感想、評価ありがとうございます。嬉しいものですねやっぱり
~蔵兎咲跋~
さてさてなんだかんだとありまして、現在ホルアドの宿である。そう、原作における月下の語らい、それが起きるタイミングだ。
俺の目の前で、ハジメがウトウトと微睡んでいる。よくある二次創作のように、俺とハジメは相部屋である。まぁ、そうなるな、とだけ言っておこう。と、どうでもいいことをつらつら考えていると、ノックの音が響いた。
「ハジメくん、起きてる?私だけど、ちょっといいかな?」
香織の声だ。ハジメは慌てて扉を開けに行く。そこにいたのは予想通り、ネグリジェカーディガンの香織の姿。ほんとこういうところ無防備だなこいつ…。
「なんでやねん…」
「えっ?」
「いいから、入って!誰かに見られたらどうするの?」
原作と違い、ハジメと香織は既に彼氏彼女の関係だ。まだ一応一線は越えてないようだが、それもいつまで持つやら…。
「とりあえず座って。それで?何か用事?」
「うん、ちょっと…明日の迷宮のことなんだけど…」
「うん?」
「ハジメくんには、街で待っていてほしいの。教官達やクラスの皆は私が必ず説得するから、だからお願い!」
鬼気迫る、とも言えるような表情でハジメに懇願する香織。
「えーっと、それはどうして?そりゃたしかに僕は足手まといかもしれないけど…」
「違うの、足手まといとかそういう話じゃなくて…」
香織は自らを落ち着けるために深呼吸を一つ。静かに語りだした。
「なんだか、すごい嫌な予感がするの…さっきちょっとだけ寝たんだけど、そのときに夢を見たの…ハジメくんが、声をかけても気づいてくれなくて、追いかけても追いつけなくて…最後は…」
「最後は?」
「…消えて、しまうの…」
あたりが静寂に包まれる。
しばらくうつむいていた香織が、ハッとしたように顔を上げた。
「そういえば、バツくんは?」
「え?そういえば、
そう言って、二人首を傾げ合う。その時、新たに部屋をノックする音が響いた。
「ごめんなさい、八重樫だけど、バツはいる?」
「おーいバツ、ちょっと早いけど来てやったぞ」
「バツ君、いる―?」
雫とトシと恵理の声だ。ハジメが三人を迎え入れた。
「いらっしゃい、バツは…どこ行ったんだろう?僕が部屋に戻ったときにはいなかったんだよね」
「そうなの?私達、このくらいの時間に貴方達の部屋に来るように言われてたんだけれども」
「え、雫ちゃん、私聞いてないよ?」
「なんか、香織は言わなくても多分来てる、とも言ってたわね…恐らく、『原作』関連の知識じゃないかしら?」
「その通りだ」
そう言って、俺はおもむろに『あらわれる』。部屋の隅、ハジメが転がっていたベッドの枕元付近だ。
「バツ!?どこにいたの?」
「ずっとここにいたぞ?ハジメが間抜け面でウトウトしてる時も」
「間抜け面って、ひどいなぁ…じゃなくて、どうやって!」
ハジメがこちらに詰め寄ってくる。近い近い近い。俺にそっちのケはない、離れろ。
全員を落ち着かせて、簡単にアビリティ『かくれる』の説明をする。
「なるほど、それが姿隠しの効果に昇華されたのか…」
「悔しいわね、全く気配が読めなかったわ」
納得の声を上げるトシと、俺の気配がわからなかったことに悔しがる雫。そこに香織が疑問を挟む。
「でも、どうしてわざわざそんなことまでして隠れてたのかな?」
「そうだねぇ、なにか面白いことでもあったのかなぁ?」
香織の疑問に恵理が続く。面白いことか、あのままだったらあったかもしれないんだがなぁ。
「そうだな、ハジメが香織に「守ってくれ」と伝える名シーンが展開されたかもしれなかったな。お前らがちょっと早く来たせいで見損ねたけど」
「なっ!?」
ハジメがうろたえる。それはどっちだ?そんな事する気はなかったってことなのか、それとも図星だったのか?
「本来ならここで、不吉な夢をみて不安がる香織に、だったらその力で僕を守ってほしい、といって香織を勇気づけようとするハジメ、そしてそれを聞いて、初めてあったときから変わらないねと、土下座事件が初邂逅であって、その頃からハジメに好意を持っていたと語る香織というイベントが起きるはずだったんだが…」
「ちょ、何その恥ずかしいイベント!?」
「え、でもその辺の話ってすでにしてるよね?」
俺の話に顔を真赤にするハジメ。野郎の赤面とか嬉しくねぇな。
そして、すでに過去にその辺の話は伝えてあることを指摘する香織。そうなんだよなぁ。
「まぁ、この辺も既にブレイクしていた原作、ってことになるんだろうな。まぁそんなイベントはどうでもいい。いま大事なのは明日の迷宮探索の話だ」
「どうでもいいって…でも、その意見には賛成だね。主に僕の精神衛生のために」
そして、俺達六人は、遅くまで明日の迷宮探索のことを話し合った。
明けて翌日、俺達は大迷宮の中にいる。場所は二十階。そう、転移トラップの階層だ。ここまでの展開はほぼ変わらなかった…ということもないか。ラットマンがオーバーキルされたのは変わらなかったが、ハジメが錬成で作った(という建前で貸し出した)オートボウガンで活躍したり、それに対して殺気を込めた視線で睨む檜山がいたりと、幾つか変わっていることもあった。檜山はあれか、解散のときに香織がハジメにおやすみのキスしてたのを見て、からくりがバレたか…まぁ俺も雫にキスされて一瞬思考が止まって、檜山のこと忘れてたから仕方がないか。もちろん情報は共有済みだ。
「擬態してるぞ、よーく周りを注意しておけ!」
メルド団長の声に我に返った。そうか、ここまで来たか。さぁて、原作ブレイクは成功するかな…?
直後、壁と同化していたゴリラの魔物が、その擬態を解き、二本の足で立ち上がってドラミングを始めた。
「ロックマウント!擬態能力を持つゴリラ型の魔物!腕力がかなり強いためそこに注意!」
その姿を認めた瞬間、俺が叫ぶ。無職ということで魔物図鑑的な仕事をしているのだ。
「その通りだ!重ねていうが二本の腕に注意するんだ!豪腕だぞ!!」
メルド団長の注意と同時に、ロックマウントが飛びかかってくるが、それを坂上が拳で弾き返す。おいおい、素手であれを弾き返すって本当に人間か?俺もできるけど。その隙に天之河と雫が取り囲もうとしているが、足場が悪くうまく囲めないようだ。と思っていると、ロックマウントがバックステップで距離をとり、息を吸い込んだ。あれは…
「バインドボイスだ!食らえば動きを止められるぞ!気合い入れろ!」
「グゥガガガァァァァァァァァァ―――――――っ!!!!!」
俺の警告の直後、部屋全体を振動させるような強烈な咆哮が発せられる。これが威圧の咆哮か…うるせぇだけだな、うん。
「ぐっ!」
「うわっ!?」
「…っ!」
天之河と坂上は普通に食らったようだが、反射的に耳をふさぎ体に力を入れて麻痺をすることを回避した雫は、即座にロックマウントの方へと駆け出す、が、ロックマウントはこっちに突っ込んでは来ずにサイドステップをして、傍らにあった岩を持ち上げた。流石に岩を投げられるのは勘弁なのか、昨日の話を思い出したのか、雫の動きが一瞬鈍る。まぁ気持ちはわかる。
「ハジメ!」
「オーケー!」
俺はハジメに声をかけ、ハジメはオートボウガンを構える。さてどうなるか…ロックマウントは持ち上げた岩を、こちらへと投げつけてきた。おお、見事な砲丸投げフォーム!
その岩を迎撃しようと杖を構える後衛組…しかし、既に構えていたハジメの方が一瞬早い。オートボウガンの引き金を引き、飛んでくる岩…お、擬態解いた。ルパンダイブで飛び込んでくるロックマウントにボルトを叩き込む。衝撃で体勢が崩れたため、顔を直視しなかったらしく、後衛組はそのまま無事に魔法を発動。哀れロックマウントは爆発四散、死んだのだ。
「貴様、よくも香織たちを…許さない!」
…わー、天之河くん、実は死の恐怖感じさせたとかそういうのじゃなくて、後衛の香織達に攻撃したことそのものをキレてたのかー。特に怯えてるわけでもなく、青ざめてるわけでもない顔をキョトンとさせ、キレてる天之河を見つめる後衛女子組。そういえばここまで後衛に攻撃が通ったのってこの一回だけだったなぁ…ということは最悪道中どっかで天翔閃ぶっぱの可能性もあったのかー。ってちょっとまてぃ!原作と違って雫が突っ込んでるんだぞ!巻き添えにする気かこの馬鹿!?
「万翔羽ばたき、天へと至れ―――天しょ「やめんか馬鹿野郎!!」はぐぅっ!?」
俺は拾った石を思いっきり馬鹿之河の後頭部に投げつけた。ぶっ放した天翔閃は上にそれて、壁を破壊して止まった。天翔閃の発動を察した雫は一度下がり、壁の崩落に巻き込まれて気を失っているロックマウントにとどめを刺したところで腰が抜けたのか、その場でへたり込んだ。香織が慌てて駆け寄り、回復魔法をかけている。
「っ―――!何をするんだ蔵兎咲!」
「何をするじゃないこの馬鹿者が!」
「へぶぅ!?」
追撃のメルド団長の拳である。残念でもないし当然だな。
「殴られて当然だこの馬鹿之河。てめぇこんなところでそんな大技使って崩落でもしたらどうするんだ、俺達を生き埋めにする気か?」
「だが!」
「しかもだ、状況をよく見ろ。バインドボイス、えーと、正式名称は威圧の咆哮だったか?あれを回避した雫が既に突っ込んでいたんだぞ?巻き添えにして殺す気かこの考えナシの視野狭窄野郎」
「なっ!?雫が!?」
「バツの言うとおりだ。ほら、今戻ってきている。貴様は仲間を殺す気なのか?」
「お、俺は…」
本気で落ち込む馬鹿之河。流石に雫を巻き込みそうになったせいか、香織も慰める気はないようだ。
と、その時、香織が何かに気づいた…が、特に声は発しない。しかしやはり女の子、キラキラした『それ』から目は離せないようだ。
「どうしたのカオリン?…うわー、何だろあれ、キラキラしてる~」
鈴が目ざとくそれを見つける…そういえばこいつが出てくるのって初めてだったか?まぁいいや。
「ほぉー、あれはグランツ鉱石だな。大きさもなかなかだ、珍しい」
「だったら俺らで回収しようぜ!」
お、待てぃ!展開早いなおい!
檜山がさっさとグランツ鉱石に向かって行く。間のやり取りどこ行った。ったく仕方ねぇな…
「こら、勝手なことするな!安全確認もまだなんだぞ!」
メルド団長の声を聞こえないふりして崖を登っていく檜山。そこへ…
「やめろと言ってるだろうが馬鹿野郎」
アイテムボックスからこっそり取り出したギャルのパンティーを『なげる』。
「ぎゃっ!?」
檜山に直撃したギャルのパンティーはその姿を消し、直撃した檜山は思わず壁から手を離し、下へ落ちてくる。
「ひ、やめ、ちが、俺、ひ、ひひ、ねうねう、ねうねう、キョキョキョ…」
あ、不安定…いや、狂気まで行ってるっぽいか?まぁ仕方がないね、発狂死しなかっただけ御の字ってことで…
「団長、トラップです!」
「っ、やはりか。よし、全員とりあえずこの部屋から…」
その時だった。グランツ鉱石の周りが不自然にひび割れ、鉱石が落ちてきた。それを…
「…はっ!?俺は一体…うぉっと!?」
正気に戻った檜山がキャッチしてしまう。その瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。マジかよなんだよこの無理やりな原作沿い!?世界か!?世界の修正なのか!?
そして魔法陣が広がり、メルド団長の撤退を促す声も虚しく、俺達は転移されてしまう。ハジメの運命である、あそこへ…
巨大な石造りの橋、その下に広がる奈落、召喚陣から現れる大量の骨の魔物、そして…現れる巨大な魔物。
すぐさま階段への撤退を指示していたメルド団長の呻くような声が、やけに明瞭に響いた。
―――まさか…ベヒモス…なのか…
超絶無理矢理ベヒモスの前へ。ちなみに何らかの方法で天翔閃発動を完璧に防いでも、別の要因で壁が崩落、檜山のせいで転移、までの流れは『絶対に』変わることがありません。何故か?世界の修正力という名の作者の都合です
FFシリーズ簡単解説
・かくれる、あらわれる(FFⅤ)
吟遊詩人のアビリティ。FFⅣのギルバートなんかも使える。戦闘中に姿を隠して、一切の戦闘行動の対象にならなくなる。ただしこちらもぼうぎょかあらわれることしかできない。が、DFFOOのギルバートがかくれる中に戦えるせいか、意識すればそっち仕様に切り替えることもできる。ただの無敵チート完成である。ただしバツは気づいていないしこの先気づくことも一切ない
・なげる(FFⅤ)
武器や手裏剣、術などを投げて攻撃する忍者のアビリティ。他のシリーズでもちょくちょく見かける。この作品では火遁水遁雷神風魔手裏剣にすす、エクスカリパーにラグナロクまで何でもかんでも投げ放題である。でも一番良くなげるのは多分そこらで拾った石ころ
・ギャルのパンティー(Elona)
☆美しきギャルのパンティー『止まらせない子犬』(1d43)
・それはシルクで作られている
・それは武器として扱うことができる(1d43 貫通 5%)
・それは幻惑属性の追加ダメージを与える[*****+]
・それは耐久を維持するそれは見切りの腕を上げる[*]
・それは罠の解体を容易にする[*]
・それは中装備の技術を上昇させる[**]
・それは幻惑への体勢を授ける[*]
Elona(正式名称:Eternal League of Nefia)というフリーゲームに出てくる『投擲武器』。FFシリーズとは関係ない。このゲームの中では、井戸やトイレなどの水を飲むと、『願い』というイベントが発生することがある。願いと言えば、そう、ウーロンの伝説のあの願い。「ギャルのパンティおくれ―っ!!」これを願うと、なんと本当にギャルのパンティーが降ってくる、というネタのために作られたらしい。確定で幻惑属性の追加ダメージがついているため、下手な武器よりよっぽど強いけど。ぶっちゃけ檜山に投げて発狂させるためだけに出した一発ネタなのでこれ以降パンツが乱れ飛ぶことはないと思います。あ、檜山にはまた投げるかも?
ちなみに上にあるのは、さっき作者が実際にElonaで願って降ってきたギャルパンの性能です