転生地球人が宇宙最強になるまで   作:桐山将幸

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第三話:転生地球人が大猿を二体作るまで

 俺とルシフェル、互いの距離は10メートル。

 二人が殴り合うなら、少々狭い間合いだ。

 

 「夜な夜なわれら魔族を襲い、部下たちを殺すだけでは飽き足らず、よもやこの日まで嗅ぎつけて来ようとは!」

 

 「今は違うが、普段の戦いはこちらから襲っているわけではない、ただ都合のいい修行相手がそっちから向かってくるんでな、利用させてもらっているだけだ」

 

 「減らず口をォ!!」

 

 両手を振り上げ躍りかかって来るルシフェル、その速度は下手な自動車を上回り、その瞬発力は肉食獣を凌駕している。

 俺はルシフェルに飛び込み、振り下ろさんとする両腕の軌道の内側に両手突きを叩き込む!

 

 「チャァッッ!!!」

 

 「ぬぅァ!!」

 

 空中で大きく体を捻り、突きを回避するルシフェル、互いに隙を作る格好となったが……俺はこの程度では引き分けにはしない!

 すかさずルシフェルの無防備な胴体に、渾身の頭突きを叩き込む!

 

 「ムンッッッ!!」

 

 「がっっ!?」

 

 「ちょっとは応えたか、ルシフェル!」

 

 「舐めるなよガキ! げああああああ!!!」

 

 ルシフェルは腕を振り回す予備動作の後、エネルギー弾を俺に向けて射出する……が、完全にテレフォンパンチだ。

 

 「そんなものが当たるか!」

 

 「おのれェ!!!」

 

 更に乱射されるエネルギー弾を避けていくと、ついにしびれを切らしたルシフェルは再び俺に向かって突撃してきた。

 だが、あの魔物じみた幼稚な飛びかかりではない、武術の冴えを感じる鋭い連撃だ!

 

 「げええあああ!!」

 

 「シィィィッッッ!!!」

 

 拳と拳、手刀と手刀、貫手と貫手を交わすと分かる、こいつの、人間……地球人とは全く違う作り、全く違う頑健性と膂力が、だ。

 鍛錬によって化け物と同等以上の実力を得た俺だからこそ、鍛錬とは違う次元での肉の出来が、分かる。

 だが、俺もまた、『人を超えた肉』を持つべき名を持つ男。

 

 「チェリアァッッッ!!!」

 

 「ぐがっ!!!」

 

 交わし合う連撃の中に一瞬の隙間を見出し、胴回し回転蹴りを叩き込んだ。

 こいつを食らって無事で済む武道家も、魔族もいなかった!

 

 「げあぁぁ……、きさま、地上の人間とは思えん……!」

 

 「俺程度なら地上にだっていくらでもいる、それに、俺だってまだ天上の存在には敵わん」

 

 「あの胸糞の悪い神のことか!」

 

 ……頭からなんとも言い難い色の血を垂らしつつも、変わらぬ殺気で俺を睨みつけるルシフェルに俺は笑みを深め――――その瞬間、飛来した魔族の頭部によって、戦いは強制的に引き裂かれた。

 

 「ッッ!?」

 

 「く……! おのれ! きさまをやるのは後だ!!」

 

 「待て!」

 

 ルシフェルは猛烈な勢いで俺から逃げ去る……違う、あれはランチへの攻撃だ!

 

 「ぎええええええい!!」

 

 「チッ! クソ……!」

 

 ランチは流石の一輪捌きでルシフェルの突撃を躱す……が、ルシフェルはそのまま強引に姿勢を変えて壁を蹴り、ランチを狙い続ける!

 さらに、ランチは悟空とクリリンにまで追跡され始め、ランチを追跡する三者は魔族を巻き込みながらそれぞれで衝突まで始めてしまった。

 

 「このままじゃマズい……!」

 

 「ちょ……ちょっとアンタ! このヒモほどいてよ!」

 

 俺がルシフェルを追いかけようとすると、今度はブルマが自分を縛るヒモ(としか表現できない、自律的に動いているフシすらあるよくわからない紐状の拘束具だ)をほどけと迫ってきた。

 チンタラ解いているヒマはないので、手刀で切り裂いておく。

 

 「シャアッッ!!」

 

 「あ……あんた、すごいじゃない」

 

 「大丈夫かブルマ!!」

 

 「ヤムチャ!!」

 

 ……どうやらプリカはヤムチャの救出に成功したらしい、ヤムチャが居れば状況は楽になるが、ブルマを一人で任せることはできないだろう。

 そう考えていると、連続した爆発音が響き始めた、これは……プリカだ!

 プリカはエネルギー波を魔族に向けてまき散らしながら、一番の『大物』であるルシフェルに躍りかかった。

 

 「があああ!! ぐがあ!!!」

 

 「ええい! うっとおしいガキめ!!」

 

 「ぐぎっ……!!」

 

 が、ルシフェルの技量は完全にプリカを上回っており、身体能力も押し切れるほど優れてはいない。

 

 「あいつまでやられちまうのか……!」

 

 「あ、あの子そんなに強いの?」

 

 「正直、オレや悟空以上かもしれない……」

 

 ブルマはまた絶望的な雰囲気を漂わせ始めた、表情の変化が激しい女だ。

 状況は膠着しつつも混乱し続け、ルシフェルに弾き飛ばされたプリカも即座に起き上ってまた魔族どもにエネルギー波を撃ち込み始めている。

 悟空とクリリンも、ルシフェルにねむり姫を渡すことの危なさに気付いたのか、ランチから奪うことよりも、ルシフェルを止めることに重点を置くようになったようだ。

 悟空は素直で軽快な動きでルシフェルを引っ掻き回し、クリリンは戦闘の流れを読んで、的確に攻撃を打ち込んでいる。

 もちろん全部弾かれているのだが……、単純な身体能力以上の才能の片鱗を俺に感じさせるに十分な立ち回りだ。

 だが、このままではまずいだろう、魔族の増援は更にやってくる可能性があるし、俺たちの体力だって限界ではない。

 更に、懸念事項はあった。

 

 「お……おい、この城、このままだと崩れちまうんじゃないのか?」

 

 「ひっ……! 私たち生き埋めになっちゃうじゃない!」

 

 「そ、そうだ! 早くズラかろうぜ!」

 

 聞き覚えのあるつぶれた声に足元を見ると、ウーロンとプーアルが合流している。

 魔族からさらに何かに変身して難を逃れたのだろう。

 ……この魔神城が潰れれば『ねむり姫』の覚醒は防がれ、太陽の破壊も防げる、俺にとっては喜ばしいことだ。

 だが、この乱戦のまま城が崩壊すれば、混乱の中で何が起こるのか予測できない!

 

 「おい、誰か、月がどの方角に出ているか分かるか?」

 

 「こ、こんな時にいきなり何を聞くのよ!」

 

 「この事態を何とかするために、月が必要なんだ」

 

 「……この城の座標と月の公転周期から考えると…………あっちよ」

 

 ブルマは何やら端末を操作すると、すぐに天井の一点を指差した。

 流石大天才ブルマ、もしかしたら分かるかも、とは期待していたがまさか計算で導き出してくれるとは。

 俺はプリカに向けて叫ぶ。

 

 「プリカ! あそこの天井を撃て!!」

 

 「んあ!? ……がああああ!!」

 

 プリカはおとなしく俺の言うことを聞いてくれたようで、エネルギー波が指定した座標をぶち抜く。

 すると、天井はあっけなく破壊され、ブルマの予言した通りに月が現れた。

 ……悟空が一度も大猿に変身していない『ねむり姫』ならではのやり方だが、うまく行ったようだ。

 

 「何事だ!!」

 

 「オイオイ、派手にやるじゃねえか!」

 

 「なんだ、天井が吹っ飛んじまっ…………………」

 

 「ぎ……が……」

 

 「お、おい……ど……どうしたんだよ、悟空」

 

 ……予定通り、悟空が月を目撃してくれた。

 すかさず、俺は月を見たまま立ち尽くすプリカに飛びつき、その目を胴体でがっつりと隠す。

 つまり、頭を抱きかかえる形だ。

 

 「だが、お前はこれ以上見るなッ!」

 

 「ぐぅあ……!?」

 

 「お前まで化けたら収拾がつかん!」

 

 「う……うぁ……」

 

 髪を逆立たせ、今まさに大猿への変身を遂げようとしていたプリカだが、なんとか変身プロセスの解除に成功した。

 俺が死ぬ少し前にやっていた映画では、満月を見たサイヤ人に『あまり長く見るんじゃない、大猿になるぞ』というセリフがあったが、実際、大猿になる前に目視をやめさせれば変身を防げるようだ。

 

 「………! ………………!!」

 

 「悟空は完全に化ける、さっさと逃げるぞ! そこの坊主頭も付いてこい!」

 

 「ぼ、坊主頭じゃない! クリリンだ! 悟空は一体どうしちゃったんだよ!?」

 

 「い……いったい何が起こってるんだ!?」

 

 「理由は後だ、それと、悟空のやつには『自分が大猿に化けた』なんて、絶対に伝えるなよ!?」

 

 「大猿ですって!?」

 

 ああだこうだ話している内に、悟空は本格的に巨大化し始め、すでに見上げるほどの身長になっている。

 

 「な……何だあいつは!」

 

 「う……撃て! 撃てぇー!!」

 

 「グオオ!!!!!」

 

 魔族は大猿にビビったり、ビビるあまり発砲したりしているが、まるで効果がない。

 足を止めて攻撃する魔族たちは大猿に叩き潰されて仕留められてゆく。

 

 「プリカ! 立って逃げろ、だが、絶対に月は見るなよ!」

 

 「わ……わかった、くそ……」

 

 大猿がもたらす圧倒的な破壊力と混乱、それに魔族がぶちまける各種の火器の炸裂を尻目に、俺達はフロアから逃走する。

 そんな俺達を追いかけ、ランチの一輪が並走してきた。

 

 「おい! てめえ、ありゃあなんなんだ!?」

 

 「ランチか! 後で説明する、とにかく今は逃げとけ!」

 

 「アホか、そんなんで納得できるわきゃ……きゃ……ぶえっくしょい!」

 

 「あ」

 

 横を向いて話したことで髪の毛が顔の前にかかったのだろう、そのまま髪の毛はランチの鼻をくすぐり、くしゃみを誘発してしまった。

 くしゃみをしたことにより、ランチの髪色は金髪から黒髪へと変わったが……困ったことに、黒髪のランチは軽快に一輪を乗り回したりできないのだ。

 

 「きゃあ~~~!!」

 

 「く、くそッッ!」

 

 「ひゃっ! あの……私どうしてこんな……」

 

 案の定ランチは一輪をコカして激しく振り落とされた。

 俺は空中に居るままのランチを抱きかかえ、そのまま更に走る!

 

 「その説明も後だ! とにかく逃げるぞ!」

 

 

 俺たちが完全に城の外に逃げると、それとほぼ時を同じくして、悪魔の手、すなわち魔神城を構成する山の一本が完全に倒壊し、砕け散った。

 ……そして、その中から、巨大な大猿の化け物が姿を現す。

 けたたましい吠え声を上げる大猿は、全滅した魔族の代わりに俺たちをターゲットにしているようだ。

 

 「アレ、どれだけ離れれば見えないと思う?」

 

 「……もういうな、くそ」

 

 ランチを下ろした俺が軽くからかってやると、プリカは若干顔を赤くしてうつむいてしまった。

 

 「魔物を倒せたのはいいが……アレはどうすればいいんだ!?」

 

 「そ……そうだぜ……! このままじゃあオレたちまでペシャンコになっちまう!」

 

 「そうですよ!」

 

 「あいつ……道理でめちゃくちゃ強いわけだ……!」

 

 全員様々な反応で大猿と化した悟空の脅威を感じているようだが、俺は全くもって冷静である。

 その理由は、至極単純だ。

 

 「おい、そこの妖怪、どっちか剣に化けろ、形はなんでもいいが、切れ味はこだわれ」

 

 「へ?」

 

 「よしブタの方、ウーロンだったか、お前が剣に化けろ」

 

 「な、なんでオレなんだよ!」

 

 「……特に理由はない」

 

 まあ、実際のところ、ウーロンとプーアルどっちに無理強いするのが罪悪感が少ないかというと、ウーロンというだけなのだが。

 

 「お、おい、一体何をするんだ?」

 

 「ヤツのシッポを切る、連中はシッポが無ければ変身できないんだ」

 

 「なんでそんなこと知ってるのよ!?」

 

 ブルマのツッコミはあえてスルーして、ウーロンの頭を掴む。

 

 「さ、化けろ、どうせ俺たちが助けなきゃお前は『ペシャンコ』だからな」

 

 「わ……わかったよ……化けりゃいいんでしょ! まったく! 変化!!」

 

 ウーロン渋々と変化し、なんだかドラゴンクエストにでも出てきそうなやたらとでかい曲刀になってみせた。

 俺はウーロン刀を構え、大猿へと走り出す!

 

 「なっ! こ、殺されるぞ!」

 

 「……あいつはへいきだ、たぶん」

 

 「た……確かに、すごい速さだわ!」

 

 俺の走行速度は時速100キロをゆうに上回り、それを引き出すまでに2秒とかからない!

 宇宙規模の戦いに繰り出すには心もとない速度だが、目の前の大猿、つまり、動きの鈍重なデカブツ相手には――――

 

 「ガアアアアアアア!!!」

 

 「――――こいつ一本で十分ッッ!」

 

 「ぎゃああああああ!!! お助けえええええ!!!」

 

 ゾン、あるいは、ザク、とでも表現すべきか、ウーロン越しに伝わる小気味のいい感触は、俺が悟空の股をくぐり抜け、すれ違いざまにシッポを切り裂いた感触だ。

 背後では、大猿がみるみるうちに縮んで元の悟空に戻るのが感じられる。

 

 「いっちょ上がり!」

 

 「て、てめえ! 無茶苦茶やりやがって!」

 

 「安心しろ、俺は武器もある程度は使える、どんななまくらだろうとへし折るようなヘマはしないさ」

 

 「誰がなまくらだ! 誰が!」

 

 ぎゃあぎゃあとうるさいウーロンを解放してやって、俺はまた考える。

 我らがヒーロー、未来の宇宙最強戦士はすっぽんぽんでぶっ倒れたままだ。

 こいつが大猿と化して(俺が化けさせて)ぶち壊しにぶち壊した山は、岩と瓦礫になってしまった。

 魔族どもを5000年間ずっと太陽から守り続けた城の一角は完全に消え去り、その大半があのホールに集まっていたであろう城の魔族も、この瓦礫の下に埋もれたのだろう。

 

 「奴らも奴らだが、こうなってみると哀れなもんだ、やりすぎかもしれん」

 

 「こいつら、まものだぞ、ひと、たべたり……するんだろ」

 

 ふと漏れた言葉に、いつのまにかやってきたプリカが応じる。

 振り返ってみると、ウーロンと悟空はブルマたちと合流し、何やら大団円のような雰囲気を醸し出していた、プリカはそこから抜け出して、わざわざ俺に話しかけに来たらしいが、少し名残惜しそうだ。

 ドラゴンボールファンの俺としては、あの大団円をいつまでも眺めていてよかったが、瓦礫に向き直って話を続ける。

 

 「いや、まあ、奴らは人食いだし、しょうがないって言おうにも、食う時割と楽しんでるし、いい奴なはずもないんだが……」

 

 「じゃあ、いいだろ」

 

 「そうも割り切れん、あいつらにだって、何か可能性はあったんじゃないかと思うし、付き合い長い分、俺だってちょっと寂しいんだ」

 

 「……わからん」

 

 「俺もわからん……、俺はあいつらが食い散らかした女子供だって見てきたんだがな」

 

 もちろん、生き残りが俺や人間に襲いかかったら、俺は躊躇なく、それも喜んで戦うに違いない。

 『勝利か……糞でも喰らえ!』ってほどでもないが、後味が悪い、何かを根こそぎぶち壊すってのは、俺の性に合わないんだろう。

 

 「なあ、あんたら乗ってくかい?」

 

 「カプセルあるわよ、貨物室になっちゃうけどね!」

 

 と、一通り悩み終えた所で、向こうから声がかかった。

 どうやら、俺たちを人里まで連れて行ってくれる、という申し出らしい。

 少し懸念事項があるのを除けば、俺は是非連れて行ってほしい……というか、あの連中と合流したい、という気持ちだが……。

 

 「…………」

 

 「お前は嫌か、プリカ」

 

 プリカはまた服の裾を掴んで、俺を止めようとする。

 まだ人間と関わるのを受け入れきれないらしい、というか、俺はいいのか?

 

 「こいつは嫌みたいだ、俺もヤボ用があるんでな、ここに残る」

 

 「なあミソシル! おめえもいっしょに来いよ! オラたち亀仙人ってじっちゃんに修行付けて貰うんだ!」

 

 「弟子入り課題には失敗しちゃったけどね……」

 

 悟空が俺を誘っている、それは俺にとって何より優先すべ……。

 布地が引っ張られる感触。

 

 「…………やめてくれ」

 

 「あー、すまん悟空、俺はここに用事がある、近々武道会には出るからそっちで会おう!」

 

 ここまで強硬に(だだ甘基準)止められてしまうとどうしようもない……だが、応じてやったというのに、こいつが布を掴む力が変わらないのはどういうことだ?。

 

 「そっか、よくわかんねえけど、またな、ソミシ……ソシ……ミソシル!」

 

 「ああ、またな!」

 

 そう言って、悟空たちはブルマが出した航空機に乗りこんだ。

 

 「またなー! ミソシルー!」

 

 「ありがとねー! 西の都に来たときはうちに寄ってもいいわよー!」

 

 「ブルマを助けてくれてありがとなー!」

 

 「オ、オレはひどい目にあったぞ!」

 

 「プーアルもちゃんと言わないと駄目だよ……、ありがとうございましたー!」

 

 「さよーならー」

 

 航空機はみるみるうちに高度を上げ、東の空へと飛び去ってゆく……。

 俺もいずれはあいつらと共に冒険したり、しのぎを削ったりしたいものだ。

 ……さて。

 

 「では、俺たちも用事を済ませよう」

 

 「……おれがいやだから、のこったんじゃないのか」

 

 「それもまあ、あるが……何より大事なものがこの瓦礫の下に埋まっているだろう」

 

 「だいじなもの………あ!」

 

 「そう、ねむり姫だ、太陽を消し飛ばすエネルギーが秘められた宝石を野放しにはしたくない」

 

 プリカが止めなければ放置したのか、と自分でも思うが、探す手間を考えつつ悟空たちの誘いということを鑑みると……うむ!

 またしてもプリカはジト目……というかほとんど睨むように見てくるが、しょうがないことなのだ。

 

 「おれはしらなかった! そんなものほっとくな!!」

 

 「防げたんだからいいじゃないか、さあ、探すぞ」

 

 俺は強引にごまかして、探索を始める、瓦礫をどかす作業は重労働だが、なあに、これも鍛錬だと思えば軽いものだ。

 そして俺たちはねむり姫の探索を始めたが……それは、案外簡単に見つかってしまった。

 夜が白む頃、大きな岩を二人でどけた俺たちの目の前に、そいつは姿を表したのだ。

 

 「……ソシルミ、これか?」

 

 「ああ、間違いない……ねむり姫だ」

 

 俺はそれに歩み寄って掴もうとしたが、突如現れた別の『手』が先にそれを掴む。

 手の出どころは宝石の真下、傷だらけの、青白い手だ。

 

 「なッ! ……まさか、生きていたのか!」

 

 「げえああ……、きさま、ソシルミ!!」

 

 ねむり姫を掴み取った手はそのまま地面から伸び、更にもう片手が地面に手を突き力を込めると、ついにその頭と胴体が姿を現した。

 

 「ルシフェル!!」

 

 「きさまら……よくも……!」

 

 ルシフェルは、トレードマークであったサングラスは割れ、スーツはボロボロで、体中に傷を作っている。

 更に全身が土煙にまみれた、見るも無残な有様だ。

 

 「ねむり姫を渡せ、俺はお前らの野望さえ阻めれば、後はどうでもいい」

 

 「きさま……どこでこのねむり姫の事を知った?」

 

 「さあな、言い伝えと言ったところか」

 

 ルシフェルは怪訝な顔をしたが、すぐに、憎しみと無念に溢れた、全く違う表情を作る。

 

 「……われわれが故郷からやってきた時、このねむり姫はただの兵器だった」

 

 「故郷だと?」

 

 「きさまら人類の科学力ではわかるまい、5000年をかけ2つの天体を周回する我らが故郷、魔凶星のことは……」

 

 魔凶星!!

 それは、ドラゴンボールZに登場した、魔族の故郷とされる天体だ。

 

 「魔凶星だと!?」

 

 「知っているようだな、我々の故郷のことを」

 

 「それも言い伝えだ」

 

 「……まあいい、魔凶星は偉大なパワーを持った惑星であり、そこを故郷とする我々は星がもたらすエネルギーによって繁栄を享受していたが、1つだけ大きな悩みがあった」

 

 「ソシルミ、こいつ、いったい……」

 

 「……続けろ、ルシフェル」

 

 この話は聞かなくてはならない、魔族とは一体何なのか、それは、ある時代を生きたドラゴンボールファンにとって、最大の謎であるからだ。

 

 「きさまがよく知る通り、魔族は太陽の光に弱い、瘴気を作り出して星全体を覆い隠そうとも、その襲いくる大災害を防ぐ有効な手段にはならなかった」

 

 「それで、太陽を破壊するという、大それたアイデアが出現したのか」

 

 「月光が持つ澄み切ったエネルギーは、我らの体を焼くことがなく、莫大なエネルギーを安全に蓄える絶好の手段だった……5000年間、この地上で暮らさなくてはならないことを、除けば」

 

 ルシフェルの目が鈍く輝く、残虐なだけの魔物の目ではない、強い意思を秘めた目だ。

 

 「あの頃、最も強い力を持つ一族であったわれわれは、ねむり姫とそれを活かすための機材を持って地球へ降下した……われわれ魔族が地球を支配できぬ理由も理解せぬままに」

 

 「太陽など、隠れればいい話だろう」

 

 「……太陽光は隠せばいいというものではない、太陽のエネルギーを吸った大地はそれ自体がわれわれにとって毒を持つ、その上、力の源である魔凶星から遠く離れたわれわれは、力を失い、知性までも消失していった」

 

 「しゃべる魔族が少ないのはそのせいか!」

 

 「きさまが殺してきた部下たちは魔凶星でも最も優れた一族の若者だった!! 本来ならば、この星にわれらの文明を築き上げる入植者となるはずだったのだ!!!」

 

 ルシフェルは叫ぶ。

 

 「理性まで失ってしまいながらもわたしに従い続けたかれら、それに……わが旧臣までも、き……さ……ま……ら……!!!」

 

 「ソシルミ!」

 

 「許さん!!!!!」

 

 叫ぶ勢いのままに、ルシフェルは自らの首にかけたペンダントを、軽くひねる。

 ガチリと音を立てて回ったその瞬間、空間に莫大な妖気が満ち溢れた!

 

 「――――ッッッ!!!」

 

 「うあっ!!」

 

 「げぁぁぁ!!!!」

 

 一瞬、地面が炸裂したのかと思う程の勢いで、ルシフェルは天高く飛び上がった。

 そして、空中で静止し、傾き始めた月に向かって『ねむり姫』を掲げる。

 

 「月光よ!! ここに集い、われらがねむり姫を目覚めさせよ!!!」

 

 「何ッ!?」

 

 瘴気(と呼ぶしか無い、赤黒く光るもやだ!)がルシフェルから吹き出し、月光を収束させ、ねむり姫へと強引に注ぎ込む。

 ……まさか、こんな形でねむり姫を覚醒させるとは!

 

 「……ルシフェル、一体その力はなんだ!」

 

 「われらが故郷、魔凶星の土だ!! 太陽を破壊した後、神とあの若造を殺すために取っておきたかったが……ここできさまらを葬る!!」

 

 ルシフェルが放つ妖気はボロボロになる以前の数十倍に膨れ上がっている!

 魔凶星の最接近時、魔族の力は平常時の数千倍にも高まるが……まさか、その土にまで力があるとは!

 

 「まさかそんな隠し玉が!!」

 

 「太陽が上がるまであと僅か、それまで、きさまらを嬲るのに使わせてもらうぞ!!」

 

 瘴気がルシフェルを撫でると、体と服の傷が一瞬にして癒える。

 更に瘴気は膨れ上がり、俺たちをドーム状に包み込んだ。

 

 「つ、つきが……!」

 

 「これできさまらの頼みの綱である月光は失われ――――」

 

 ルシフェルは一瞬にしてプリカの目の前に現れ、手をかざす。

 

 「なっ!!!」

 

 「――――わたしも太陽を気にする必要はなくなった、ということだ!」

 

 そのまま放たれた『デコピン』によって、プリカは地面に叩きつけられる形で吹っ飛び、倒れ込んだ。

 

 「……絶好調って感じだな、ルシフェル」

 

 「なに、全盛期の力には遠く及ばんさ……それでも!」

 

 突如、背中に打撃。

 

 「―――ッッッ!!!」

 

 「きさまらを嬲り殺しにするには、十分すぎるほどだ!」

 

 「ガハ……ッ!!」

 

 俺の後ろに回り込んで、おそらく、蹴りを放ったのだろう。

 それを理解したのは打撃から一秒後、感覚ではなく理性による推測であった。

 

 「お……お前の吐く裏話に興奮したのが運の尽きってとこか?」

 

 「わたしの部下たちを次々と殺し、あわや太陽破壊の使命までも破壊しかけたきさまにはふさわしい末路だ!」

 

 「殺しはしたが、別に襲っちゃいないと言っただろう……俺は……――――グゲェッッ!!」

 

 「まだ言うか!」

 

 ルシフェルは俺の背を踏みながら更にいきり立つ。

 折れた数本の骨が体の中で無作為に暴れまわり、内蔵が押しつぶされてゆく。

 だが、俺は瓦礫に肘を突き立てるのも、口を開くのも、やめはしない。

 ……別にこいつに話す義理もないし、見逃してもくれないだろうが、誤解されたまま死ぬのはシャクだ。

 

 「俺は、修行相手が……欲しかっただけだ! 強くて俺を殺しに来る、思う存分戦える相手が……!」

 

 「それで何人殺した!!」

 

 「グブッッ!!」

 

 横腹を蹴り飛ばされ、俺は数メートル転がる。

 圧倒的な脚力だが、更に問題なのは、これがこいつにとって全く本気なんかじゃない、むしろ、弱っちい生き物を潰さないように、気を使ってすらいるってことだ。

 

 「げええええい!!」

 

 「――――ガボッッ!!」

 

 ひとしきり転がり終え、立ち上がろうとする俺に向かってルシフェルは更に蹴り込んでくる。

 ルシフェルを注視していたにも関わらず、その足も、ルシフェルの動きも見えなかった。

 俺は更に転がった先で、なおも立ち上がろうと試みる。

 

 「ゲ……ゲボッ……お、覚えちゃいない……俺を殺しに来るなら人間でも良かったし、仮にお前たちが俺から逃げていたなら夜に出歩くのもやめただろう……」

 

 「減らず口を……!」

 

 体の痙攣を抑えながら、ゆっくりと立ち上がる。

 無様な、どうしようもない悪あがきだ、試合なら降参するべきだろう。

 立ち上がっても、どうしようもないに違いない。

 俺はなんで立ち上がるんだ?

 口は、更に本心からの『減らず口』を吐き続ける。

 

 「お……俺はお前たちのことが嫌いだから殺してたんじゃない、楽しかったんだ、お前達と戦うのが」

 

 「では、これも楽しいのか!!!」

 

 ルシフェルの手に、エネルギーが収束していく、俺には使えない技だ。

 ヤツが持つエネルギーを考えれば、全く話にならない、小さなエネルギー……そして、俺にとっては致命的な威力を持ったエネルギーの塊。

 それが俺に向かってくる。

 

 「死ね!!」

 

 「ッッッッ!!!!!」

 

 ――――とっさに、手を前に伸ばして、気付く。

 これは防御姿勢ではない、受け止めるための手だ!

 そうか、俺は、ことここに至って――――

 

 「……死んだか」

 

 「楽しいぞ、ルシフェル!」

 

 「何い!?」

 

 エネルギーが炸裂する爆炎が俺を包み、だが俺は生きていた。

 

 「絶対的な力の差、隙を突こうにも、甘くない技量、俺には使えないエネルギー技、どれを取ったってくそったれだ、俺は試合ならともかく、死ぬ戦いで格上に挑む趣味はない! ……はずだった!」

 

 「何をした! 何を言っている!?」

 

 「だが、こんな戦いも悪くない、特に、ずっと前から知っていた、遠くに存在を感じていた……そして、今こうして、予想外の力を俺に見せてくれる、こんな、相手なら……!」

 

 自分にも、なんで生きているのかは分からない。

 だが、俺が何を言っているのかは、自分で理解しているつもりだ。

 

 「く……くそっ!!」

 

 「ゴバッ………! ハァ……ハァ……そうだ、お前のような男を相手に、届きようもない果てを見せつけられて、届かない果てに向けて自らを極限以上に高め、それでもなお嬲られる! 遥かな先を見るのは!!」

 

 俺はルシフェルの軽い蹴りで吹き飛びながらも、今度は着地を遂げる。

 そうだ、分かっているつもりだった、俺は師匠を倒して地上最強の人間に近づいたが、世界にはとんでもない強者たちが居るということは、知っていたはずだ。

 しかし、俺にとって、いつの間にか実際に立たされた強さが、全てになっていたのかもしれない。

 だからこそ、それを打ち破る、自分の何十倍も強い敵を前にして、俺は――――

 

 俺はルシフェルを正面から見据えて、腕と足を広げて構える。

 笑みはもう、抑えきれない。

 

 「『わくわく』してくるな!」

 

 「……!! ちっ、太陽がもう上がる……きさまらに付き合っている場合ではない!!」

 

 ルシフェルは巨大なエネルギー弾を作り――――

 

 「消え去れ、アエ・ソシルミ、そして、プリカとやら!!」

 

 「つれないな! ルシフェル!!」

 

 俺は倒れたままのプリカの前に立ちふさがる。

 ついに放たれたエネルギー弾は、俺たちを飲み込み――――

 

 

 「……フン、くたばったか……次は太陽だ! やつにも引導を渡してやる!」

 

 ……………………。

 

 ………………。

 

 …………。

 

 裾を掴まれる感触に目を開くと、倒れた俺を覗き込む顔が見えた。

 

 「……ソシルミ……いきてるか?」

 

 「なんとかな」

 

 なぜ俺が生きていたのかは分からない。この土壇場になって、俺は気の扱いに目覚め、二度に渡るルシフェルの攻撃を、なんとかしのぎきった、としか説明のしようがないだろう。

 ……違う、本当なら、こんなことで防げはしない。

 

 「ヤロウ……よっぽど焦っていたのか……それとも、まさか手加減したのか?」

 

 「どういうことだ、ソシルミ」

 

 「いや、関係ない……夜が明ける、ルシフェルのやつはあの塔にある大砲を使って、何がなんでも太陽をぶっ飛ばすに違いない」

 

 瘴気は晴れ、白んだ空と地の境目からは、すでに朝焼けが滲んでいる。

 

 「もう、まにあわない、おれたちじゃかてない」

 

 「勝つ手段はまだある! ……残月はまだ、登っているんだ」

 

 「ざんげつ……」

 

 俺は薄ぼんやりと空に残った月、残月を指差す。

 

 「奴に対抗出来るのはお前の化ける大猿だけだ……!」

 

 「…………だめだ、ソシルミ」

 

 プリカは無念そうに頭を振って俺の意見を拒絶する。

 

 「おれはおおざるのとき、なにがなんだかわからなくなる、あばれるだけだ」

 

 「なら、俺をぶっ殺した後、奴が塔に居ること、太陽をふっとばす大砲を思い出せ!」

 

 「むちゃくちゃをいうな!!」

 

 ほとんど泣き叫ぶような否定だが、引くわけにはいかない!

 ……もう、俺は意識をつなぎとめるだけで精一杯なのだ。

 

 「ムチャでも何でもいい! 地球を守るんだ!!」

 

 「ちきゅうを……」

 

 「そうだ、お前だけが……」

 

 限界だ。

 

 「お前が、地球を……!」

 

 「ソシルミ!!」

 

 

 

 

 

 ソシルミが完全に意識を失い、その体の力が完全に抜けるとともに、プリカはゆっくりと立ち上がる。

 ほとんど虚脱状態のようにふらつき、傷も決して浅くはなかったが、彼女はそれでも座り込もうとは思わなかった。

 隣りにいるこの男は、異星人である自分に星の命運を託すため、自分よりよほど多く戦い、よほど多く嬲られた身でありながら自分を庇い、ついには斃れたのだ。

 

 「……ざんげつ」

 

 地平線の彼方には太陽の頭が覗いている。

 月は、沈みつつあった。

 

 「………! …………!!」

 

 少女は自らの意思で月を見る。

 その胸にあるのは使命感、そして傍らで眠る戦友を傷つけることへの恐怖だ。

 

 「ガアアアア!!」

 

 だが、大猿となってしまえばそれら人間らしい感情はすべて消え果てる……それでも、残るものはあった。

 

 「グルル………ガア!!」

 

 自分にとって、もっとも破壊するべきはあの魔神城!

 その大砲だ!

 大猿の心中からは芽生えかけた友情も善意も何もかも消え、しかし、男が育んだ猛烈な戦意だけは生き残り、なお、増幅された。

 強大なエネルギーと数十メートルの肉体、この星最強の怪物の一体が、今、その唯一の『敵』を狙い、立つ!

 目撃者は上がりつつある太陽と、沈みつつある月。

 地球の命運を握る戦いが、人知れず始まろうとしていた。

 

 「……! なんだ!? この振動は……まさか!」

 

 「ギャオオオオオ!!」

 

 「まさかソシルミに庇われ、生きていたのか大猿!」

 

 ルシフェルは砲座を自動モードにセットし砲門から大猿迎撃に飛び出す。

 

 「わたしの手で太陽を討つはずが……ぬかったか」

 

 「ガア!!」

 

 大猿は口にエネルギーを収束させ、ビームを放つ、それは最も原始的で、かつ効率のいいエネルギー発射方の一つだ。

 地上の物質では決して防げぬエネルギーを前に、今度は自らが庇う側に回ったルシフェル!

 

 「げあ……ぎえええええい!!」

 

 「グオオオオオ!!!」

 

 本来の歴史よりも数年早い、地球上でのエネルギー波衝突!!

 エネルギーの鍔迫り合いは周囲の地盤をも揺るがし……ガゴ、という鈍い音とともに、城を支える岩山が揺らいだ。

 

 「な――――!」

 

 「グオオオオオ――――グガ!!!」

 

 5000年の悲願、部下たちの死を背負ったルシフェルの魂は、それ故に一瞬……岩山と揺らぎを共にした。

 その瞬間を、大猿は、戦闘民族サイヤ人の究極の形は、決して見逃さない!

 

 「ぎ……ぎょああああああ!!」

 

 「……グオ!」

 

 ルシフェルが完全に光に飲み込まれるのと、大砲が放つ光が明後日の方角に消え去るのは、ほぼ同時だった。

 大砲がその力を失い、暴走の果てに爆裂するのを全く意に介さない大猿の目は、自らの敵が完全には消え去らず、原型を留めて宙を舞っているのをしっかりと捉えている。

 

 エネルギーを体内で高め。

 

 『そうも割り切れん、あいつらにだって、何か可能性はあったんじゃないかと思うし、付き合い長い分、俺だってちょっと寂しいんだ』

 

 口に収束させ。

 

 『理性まで失ってしまいながらもわたしに従い続けたかれら、それに……わが旧臣までも、き……さ……ま……ら……!!!』

 

 『だが、こんな戦いも悪くない、特に、ずっと前から知っていた、遠くに存在を感じていた……そして、今こうして、予想外の力を俺に見せてくれる、こんな、相手なら……!』

 

 狙いを定め――――

 

 『ヤロウ……よっぽど焦っていたのか……それとも、まさか手加減したのか?』

 

 ――――そして。

 

 『魔族は太陽の光に弱い、瘴気を作り出して星全体を覆い隠そうとも、その襲いくる大災害を防ぐ有効な手段にはならなかった』

 

 『お前が、地球を……!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………。

 

 ………………。

 

 ……………………。

 

 暖かな日差しが、俺のまぶたを貫く。

 ちっとも寝足りない、いや、これは気絶の後の……そうだ!

 

 「プリカは……!」

 

 そこまで言って、俺はそのセリフの下らなさに気が付き、笑い出した。

 

 「ハ、ハハハハ!! やり遂げた! じゃなきゃあ、太陽は上がってない!!」

 

 黄色い太陽が俺を見下ろして、やはり、笑っているように見えた。

 さあ、俺がやることは一つだ、あの増えた瓦礫の山からこの星の英雄を引っ張り出し、朝飯で労ってやらねばなるまい。

 この人生始まって以来の、ゴキゲンな朝飯だ。

 

→つづく


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