだかいけ好かない気分で睨みながら、米の塊にかぶりついた。

 

 そういえば、額当てと患者衣に穴が空いたままだ。

 

 もしかして多由也が原作であの変な帽子を被ってる理由って、これか? 

 

 布でできた被り物よりも、ヘルメットみたいな被り物の方が、角が生えたときにただ外れるだけだから丁度良かったのか? 

 

 いけ好かない気分で想像したから、なんだか余計いけ好かない気分になってきた。

 

 ぜってーファッション変えてやらねー。

 

 穴の空いた額当てを脱ぎ捨てながら、私はそう、心に誓った。

 

 

 

 


 

 

 

 

 それから更に、1ヶ月が過ぎて、

 

「そろそろ修行相手を変えてみた方がいいんじゃないのか?」

 

 私はとうとう、君麻呂にそう切り出した。

 

 身体が更に回復し、二人とも状態2を安定して出せるようになって、何回目かの訓練の時だった。

 

「なぜだい? こんなに充実した成果が出ているのに」

 

「充実した成果が出たからこそだ」

 

 君麻呂の疑問の声に、私は答える。

 

「いいか。ウチらは現在まで、お互いの、お互いに対する戦法のみを突き詰めて訓練してきた」

 

「ああ。大分、多由也と分かり合えた自信がある」

 

「そうじゃねーよドアホ」

 

 何故か自信たっぷりに胸を張る君麻呂の腹に、私は貫手を食らわせる。

 

 ……突き指するかと思った……。

 

「……お互いの戦闘スタイルに対する学習しかできてねーんだよ。ウチらは」

 

 傷めた指をブラブラと振りながら、私は君麻呂に説明する。

 

 忍者とは、いつどんな任務を言い渡され、どんな相手と戦わされることになるか全く予測のつかない職業だ。私が草隠れで奴隷をやってた時も、常に何が起こるのかを考え続け、状況から予測し続けなければ1日3回は死んでた自信がある。いかなる状況にもどんな戦況にも対応できて初めて忍は、安定した任務成功率を獲得することができる。

 

 私は中・遠距離タイプの幻術使い。君麻呂は、近距離タイプの体術使い。この両者は出会った際の状況によって、お互いがお互いの天敵となる存在だ。

 

 お互いの距離が近い場合は私が圧倒的不利になり、お互いの距離が離れている場合は、君麻呂が圧倒的に不利になる。

 

 つまり、不意の遭遇時におけるお互いの苦手分野に対する修行としては、私達はとても相性がいい。だが逆に、お互いが互いの得意分野を伸ばすには、私達は全く向いていないのだ。

 

 いざとなったとき一番大切なのは、自分が持つ一番の長所をどれだけ活かせるかである。そして長所を伸ばすには、実力の近い()()()()()忍との修行が必要不可欠だ。長所を伸ばしにくい相手というのは、はっきり言って修行相手として、相性が悪いと言わざるを得ない。

 

「──と、いうわけでだ。ウチらはライバルとしての相性が、はっきり言って悪い」

 

 ガーン! と、そんな擬音が聞こえてきそうなくらい、君麻呂がショックを受けた表情で固まっている。

 

 お前、なんだか最近感情表現がすげー良くなってないか? 

 

 そんなことを思いながら、私は話を続ける。

 

「で、だ。これからの修行方法を、カブトさんに相談してみた」

 

「……またカブトか……。なんで君はいつもいつも……」

 

 ブツブツよくわからん不満を呟いている君麻呂を無視して、私は提案する。

 

 数日前、定期検診の際にバイタルチェックを行いながら私の相談を聞いたカブトさんは

 

「多由也はそろそろ他の修行方法と相手を取り入れたい。けれど、君麻呂は多由也以外と修行をしたくない。成程ね。ならボクに良い案がある」

 

 そう言って、ある新しい修行スタイルを教えてくれた。

 

 それは──────。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「────これは、ひでーな」

 

「いや……、これは普通に、凄いと言うべきじゃないか?」

 

 一週間後。そんな、ある意味ではお互いの当初の印象をひっくり返したような感想を述べ合った私と君麻呂の周囲には、世にも恐ろしい惨状が展開されていた。

 

 第三演習場。このアジトでは、一番広い敷地面積の訓練所だ。森と荒野、二つのフィールドを擁するこの訓練所には現在、無数のクナイや手裏剣と、それに匹敵する数の横たわる音忍の肉体が、死屍累々と積み重なっていた。

 

 音隠れの里は、各忍里からの抜け忍や、凶悪犯罪者を主な構成員とする新興の隠れ里だ。

 

 そんな手配書(ビンゴブック)に率先して載せられるような忍達で構成される音忍は、その殆どが中忍レベル以上であり、上忍レベルも少なからず存在する。

 

 そんな凶悪な忍達の混成部隊。総勢100名。

 

 それが今、私と君麻呂の二人が、5()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ()()()()()()()()

 

「ほらね? 言った通りだったでしょ? 君たち二人は、好敵手(ライバル)としてはそこまで相性が良くないけれど、二人一組(ツーマンセル)でチームを組む相棒(バディ)としては、これ以上ないくらい相性が良いって」

 

 そんな私達の姿を端から見ていたカブトさんが、そう言って歩いて来た。

 

 確かに相性は良かった。

 

 ()()()()()()()

 

 そもそも私の戦闘スタイルは、誰かとチームを組むのに向いていない。

 

 何せ幻術を嵌める手段が音なのだ。仲間がいたら、仲間ごと幻術に嵌めることになる。

 

 対策を講じたとしても、その内容は、仲間の五感を奪い自由度を狭めるものになる。

 

 だが、その仲間が君麻呂なら、その限りではない。何故ならコイツは私への対策を講じすぎて、聴覚がなくともなんの問題もなく全ての状況を感知できるからだ。

 

 そしてその感知能力は、二人のコンビネーションにも関与する。

 

 私と君麻呂の戦闘スタイルはこうだ。

 

 まず基本的には、君麻呂は私の苦手な近場の近距離タイプを、私は君麻呂の苦手な遠くの遠距離タイプをカバーする。

 

 私は音の幻術で一気に大人数を殲滅し、仕留めきれなかった者を、端から君麻呂が刈り取っていく。

 

 君麻呂が苦戦する相手がいても、相手が君麻呂に注目している外から私が隙をついて幻術を掛ける。

 

 私が危なくなれば、君麻呂は骨で私を守り、君麻呂が危なくなれば、私は結界で君麻呂を守る。

 

 君麻呂が前方で物理的な戦闘を行うのを私は後方から俯瞰し、適切なサポートと効率の良い誘導を行う。

 

 そして、君麻呂は骨の感知で、私は音の感知で、それぞれがそれぞれの合図を瞬時に理解し、常にお互いの弱点をカバーし合う。

 

 お互いの手法を知り尽くした近距離タイプと中・遠距離タイプがコンビを組むことによって、隙の無い布陣が勝手に完成していた。

 

 確かにこれなら、お互いがお互いの苦手な分野を上手く避けつつ、得意な分野を集中的に伸ばすことができる。それになにより実戦的だ。

 

 けど、どうしてこうなった。

 

「いや、ちょっと引く」

 

 私が素直な感想を言い。

 

「いつもうさんくさい笑顔で適当なことしか言わない男の割には珍しく正しい助言をしたな。誉めてやる」

 

 君麻呂は高圧的な態度でカブトさんに答える。いや、お前はなんで正しい助言をしてくれた人にその態度なんだよ。おかしい。おかしくない? 

 

 私が怪訝な顔で君麻呂を見ていると、パチパチと、私達の背後から拍手が聞こえてくる。

 

「クク……。修行は順調のようね。君麻呂と多由也を引き合せたのは、どうやら正解だったみたいじゃない。カブト?」

 

「大蛇丸様!」

 

 その姿に君麻呂は即座に反応し、片膝をついて頭を垂れる。

 

 私は、君麻呂がやっているのに私がやっていないのはなんだか居心地が悪く、しぶしぶ片膝をついた。

 

「これはこれは大蛇丸様。帰っていらしてたとは」

 

 カブトさんは、立ったままそれだけ言って、眼鏡をクイッと押し上げる。

 

「ええ。今戻ったところよ。すぐに出掛けるけどね」

 

 大蛇丸様はカブトにそう言うと、私達の方に顔を向ける。

 

「それにしても、丁度いいタイミングで戻ってこれたようで何よりだわ。君麻呂。多由也。もう調子は元に戻っているのかしら?」

 

「はい! 万全以上かと」

 

「ぼちぼちです。ぼちぼち」

 

 君麻呂のヤツ、何が万全以上だ。そんなわけがあるか。まともな戦闘は出来るようになってもまだ二人とも病み上がりも良いとこだっつの。

 

 あーもー。これ絶対なんか余計なこと言われる流れだよー! 

 

 私が全力で不幸な未来を思い描いていると、案の定、大蛇丸様は私達に余計なことを命じ始める。

 

「いいわ。それじゃあせっかくだし、君麻呂。多由也。二人に1つ、任務を言い渡しましょう」

 

 任務。懐かしい単語だ。なんやかんやで、私は音隠れの里に来てからは任務と名のつくようなものには一切触れてこなかった。

 

 任務しかなかった草隠れ時代とは偉い違いだ。

 

 危険度はそう変わらないのかもしれないが。

 

 というか、一ヶ月の間生死の境をさ迷っていた気がするのだが。

 

 そんな私の内心を無視して、大蛇丸様は、私と君麻呂に任務を言い渡す。

 

「近年湯隠れの里周辺で活動が活発になった新興宗教団体『ジャシン教』が、不死の実験を行っているという噂が立っているわ。お前たちは、この『ジャシン教』を調査し、実験の進行状況を確認。可能ならば、不死の研究資料を持ち帰って来なさい」

 

 それは明らかに、不吉な予感しか感じない任務の内容だった。

 

 

 

 ▼次回につづく




平和な日常回って、こういうことを言うんですよね?え?違う?うそん。そんな馬鹿な。だって多由也死にかけて無いじゃないっすか。平和だし日常ですよ?

うーん。それにしても次回、誰を出そうかなー。わかんないわー。どうしよう…。

はい。戯れ言でした。



前書きの一言に対する自問自答

「原作の設定がめんどくさいんですぅー!私はそこにちょぴっとアレンジを加えただけですぅー!」


※本作の設定は、大体が私の妄想であり、原作の設定とはあまり関係がありません。例え設定が原作設定通りじゃなかったとしても、私のことは嫌いになっても多由也のことは嫌いにならないでください。
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