とある聖女狂いと支配者のHSDD   作:ムリエル・オルタ

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続きそうな題名ですけど、特に続けようという気概はないです。気が向いたり、インスピレーションが沸いたら書きます(多分)


出会い

「ま、またやってしまった…。どうしよう…、今それどころじゃないってのに…」

 

とある教会近くの森の中。優男風の男が顔面蒼白で頭を抱えながらそう呟いた。彼の名前はディオドラ・アスタロト。72柱の悪魔の一つ、アスタロト家の次期当主であり、現在スパイ活動中の悪魔だ。彼が頭を抱えている理由は彼の癖が原因だった。聖女堕とし(・・・・・)が彼の趣味だった(・・・)。何故過去形なのかと言うと、現在彼の実家であるアスタロト家の軍事顧問を担当する人物の教育の賜物だった。その人物曰く『結果だけを見ればプラスだが、結果此方が足手まといを増やしてしまえば敵を喜ばす結果となる。性の対象としてだけで見るな(要約)』と言うものだった。確かに、教会の回復要員を削っているという観点から見ればプラスだが、その度にアスタロト家には魔女の烙印を押された元聖女が来られても困るのだ。

 

そんなこともあり、ディオドラはこの趣味を自粛していたのだが、どうも無意識に行ってしまう時があるらしくアスタロト領に入ってくるシスターの数は減少と言う言葉を知らない。そして、その後始末は軍事顧問を担当するその人物の負担となる。結果、諸々の原因であるディオドラは彼の人物から説教(フルボッコに)されることになる。次期当主だとか、そんな肩書に遠慮せずにボコボコにするのでディオドラは折檻に怯えているのだ。

 

「い、いや、まだ助かる。今回は当たりだ。善性が強すぎるけど、少なくとも此方の陣営に入れておいても損は無い筈…!」

「そうだな。確かに能力は申し分ない。が、それとこれとは別だ。さて、言い訳を聞こうか?」

「…!?」

 

ディオドラが自身に言い聞かせる様に呟いた言葉に何者かが返事をした。気配すら感じられなかったディオドラは驚きの余りに声のした方向から距離を取り、自身の意識のスイッチを切り替えた。が、その人物の姿を確認したのと同時にまた顔を青褪めさせ、ガクガクと携帯のバイブレーション並みに震え始めた。彼の目線の先には全身が血の様に赤く、マントを羽織り、片手には特殊な形状をした剣を持つ異形が立っていた。

 

「で、先に言い訳を聞こう。ディオドラ、卿は後何回同じことをやれば気が済む?」

「待ってくれ、本当に今回は無意識だったんだ!本当なんだ!許してくれ、デェムシュ!」

 

両手を前に出し、どうにか弁明しようと何かないかと探すディオドラだったがふと目線を外せば、追放処分を言い渡された元聖女であるアーシア・アルジェンドが堕天使に接触されていた。これには流石のディオドラも目を剥く。教会の戦力は削るが堕天使の戦力を強化しようとは思っていなかったからだ。目の前で起きたディオドラの変化にデェムシュも気が付き、彼の目線の先に目を向けた。そこには防御力皆無の服装でアーシアに接触している姿が見えた。デェムシュと呼ばれた異形もディオドラが及ぼす教会への影響については認めていたし、能力的に聖女と言われるだけあって高い素養を持つ人材が自陣営に加えられることのメリットも知っていた。起きたことはしょうがないとして、今回も自陣営に引き込むことは確定していた。それがまさか目の前で敵に掻っ攫われるのは流石に業腹と言うものだった。

しかし、場所が教会近くと言うこともあり堕天使は長居せず何か指示をするとそのまま何処かへ去って行った。それを二人で眺めた後、デェムシュはディオドラへの制裁はこれらが終わった後、何かしら実務的な事で償わせようと心に誓いながら行動に移した。デェムシュは進化によって得た人化で人に化け木陰から出て、アーシアの前に現れ声をかけた。

 

「やぁ、お嬢さん(フロイライン)。この度は、当主様の傷を癒してくれてありがとう」

「えっと…?」

 

突然現れ声を掛けられたアーシアは困惑し、ただデェムシュを見つめるだけだった。デェムシュはそのまま畳みかける様にアーシアに話しかける。

 

「あぁ、自己紹介が遅れた。私の名前はデェムシュと言う。言い辛いのならば、指揮官(コマンダンテ)とでも呼んでくれ。それで、だ。私としては、当主様を癒して追放されてしまった君に申し訳なくてね。出来ればだが、私の所に招待したいと考えているのだが、いかがか?」

 

そう言ってアーシアを見るデェムシュは薄く笑みを浮かべる。その笑みは完全に詐欺師にしか見えず、かえって不安を煽る結果となるのだが、この男、そのことに全くと言っていい程気が付いていない。普段の業務で笑うことも少なく、部下も指摘しないのが根本的な問題であることは明らかだが、ソレに気が付くのはもう少し先の話である。

 

「その、申し訳ないんですけど先程堕天使様から駒王町の方に出向くようにと言われてしまっていて…。今から行こうと思っているんです」

「そうか、それは残念だ。だが、明確な事は言われていないのだろう?ならば、その用事が終わり次第招待しよう。なに、この時世で婦女子一人で日本の町へ行くというのも中々酷だろう。恩返しついでだ、道中の護衛も行おうでは無いか」

「え、いや、その、申し訳ないです!」

 

そう言って、にこやかに笑うデェムシュ。怪訝そうな顔をしながら申し訳なさそうなアーシアだが、元来の善性でついつい了承してしまう。コレが他の悪魔貴族だったら問答無用で誘拐されイロイロされる事だろう。まぁ、ディオドラやデェムシュが許す筈がないのだが。

その後、やっぱり申し訳ないと渋るアーシアに無理を言って駒王町まで同行したデェムシュは道中である程度アーシアと仲良くなり、打ち解けていた。その頃、空気になっていたディオドラは転移で自身の実家に帰り、今回の出来事を報告。駒王町の隣町に親衛隊(・・・)を派遣し、堕天使との何かしらの用事を済ませた後、比較的速やかに自身の領へ連れていく計画を立て、行動していた。全てはこの後言い渡されるであろう、デェムシュの制裁内容緩和の為に。

 

~~~

 

アスタロト家。大公爵という公爵を凌ぐ爵位を持ち、旧ソビエトとヨーロッパを足したような広大な領地を治める悪魔だ。長男で会ったアジュカ・アスタロトはその能力により魔王となりエレベーター式に次男であるディオドラが次期当主に挙げられた。当時、内乱が起き現魔王派により鎮圧され、取り潰された貴族の領地を吸収しさらに広大な土地を手に入れたアスタロト家は領内の防衛、戦力の増強が急がれていた。しかし、次期当主のディオドラは眷属にするでもなく聖女を教会から離反させ自領に引き込むことに熱中していた。そこで仕方なく現当主の父親は個人の伝手を頼りにある集団を自領に呼び込んだ。自身のことをオーバーロードと呼ぶ植物を操る異形の集団。

 

かつて、偶然開いた空間から出会った『ロシュオ』と名乗るイカっぽい異形との交流を今ほど感謝した事は無いと後にディオドラに向かって父は言ったとかなんとか。そこからアスタロト領は変化した。オーバーロードの一人、深紅の異形を領内の軍務卿に充てること、緑の異形を宣伝相に就任させることをロシュオに約束し、見返りに領内の繁栄を契約したアスタロト家はその後の二人の行動に目を剥くことになる。

 

深紅の異形改めデェムシュは軍務卿の名を変え、自らを元帥と名乗り領軍を武装親衛隊と改名、トップダウン型の官僚制を執り行い統制を図り始めた。また、ディオドラによって破門にされた元聖女のメンタルケアと同時に軍医としての教育を行い、レディオ主導のとある実験に参加させた。デェムシュ本人が政には積極的に関わるつもりはないと宣言し、領の暴力装置を自称し人間の軍を参考にした兵科や秘密警察を下に巨大化する軍の統制を強めた。

 

緑の異形改めレディオは人間を下に見る悪魔の意識改革を行い始めた。自らを至上といい他者を見下すその姿勢は自らの進歩にも大きく影を落とす。なにより、悪魔が見下す人間は群れると残虐になる、時に悪魔すら引く行為を平気で行う、そして愚かでもある、と。

 

既に冥界どころか裏の世界での常識となっている神器についての人間の行動を領民に知らせ、折角自分たちの戦力を此方に明け渡してくれたのだから、こちら側に来た人間には悪辣に振舞わない様に呼びかけ意識改革を行った。同時に、広大な土地の有効活動の為に公共事業として領内の未開の開拓に乗り出し経済の歯車に潤滑油を注ぎ込んだ。また、プロパガンダを作り領民の防衛意識を刺激させ、領外からくる他貴族の密偵への牽制を行った。

 

簡単に言ってしまえば、この二人は軍国主義のプロフェッショナルと言ってもよかった。情報統制と秘密警察による潜在的な敵のスパイ活動への抑制、領民の自由を保障し来るものを審査した上に拒まず、領内の繁栄だけを行う。その行いは何時しか『冥界の中の帝国』と呼ばれるまでになった。

 

この物語は、本来起こりえなかった変化が生んだ波紋が舞台(原作)にどう影響するのかをただ遠目から観察するだけの物語だ。それはきっと、愉快であり、未知なるものであるだろう。




元を辿れば酔った際に適当にWordで書いた作品なので、誤字修正とちょっと加筆してるだけです。
「個々がおかしい」と思ったら是非教えてください。あまり、乱暴な口調はやめてくださいね?作者のメンタルはトイレットペーパーなので。
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