A級1位になればモテるって聞いた 作:あたらんて
先日、何とか加古さんの炒飯を食べきった俺はなぜあんな事態に陥ったのか反省した。
その結果、やはり女性との関わりの経験が少ないが故に黒江との密着で正気を失っていたのが原因とわかった。
「というわけで早急に解決するべき問題だろうとモテモテボーダー隊員の烏丸君に相談に来ましたー!イェーイ!」
「いぇーい」
心も見た目もイケメンな烏丸京介君である。俺にも簡単にモテる方法を伝授してくれるだろう。
「でも木村先輩普通に顔良いしもうモテてるんじゃないですか?」
「HAHAHA、烏丸。モテてたらわざわざ相談になんか来ないのだよ」
お世辞とかいらないからとにかく彼女が欲しいのである。
「結構マジで言ってるんですけどね…」
「あら?木村じゃない。ウチに何か用?」
「小南か」
小南が帰って来たようだ。
「あ、じゃあ小南先輩で女性と関わる練習でもしたらどうですか?」
「えー…小南?コイツは参考にならないっていうか…」
「何よ、何の話してるの?」
まあモテモテ道の大先輩の言うことだし一応やってみるか。
小南の方を振り返り悲しそうな表情を作って言葉を切り出す。
「なあ小南、実は俺…あ、いや、やっぱ何でもないわ。うん、忘れてくれ」
「…ちょっと。何よ、そんな顔しちゃって。今言いかけたこと話しなさいよ」
小南が俺の言葉に食いつく。
「そっか…じゃあ、言い辛いことなんだが…その。実は俺、彼女が出来ないと死ぬ病気に掛かったんだ…」
「え!?ほ、本当?」
小南が目を見開いて驚く。
「ああ。嘘だって思うだろ?俺もそう思いたいさ。でも本当なんだ…!」
「え…そ、そんな…」
小南は沈痛な面持ちで黙り込む。
「それで、俺に彼女なんて出来ないからさ…皆に、お別れを言いに来たんだよ」
「…そ、それなら、わ、私が…!」
「あ、全部嘘な。ほら、チョロ過ぎて参考にならないだろ?」
「確かにそうですね」
「ええーっ!?また騙したのー!?アンタ明らかに死ぬ感じだったじゃない!私の心配を返せーっ!」
「うわっ、ちょっ、噛みつくな!」
小南が噛みついて来るが女子と触れ合うことによる緊張なんかは感じない。やはりコイツといくら関わったところでレアケース過ぎて女性との関わりの参考にはならないだろう。
「うーん…じゃあ、あれですかね。好みのものを送るとかどうですか?」
トリガーを起動して小南と取っ組み合いをしていると烏丸から助言が出る。
「なるほど…小南、果物好きだったよな。みかんいるか?」
小南の隙を作るために話しかける。おすそ分けとしてまたみかんを持って来たのだ。
「ありがと。アンタをぶっ飛ばしたらもらうわ」
うーん。やはり好感度が上がっている気がしない。これは小南が例外なだけなのだろうか。
「ざっけんな!そこは素直にもらって大人しくしとけよ!」
「うるさいわね!もういいわ、トレーニングルームに入りなさい。ボッコボコにしてあげるわ!」
「上等だよ10本勝負な!」
結局あの後烏丸はバイトに行ってしまって良い助言はもらえずじまいだった。やはり自分で考えるしかないのだろうか。とりあえず好物をあげるというのを誰かに実践してみることにする。
「よし黒江、みかんをくれてやろう」
「ありがとうございます」
それだけか…?全くいつもの無表情から変わった気がしない。
「え、何かこう…もっとないのか?」
「…?どういうことですか?」
果たして好感度は上がっているのだろうか。
「…あ、お返しが欲しいんですか?それなら隊室に加古さんが作った炒飯の残りが…」
「よし、訓練の続きやるぞ。今日は旋空弧月を鍛えるか」
他の人物で実践するとしよう。これはちょっとリスクが高過ぎる。
「というわけで国近先輩。じゃがバター買って来たよ」
「お~優しいね~。じゃあお返しでこの書類の山があるんだけどさ~。ホント、これ、何でこんなにあるんだろ…。太刀川さんが多分溜めてたんだけどさ…」
やはり好物をあげたところでメリットが一つも見つからない。烏丸に今度文句を言いに行こう。
山のように積み上がった書類を国近先輩と絶望的な表情で眺めながらそう決意した。
「ねえ国近先輩。今日こそ太刀川隊が一致団結するべきだと思うんだ」
「そうだね~」
「唯我は呼べば来るし、太刀川さんと出水は…」
ああ、こういう時こそ好物を使うのか。
「なあ出水、隊室でみかん一緒に食おうぜ」
「お、いいね。行くぜ」
「太刀川さん、うどん作りましたよ」
「お、やるな木村」
「「木村ああああああ!!!!!」」
やはり好物をあげても好感度は上がらないらしい。太刀川隊全員で書類を処理しながらそれを実感した。