とある聖女狂いと支配者のHSDD   作:ムリエル・オルタ

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HSDDは原作がぶっ飛んでいるので、二次創作を書く分には結構好き勝手できるのですが、どうにも原点(伝説や伝承など)を知っていると、違和感の塊になるですよね。

エクスカリバーが七本に増えていたり、中に祝福とか支配とか言う訳の分からんものがあったり。同じ武器が複数出たり。

名前だけ借りて、伝承とか伝説を小馬鹿にしている感じに受け取ってしまいますね。
多分、名前だけしか知らずに詳しく調べなかったんでしょうね。ソースがゲームだったりして…流石に無いよね?
まぁ、この作品はアンチに要素があったとしても、薄塩味程度なのでぼろくそにやる予定はありません。多分。


会敵

日本のとある県にある駒王町。そこに異色の二人組が姿を現した。片方は高身長にワインレッドのタキシード、手には黒い皮手袋、オールバックに撫でつけられた赤メッシュの入った蒼に近い黒の髪。糸目とまではいかなくても細く鋭い目に病的なまでに白い肌の男とシスターだということが一目瞭然で分かる少女。少女の方が楽しそうに話しかけているからこそそこまで問題にはなっていないのだが、ここまで来るのに既に三度ほど男の方は職質されていたりする。そしてその度に少女が弁明するのが一連の流れとなっている。お分かりだろうが、この男がデェムシュである。そして、イタリアから日本への道中仲良くなり頻繁に話しかける様になったアーシアである。

 

空路での襲撃を警戒した結果、陸路と海路の二つを経由することになりその間に何度も教会からの襲撃を受けた二人は段々と仲が良くなった。と言っても、デェムシュからしてみれば初めての事例であり、教会の聖職者とは思えぬ積極性に少しばかり押されている感はになめなかった。

 

「さて、ここが駒王町か…。長かったな、色々と」

「あ、あははははは…」

 

感慨深くデェムシュは呟き、アーシアはそれに苦笑いを浮かべた。見た目が原因だとどうしようもない。そう分かっているのだが、納得できるかは別なのである。溜息を吐くのを我慢してデェムシュは手元にある携帯端末から最寄りのホテルを探す。自分一人なら適当にクラックを開いておけば問題ないのだが、今は人間であるアーシアが居る。果実を食べて変異した際に神器がどうなるか分からない上に特殊変異なんてした時には目も当てられない。データも取れない上に、理性を失った場合は神器があっても使えない可能性すらある。

 

そう考えると多少値が張っていてもホテルに泊まるべきであり、果実を食べさせるのは同僚と相談して決めようとデェムシュは心のメモにそう書き留めながらアーシアを伴ってホテルに向かうことにした。ホテルにはアーシアの荷物とデェムシュが怪しまれない様に用意しておいた荷物を預けチェックインだけをすまし、外に散策に向かった。一応緊急時に自身を呼ぶための召喚陣モドキも渡している為、一緒に居ても緊張するだろうということで別々に行動することにした。

 

実際はアーシアを餌にして堕天使を釣ろうとしただけである。本人が餌のつもりが無いので自然体であり、怪しさは全くない。と言っても、既に先程迄付き添っていた為に周りから若干自分が警戒されている事が頭からすっぽ抜けているデェムシュであった。そんな、暢気なデェムシュはそのまま携帯を懐から取り出し、ある場所に連絡した。

 

「もしもし、アスタロト家の者だ。ソーナ・シトリーは居るか?」

 

~~~

 

「粗茶ですが」

「すまないね、頂こう」

 

駒王学園生徒会室、そこにデェムシュは居た。対面にはソーナ・シトリーが座り背後にその眷属達が立っている構図だ。ソーナ・シトリーとその眷属の顔は緊張の為強張っていた。正確に言えば、緊張した面持ちのソーナ・シトリーに中てられているというのが正解だ

 

「では、改めて挨拶といこう。アスタロト家軍事顧問のデェムシュと言う。よろしく頼もう」

「この地域を治めている内の一人のソーナ・シトリーです。早速ですが、本日は何用で?」

 

挨拶もそこそこにソーナによって切り出された話にデェムシュは答える為に口を開く。

 

「現在、この地域に堕天使が入り込んでいるのは知っているな?私は今回、次期当主殿が行った工作に横やりを入れた件の堕天使の目的を探る為に此処に来た。一般人への被害は私が抑える、故に其方には手を出さないで頂きたい」

「なっ」

 

デェムシュの言った言葉にその場に居る彼以外が息をのむ。そして、ソレに早く復帰したのはソーナの眷属である匙元士郎だった。

 

「おいっ、いきなり現れて何言うかと思えば手を出すなって、何様のつもりなんだよ!」

「匙!」

 

ソーナの前に出る様に進み、デェムシュに向かって威嚇するかの様にそう言った元士郎に対してソーナが咎める様な声を上げる。しかし、元士郎はそんな声にモノともせず、デェムシュを睨みつける。他の眷属達もそれに続くかの様に険悪な雰囲気になり始める。

事態が悪化しそうになったその時、デェムシュが口を開いた。

 

「シトリー家は、眷属の躾も満足にできないのか?私は、卿の実家程爵位が高くは無いがアスタロト家の軍事を任された言わば将軍だ。そんな相手に対してその様な口利きとは、悪魔全体の品格にも関わるだろう」

「申し訳ありません…」

「まぁ、今後気を受ける事だな。それで、今後の私の方の予定だが…」

 

その後は滞りなく進み、もう一人の管理者であるリアス・グレモリーが何故か連絡に出なかった事に対してデェムシュがシトリーに言及したところ、最近新しい眷属が出来てその人物にご執心だということでそれではないかと言われ、デェムシュは表には出来るだけ出さないよう心掛けたものの、溜息を吐かずにはいられなかった。

 

「では、一週間は此処に滞在し堕天使の動向を監視することとなる。それだけ、留意してもらえれば構わん。では、失礼したな」

「えぇ、ではディオドラには宜しく伝えてください」

「あい分かった」

 

そうしてデェムシュは駒王学園を去った。この後に控えているのは堕天使が潜入しているであろう廃教会付近の調査。この地域のはぐれ悪魔の一掃。領への連絡に、各方面への指示、今回の件の内容の擦り合わせに今後の予定の確認。やる事は多く存在する。しかし、直近でやらねばならないのは、アーシアを迎えに行くことだろう。

 

暫く町中を歩いていると廃教会付近の公園でアーシアを見つけた。その横には一人の高校生と思わしき男が居た。アーシアが嬉しそうに話す所から見るに同世代だろうか。デェムシュはそう考察しながら近づく。

 

「アーシア」

「あ、デェムシュさん!」

 

花が咲いたと表現できる程の万遍の笑みを浮かべデェムシュに近寄ってくる。その姿はさながら人懐っこい子犬の様だ。デェムシュはそんな事を考えていた事を表に出さない様に心がけながら「迎えに来た」と簡潔に言うと、アーシアのモノであろう荷物を持ち立ち去ろうとしたその時。

 

「おい!」

 

アーシアと共にいた少年に呼び止められた。一体何事だと思い、デェムシュが振り返るとそこには義憤と疑念のない交ぜになった目をしていた。

 

「お前は誰だ?」

「私か?私はアーシアの保護者だ。現状、君に提示できる情報はそれだけだ。行くぞ、アーシア」

「あ、はい。じゃあ、また色々教えてくださいね。イッセーさん」

 

そう言ってデェムシュはアーシアと共にその場を去った。この時、ウェールズの赤い龍モドキとの運命が交差した。それが、今後にどのような影響を与えるのか。それが、良い影響なのか悪い影響なのか。それは誰にも分からない。ただ言える事は、この先に待ち受けているのは波乱であることだけだった。

 

~~~

 

「なんなんだよ、アイツ!」

 

一方、デェムシュが立ち去った後。生徒会室では匙が荒れていた。内容は、少し前までここに来ていたデェムシュのことだった。彼にとって、自身の主であるソーナ・シトリーこそが頂点でありまだまだ悪魔としての経験、貴族社会に対しての理解の低さから、デェムシュの態度が気に食わなかった。

 

「そう、怒るものではありませんよ。匙」

「ですけど、会長!」

 

落ち着くように促すソーナに、尚も言いつのる匙。しかし、ソーナの鋭い眼光がそれを許さずその異性も尻すぼみしていった。

 

「折角ですし、私達の貴族社会についての説明と、彼ら(アスタロト家)についても説明しましょう」

 

そう言うと、生徒会室に備え付けられているホワイトボードにソーナは様々な事を書き始めた。

 

「まず、平民…この場合は特権階級出ない者達を言いますね。次に私の家のように貴族がおり、その上に王である魔王様方が居るのが今の悪魔の社会」

「えぇっと、私達の方で言う中世ヨーロッパみたいな感じですか?」

「そうですね、その認識で問題は無いです」

 

生徒会の一人の言葉に肯定するソーナ。一度他の役員の顔を確認し、他に質問が無いのを確認すると話を続けた。

 

「私達の社会は、封建制という。君主、魔王様をトップに地方で貴族が領地を納めるものです。トップは魔王様ではあるけれど、その命令に特別強制的なものは無いし、現魔王様方は前魔王様と違い直径というわけでも無いから、尚更ね」

「それが、さっきの男とどう関係するんですか?」

「そうですね、私の家。シトリー家は公爵家、貴族の中ではトップのに位置しています。ただ、彼の所属するアスタロト家は事情が違います」

「事情が違う?」

「ええ、彼の家は冥界の中でも危険度の高い旧魔王派の貴族達が居る領地と現魔王派の貴族達の領地の間に居るの。それは、彼ら(アスタロト家)をつかって旧魔王派を封印することでもあって、その御機嫌伺いも兼ねて爵位は大公。公爵の上なの。なにより、私はシトリー家の次期当主に過ぎない。そんな相手にまで謙っていたら家の名に泥を塗るようなものですからね」

 

そう言いながら、自身の眷属達を見渡すシトリー。全員が、そのことをある程度は理解はしたがそれが今回の事にどう関係するのか。そこに関しては、理解できていなかった。ただ一人、女王でもある椿姫だけはそこでハッと何かに気が付いたような反応をした。

 

「椿姫は気が付いたようだけれど、悪魔の社会は貴族社会です。その中でも、アスタロト家はその傾向が強い」

「階級社会では、下の者が上の者に楯突くことは御法度ですからね」

「その通りです。今回は、(デェムシュ)がそこまで咎めなかったから良かったけど、今後は気を付けて貰います」

「「「…はい」」」

 

彼らは、一つ学習しそして実感した。自分たちが、踏み入れた世界は現代社会とは全く違う枠組みの中にあると、学生気分では居られないと、否応なく見せつけられることによって。




実を言いますと、結構アンチ色(設定に対して)が強くなって逝く気がしたんですよ(誤字では無く)
だから、細かすぎて分からないネタを多数挟みながら、書きました。細かすぎて、書いた私も多分後で忘れるんだろうなぁとは思ってる。

というか、ソーナさんの口調が分からぬ…。こんなので良いんだろうか…。まぁ、二次創作なので大目に見てくだせぇ…。

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