A級1位になればモテるって聞いた   作:あたらんて

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出張帰りそうそう仕事

 

今日、太刀川隊が遠征から帰って来る。とても疲れているだろうからねぎらってやろう。多少なら遠征のレポートなんかも手伝ってやらんこともない。俺も昔遠征に行ったからその大変さはわかるのだ。

そう思って太刀川隊のこたつでのんびりしながら待っていると、当の太刀川さんから電話がかかって来た。

 

 

「今夜玉狛の黒トリを奪いに行くぞ」

 

「…はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で俺までこんな夜に駆り出されなきゃいけないのか…」

 

 

どうもこの前知り合った空閑君は近界民(ネイバー)(ブラック)トリガー持ちだったらしい。そりゃ強いわ。

それでその黒(ブラック)トリガーを回収するために上位3チーム-冬島さん+三輪隊で向かっている。ぶっちゃけこの戦力は過剰過ぎると思うのは俺だけだろうか?

 

 

「木村先輩、文句言わないでくださいよ。遠征帰りの僕らの方が疲れてるんですから」

 

 

菊地原が俺にブツブツ言ってくる。

 

 

「おいおい、先輩になんだその口の利き方は。この前焼肉奢ってやっただろ」

 

「ヤだなあ…そうやって一回奢ったからっていって先輩面するの…」

 

 

菊地原はこんな事を言ってくるがなんだかんだで仲が良いため気にはしない。が、それはそれとしてムカつく。

 

 

「下らないことで言い争いをするな。それより木村、ノーマルトリガーでその近界民(ネイバー)とやったんだろう?感想はどうだ」

 

 

風間さんに怒られる。身長は低いが立派な21歳だ。大人しくいう事を聞く。

 

 

「いや、普通に強かったですよ?確かに完全に舐めてましたけど綺麗に一本取られました。近界民(ネイバー)って思えばあの動きにも納得ですね」

 

 

動きとしては緑川に近いものがあった。相手に先手を譲るといきなりスコーピオンの投擲、驚いて弾くと一気に距離を詰められ慣れてない双月での接近戦に持ち込まれた。そのままトリッキーな動きに対応できず足を切られて姿勢を崩し、首を斬られて負けである。

たかが新人と完全に舐めていたが故の結果だ。あの戦いを思い返していると、先頭の三輪と太刀川さんが足を止める。

 

 

「話は一旦中断だ。見ろ、迅のお出ましだ」

 

「太刀川さん久しぶり。みんなお揃いでどちらまで?」

 

 

迅さん。未来予知のサイドエフェクトを持つS級隊員である。

 

 

「迅さん?なんで?」

 

 

当真先輩が疑問を発する。

 

 

「よう当真。冬島さんはどうした?」

 

「うちの隊長は船酔い中だよ」

 

「おい、余計な事を喋るな」

 

 

当真先輩に風間さんが注意する。

 

 

「なんだ、迅。こんな所で待ち構えてるなら目的も知ってんだろ?」

 

「もちろん。ウチの隊員にちょっかい出しにきたんでしょ。悪いけど、守らせてもらうよ」

 

 

そう言うと、迅さんは腰の風刃に手をかける。

 

 

「え、マジ?迅さんとやる流れなんすかこれ?」

 

「木村たちが帰ってくんないならね。というか木村はウチと仲良いじゃん、見逃してくんない?」

 

 

迅さんの言葉にキョトンとするも、バッグワームを解除して弧月に手をかける。

 

 

「悪いね、迅さん。俺は派閥とかそんなに気にせず人と関わってるけど、これでも一応元太刀川隊なんだ」

 

 

一気に戦闘の雰囲気へと変わっていく。

 

 

「一応言っておくが、隊員同士の戦闘は規定違反だぞ」

 

「それならウチの後輩も隊員だよ」

 

 

風間さんが規定を持ち出すも、迅さんの言葉に返される。

 

 

「ふざけるな!近界民(ネイバー)を匿っているだけだろう!」

 

近界民(ネイバー)を入隊させちゃダメなんてルールは無い。正式な手続きを経て入隊した立派な隊員さ」

 

 

三輪が怒るも、また綺麗に迅さんに返される。

 

 

「安心しろよ迅。玉狛での手続きは済んでも本部での入隊式は済んでない。俺たちからすればただの野良近界民(ネイバー)だ」

 

「へえ…」

 

 

太刀川さんもバッグワームを解除し、その二刀を露わにする。

 

 

「確かにそれならヤバいね。おれもこのメンバーに勝てる気はしない。まあ、おれ一人ならの話だけど」

 

「!!」

 

 

迅さんの言葉と共にレーダーに反応が現れる。

 

 

「嵐山隊現着した!忍田本部長の命により玉狛支部に加勢する!」

 

「悪いね、太刀川さん。はっきり言ってこれなら俺たちが勝つよ。おれのサイドエフェクトがそう言ってる」

 

 

嵐山隊…!A級5位の部隊でその実力は折り紙つきだ。

 

 

「へえ…面白い。ここまで本気のお前は久々に見るな」

 

 

太刀川さんが腰の弧月を抜く。

 

 

「おまえの予知を覆したくなった」

 

 

それを見た迅さんも腰の風刃を抜く。

 

 

「やれやれ、そう言うだろうと思ったよ」

 

 

 

 

全員が一気に動き出す。混合部隊とはいえA級上位。無言で連携くらいは取れる。攻撃手(アタッカー)は迅さんと距離を詰めて他は射撃戦を行う。

 

が、流石は嵐山隊に未来予知を持つ迅さん。連携では一歩劣っているか。中々攻め切れない。

 

 

「旋空」

 

「!」

 

 

太刀川さんの一撃に迅さんたちは大きく回避する。

 

 

「太刀川さん、分かれましょ。嵐山隊と迅さんで別々にやりましょうよ」

 

「丁度良いな、木村。俺もそう思ってたとこだ。三輪、米屋と古寺はまだか?」

 

「もうすぐ合流します」

 

「それなら部隊ごとに分かれるぞ。三輪隊と当真は嵐山隊を足止めしてくれ。残りは総攻撃で迅をやる」

 

 

 

 

 

どうやら相手も分断に乗る気のようで綺麗に戦場が二つに分かれた。

太刀川隊、風間隊合わせて6人で迅さんと相対する。

 

俺も弧月で斬りかかるが、迅さんは包囲されないためにか下がり続けてこちらが少しずつトリオンを消耗していく。

 

 

「…そうか。迅はこちらをトリオン切れで帰らせるのが狙いか」

 

「!」

 

 

風間さんの呟きに納得する。本部との摩擦を軽減させるためか。

 

 

「風間さん。この人追っかけまわしてても無駄ですよ。玉狛に行きましょう」

 

「…たしかにそれもそうだな。玉狛に向かおう」

 

 

菊地原の提案に風間さんが乗る。

 

 

「…やっぱこうなるか」

 

「!!」

 

 

呟きと共に迅さんが壁に風刃の太刀を添わせる。直感は反応しない、だとすれば迅さんが最初に狙うのは―――

 

 

「菊地原!」

 

「え?」

 

 

壁から生えた刃が菊地原の首を飛ばす。

 

 

『戦闘隊活動限界 緊急脱出(ベイルアウト)

 

 

斬撃を飛ばす能力――黒トリガー、風刃の真骨頂!

 

 

「仕方ない。プランBだな」

 

 

エリートS級隊員は、不敵に笑った。

 




主人公のトリガー構成は次話出します。
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