横断歩道。小さな腕に抱えるのは一匹の白い猫。
僕は知っている。この猫を。僕の、僕たちの大切な友だち
「さくらちゃん、おうちへ帰ろう!」
さくら。小学校で六年間、いや、今でも僕たちの友だちである白い猫。
おうちへ、帰る?
あれ?じゃあ、この女の子は
もも?
それを認識した瞬間、横から車が飛び出した。
車は僕の、ももという小さな女の子の体を押し潰した。
痛い!
僕は思わず悲鳴をあげようとしたが、口から出たのは驚く内容だった。
「さくらちゃん、守らなきゃ」
こんな、こんな小さな女の子が自分よりも他の命を守ろうとしている。
強く、だけど潰さないように優しく腕の中の命を抱き締める。
体はもう、動かない。
もも。さくら。
遠くで救急車のサイレンが聞こえる。
きっと、間に合わない。
僕のたった数ヵ月一緒に勉強をしたクラスメイト。小さな女の子が最期に言ったのは
「さくらちゃん、また、会いたいな」
また、会えるかな
また、会えるよね
未来の可能性を信じる、希望だった。
暗くて冷たい通路の中。自分より先を駆ける足音を追いかけ、奥へと進む。
トンネルか?それにしては暗すぎないか?
前の足音が近づく。止まった。
前の足音に近づく。僕は止まった。
微かに見える、女子高生の左腕を掴む。
「つかまえた」
意外と思っていた以上に低い声が出た。
その瞬間
(ざくん)
は
片足が無くなっていた
(ざく、ざく、ざく、ざく)
来るな
来るな
クワレル
「食べないで」
女子高生の腕を掴んだまま、僕の視界は真っ暗に
目の前に白く鋭く光る何かが数本見えた
真っ暗に
(ざくん)
僕は女子高生の腕と一緒に「なにか」に食われ
おい!ちょっと待て!
彼女の腕離せって!
視界が真っ黒に覆われた。
最期の瞬間、ちぎれた女子高生の腕をきゅっと握り
「一回でいいから君と×××したかっ」
こいつまだ言うか!
暗闇の中、何かに食われた青年は。
死ぬまでただの変態であった。
多分、死んでも×××しか頭になかったんだろう。
『にゃんだふる☆でいず』
守られた命だから
精一杯生きて見せるのにゃ
叶わなかったあの子の願いだから
じぶんが代わりに叶えるにゃ!
ねこだけど
学校に通うにゃ
ねこだけど
みんにゃのにゃかまにゃ。
空いた出席番号22番
代わりに座った猫一匹
今日も一緒に猫、登校
明日も一緒に猫、登校
にゃ☆
『地下通路』
突然あらわる地下通路
食われる前に引き返せ
七不思議が四つ目、いざ参る
追われて逃げ込む地下通路
暗く寒い通路から
ざくざく刃が鳴る音がする
追った方は喰われて帰れず
追われた方は片腕なくす
残った腕を引かれて逃げる
懐かしき友はいと強し
通路の先では生きてはいけない