A級1位になればモテるって聞いた   作:あたらんて

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やる気ない時の試験は逆に余裕をかませる

 

期末試験。それは例えボーダー隊員であっても逃れられない行事。

 

 

「というわけで始まりました赤点から逃れようの会~!」

 

「イェーイ」

 

 

大分前に赤点で一部の隊員の進級がヤバいみたいなことが起き、それを危機と見た上層部がこうして期末試験の直前になると同年代ごとで勉強会を行わせていたりするのだ。中間試験では行われず、中間の結果から参加させられるメンバーが決まる。

何故か俺もメンバーに入っているが決して俺の頭が悪い訳じゃない。問題が悪いのだ。

 

 

「えー、それでは点呼を取りまーす。小佐野」

 

「ほーい」

 

 

小佐野(おさの) 瑠衣(るい)。諏訪隊のオペレーターで元ファッションモデル。諏訪隊の隊室に麻雀をやりに行くと半分ぐらいの確率で参加している。

 

 

「仁礼」

 

「んー」

 

仁礼(にれ) (ひかり)。影浦隊のオペレーターで基本ダラけている。この勉強会も影浦隊の隊室を使っているが理由は仁礼がダダをこねたからだ。

周りを見ると明らかに仁礼のスペースだけ汚い。まあ太刀川隊の隊室にキレイなところなんて一つもないから人のことは言えないのだが…。

 

 

「米屋」

 

「おう」

 

 

米屋 陽介。ボーダーでも珍しい槍使いだがとにかく頭が悪い。俺もコイツには負けていないと胸を張って言える。事実前回の中間では俺の方が5つ順位が上だった。

 

 

「そして教師役として小南、と…」

 

「ついに回って来たわね…」

 

 

ボーダーの中で成績が優秀な人物はこうして同年代の勉強会に教師役が順番で回ってくる。一応ちょっとした小遣いのようなお金も出ているらしいのであまり文句は出ていない。

あと、人に教えるのも勉強になるというのも恐らくは本当なのだろう。まあその領域の話は俺には全く理解が出来ないが。

文理のこともあるが「そのレベルに達していない」とのことで文理関係なく教師役はあてがわれている。反論できないのが何とも悔しい。

 

小南は一見アホそうに見えるが案外優秀だ。というか通っている学校自体お嬢様校でその中でも優等生だというのだからその頭の良さはボーダー内でも屈指のものである。

ただ成績でマウントを取ってくるのが非常にウザい。ランク戦でやり返そうにも小南に圧勝できる程の実力は無い。そのため毎回嘘を吐いて不満を解消している。前に吐いた嘘は「奈良坂はきのこ派」だったか…。

 

 

「…それで?アンタたちはどの教科が苦手なの?」

 

「おいおい小南、オレたちゃ地獄の赤点軍団だぜ?苦手教科とかあるわけないだろ。全部赤点だ」

 

「はあっ!?」

 

「おい米屋、一緒にすんな。俺は前回現文は38点だったぞ」

 

「よっしゃ勝ったあーっ!アタシは39点だかんな!お前これからアタシを敬えよ!」

 

 

なに…っ!まさか仁礼に負けるとは…!

 

 

「よく点数なんて覚えてんね~。前回やった麻雀の点数なら覚えてるけどさ~」

 

「…ここまで、レベルが低いなんて…!」

 

 

小南が衝撃を受けたような顔をしている。しかし正直しょうがない面もあると思う。

ボーダーに所属している以上任務だったり訓練に時間を取られて勉強する時間を確保できている隊員はごく僅かだ。その中で優秀な成績を保っている小南は正直すごいと思う。俺も仕事の時間を勉強に回せばああなれるのだろうか。

 

 

「…まあいいわ。これならこれでやる気が湧くってものよ。あんた達、絶対に赤点は取らせないからね!」

 

「おー」

 

 

 

 

 

 

 

「なあ仁礼、今週のジ○ンプ買った?」

 

「当然だろ木村!聞いて驚け、あの大先生がまた休載してるぞ!」

 

「そこ!集中する!計算問題は集中してないとミス連発するわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員知ら~ん」

 

「嘘でしょ…?たった15人の足利将軍よ…?」

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、まさるくんって誰だよ小南」

 

「そ、そこから…!?」

 

「…と、思うじゃん?」

 

「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー…はー…疲れた…」

 

 

勉強会が開始してから2時間が経ったが相当小南は疲れているようだ。この前教師だった宇佐美なんかは結構手際良くこなしていたが小南にはまだハードルが高かったようだ。

 

 

「でもこっから一夜漬けを繰り返せば赤点回避できるとこまでは来たんじゃねーか?」

 

「げ、一夜漬け必要なのかよ。木村は慣れてるかもしんねーけどなー…まあアタシも補習はやだし頑張るかー」

 

 

一夜漬けに慣れているなどと不名誉なことを言われるのは甚だ不本意ではあるのだが、事実必要である。基礎学力が無いとどうしてもそういった手段に頼らざるを得なくなる。

 

 

「そうね、まあ一夜漬けをする気があるんなら一旦休憩にでもする?」

 

「お、い~ね~仁礼ちゃん、何か出してよ」

 

 

小南が休憩の許可を出したことで一気に空気が弛緩し、小佐野が仁礼にものを要求する。影浦隊には割とマジで何でもある。肩の力を抜いて一度リラックスするとしよう。

 

 

「しゃーねーな!アタシのゾーンに来るが良い!何でもあるぞ!」

 

「お?なんだなんだ、ジュースも結構あるじゃねーの。オレこのな○ちゃんもらうぜ」

 

「あ、お菓子もあるのね。このお饅頭もらっていい?」

 

 

皆思い思いにリラックスを始める。やはり影浦隊の隊室は心地が良い。皆良い人だというのもあるが、雰囲気がゆるい。

 

 

「あれ~?これ雀牌じゃん。みんなでやんない?」

 

 

小佐野が仕舞われてあった麻雀牌を見つける。

 

 

「お、そりゃゾエが持って来てたやつじゃねーか!良いじゃん、じゃあ一局ずつでドベが交代な!」

 

「おいおい、オレルール知らないぜ?」

 

「あたしも知らないんだけど…」

 

「大丈夫だって、やってりゃわかる!」

 

楽しくなってきた。明日の試験への景気づけも含めてここで勝つとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ…もうこんな時間…?」

 

「……あー、やっちまったな…」

 

 

 

追試で頑張ることを誓った4人であった。

 

 




勉強って一度途切れると復帰が不可能だと思います。
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