ありふれた無職が世界最強   作:夏影

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遅刻しました

今回、ちょっとメタっぽい表現が点在しています、が、別にバツ君は第4の壁を超えてるわけではありません
前世と今世、2つを俯瞰した結果、その可能性もあるかなと思ってるだけです


第三話 原作暴露と過去の話~メタ風な何かを添えて~

~蔵兎咲跋~

 

 

「この世界は、物語の中の世界なのか?」

 

 ハジメのこの質問は、まぁ予想していた質問でもある。故に答えも用意してある。

 

「その質問に関しては、まぁ是、とも言えるし否、とも言えるな」

「どういう事?」

「そうだな、俺が元々生きていた世界に、お前たちを題材にした物語があったことは事実だ。そういう意味ではその質問は是、と言える。

 だけど、今現在俺達がその物語通りに動いてるか?といえば、まぁ大筋は変わってないが、細かいところでは大なり小なり変わってる。そういう意味では断じて否、だな。

 とはいえ、実はこの流れはとある二次創作の一つの流れと一緒、と言われたらどうしようもないが。俺らに知覚できることでもないし、そこは考えるだけ無駄だろうよ」

「細かいところが変わってる?」

「おう。物語の大筋である、異世界召喚、戦争参加、王城での謁見、晩餐。そして今日のステータスプレート配布でのいざこざ。ここまではほぼ変わりない。

 だけど、俺が介入したことで、戦争の前線への強制全員参加から、希望者は後方支援組へ配属、ということに変わった。それによって、ステータスプレート確認時のいざこざがあっさりと収束したわけだな。

 本来だったら、ハジメがもっとボロックソにいじられてたからな、あのシーン」

 

 俺のセリフに心当たりでもあるのか、苦笑いで返すハジメ。あとの4人もそれぞれ苦笑いをしたり憤った顔をしたり、ハジメの肩に手をおいて生暖かい笑みを浮かべたり。

 

「まぁ、最大の違いは『俺』の存在だろうけどな。俺の知ってる物語、『ありふれた職業で世界最強』ってタイトルなんだが…」

「ありふれた職業?それって…」

 

 俺の言葉に反応してハジメの方をチラ見する雫。つられて他の3人もハジメの方を見る。

 

「ああ、本来の物語はハジメが主人公の物語だ」

「ということは…私がヒロインなのかな?」

「んにゃ、香織は残念系サブヒロインだ」

「残っ…!?」

「まぁそれは置いといて「置いておかないでほしいかな!?」じゃあ放り投げて二度と回収しない。それはともかくだ。

 その物語、まぁあえて『原作』と呼ぼうか。その原作には、蔵兎咲跋なんてキャラクターは存在しない」

「跋がいない?」

「ああ。つまり俺は、二次創作における『オリジナル主人公』、オリ主っぽい立ち位置ってことになるな。

 ちなみに現状では俺以外にそれっぽいやつは確認してない。まぁ原作のこと全部覚えてるかって言えばだいぶ怪しいけどな。

 んで、そのおかげというかそのせいというか、この先確実に原作崩壊する箇所がいくつかある」

「「「「「原作崩壊?」」」」」」

 

 全員の声がハモる。仲いいなお前ら。喋り続けてのどが渇いたので水を一口。仮にこれが二次創作とかだったら、説明回で会話ばかり、ってやつだな。だが現実なんてこんなもんだ。

 

「ああ、原作崩壊だ。時にトシ」

「お、おう、いきなりどうした?」

「お前、勇者になれなかったみたいだけど、ぶっちゃけた話、それについてどう思ったよ?」

「はぁ?いきなりなんなんだ?まぁいいけど…正直ホッとしてるさ。勇者とか旗印にされて面倒くさいことこの上ないからな。まぁだからといって天職が闇術師ってのは納得行かないけど。オレはそんな陰キャってわけじゃないぞ?」

「天職に関してはボクも不満かなぁ…なんだよ死霊術師って。ネクロマンサーとかボクのキャラじゃないよ」

「そうか、で、その天職が不満な恵理」

「今度はボク?」

「おう、お前さん、天之河についてどう思うよ?」

「偽善者にすらなりきれないご都合主義の最低野郎」

「お、おう、辛辣だな…まぁ、これで間違いなく原作崩壊が起こることは確定したな」

「「え?」」

 

 どういうことだ?という顔で見てくる二人…いやハジメたちも説明してほしそうな顔でこっちを見てるな。

 

「まぁ、これはハジメたちが知らない俺達の馴れ初めから説明するかね。あれはまだ俺らが小学校に入る前のことだったっけ」

 

 

 俺の家とトシの家は、実は隣同士でな。いわゆる幼馴染の腐れ縁ってやつだったんだが。

 昔からトシは、どちらかと言えばインドア派でな。ちょくちょく俺が引っ張って外に遊びに連れて行ってたんだ。おかげでトシの家族からは感謝されてたな。昔は。

 で、ある日のことだ。女の子が車道に飛び出して、そこに車が突っ込んでくるってことがあってな。トシがそれに気がついて、女の子を助けようと飛び出していったんだ。

 数瞬遅れて俺も気づいたんだが、向かい側からも女の子を助けようとしてたのか、おじさんが走ってくるのが見えてな。俺もダッシュしながら叫んだんだ。

 

「おじさん、そこでストップ!受け止めて!」

 

 で、恐怖で固まってる女の子と、その手を引いて逃げようとしていたトシ諸共、体当たりでふっとばして、そのままの勢いで俺も車を避けて九死に一生だ。

 幼稚園だった俺が、同い年とは言え二人を吹っ飛ばせたのは、当時は火事場の馬鹿力って事で納得してたが、今思えば転生特典のおかげだったんだろうな。

 まぁそれはともかく、その女の子とおじさんが、恵理と恵理の親父さんだったわけだ。俺とトシは、そりゃあもう感謝されてな。お礼だの何だので恵理の家に招待されて、結構ご近所だったこともあり、そのまま友達付き合いだ。まぁ、緊急事態だったとはいえ、女の子に思いっきりタックルぶちかました俺は、帰ってから親父にげんこつ一発もらったけどな。一応その後褒めてもくれたが。

 ちなみに恵理は、実際に命を助けたとは言え、全力でタックルかました俺より、真っ先に動いて手を引いて逃げようとしてくれたトシに好感を抱いて、そのまま成長とともに好意、愛情と育って、中学の頃に告白、めでたく付き合うことになったわけだ。

 

 まぁこれが俺とトシ、恵理の馴れ初め、というか付き合いはじめのエピソードだな。

 ちなみにトシの方も、俺に引っ張られて外に出ることは多いとはいえ、元がインドア派だ。割と早い段階でオタクに染まり始めてたんだが、実はトシの家って、割とそのへん厳しいというか、オタクに偏見持つ家庭でさ。結構肩身が狭かった時期があったらしいんだよ。

 んで、ある日俺が言ってみたのよ。消費ばかりじゃなくて、たまには供給側に回ってみたらどうだ?ってな。まぁ、気分転換になるかも以上のことは考えてなかったんだが。

 で、気分転換に好きな作品の二次創作を書いているうちに物足りなくなったのか、オリジナルの小説を書くようになってな。それを小説投稿サイトに投稿したら、割とヒット。書籍化の話が来たりして、中学生にして印税で自力で稼げるようになったわけだ。

 流石にトシの家族も、自力で金稼いでる息子の趣味をとやかく言えなくなってな。もう最近じゃ完全に黙認だよ。割と真面目に尊敬するぞ、俺は。

 

 とまぁ、恵理とトシの話はここまでなんだが、それが原作崩壊と何の関係があるんだ、って顔してるな?

 ところがどっこい、超関係があるんだな、これが。

 『原作』では俺がいない。つまりトシを引っ張り出す存在がいない。するとどうなる?

 恵理の交通事故未遂、このときに恵理を助けようとして恵理の親父さんが死亡。いいところの箱入りお嬢様だったが、駆け落ちするほどに夫を愛していた恵理のお袋さんは、現実を認めたくなかったのか、恵理を攻撃するようになり、やがてクズ男に引っかかり再婚。

 そのクズ男が成長した恵理を性的な目で見るようになり、ある日、強姦未遂事件が起こる。そして恵理のお袋さんは、それを恵理が誘惑したからだと決めつけて、さらに激しく恵理を虐待。

 とうとう恵理は耐えきれなくなり、橋の上から身を投げて入水自殺を図る。そこに現れるのが我らが勇者(笑)様、天之河だ。

 恵理の話を聞いた天之河は、君のことは俺が守る、とイケメンスマイルを炸裂、警察や児童相談所に話を持っていき、表面上だけ解決させる。

 その後、イケメンスマイルに惹かれた恵理、児相に連れて行かれたら転校しないといけなくなる、と思い、表面上だけ母親と仲良しを演じるんだが、それに怯えた母親が虐待行為をしなくなったことによって、本当に天之河が守ってくれた、と思い込み、無事ヤンデレ化。

 八方美人な天之河に自分のことだけを見てもらうにはどうすればいいかと考え、周りが皆いなくなればいいと結論を出す。どうも日本にいた頃から計画自体はしていたらしいが、トータスに召喚されたことによって箍が外れ、周りの人間を殺し、死霊術で操って手駒を作り、魔人族側に寝返って天之河を攫い、最悪の裏切り者として殺される。そんな立ち位置だったんだが…ぶっちゃけ現状、恵理が魔人族側に付く理由皆無だよな?…おう、そんな力いっぱい肯定しなくてもわかってるから。

 

 で、トシなんだが…まぁお前も俺がいなかった場合、超不健康オタクとして根暗な性格になり、中学でイジメられることになるんだよな。お前は俺が適度に連れ出してたからそこまで不健康な根暗じゃなくなってるけど。

 で、中学でイジメられたせいで高校ではオタク趣味を隠して日陰者として生活、俺のアドバイスがなかったから供給側に回ることもなく、承認欲求が満たされずにくすぶる毎日。

 そこに来て、勇者召喚だ。オタクとして読んできた異世界者の知識もあるし、自分が活躍する時が来たんだ、と、期待をする。が、実際はやっぱり勇者は天之河で。自分は闇術師とかいう、主人公とは思えない職業。

 詳細は後で話すが、とある事件があり、戦うのが怖くなった原作トシは、作農師として村や町を回る愛ちゃん先生の護衛につくことにする。

 そこで魔人族に、愛ちゃん先生を殺せば、魔人族側に勇者待遇で迎え入れると持ちかけられ、ようやく自分のことを評価してくれる人に会えたと思ったトシは、それを承認。護衛隊から抜けて、闇術でモンスターを洗脳し、軍団を作って愛ちゃん先生がいる街に攻め込むんだ。

 だがしかし、そこに我らが主人公様が現れて軍団を一蹴、トシは捕らえられて愛ちゃん先生の前へ。そこで愛ちゃん先生の説得を受けるも、魔人族側に承認欲求を満たされ、勇者にしてもらえると信じているトシは、愛ちゃん先生を人質にして逃走を図る。…え?ああ、そうだな。原作主人公、つまりハジメだな。その辺は後で詳しく話すよ、さっき言った事件の話にもつながるし。

 それでだ、魔人族としてはトシは手駒の一つでしかなかったわけで。愛ちゃん先生ごと撃ち抜くように魔法を撃たれ、胸に大穴が空き。最後の最後に愛ちゃん先生の慈悲で助かる道を示されるも、劣等感が拭いきれずに改心しきれず。そのまま殺されるっていう役回りだ…が。

 トシ、天之河に対して劣等感とか持ってないよな?…だよなぁ。一応自分で金稼いでるわけだし、親の庇護のもとで自己中心的な正義振り回してるだけのガキに劣等感抱く理由ないよなぁ。

 

 

 

「というわけで、だ。最低でもトシと恵理の死亡フラグは根本からへし折れてるわけだ。まぁ、これは物語じゃないんだし、別の要因であっさりおっ死ぬ可能性もゼロではないけどな。

 ついでに言えば、雫の虐めも未解決で放り出されるし、香織とハジメが今の段階で付き合ってるという事実もない。というか、さっきも言ったが、メインヒロインは別の子だしな。

 というわけで、今行ったとおり、『原作』の物語とは既に大幅にかけ離れている以上、この世界は物語の世界じゃない、そう断言してやろう」

 

 そう言って、水を一口。流石に長々話して喉がカラカラだわ。

 …ハジメ、まだ納得してない顔してるな。

 

「ハジメはまだ納得してないみたいだし、ついでに俺の前世の話をちょっとだけしてやろう」

「…へ?バツの前世に何の関係が?」

「前世の俺の家の近所に翠屋って喫茶店があった。そこの経営者は高町って家族で、末の娘の名前がなのは、だったな」

「!?」

「あと、俺が高校二年の頃に、飛び級で高校入学してきた小学生がいたな。確か名前は、美浜ちよ、だったっけか」

「ちょ、それって!?」

「おう、俺自身は普通の公立小に通ってたし、前者がとらハかリリなのかは知らんが、後者は確実にあずまんが、だろうな。もちろん前世世界にその2つ、ないしは3つの作品はなかった」

「……」

「まぁ、つまりそういうことなんだろうよ。

 とある世界での現実は、別の世界の物語であり、逆もまた然り。

 つまり、この世界では、これが現実であり、物語なんかじゃない、ってこった。

 だからこそ、俺は最善をつくすために、ここにいるメンバーに転生のことを話した。転生を隠し、原作知識をこっそり使って、失敗して大惨事、とかになったら俺は後悔してもしきれないからな」

 

 そこまで話して、俺は改めて皆に頭を下げる。

 

「そういうわけだ。故にお前らに頼みたい。俺と一緒に、原作をぶっ壊す手伝いをしてくれ」




いやぁ、説明会だから会話ばかりだ
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