~蔵兎座跋~
あの後、ハジメたちにも説明したようなことをユエに説明し、半信半疑な目でこちらを見てくるユエに、一つの予言を与えた。具体的にはオルクス最下層のオスカー・オルクスの遺言の概要だ。これが大体当たっていたら信じてくれ、と、そういう話だな。
そんなこんなで真オルクス99階層、オルクス全体で見たら199階層。ラスボス前だ。一応不測の事態に備えて、準備を万全に整えている。
…なんか、アルラウネもどきはどうした?って空耳が聞こえてきた気がするけど、逆に聞きたい。全状態異常防止装備をつけている、範囲攻撃が豊富な俺達に対して、あやつる特化のアルラウネもどきと恐竜の群れに、瞬殺以外の道があるのかと。
~以下ダイジェスト~
「なんか、この階層の敵、みんな頭にお花つけてるね?」
「…イジメ?」
「まぁ、あの花で洗脳してるからあながち間違いじゃないかもな」
「あ、そうなんだ。で?それが何か問題?」
「大丈夫だ、問題ない(波動弾ぶっぱ)」
「敵が多いわねぇ…」
「魔力が足りない…(カプッ、ちゅー)」
「ちょっとユエさん?あんまり吸わないでほしいんだけど…」
「ユエちゃん?少し、頭、冷やそうか?」
「香織~、白い魔王様になってるぞ~。とりあえず一掃するか(リヴァイアサン召喚)」
「こっち方面敵がやたら多かったし、多分ここの洞窟だな」
「なんか緑色の球がたくさん浮いてるね」
「あれ?なんか勝手に割れたよ?」
「…特に何も起きないわね?」
「…ん(カプッ、ちゅー)」
「ちょっとユエさん」
「なんか発狂してる植物がいたけど問題なく突破できたね」
「あいつが例のアルラウネもどきなんだが…寄生をリボンで防げたからなぁ」
「瞬殺だったね」
「弱かった」
「あの扱いにはちょっと同情するわね…」
~ダイジェスト終了~
っつーかメタい話すれば、あいつって魔王化ハジメの容赦の無さを描写するためのカマセだろ?私は気にせず撃って!え、いいのか?助かるわ。のやり取りさせるためだけの。そりゃ対策すれば瞬殺だわな。
そして次のヒュドラだが…まぁ、まともに相手する気はない。黒頭のデバフも多分リボンで防げるしな。銀頭の極光のブレスがちょっと怖いが…撃たれる前にやれば問題はないはず…ないと思う…ないよな?ちょっとは覚悟しとくか。
そんなこんなで200層。無数の柱に支えられた広大な空間が広がる。俺達はしばしその光景に見惚れていた。すると、柱が淡く輝きはじめた。奥の方へと順次輝きが広がっていく。
光に導かれるように奥へと進む俺達。やがて、巨大な扉が見えてきた。
「すごい…」
「…これが…」
「…反逆者の住処?」
「まぁそうなんだが…反逆者呼ばわりはやめてやれよ…」
「ん…バツの言ってることが本当なら、やめる」
ユエのセリフに苦笑しながら、最後の柱の間を抜ける。と、俺達と扉の間にバカでかい魔法陣が出現した。例の、ベヒモス召喚魔法陣と同じものだ。ただし、その大きさは比べ物にならない。
「さぁて、ラスボスのお出ましだぜぇ…」
「ちょ、ちょっと、こんなに大きいなんて聞いてないわよ!?」
「そりゃ言ってないからな」
「そういうことはちゃんと言っときなさいよバカぁ!?」
ちょっと雫がテンパってるが、まぁ近接オンリーの雫じゃ厳しい相手なのは確かだな。
「まぁ気にすんな、予定は瞬殺だ」
「…予定は未定、とも言うよね?」
「おぉ、ハジメ、よく分かってるじゃないか」
「ちょっとぉぉぉぉぉ!?」
などと漫才を繰り広げてる間に、6つの頭を持つ、ヒュドラっぽい化け物が姿を表した。
「「「「「「クルゥァァアアアアン!!!」」」」」」
6つの首が同時に雄叫びを上げる。同時に、赤頭が炎のブレスを吐き出そうとしてくる。
が、その瞬間、赤頭が吹き飛ばされた。ハジメの銃撃だ。流石に遠距離じゃないと厳しいだろうと銃に持ち替えている。
白頭が赤頭を再生しようとしている、が、その白頭目掛けて一つの影が降ってきた。時魔をマスターして竜騎士にジョブチェンジしていた香織の『ジャンプ』攻撃だ。魔法陣が出現した時点ですでに飛び上がっていたらしい。道理で会話に参加してこなかったわけだ。最後尾にいたから気づかなかった。…なんか香織さんやたら好戦的になってません?ハジメの土下座に惚れた優しい君はどこへ行ったんだい?
だがしかし、黄頭に阻まれて、香織の攻撃は白頭に届かなかった。
「クルゥァアン!」
白頭の咆哮で、赤頭が再生する。その隙に、黒頭がユエを睨む。だが、俺達全員状態異常は効かない。ユエも平然として、道中で覚えた魔法を放っていく。
「クイック、ウォタジャ、サンダジャ、ブリザジャ、エアロジャ、ファイジャ」
クイック連続魔によるジャ系魔法五連発だ。…ハブられたストンジャかわいそう。
「クルゥアァァン!?」
さすがの黄頭もこの連続攻撃にはひとたまりもなく、断末魔を残して消し飛んだ。すかさず白頭が回復を試みる。そこに雫が斬撃を飛ばす。…斬撃を飛ばす!?え、何、なんなのその技!?…八刀一閃?ああ、ディシディアセフィロスのアレね。そういえばブレイド・マスターをマスターしてたっけね。…ジョブかあれ?
まさかの飛ぶ斬撃で、白頭を潰せると思ったのもつかの間、デバフが効かないと悟った黒頭が、自身を犠牲に白頭をかばった。直後、白頭の回復で黒頭と黄頭が復活する。
「くっ、これじゃキリがない…」
「…ん。ちょっと、厳しい?」
「うーん、割と切り札だったんだけどな…」
「っていうかバツ、瞬殺するんじゃなかったの!?」
ハジメとユエが零す。香織が残念そうにつぶやく。雫が俺にキレる。…香織さん、ちょっとマジで性格変わってません?
「いやまぁ、お前らがいきなり戦闘はじめたからタイミングがな…まぁ、準備はできたし、いくぜ!」
俺は、異界にいる幻獣の王に呼びかける。
「始原の竜、闇の炎の子…汝の名は、『バハムート』!!」
その瞬間、空間がひび割れた。空間のヒビは広がっていき、やがて、穴が空いた。そして、その穴から、偉大なる幻獣の王、竜王バハムートが顕現する。
顕現したバハムートは、口を開き、エネルギーを収束していく。やがて、収束しきったエネルギーが臨界に達し…ヒュドラへと向かって射出した。撃ち出されたエネルギーがヒュドラへと直撃すると同時に、大規模な大爆発が巻き起こる(重複表現)。バハムートの必殺、メガフレアだ。なお敵対時にはリフレクで返せる模様。
メガフレアが直撃したヒュドラの頭は、6本まとめて消し飛んでいた。まさに一撃必殺。役目を終えたバハムートは少しづつ薄くなっていき…ん?こっち向いた?
「我が主よ」
「うぉっ、喋れるのか!なんだ?」
「先程の呼びかけは、人違い、否、竜違いだ」
バハムートはそれだけ言うと、ニヤリと笑いながら…?笑ってたよな、多分。消えていった。…ツッコミできるのか竜王。
「うわぁ、本当に瞬殺だったわね…」
「バハムート…竜まで呼び出せるんだ…」
「リヴァイアサンも竜なんだが…まぁいいや。漆黒の光閃き、大気の震えとなれ。斬鉄剣!オーディン!!」
「えっ!?」
驚く皆をスルーして、俺はオーディンを呼び出す。そして、第7の頭、銀頭が胴体からせり上がり…
「研ぎ澄まされし白銀の刃は、魂の住み家を断ち切るため…
反り返りし漆黒の峰は、魂の寄る辺を振り切るため…
ヴァルハラに散華せよ
斬・鉄・剣! 」
一閃されて消えていきましたとさ。…まって、FFTの詠唱で呼び出したのに現れたのFFⅣ仕様なんだけど。ってかその詠唱FFⅪじゃないか。ツッコミが追いつかんぞ!
「ふふふ、わたしもたまにははっちゃけたくもなるさ」
「いや、自重してくださいバロン王」
「たまにはいいではないか。ではな、また会おうぞ」
笑いながら消えていくオーディン(バロン王)。そういえば、召喚獣が来る法則ってどうなってるんだろうか?気が向いたら検証しよう。
「オーディンって…」
「北欧神話の主神、だよね…?」
「そんなのも召喚できるの…?」
「あー、あのオーディンはとある国の王様の霊、って設定だぞ」
「…よくわからない」
「詳しく聞きたきゃ後でいくらでも教えてやるよ。今はとにかく開放者の隠れ家へイクゾー!!」
デッデッデデデデカーン!デデデデ
そして、大扉を開いた俺達は、天に淡く輝く『月』を目にした。
「…ああ、今は夜なのか」
「わかるの?」
「あれ、昼間は太陽みたいになるらしいからな。あれ、明らかに月だろ?つまり今は夜、ってこったな」
そんな話をしつつ、建築物の方へと歩いていく俺達。どうせ殆ど開かないことは分かってるので、最短で三階の奥の部屋へと向かう。ユエがいくつかの扉を調べて、開かない事を確認している。
そのまま最奥の部屋へ行き、オスカー・オルクスの躯の前、神代魔法習得用の魔方陣がある場所へ。二度手間を嫌い、全員まとめて魔法陣の上へと立つ。
~オスカーさんの遺言はカットです~
簡単にまとめたら、神はクソだって話だ。オスカーの話を聞いたユエは、何かを考えているようだ。俺はハジメへと話しかけた。
「どうだ、ハジメ。これで色々捗るんじゃないか?」
「そうだね、武器はまぁ、バツの特典武器が狂った性能してるからいいとして、便利アイテムや乗り物なんかは作れそうだね」
「そりゃよかった。チョコボホイッスルでチョコボが来てくれたらいいけど、ぶっちゃけ二輪や四輪のほうが多分早いからなぁ」
などと雑談しつつ、今が『夜』であることだし、今日は一旦休もうという事になった。もちろん風呂も寝室も男女別だ。しばらくはここを拠点に色々と強化や作成をする予定だから、今日ぐらいはゆっくりしよう、という話になった。
一晩明けて翌日。皆で朝飯を食べていると、ユエがポツリと呟いた。
「バツの話、本当だった…」
「おう、ようやく信じてくれたか」
「でも、もう、その物語の通りには…」
ユエがそう言って不安そうな顔をこちらへ向ける。
「てい」
「いたっ」
俺はその額に、デコピンをしてやった。
「俺は最初から、『原作』なんざよく当たる占い程度にしか思ってないぞ。常に外れたときのことを考えながら行動してる。そもそも、ここまで来るのに、原作とどれだけの乖離があると思ってんだ?
『原作』なんて気にせず、ユエはユエの思う通りの人生を歩めばいいんだよ」
「…ん」
額を抑えてうつむいていたユエは、俺の話を聞いて、顔を上げた。その瞳には、闘志が宿っている。
「香織、負けないから」
「…えっ、今のそういう話だったの!?」
「ん…物語と違って、私はハジメの特別にはなれない。でも、それがハジメを諦める理由にはなりえない」
「んー、まぁ、ユエちゃんならいかな?」
「…?」
「…なぁ、神と闘うとか、私の運命は神の依代とか、そういう方向で悩んでたんじゃないのか?」
「…ん。私はハジメ達についていくだけ。だからエヒトとかいうのはどうでも良かった。むしろハジメの恋人になれるかどうかだけが問題」
「お、おう。ストレートだな…」
さすが原作でもハジメを逆レで落としたユエ姫だ。ハジメは真っ赤になって頭抱えてるな…香織のセリフの意味に気づいてるなありゃ。精力剤になりそうなポーションあったかね?
そして、俺達はオスカー・オルクスの隠れ家を拠点に、大迷宮でのレベル上げと素材回収、装備作成、そして親睦を深めたり(意味深)しつつ、準備を万全に整えていった。
オスカーの遺体を埋葬するときにうっかりもう一度魔法陣を踏んでしまって気づいたが、オスカーの指輪が再生成されていた。そりゃ、先着一名様、なわけないか。そこで俺達は、一応念のため、という事で、全員がオスカーの指輪を入手しておいた。
そんなこんなで1ヶ月。原作より遥かに早いタイミングですべての準備が整った。レディ・パーフェクトリー。もはやこの先は、まず確実に原作通りにならない未知の物語だ。
そう、これが俺の物語だ。俺の物語の、最初の一歩だ。…いや別に俺消えねぇぞ。
苦戦?なんですかそれ?知らない子ですね。
バツは神様転生の特典持ちなので、既に成長限界。この作品のタイトルは『ありふれた無職が世界最強』。つまり、召喚時点で既にバツは世界最強。はい、仮に現時点でエンカウントしたら、エヒト様でも瞬殺されます。流石にバツ自身はそこまで強いという自覚はありませんが。
後半めっちゃ巻きましたが、今回でオルクス迷宮突破、クラスメイトサイド(清水サイド)等を挟んで第二章になります。
FF簡単解説
・リヴァイアサン
水属性召喚獣。大海嘯で敵を押し流す。作品によっては幻獣王だったりもする。
・竜騎士
ガリで。
・ジャンプ
竜騎士系統や槍使いのキャラのアビリティ。天高く飛んですべての攻撃を無効化し、1ターン後に急降下して攻撃をする。たまにミサイルで迎撃される。
・クイック
時空魔法。2回行動ができる。
・連続魔
1ターンに二発の魔法を撃てる。つまりクイック連続魔で、クイックを含まず魔法を五連発できる。
・ジャ系魔法
ファイジャが炎、ブリザジャが氷、サンダジャが雷、ウォタジャが水、エアロジャが風、ストンジャが地の属性の最上級魔法。火属性ならファイア、ファイラ、ファイガ、ファイジャという感じに強くなっていく。
・八刀一閃
ディシディア系のセフィロスの技。割とかっこいい。
・セフィロス
片翼の天使
・ブレイド・マスター
ディシディアにおけるセフィロスのコンセプト。ジョブじゃない。
・バハムート
竜王だったり幻獣神だったりするドラゴン。得意技はメガフレア。たまにリフレクで返されるおちゃめさん。
・オーディン
斬鉄剣でぶった切る騎士様。斬鉄剣を返されて真っ二つになることもある。たまにグングニルの槍をぶん投げる。
・バロン王
FFⅣのオーディンの中の人。
・始原の竜、闇の炎の子
人(竜)違い。グランブルーファンタジーのプロトバハムート。
・これが俺の物語だ
…本当に消えないかな?(ゲス顔