A級1位になればモテるって聞いた 作:あたらんて
「よっしゃここで俺の赤甲羅が火を吹くぜええーっ!国近先輩、覚悟!」
「あ、それいただき~」
「テレサァァァァッ!!!」
俺は今、久々に仕事がすぐに終わったため太刀川隊で○リオカートをしている。
「ちょ、出水先輩の緑甲羅の使い方上手過ぎじゃないですか!?3発全部当たったんですけど!?」
「ハッ!お前が俺の一個前にいんのが悪いんだよ!」
「おいおいおい、何で俺のアイテムこんな悪いんだよ!」
「8位でキノコ1個とか終わって無いスか太刀川さん…?」
何だかんだでこの部隊は毎日のようにゲームで遊んでいるので皆地味に上手い。国近先輩が一個頭抜けてるものの、結構良い勝負になる。
今の状況は上から国近先輩、俺、CPU、出水、唯我、CPU×2、太刀川さんだ。ただ皆距離は全然離れてない。
「よ~し、このままゴールだー!」
もう最終ラップの終盤である。ここから逆転は難しいか…?
「…って、何これ~!?めっちゃバナナじゃーん!」
なんと国近先輩が曲がり角を曲がったすぐ後に大量のバナナが設置されている!
「はははっ!国近、俺の2週分の3連バナナだ!何で今回こんなアイテムが悪いのかは知らんが引っかかったなあ!」
「うっ…!」
「ちょっ、俺も引っかかったんですけど!?」
「ザマア見やがれ木村!そしてついでに青甲羅だ!」
「ナイス太刀川さん…って、俺も当たったんですけどー!?」
「出水先輩、抜かさせてもらいます!」
何かもう色々カオスだ。
「残念だったね太刀川さん!私はまだキノコを残している、タイミングを合わせれば回避できるんだよ~!」
青甲羅が国近先輩の頭上へ到達するも国近先輩はキノコを発動する準備をしている。このままでは国近さんが1位か――!?
「よォ太刀川に木村!ちょいと麻雀やろうぜ!」
「えっ」
「あっ」
唐突に開け放たれたドアから諏訪さんが入って声を上げる。
突然の声に驚いた国近先輩はキノコの発動が遅れ、トゲゾーが直撃する。その爆発にバナナで距離が縮まっていた上位陣は巻き込まれる。
そして動きが止まった上位陣を唯我のク○パが抜いていく。
「おっ、これはボクが1位なのでは!?やった、やったー!今日初めて1位になりましたよー!」
ゴールして喜ぶ唯我を除いて隊室に沈黙が広がる。
状況を把握できていない諏訪さんも思わず黙り込むくらいに空気は冷え込んだ。
「唯我に…負けた…?この、私が…?」
国近先輩のコントローラーを持つ手が震えている。マズイ…!
「ちょっとぉぉ!!こんな負け方したら国近先輩が暴れるでしょうがああ!!諏訪さん、アンタ、もおおおおお!!ほら、国近先輩ぼんち揚げ食いましょ?ね?」
「落ち着け、国近!ほら、今のレースは明らかにお前が1位だったって!」
「柚宇さん、ほら、次のレース始めましょ!?まだ10戦しかしてないんですから!」
「う…唯我ああああ!!!!!」
「ちょ、何でですかー!?落ち着いて下さい国近先輩ー!」
「え、何これ、俺が悪いのか…?」
「それであの後宥めるの大変だったんですよ。あ、それポンです」
何とかあの後国近先輩を慰めて今、諏訪隊の隊室で諏訪さん、俺、冬島さん、太刀川さんで麻雀をしている。
「いやいや、だからあれは俺のせいなのか?てかさっきから俺の順番ばっか飛ばすんじゃねえよ」
「へー…国近ちゃんも結構子供っぽいとこあんだねー」
「国近は負けが込むと暴れ出すからな…さっきまで順調に勝っていたとこをあんな風に負けたら怒るってもんだ」
「そうなんですよ、困ったものです。あ、それポンで」
「いやさっきから俺の手番飛ばしすぎだろ!?」
鳴きまくって諏訪さんの手番を飛ばしてたら怒られた。
「わざとですけど丁度良く鳴ける牌が出てくるんだからしょうがないじゃないですか」
「わざとなのかよ!?」
「まーその辺にしとけよ…お、ツモ。マンガンだ」
「やりますねー、冬島さん。これで暫定1位ですか?」
冬島さんが和了ったため牌を卓にジャラジャラと流し込む。
「そういえば木村。この前彼女が欲しいって散々言ってたけど出来たのか?」
「は?太刀川さん喧嘩売ってるんですか?俺ここ1週間あなたの隊室でずっと仕事してた記憶しかないんですけど」
まさか仕事を押し付けてきた張本人からその言葉が出てくるとは思わなかった。
「おいおい、そんな怒るなって…あ、そうだ。アイツにも頼まれてたし、うん。木村、お前に女子と関わる機会をくれてやるよ」
「マジッスか!?一生太刀川さんに着いて行きます!!」
「変わり身早すぎじゃねえか…?」
女子と関わるためにはどんなプライドも投げ捨てる所存である。
「自分は弓場隊
弓場隊に連れて来られるとか聞いてない。最高に姿勢を良くして帯島ちゃんの自己紹介を聞く。
弓場さんは見た目からしてガチガチの体育会系であり、この人に何か言われるともう俺は何もできない。
そして流石に中2に手は出せないだろう。色々と想像してたのと違って帰った太刀川さんに心の中で文句を言う。
「ウチの帯島をよろしくなァ木村。オメェに教えてもらえるのは有り難ェからな」
そもそも弓場さんが面倒見てる女の子に手を出すとか正気の沙汰じゃない。果たしてどうなるかわかったもんじゃあないだろう。チキンな俺ならなおさら無理だ。
あの人、俺が手を出せないとわかってて連れてきたな…!
「あ、ハイ、よろしくお願いします…」
でも弓場さんがいるのに断るなんて出来ないんだよなあ…。
「木村先輩、お強いんですね!」
「いやいやー、帯島ちゃんも良い動きしてるよー」
色々と文句を言ったがこの稽古、思ってたより1000倍楽しい。まず弓場さんが見ていないということで緊張感が一気に減った。
そして可愛い女の子にチヤホヤされながら上から目線で指導できる。ヤバい。やっぱ太刀川さん神だわ。今まで仕事で溜まっていた不満という不満が一気に解消されていく。
「ただ、さっきの動きでいうならあそこはシールドじゃなくて弧月で受ける場面だったかな」
「なるほど…」
しかしこの帯島ちゃん、普段から面倒見の良い弓場さんの下にいるからかかなり良い動きをしている。中2でこれならどんどん強くなっていくだろう。
「よし、じゃあ次は射撃訓練でもしようか。えーと、ターゲットを起動させるのは…」
「あ、それはここッス」
「!?」
訓練室のパネルをいじっていると、帯島ちゃんが身を寄せて来た。
不味い、女子に耐性の無い俺にそんな近い距離は無理だ…!何か帯島ちゃんの汗とか匂いにも興奮してくる。イカン、これではロリコンの誹りを受けてしまう!
いや、もう別に中2でも良いのでは?3歳差ぐらい大人になればどうってことは…。
「よう木村ァ。訓練は順調かァ?」
「ハイ、弓場さん!帯島ちゃんはかなり強いですね!戦闘の判断とかもかなり鍛えられてると思います!」
一瞬で姿勢を正し、帯島ちゃんから距離を取って訓練室に入って来た弓場さんに対面する。思考が危険なところまで行っていた。危なかった…!
「よし、もうそろそろ終わっとけ。もう5時だ。訓練し過ぎるのもいけねえ。もう帰れ。また稽古を頼むぜ」
「はい!これからもよろしくお願いします、木村先輩!」
なんと…!5時で帰してくれるなんて、なんて優しい人なんだろうか。どこぞの隊長も見習って欲しい。
弓場さんのことを恐れてはいるが、何だかんだで非常に面倒見の良い人だ。もし枠が空いてるなら今すぐ弓場隊に入隊希望を出していたかもしれない。
良い一日を過ごせたとウッキウキで帰宅しようと廊下を歩いていると、太刀川さんが前を歩いているのを発見する。この素晴らしい経験は太刀川さんによって得たものだが、このまま出会うと良くないことが起きる。俺のサイドエフェクトがそう言ってる。今すぐUターンしよう。
「おいおい、どうしたんだ?急に振り返って。忘れ物でもしたか?安心しろよ、まだ家には帰れねえからさ。忘れてたけど明日提出の課題があったんだ」
ものすごいスピードで俺との距離を詰めた太刀川さんに捕まる。冗談じゃない、今日という一日をそんなことで終わらせてたまるか…!
「お、木村見つかりましたか!よしよし、これで手伝う人数が増えたぜ!安心しろよ木村、3人でやればすぐ終わるって!」
出水も角から出てきて加勢する。二人がかりで捕らえられた俺は太刀川隊の隊室へと連れて行かれる。
「ふざけんな、3人集めようとしてる時点ですぐ終わる課題な訳ないだろ!やめろ、俺は今日は幸せな記憶だけで終わりたいんだ、やめろ、やめろおおおおおお!!!」
褐色大好きです。