風都風花町
“かもめビリヤード場”の前に停めてあるハードボイルダーに並ぶように一台の灰色のバイクが停まる。
フルフェイスのヘルメットを取りバイクから降りた流牙は、大きなシートバックからお礼の品のケーキと、ある人物から預かったプレゼントを取り出し、2階にある鳴海探偵事務所へと向かう。
今日は私用のため彼はビジネスカジュアルな服装していた。
「あー流牙君いらっしゃい!」
「こんにちは亜樹子さん」
扉のブザーを鳴らすと中から鳴海亜樹子が出迎え流牙を招き入れる。
事務所は現在、クリスマスパーティーの準備の真っ最中であり賑わいをみせていた。
「お、よぉ!」
流牙に気づいた翔太郎は軽く挨拶をする。
事務所には読書に夢中になっているフィリップの他、チキンは胸か足かと言い争っている看板持ち“サンタちゃん“と”ブロガーの“ウォッチャマン”
クリスマスツリーの飾り付けに夢中になっている現役女子高生の“クイーン”と“エリザベス”の風都イレギュラーズの面々が揃っていた。
「お久しぶりです左さん。随分と賑わってますね?」
「ねぇ、ちみは胸派、足派?」
ウォッチャマンが流牙の腕に抱きつき、クリスマスチキンのメニューをみせながら謎の威圧感を出す。
「え、胸派ですが…。」
「だよねー!わかってるぅー」
ほれみろーとサンタちゃんに何かを訴えかけるウォッチャマン。
”クリスマスチキンをどっちで頼むか“と言うどうでもいい論争に巻き込まれた流牙は苦笑いをするしかなかった。
「あ、リューガ先輩じゃん!!。」
「おひさじゃーん、最近連絡くれないから寂しかったぞー」
クイーンとエリザベスが流牙に気がつくとキャッキャと黄色い声を上げる。
「クイーン、エリザベス…お久しぶりですね。」
対し流牙は苦手な女子高生特有のテンションに引き気味になる。
「え、知り合いなの?」
亜樹子が質問する。
「そーなのーそーなの!」
「リューガ先輩在学中ちょーちょー人気者だったんだよねー。女の子にはモテモテだし、取り巻きもいっぱいいたしね。」
「あー…どうでしょうか?」
嫌な事を思い出すなーと呟きながら目線を逸らす流牙。
学生時代は有名な『園咲家』の長男と言う事もあって、色々と複雑な思いをした時代であった。
「モテモテと言っても、優しくしてくれる女の子はみーんなお金目当てでしたし。それで一部の男子生徒からは変な嫉妬で嫌がらせを受けるし。唯一仲良くしてくれたグループだって、結局若菜姉さんに近づきたいからって、分かりやすく機嫌とって持て囃されていただけだし。本当の意味での友達は一人もいなかったな。」
「「……」」
テンションが下がり何処か遠くを見つめる流牙…。
事務所内はクリスマスの賑やかムードが一変、暗い雰囲気になってしまう。
「そ、そんなことないよー!」
「少なくともウチらはリューガ先輩のこと、マジでリスペクトしてるから。」
「そうそう、それに顔もイケメンだし!きっと中には本当に好きだった子もいたんじゃないかなー?」
咄嗟にフォローするエリザベスとクイーンと亜樹子
「ご、ごほん、それで流牙…今日はどうした?」
そして話題変えた翔太郎。
流牙は「ああ!」と用事を思い出し、過去の記憶を吹き飛ばしながら手に持つケーキの袋を翔太郎に渡す。
「遅くなりましたがこの前の博物館の件と若菜姉さんの件の御礼です。せっかくのクリスマスなのでどうぞ皆さん召し上がってください。」
「おお!?」
翔太郎は袋からケーキの箱を取り出し中を開けると、そこには様々な種類の上品なケーキが並べられていた。
「園咲家のパティシエに作らせました。」
「ええ!?いいの貰って?」
雑誌に載るレベルのパティシエが園咲家で働いている事は、以前依頼された調査で翔太郎と亜樹子は知っており、今回流牙が持ってきたケーキがかなり高級な物だと知り涎が垂れそうになる。
「悪いな…その、いいのか?博物館のメダルは完全に取り戻せなかった…。」
流牙は首を振る。
「大丈夫ですよ。セルメダルを提供してくださった会長さんにこの事を話したら、凄く喜ばれて。」
「「え!?」」
両手を広げ、セルメダルを提供した会長のモノマネをする。
「『怪盗仮面ライダールパン…全てを奪い取るという強い執念を感じさせる…まさに強欲!まさに欲望の化身!素晴らしい!!ハッピーバースデー!!!!!』とか言って、でっかいケーキと色々な
「す、すごい会長さんね。」
「変わった人だな…。」
懐が深い?会長に感心する亜樹子と翔太郎。
「あ、彼がフィリップ?」
流牙の目に読書に夢中になっているフィリップが映る。
「え、あぁ…そうだ。」
「…。」
フィリップと目があい、彼の所へ行く流牙。
「若菜姉さんがお世話になりました。相当ご活躍されたようで、帰ってからも四六時中貴方のことを話してましたよ?」
「え、ああ、どうも…。」
若菜さんが自分の事を話題にしてくれている。
ファンであるフィリップは嬉しさのあまり頭をかく。
「弟の僕からもお礼が言いたいです。姉を助けて頂きありがとうございました。これ若菜姉さんからプレゼントです。」
流牙はもう一つの手荷物をフィリップに渡す。
「え、若菜さんから!?」
「はい、姉は多忙ですから僕が代わりに。」
プレゼントを受け取ると子供のように喜ぶフィリップ。
そんな様子を微笑ましそうに見つめる流牙は、良かったねと彼の肩を叩きその場を後にする。
…しかし
流牙の手がフィリップの肩に触れた瞬間、フィリップの脳内に電撃が走る。
(『お兄ちゃん!待って!』)
(『こっちだよ!気をつけてね××ト!!』)
(『メリークリスマス×イ×!プレゼントだよ!』)
(『ありがとうお兄ちゃん!』)
(『どうだ!凄いだろコレ!』)
(『お兄ちゃんは何でも作れるんだね!』)
(『ダメだ××ト!!ライ×!!』)
(『お兄ちゃーーーん!!』)
「っ!?」(何だ今の記憶は!?)
ほんの一瞬の出来事だが、フィリップにとっては長い動画を早送りで見せられた感覚だった。
身に覚えの無い記憶。
シーンは途切れ途切れではっきりと状況がわからない…。
額に滲んだ冷汗を拭い、一瞬見えた記憶を整理するフィリップ。
“お兄ちゃん”と呼ばれた記憶の少年は、目の前にいる園咲流牙に何処か似ていた。
彼の記憶なのか?しかし視点は明らかに自分だった。
もしかして…
「…では、この後用事が控えているのでこれで。」
流牙は事務所にいる面々に挨拶をし、扉に向かおうとする。
「後で電話してよー?」
「気が向いたら。」
「絶対しないやつだー。」
エリザベスの冗談を軽く流し、扉の取手に手をかける。
「あの!」
フィリップは思わず流牙を呼び止めてしまう。
「っん?」
「あ、あの…僕達、何処かであった事は?」
フィリップは妙な気持ちになっていた。
恋しかった人物にようやく会えた感覚。
…だが彼に対して何故この様な感情が湧くのか、全く理解できず困惑し、同時に恐怖を感じる。
流牙は少し考える素振りを見せるも直ぐに回答を出す。
「…んー、
では自分に流れた記憶はなんなのか。
…気になる。
気になった事はとことん調べ尽くすフィリップ…だが、脳を駆け巡った謎の記憶を追及する事に…酷く
そしてある憶測を立てた。
(今見えた記憶は僕の忘れた記憶…まさか園咲流牙は僕の兄なのか?)
だが、流牙本人はフィリップと会っても特に特別な反応は見せなかった。
実の兄弟であったら、なにかしらのリアクションはあるはず…。
「どうしたフィリップ?」
思考の海に飛び込んでいたフィリップを翔太郎が呼び戻す。
「…あ、いや、何でもない…気のせいだ。」
いくら考えても答えは出ない。胸に引っかかりが残るも、きっと気のせいだと自分に言い聞かせる。
「…では。」
何か考え事をしているフィリップ対し微笑む流牙。
(何回かミュージアムで会ったことがあるが、忘れている様だな。)
当の流牙はしっかりと覚えていた。あえて他人のふりをしている。
軽く会釈をし流牙は事務所の扉を開けると…
「あ、」
「おっと!?」
扉の前で事務所のブザーを押そうとした女性が立っており、驚いた流牙は思わず後退りをする。
「あ、ごめんなさい…、ここが鳴海探偵事務所であってますか?」
「人を探して欲しいんです」
鳴海探偵事務所を訪れた女性…彼女の名前は“睦月安紗美”
姉妹デュオ「「エリカ&アサミ」として活躍していた歌手だった。
接客用の席に座り、彼女が最初に言い放った言葉は人探しであった。
「お任せください。人探しが得意な人がウチにはいますから。ね、翔太郎君?」
自身ありげに答える亜樹子に対し安紗美は首を振った。
「それが、普通の人では無いんです…
翔太郎が眉を顰める。
「お姉さんって確か海難事故で亡くなった…。」
そう、姉の“睦月恵里香”は既に故人になっており
その影響で彼女はソロで活動をしている事で有名であった。
「ええ、その姉が5日前に…。」
安紗美は屋外で姉の姿を見たという事を二人に話す。
「幽霊を探せって…ことなのか?」
「姉の遺体はまだ見つかっていません。死んだと思いたく無いんです!」
「…遺体。」
まだ見つかってない遺体…翔太郎はふとビギンズナイトでの出来事を思い出す。
恩師の遺体を持ち去る
あれ以降、破壊された施設の跡からは何も見つからず、鳴海荘吉の遺体も行方不明のまま。
「姉を探してください…お願いします!」
翔太郎は彼女の気持ちが痛いほど分かる。
亜樹子も翔太郎の気持ちを察し、クリスマスチキンのチラシを隠れて見ていたサンタちゃんから取り上げる。
「パーティー…今日は無しね。」
「「「「ええーーーーーー!!」」」
事務所に風都イレギュラーズの悲鳴がこだまする。
「せっかく今日はフィリップ君と仲良くなれるチャンスだったのにー!」
フィリップの腕に抱きつき駄々をこねるエリザベス。
「“死者が蘇る”そんな事はあり得ない…これは調べてみる必要がある!」
対しフィリップは
「この町は俺の庭だ。安心して待ってな。」
お気に入りのハットを被りながら安紗美を安心させる様に頷く翔太郎。
「今日屋敷でクリスマスパーティーが開かれるので、僕の方でも色々と聞いてみますよ?」
帰るタイミングを見失い、流れで風都イレギュラーズと共に聞き耳を立てていた流牙も、情報収集に協力すると申し出た。
「ああ、頼む。」
翔太郎と流牙はお互いに連絡先を交換し、事務所に居た面々は情報集めの為この日は解散となった。
『クレイドール(ねっとり)』cv立木文彦
『タブー(ねっとり)』cv立木文彦
『ナスカ(ねっとり)』cv立木文彦
『コブラ(ねっとり)』cvネビュラスチームガン
V2『コブラ!(エボルト)』cv金尾哲夫
V2『rrrルパァーン』cvクリス・ペプラー
※あくまでもイメージです、本編とは関係なしw
登場してほしい平成2期、令和ライダー(外伝執筆の参考にします)
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