どうやらこいつにはあの部屋の魔だけでは足りなかったようで、最上級に魔が満たされた部屋に移した。
結局名前聞き忘れた。新しくつけるからいいか。名残り惜しいがこの娘を置いて外に出る。
完全に魔物化すると普通、初めて目覚めた時、その体にあった精神が出てきて、
その後徐々に元の体の精神と合わさっていくのだが、この娘を相手している時は明かに精神がそのままだった。
だからこの部屋で魔を追加する事にしたんだが。
もしかして、魔が足りなかったからロリになっただけで、目覚めたら大きくなってたり、しないよな?
僕の苦節が無駄になるー。どうか魔神様この娘をロリのままで妹にしてください。
言い忘れてたが、魔とは魔物化に必要な栄養的なものなんだが、どんなものでも食べ過ぎが良くないように、
吸いすぎも体によろしくない。だから俺はあの部屋を出たのである。
僕の玉座くらいが僕にとってちょうどよかった。適度にあると体に力が漲るぞ。
どうしようか、待つべきか、それとも侵入者対処や新しい魔物を教育しに行くか
それが問題だな。
悩むぞ、とても悩むぞ。
よし待とう。これくらいの贅沢は許されていいはず。
たとえ部下から援軍要請の電報が入っていても。たとえ侵略軍のお陰で断線していても。
角フロアごとに予備電源あるし、大丈夫。大体2時間くらいしたところで出てきた。
時計を見ると12、3分くらいだったが、体感とは恐ろしいものなり。
「おはよー、?」甲高い、柔らかな甘い声が響く。よかったー、ロリのままだ。ということは精神もロリになってるはず
容姿は人間の少女とあまり変わらない。人形じみた美ではなく血の気の通った美少女だ。
ダボダボのシャツ一枚には犯罪臭が染み付いている。
「おはよう、よく眠れたか」少しキザに身近な感じを演出だ!
「うん、汗かいちゃったみたいだから、お風呂とか、ない?」
先程の口調が嘘のようだ。思えば一人っ子かつ親戚はほとんどいないので、
これくらいの女の子と何話せばいいのやら。
「あー、すまない。風呂はこのフロアにないんだよな」
「そうなの?」
目の前で脱ぎ始める少女。ダブダブのシャツ一枚だけなのですぐ脱げた。その体はツルツルだ。
「ちょっと、何をやって、」
突然少女が黒いモヤを生み出し、全身を覆う。黒いもやが取れた後は、汗とかがなくなっていた。
見つめてしまうのは悪い気がしたのですぐに目を逸らす。
「お風呂ないから、代用ー、もしかして、私が着れそうな服もない?」
「大丈夫、それはあるぞ」
妹ものの漫画を自給自足しているので、デッサン用の服はいくつかあるのだ
その中で一番合いそうな白いセーラー服みたいなワンピースを持ってきた。
「サイズどうだ、適当に持ってきたんだが」
「ありがとう、あいそう」
パパッと着替えていた、すごく似合っている。とても可愛いらしい。
「えっと今更だけど名前聞かせてくれ。僕はキヨヒコ」
「ユウキ、私の名前」
話すことなくなった、これくらいの年の子みたことないから仕方ないか。
「キヨヒコお兄さん、ここどこなの?」
ちょっと呼び方が硬い気がするがお兄さん呼ばわりは嬉しい
「ここは…今はちょっとトラブルが起きてるんだけど、まあいろんな子が集まるところだよ」
「トラブルって、今起こってる争い?」
「まあ、そんなところだ」
この娘耳いいのか。今の戦いがわかるとは。
「キヨヒコ様いい加減加勢お願いします」
おっと部下が直接呼びに来てしまった
「そんなに戦況悪いのか」
「何度もそう言っているでしょう」
仕方ない。もっと話とかしたかったがしゃあないか。
「私もついていって、いい?いっちゃダメ?」
少し甘えるような声だ。上目遣いの破壊力すごい。
とてもダメとはいえなかった。
ということで現場に向かう僕達。
ホントは抱っこで運んで行きたかったんだが、ユウキちゃん飛べた。羽ないのに。
「お、そろそろ戦線突入だ。少し下がった位置で見ていて」
見渡す限り雑魚が多そうだ。ここはユウキちゃんにかっこつけとくチャンスだ。
「やあやあやあ、僕はこの支部の長さ。君たちの希望遊撃部隊は壊滅した。
まだやる気がある子はいるかなあー」
うーんこの口調、やっと板についてきた。演技と割り切るのがポイント。
この煽るような口調、憎さが滲み出るぜ。ユウキちゃんに被害行かないよう気をつけなきゃな
「ふん雑魚しかいないようだな、こんな奴らにわざわざ僕を呼びやがって」
「舐めるなよ、はぁあー」
女騎士っぽい口調で光る剣を上段に構え、僕に向かって突撃してくる女が1人。
しかし着ているのは鎧ではなく、服に少しアーマをつけた感じだ。
僕も腰に据えた剣を抜く。
「は!」
女騎士っぽい人に剣を根本から斬る。殺人もそこそこしてきたが、無力化で済むならそれに越したことはない。
「私の剣が」
『バレットファイヤー』
火の魔法が飛んでくる。炎耐性の手袋で払えば消えるような炎だ。
「ふん、こんなものか」
チラッとユウキの方を見ると、うーんあまり受けよろしくなかったようだ。
僕の方を見ないで、遠くの方を見ていた。
そうやって彼女を見ていると突然、僕の方に寄ってきてささやく
「キヨヒコお兄さん、もうすぐ主役登場かな、頑張って!」
「ん、どういうことだ?」
意味を聞く前にユウキが僕を押した。子供特有の匂いが鼻をくすぐる
『ブラスター』
そして僕がいたいたところに極太の光線が。ものすごいエネルギーが込められている、
これは僕にとって初めての強敵というやつなんじゃないか。
今の食らったら僕でもただじゃおけなさそう
「遅れてすみません。サクラ、総司令より援軍に参りました」
ユウキちゃんと同じくらいの背丈の女の子がハキハキ喋っているところは微笑ましいはずなのに、
萎えちゃってるのはなぜだろう。何故か僕と戦っていたそこまで強くない子たちが完全に勝利した目をしている。
ピンクのショートの髪に魔法少女然とした白いフリフリドレスは彼女によく似合っている。
「ほう、ようやく楽しめそうな奴が現れたな」
大層な口調で言ってますが、強がってるだけです。できれば撤退してください。
「貴方が連絡にあった支部長ですね。この中では際立った魔ですね、ここで殲滅します」
「ふん、ほざけ、先ほどのお返しだ」
僕はありったけの力を込めて放つ
『コラプス』
これは対象の反応を極限まで活性化させ自壊させるという究極の能力。
これを逃れた者はいない。ぶっちゃけこの技一回使ったら力すっからかんだから、外したら負けだ。
使った相手は腫瘍などに侵される、腐り果てて死ぬため当たっても後味悪い。
あまり使う機会のない取り回しの悪い技である。それでも貴重な必殺技だ。
防御魔法で防ごうものなら活性化しすぎてしまって、制御を失い、行使者に全部戻ってくるため、
防御魔法でも防げはしない。まあ当たらなければ意味ないんだが。
『シールド』
防御魔法にコラプス命中だ。
「うー、あぁぁぁー、はー」
ピンクの女の子が物凄い形相をしている。防御魔法は凄まじい発光を示している。
これは勝負あったな
「おいおい、嘘だろ、あれを制御しきるなんて」
なんてことだ。もう打つ手がないぞ
「それで全てですかぁ、はあ、はあ、はあ」
とはいえ相手もかなり消耗しているようだ。汗に塗れて服が透けている。
1話で目覚めたばかりのユウキがこんな感じだったような。サクラと対比するとどちらも良さがある。
「これで、はぁ、終わり、はぁでう」
ぶ、『ブラスター』
あの極太ビームが来る、やばい
「キヨヒコお兄さん、ギブアップ、する?」
「ギブ、ギブ」ユウキちゃんに何言っているんだ僕、せめてユウキちゃんだけでもなんとか
しかし、待てども待てども僕の身を光が貫くことはない
「選手交代、だね」
僕の前に立ってあのビームを防いでくれていたユウキちゃん
その姿はとても神々しかった。