「新しいメモリは出来てるか?」
俺は仕事で“運命の子”に話しかけた。
「……そこ。」
運命の子…園咲来人は琉兵衛の傀儡として、ひたすらガイアメモリの開発に着手していた。
作業する手を止める事なく、俺の方を見向きもしないで返事を返す来人。
短すぎる会話。
「……。」
「そうか……。」
兄弟の会話とは思えない。
記憶を操作され、全てを失った彼の中に、弟の面影を感じられない。
かつて自分の後ろをヨチヨチと追いかけてた、可愛い愛弟はもう何処にも居ないのかと、俺は軽くショックを受けた。
母が家を飛び出し、もう数年はたった……
俺が居るのは無人島にあるミュージアム研究施設、そうビギンズナイトの舞台となるあのビルだ。
俺は高校を卒業後、大学には行かずに直ぐにガイアメモリの研究者としてミュージアムに入り、この施設で次世代型のメモリの研究を進めていた。
シュラウドが開発していた物を俺が引き継いだ。
「はぁ……どうしたものか。」
俺は懐から自分のドーパントメモリを取り出した。
Cのメモリ_これは高校の卒業祝いとして父がくれた、園咲家の者しか使えない特別なガイアメモリ_即ちゴールドメモリだ。
園咲家に生まれたんだ。
いつかは敵幹部としてのガイアメモリを手に入れると覚悟はしていたが、
ウウウウウ――――――――――!!!
「警報……。」
自分のメモリを眺めている時に施設全体に警報が鳴り響いた。
施設内の連絡用無線機に応答が入る。
「なんの警報ですか冴子姉様?」
『どうやらコソ泥が入ったみたい』
連絡の相手は偶然施設にいた冴子姉様だ。
時刻は夜中、時期的に鳴海荘吉と左翔太郎が、依頼で来人を救出の為に施設に潜入したビギンズナイトで間違いないだろう。
『ふふ、産業スパイかしら……運が悪いこと……私がいるときに忍び込むなんて。』
ついに始まる……仮面ライダーWが!
『どこの誰かは知らないけど無謀な事よ……貴方も現場に来なさい流牙。お父様からメモリは貰った筈よね?』
「ええ、冴子姉様。僕もすぐに向かいます。」
無線を切り、俺はガイアドライバーを装着し、父から貰ったガイアメモリを起動する。
俺が貰ったのは『C』メモリ そのメモリの名は……。
『コブラ』
毒蛇の記憶を宿したガイアメモリ……コブラメモリをガイアドライバーに挿し、コブラドーパントへと変身する。
まさか俺がコブラ男になるとは……。
仮面ライダー王蛇しかりブラッドスターク(エボルト)しかり……完全に敵側のモチーフだ。
体色は青紫、姿は映画仮面ライダーTHE Firstに出てきたコブラに近い。
蛇革の襟を立て、独自に開発した武装、メタルシャフトをリデコした様な武器『コブラロッド』を構え、俺は現場へと向かった。
襲撃の連絡を受けた現場に行くと、すでに鳴海荘吉が黒服の戦闘員と激しいバトルを繰り広げていた。
冴子姉様_タブー・ドーパントも居る。
一対多数にも関わらず鳴海荘吉の洗練された格闘によって黒服達は手も足も出なかった。
俺も思わず釘付けになってしまう。翔太郎が憧れるのも頷ける。
『マスカレイド』
最終手段として黒服達はガイアメモリを使用しマスカレイド・ドーパントに変身する。
「ガイアメモリを仕事で使わないのは俺のポリシーだったが……やむを得ん」
荘吉はロストドライバーを装着し黒いメモリを取り出す。
タブー・ドーパントは思わず声を漏らす。
『ロストドライバー、なぜ彼奴が?!』
『スカル!』「変身」
帽子を取り、スカルメモリをドライバーに装填し展開。
仮面ライダースカルになった荘吉は帽子を被り直すとマスカレイドドーパント達に向けて指を差した。
『さぁ……お前の罪を……数えろ!』
『っち、私はもう一人の方を探すわ…貴方はソイツを始末しなさい。』
『分かった。』
……っん?一緒に戦わないのか冴子姉さん?!
『頼んだわよ。』
そう言い残し、タブードーパントは何処かへ飛び去った。
_いや、初戦闘が仮面ライダースカルって……なんて言う無理ゲー?
『おい、隠れてないで
気がつけばマスカレイド・ドーパントは全滅し、この場に残ったのは仮面ライダースカルと物陰から見ていた俺、『コブラ・ドーパント』…。
荘吉が言ってた「お前」とは多分……いや、絶対俺のことだ。
悲報:俺氏初戦で死亡決定
_______________________________
『おい、隠れてないで出てきたらどうだ?』
鳴海荘吉こと仮面ライダースカルは、妙な視線を感じ、その正体に話しかける。
『……。』
物陰から現れたのはコブラの様なドーパント……コブラ・ドーパントだった。
ガイアドライバーを装着している事から、おそらく幹部クラスのドーパント。彼はロッドを構え、警戒している様だったが、妙な事に敵意を感じ取れない。
『お前……戦う気ないな?』
コブラ・ドーパントはハッと顔を上げる。
どうやら本当に彼に敵意はない様だった。
『あぁそうだ……こんな事は時間の無駄だからさ。連れて行きたければ連れていくといいさ。』
連れていく……自分が施設に潜入した目的を知っているコブラ・ドーパントに驚くスカル。
荘吉がこの施設に乗り込んだ理由…それはこの施設に囚われた『運命の子』の救出だった。
『俺の狙いを知っていたのか?』
『まぁ……な。』
無駄な戦闘しなくて済むのはありがたい。
しかし、組織の幹部であろう者が、自分を見逃すというのは、腑に落ちないスカル。
運命の子は奴らにとってかなり重要な人物のはず……。
『彼奴は重要な存在のはずだ…なぜ逃す?』
『なぜ逃す…か。』
コブラ・ドーパントはスカルを見ると、肩を竦めた。
『貴方を見逃すのは組織ではなく俺の意思だ……そういう運命だからな。』
『運命?』
『来人と翔太郎は二人で一人だから……ね。』
『……!?』
(コイツ翔太郎の事を知って……!?それに運命……。)
スカルに戦慄が走る。
『鳴海荘吉……貴方に会えて良かった。さよなら。』
『待て!』
スカルはコブラ・ドーパントの後を追いかけるが、既に姿は消えていた。
_______________________________
俺の巧妙な話術(?)によってなんとかスカル戦を免れた。
『ふぅ……何とかダブルの初変身には間に合いそうだ。』
展開は原作通りに進む。
翔太郎のミスにより、ガイアタワーに閉じ込められた来人。
鳴海荘吉はスカルメモリを犠牲にする事で、ガイアタワーから来人を救い出す事に成功するも、逃げる途中で敵の凶弾に倒れ、自分の帽子を翔太郎に託した。
「俺に帽子は早い……まだ早ええよぉぉ――――!!!」
「似合う……男になれ。」
「おやぁっさぁーーーーーーーん!!!」
自分の判断ミスによって師である鳴海荘吉が死んだ……これは左翔太郎が一生背負う事になる罪だ。
名シーンをじっくり見ていたいのは山々だが、
この場面で俺にはやる事があった。
床が膨れ上がり、下の階からタブードーパントが現れた。
翔太郎とフィリップが吹き飛ばされたその隙に
俺はタブードーパントが開けた大穴から下の階に落ちていく鳴海荘吉の遺体をキャッチする。
俺の目的は鳴海荘吉のロストドライバーの回収だ。
あわよくばスカルメモリも回収したいところだが…来人救出の際に消滅している。
つまりこれは風都探偵版のビギンズナイト。
テレビ版では鳴海荘吉のロストドライバーとスカルメモリの行方は語られていないが、続編の風都探偵ではビギンズナイトについて詳しく語られており、前半のタブー戦にてロストドライバーは破壊され、スカルメモリはフィリップをガイアタワーから救い出すときに使い消滅したとされている。
タブー戦が俺との戦闘(戦っていない)に変わったことでロストドライバーは健在。
シュラウドが家を出る際に、ご丁寧にロストドライバーの設計図を消去していたから、ドライバーを回収できたのは嬉しい。
本来だったら純正メモリである『スカルメモリ』が欲しかった所だが、無い物は仕方がない
さて、遺体をどうするか。取り敢えず遺体を担く。
『サイクロン!ジョーカー!』
どうやら、初変身見逃してしまったようだ。
突風が巻き起こり、あたり一面を吹き飛ばす仮面ライダーW
突風に煽られた組織の戦闘ヘリは、操縦不能となりこのビルに激突。
その衝撃によりビルが大きく崩れ始め、あたりは瓦礫の山と化す。
俺も、早く脱出しないと。
そう考えてると、上の階からダブルと来人…を咥えたファングメモリが落下し、思わず俺は身を隠す。
ダブルは変身を解除し、フィリップは意識を取り戻す。
原作通りだと此処からはファングジョーカーのお披露目シーン。
これはマズイかも知れない。
『何しているの流牙!早く奴を捕まえなさい!!』
上から降りてきたタブードーパントに見つかり、俺は仕方なく遺体を担ぎながら二人の前に立ちはだかる。
「コブラ…男?」
翔太郎と目が合う。
「お前!おやっさんをどうするつもりだ!!!」
あ、しまった。
師の遺体を担いでいる謎の敵幹部_強キャラ感が強いが、完全に翔太郎から敵とみなされてしまった。
…主人公から敵意向けられるとか…少しだが傷つく。
「これで行こう。二人で此処を脱出する。」
来人はそんな翔太郎を無視してファングジョーカーに変身する。
「変身!」
『ファング!ジョーカー!』
おう…これはスカル以上の無理ゲー。
悲報『二回戦目がファングジョーカーである件』
登場してほしい平成2期、令和ライダー(外伝執筆の参考にします)
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