ありふれた無職が世界最強   作:夏影

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クラスメイトの意識改革、最序盤でやっとけば少しはマシになるかなぁ?

童貞(意味深)は勇者はともかく跋くんは卒業済みですよ。あと清水くんとハジメくんも。爆発しろ


第九話 決別~勇者と主人公の童貞卒業~

~蔵兎咲跋~

 

「おーい、お前ら生きてるか―?反応くらいしろ―?」

 

 全く反応がないので、再度声をかける。数人我に返ったように声をかけてくる。

 

「え、お前今…」

「斬られたよね?完全に」

「え、なんで生きてんだ?」

「なんでも何も、勇者(笑)の攻撃力が低すぎてダメージ通らなかっただけだ」

「いやそんなゲームみたいな…」

「どうもこの最終幻想スキル、そのゲームみたいな法則に従ってるっぽいんだよなぁ…最低でもこの世界の法則とは別に動いてるっぽいぞ?」

 

 まぁ、エヒトとかいう偽神じゃなくて正真正銘本物の神様からもらったスキルだしな、さもありなん。流石にそこはこの場で明かす気はないけどな。ぶっちゃけこいつらも信用できないし。

 

「まぁ、俺のことは今はいいんだよ。で?お前ら、格下…いや実際は俺のほうが強かったんだが、事実はともかくとして、だ。格下と認識していたはずの丸腰の相手に対して、自分だけ聖剣振りかざした挙句、決闘とほざいときながら勝手に勝ちを確信して寸止めして反撃をもらう、魔法が使えるヤツへの魔法縛りの強要、どころか回避行動の批判、最終的にはノーガードで攻撃を受けての反撃にまで卑怯のレッテルを貼る。

 つまり、実際やつがどう考えてたかまでは知らんが、客観的に見れば、自分より強い人間や自分に勝った人間には卑怯者のレッテルを貼り、正々堂々じゃないからこれは負けじゃないという自己弁護をする。お前ら、こんな勇者で満足か…?俺は…嫌だね…」

「ロックオンじゃねぇよ自重しろ」

「ツッコミありがとうトシ。冗談はともかく、お前ら、本当にこの勇者についていって大丈夫か?本来決闘ってのはどっちかが死ぬまでやり合うものだってのに、初手寸止めかますようなやつが、この先魔人族に対してまともに剣を振れると思えないんだが?」

 

 俺の言葉に生徒たちがざわめき出す。

 

「え、なんでだよ?」

「だって、魔人族って敵、なんだよね?」

「魔物の延長みたいんだやつなんだろ?」

「そんなの、倒せるに決まってるだろ!」

 

 などなど、次々とやれるに決まってるだろ的な雰囲気を出す生徒諸君。やっぱり解ってなかったかぁ…

 

「何いってんだお前ら?敵は魔人族、魔『人』族なんだぞ?人型してるに決まってるだろ?」

「それでもゴブリンなんかは…」

「ありゃ戦闘本能しかないような奴らばっかりだからな。魔人族は『戦争』の相手だ。戦争ってのは基本的には国と国の戦いであり、イシュタルのジジイも言ってたように魔人族は国を作っている」

「だからなんだってんだよ?」

「まだわかんねぇのかよ?最低でも国を作り、まとまるだけの知恵があるってことだ。そして、知恵があるなら言葉も話すだろうし、魔物と違って喜怒哀楽の感情も普通に出すような相手だろうよ」

「え、それってつまり…」

「相手もヒトってことだよ。言ってみれば俺らの世界で言う黒人と白人みたいなものじゃないか?おまえら、ヒトを殺せるのか?」

「…」

 

 俺の指摘に沈黙するクラスメイト諸君。やっぱり理解してなかったかー。まぁわかっちゃいたけどな。

 

「それでも…」

「あん?」

「それでも、魔人族を倒さなきゃ…殺さなきゃ帰れないなら…」

「そうだ、殺さないと帰れない…だったら俺は…」

「永山、坂上…」

「そうだよ、帰るためなら…」

「こんなところで死にたくない…!!」

「私は…無理かな…」

「俺も、ちょっと…」

「てめぇら、帰りたくないのかよ!」

「そうだ!今さら日和ってんじゃねぇぞ!!」

 

 永山と坂上の言葉を皮切りに、再燃する魔人族討伐の機運。そして、弱気な発言をする生徒と、それに噛み付く小悪党一味。

 

「はいちゅうもーく。お前らは勘違いしているぞー」

「はぁ?勘違い?」

「別に戦争に勝っても帰れるとは決まっていません」

「は!?ざけんな!何を根拠にそんな…」

「そもそもいつ、戦いに勝てば帰してくれるなんて言われたんだよ?」

 

 原作と違って、俺が横槍突っ込んだせいで、最初の話し合いのときにそのあたりは言及されていない。

 

「それは…」

「確か晩餐会のときに、天之河がイシュタルさんに聞いてたんだったか?」

「そうそう、戦えば帰してくれますか?って」

「ほーぅ、そんなことが…で、その時のイシュタルのジジイの返答を覚えてるか?」

「確か…『世界を救った英雄の願いでしたら、エヒト様も無下にはしますまい』って言ってたかな」

「そうだ、戦いに勝てば帰してくれるってことだろ!」

 

 おお、飛ばしたイベントの補完あったのか。ぶっちゃけ適当に飲み食いしてとっとと部屋に引っ込んだせいで知らなかったぜ。

 と、トシがくちばしを突っ込んできた。

 

「…なぁ、オレはその場にいなかったんだけど、イシュタル爺さんが言ったセリフに間違いはないのか?」

「う、うん、間違いないはずだよ」

「んじゃ、やっぱり帰還は保証されてないな」

「はぁぁ!?なんでそうなるんだよ!!」

「わからんのか!この戯けが!」

 

 トシもちょくちょくネタぶっこんでいくよなぁ…

 

「エヒト様も無下にはしますまい、って、完全にイシュタル爺さんの予想でしかないじゃないか。狂信者の一人が勝手に『英雄の言葉だったら神様も聞いてくれると思うよ、多分』って言ってるだけのセリフのどこに保証に値する信頼があるんだよ?」

 

 トシの言葉に絶句する一同。実はそうなんだよな。全く帰還の保証はされてない。実際原作でも元の世界に返す気ゼロだしなあの偽神。まぁ、流石に俺がそんな事知ってるのはおかしすぎるし、原作攻略メンバーくらいはカモフラージュのためにも戦ってもらわないと困るから、この場では何も言わないけどな。

 

「…それでも、可能性があるなら俺は戦いたい」

「永山…」

「俺にできるのは、多分そのくらいだからな…」

「…永山…俺も付き合うぜ」

「私も…」

 

 おぉ、永山パーティは全員脱落なしか。すごいな。

 

「まぁ、嫌になったら後方支援に回ればいい。俺は…まぁ勇者様が敵認定撤回したら、の話だが、そっちに回るしな」

「待てよ蔵兎咲」

「どうした坂上?」

「お前、戦争に参加するのも吝かではないとか言ってたのに、真っ先に逃げる気か?しかもお前、光輝より強いんだろう?」

「どれだけ強くても、この世界基準で俺に天職がないってのは事実だし、仮に戦闘職だったとしても俺は後方に行くつもりだったぞ?」

「はぁ!?だってお前…というか、そもそも、最初のステータスプレートのときに言ってた、戦えないっていうのが嘘だったんじゃねぇか!!」

「戦争参加は吝かではない。間違いはないぞ。だが前線を張って戦うのが吝かではないとは一言も言ってない。後方支援も立派な『戦争参加者』だ。むしろこっちのほうが重要まである。輜重隊の護衛とかな。

 それに俺は戦えないとは言ってない。そんなステータスで戦えるのかって問いに対して、逆に戦えると思ってるのか?と返しただけだ。戦えないとは言ってないだろ?戦えるとも言ってないってだけで」

 

 質問に対して質問で返せば、国語は0点だろうけど、舌戦とか相手を煙に巻いてなんぼだからな。現実は国語のテストじゃない。

 

「そんなの屁理屈だ!!」

「屁理屈。まるで筋の通らない理屈。道理に合わない理屈。どのへんが筋が通ってない?道理にあってないか?筋が通ってないなら筋が通った反論をしてこい。道理に合わないなら道理にあった反論をしろ。それをせずに言い放つ屁理屈って言葉は、論破されたやつの負け惜しみ、誹謗中傷でしかない」

「ぐっ…」

「もう少し頭も鍛えたほうがいいぞ脳筋」

 

 なお詭弁と言われたら何も反論はできない。だって言いくるめ目的だし。日本語は正しく使いましょう。

 

「まぁ今はそんなことはどうでもいいんだ、重要なことじゃない。俺が聞きたいのは、この先も頭勇者(笑)な馬鹿之河についていくのか?ってことだ」

「それは…」

「恐らく敵認定されて抜けることになる俺からの最後のアドバイスだが、旗印にするのはともかく、舵取りは別のやつがやったほうがいいぞ。こいつは多分、自分が命の危機に瀕しても、敵対した魔人族を殺すことに躊躇する。戦うことを選ぶなら、そういうときに躊躇わずに敵を、人を殺す覚悟を持った、そんなやつが指揮を取るべきだと思うしな」

「…」

「まぁ、今すぐそんな覚悟をもてと言われても無理だろうけどな。そのあたりはメルドさん。こいつらの命もかかってるので、教育しっかりお願いしますよ?」

「え、あ、ああ、そこは任せろ。そのうち偶然を装い盗賊でもけしかけようと思ってたんだが…」

「伸ばし伸ばしにせず、偶然を装わず、死刑囚なり何なりを使ってすぐにでも実行することをおすすめしますよ」

「…そうだな、わかった」

 

 原作では伸ばし伸ばしにしてきた殺人訓練、これだけ言えばすぐさま実行されるだろう。

 

「あ、そうそう。前線で戦いたくないやつは、愛ちゃん先生の護衛でもしたらどうだ?」

「愛ちゃん先生の?」

「おう。先生の天職は、ぶっちゃけた話勇者よりよほど重要だ。食糧問題ってのは戦争ではでかいファクターだからな。俺が魔人族なら確実にそこを狙いに行く。その辺りを指摘すれば、戦いから逃げた勇者の使徒、みたいなレッテルはられることもないだろうよ、多分きっと恐らくメイビー」

 

 これで愛ちゃん親衛隊フラグも立ったとは思うが。

 

「う、うぅ…」

 

 お、気絶していた馬鹿之河が起きたみたいだな。

 

「う、お、俺は…?」

「よう馬鹿之河、目は覚めたか?」

「…!蔵兎咲ぁぁぁぁぁ!!!」

 

 俺が声をかけた瞬間、馬鹿之河は聖剣を構え、こっちに突っ込んできた。マジかよコイツ。

 

「くらえぇぇぇぇっ!!」

 

 そのまま馬鹿之河は、聖剣を俺の腹に突き刺してきやがった。流石に全体重を乗せた刺突を弾けるほどの防御力は俺にはなかったらしい。クリティカルヒットってところか。

 流石に腹を貫かれて生きてられるほど俺も人間やめてはいない。段々と意識が遠のいて…ああ、俺はここで死ぬのか…短い…人生だった…

 

 

 

 

 

 なんてな。

 意識が完全にブラック・アウトした次の瞬間、俺の体が発光(後で聞いた話だが)して、意識が急浮上した。目の前では、坂上と永山に取り押さえられた馬鹿之河が暴れている。

 

「離せ二人共!俺はコイツを倒さないといけないんだ!」

「馬鹿野郎!不意打ちで斬りかかるやつがあるか!」

「腹をぶち抜かれたんだぞ!もう死んでるに決まってる!」

「俺は人を殺しはしない!!」

「今目の前で殺しただろうが!!」

「蔵兎咲は人じゃない!」

「お前本当に何いってんだ!」

「本当だよ、言うに事欠いて俺は人じゃないだって?」

 

 コイツ完全に錯乱してるなおい。

 

「え、蔵兎咲!?」

「お前、生きて…」

「いや、死んだよ。間違いなく」

「じゃあなんで生きて…」

「リレイズ。掛けた相手が戦闘不能、ないしは死亡したときに、一度だけ復活する魔法だ。念の為掛けといて正解だった」

 

 一応ちゃんと蘇生するか1階層のラットマンで実験してある。まさか首チョンパから蘇生するとまでは思わなかったが。

 

「死者…蘇生…?」

 

 メルドさんが呆然としてつぶやく。

 

「とりあえず、だ。どうやら俺は殺される程に勇者様から敵視されてるらしいからな。前線も後方もないよな。俺はここでお前らと別れる。お互い、死ななきゃいいな?」

「待て!逃がすか!お前はここで倒す!」

「囀るな雑魚が。不意打ちで腹をぶち抜いたからって調子に乗るなよ?」

 

 ぶっちゃけわざと食らった。こいつの認識を知るためにもな。俺を人として殺すつもりで、殺した自覚があるなら命張った甲斐も出るとは思ったが、どうも無駄死にだったっぽいな。こっそり源氏の鎧外した意味はなかったか…まぁ、本人の認識がどうあれ、奴は俺を殺したのには間違いない。童貞卒業おめでとう、だ。

 

「というか檜山、お前いつまで土下座決め込んでんだよ!」

「ん?そのクズなら死んでるぞ?」

「は?」

 

 俺はクズの体を蹴り転がす。白目をむいて息をしていない。完全に死体だった。こいつが今まで静かだったのはこのせい(おかげ?)だ。俺も童貞卒業おめでとう、だな。思ったよりなんともないのはなんでだろうか…蘇生手段があるせいでゲーム脳にでもなってるか?ちょっとまずいかもしれないな…

 

「なっ!」

「いつの間に…」

「貴様!人を、仲間を殺すなんて何を考えてるんだ!」

「いやお前、さっき俺の腹に聖剣ぶち込んでたし、俺は敵なんだろ?」

「うるさい!俺はお前を許さない!!」

「まぁ、お前はどうでもいいんだよ。メルドさん、死亡確認を」

 

 俺の言葉に檜山の死体を調べはじめるメルドさん。

 

「間違いなく死んでいる…外傷もないし、毒か何かか?」

「即死呪文の一つ、死の宣告。一定時間後の死が約束される。解除する方法は術者を倒すか、解呪系、かな?」

「それで、お前は一体何を…」

「まぁ見ててくださいな。レイズ」

 

 俺の魔法によって、檜山の体が光り、その光が消えて…

 

「うぅ…お、俺は…?」

「い、生き返った!?」

「マジで!?」

「本物の魔法…」

「これは…」

 

 檜山が立ち上がり、周りがざわめく。さっきまで暴れていた馬鹿之河も流石に呆然としている。

 

「まぁ、デモンストレーションですけどね。メルドさん、いや、メルド()()

「…なんだ?」

「勇者が敵対した俺のこと、ちゃんと国に伝えてくださいね?」

「お前は…一体…」

「すいませんね、()()()()()のことは信頼してるんですけど、()()()()()は信頼してないんですよ」

「…国か」

「いいえ、この世界です」

「そうか…」

「じゃあ、俺達は行きます。みんなのこと、頼みましたよ?」

「わかった…お前達も、生きてくれ」

「言われなくても。ヘイスガ!インビア!」

 

 皆が呆然としている間(こいつらいつも呆然としてるな)にメルドさんとの会話を終わらせ、俺達四人は文字通り姿を消し、クラスメイト達の前から去った。俺達がいない時の皆のフォローは頼んだぜ、トシ、恵理!!




檜山は二度死ぬ(ネタバレ)

さぁて、蘇生魔法の使い手と敵対したと国が知った時、勇者の扱いはどうなることやら?(ゲス顔)

ちなみに勇者の剣が普通に刺さった理由ですが、前回通らなかったのは源氏の鎧を装備していたからですね。外見が変わらない理由?第四話参照です。前回死ぬ予定だったのは、死者蘇生手段を認識させるため。割と重要だと思ったので、今回無理くりねじ込みました。ちょっと強引だったかもしれない。
なお当初の予定では檜山はホールドで麻痺、現実ってことで心臓も麻痺で死亡、わざとじゃないと謝るも勇者は許さない。なぜ檜山は許して俺は許さない?という舌戦に持ち込む予定でした。が、ノリで完全敵対ルートに進んでしまったので、死の宣告でお亡くなりになってもらいました。ノリで殺される男、檜山。

FFシリーズ簡単解説

・リレイズ
戦闘不能時にオートでレイズがかかる。リレイズが出た頃は死亡と戦闘不能が明確に差別化されているが…

・レイズ
戦闘不能を復帰させる。FF1~3の頃はDQ等と同じで戦闘不能=死亡だったので、この作品では死者蘇生も可能。故にリレイズで死亡者も蘇る

・死の宣告(FFⅤ)
青魔法の一つ。30カウント後(秒ではない)の死が約束される。檜山が土下座の体勢になった後こっそり掛けていた。つまり清水君と恵里ちゃんの舌戦の最序盤に密やかにお亡くなりになっている

・ヘイスガ
味方全体をヘイスト状態にする…ヘイストの解説してなかった。速くなります、以上
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