ルパン襲撃の一週間前…
風都から離れた山奥にある廃トンネル。
10年前に工事が中断され、誰も近寄らなくなったその廃トンネルの中に流牙の研究所が存在している。
流牙はミュージアムからある物を極秘に運び出しそれを使い以前から計画していたことを実施する。
それは鳴海荘吉の蘇生である。
偽装用の木箱を開け、中から最新鋭の冷凍カプセルに入れられた鳴海荘吉の遺体を取り出し装置に繋ぐ。
流牙はミュージアムに入ってからガイアメモリを活かした蘇生方法を模索し、とあるガイアメモリの存在を知った。
『ゾンビメモリ』
“生ける死体”の記憶を内包した特別なガイアメモリだ。
死体に刺すことにより、死者を蘇らせる事ができる。
しかし、怪人態は持たず。死体である為戦闘力も極めて低くその上、“知能”を持たない。
ガイアメモリを詳しく調査しようにも、能力を行使する程の知力を持っていないのだ。
情報収集もままならない謎が多いガイアメモリ。
死者蘇生とは言いつつも、生まれるのは魂が全く無い、ただの傀儡であった。
だが、流牙はこのメモリを使った完全な死者蘇生方法を思いつく。
それは鳴海荘吉でしかできない…『スカルメモリ』を使った方法だ。
スカルメモリは魂を繋ぎ止め“生きながらも死者”になることができる。
その力を応用しダブルドライバーを用いてゾンビメモリと合わせれば、魂を呼び戻す完全な死者蘇生が可能になるのでは無いと考えた。
鳴海荘吉は何度もスカルメモリを使用しており、相性も良い為成功率は高いだろう…。
ただし一つ危惧がある。
「鳴海荘吉の遺体を解凍開始、死後1年以上経っている為、蘇生が成功したとしても障害が残る可能性大。」
あまりにも時間が経ち過ぎていた…
ゾンビ兵士…NEVERが使っている『人体蘇生酵素』を使う事も検討したが、人間性が欠落する事や、そもそも流牙の専門外である為使用を断念した。
仮に使おうにも研究している所は競合先であり、財団Xからの投資をガイアメモリが勝ち取った過去もある事から、頼んだとしても非協力的だと考える。
「『スカルメモリ』と『ゾンビメモリ』の相性は91%…良いね。」
機械に刺さっている紫色の端子を持った二つのガイアメモリ
復元した『スカルメモリ』と流牙が開発した『ゾンビメモリ』
流牙はスカルメモリを機械から取り外し、それを眺めた。
誰もが認める、完璧な男として称される鳴海荘吉。
本編を見ていた当時の流牙もその渋さに魅了されていた。
大人になり荘吉に対して一つの憐れみが生まれていた。
(一人娘の晴れ舞台を見る前に、死ぬなよ。)
一人娘のウエディングドレスを見ないまま死んでしまった彼を流牙は憐れんだ。
何より一番可哀想なのは、彼の帰りを待っていた鳴海亜樹子だ。
ひとりの父親として彼は彼女の元へ帰らなければならない。
鳴海荘吉とはいえど失敗はする。
「Nobody's Perfect…誰も完全じゃ無いね。」
彼が尾藤勇へ残した言葉を思い出す。
「解凍完了…これより鳴海荘吉の蘇生実験を始める。」
データがほぼ無く、あくまでも仮説。成功するかは未知数だ。
患者服を着た鳴海荘吉の遺体を台に移し拘束具を装着した後、立たせる様に台を動かす。
そして彼の腰に、改良したダブルドライバーを装着させ、
流牙は二つのガイアメモリを鳴らす。
『スカル』 『ゾンビ』
蘇れ、鳴海荘吉
そう願いを込めてガイアメモリをドライバーに刺し、展開させる。
『スカル!ゾンビ!』
風と共に鳴海荘吉の肉体は仮面ライダースカルへと変身する。
しかし通常のスカルではない。
体色はより骨っぽくマットなホワイト
シルバーだった部分は黒く変色し、頭部はより一層白く、髑髏より頭蓋骨を彷彿とさせる見た目に変わっている。
複眼は右目は黒く、左目は血の様に赤い…。
そしてSにもZにも見えるキズが額に刻まれると、スカルはゆっくりと顔を上げる。
『ぐ…ぅ…。こ…ここ…は?』
言葉を発しようにも目覚めたばかりで、うまく声が出せないようだ。
流牙は「成功か?」と期待に胸を膨らませながら機械を操作し、スカルの頭部だけ変身を解かせる。
「こんにちは。僕は園咲流牙…自分の名前が言えますか?」
荘吉の前に立ち、目を見ながらゆっくりと話しかける。
彼の顔はまだ遺体の様に青く、嫌な予感が流牙の頭をよぎる。
「俺は……誰だ?」
その言葉に眉をひそめる流牙。
「何も思い出せない?」
「俺は…誰だ、ここは…何処だ?。お前は…お、れに、何をした?」
荘吉の反応を見た流牙は心の中で思いっきり舌打ちをする。
(やっぱり蘇生が遅すぎたか?)
「貴方の名前は鳴海荘吉。1年ほど前、園咲文音の依頼でミュージアムに囚われた運命の子『
「……鳴海荘吉…それが俺か?」
「そうです、何か思い出しましたか?」
荘吉は目を閉じ、しばらく考えると
「いや…俺の中に…あるのは…髑髏だけだ。」
「髑髏?」
流牙はドライバーのスカルメモリを見る。
(まさか、鳴海荘吉の魂を呼び出すつもりが、ガイアメモリの記憶が彼の身体に乗り移った?)
メモリの力を100%出す為、ルパンと同じライダーシステムで動いているスカル、その可能性は十分にあり得る
(蘇生は失敗か?いやしかし、スカルメモリではないと、彼の魂を呼び戻すことはできない。)
どうすれば彼を完全に蘇生できるか 頭を悩ませる流牙。
(記憶を刺激し、スカルメモリに彼の魂を呼び戻してもらうしかない。)
「……。」
「…わかりました。記憶はゆっくり思い出せば良いですよ」
幸い、彼は自分がガイアメモリの記憶である事に気づいていない。
鳴海荘吉の記憶を呼び起こすために、流牙は彼を荘吉として接する事にする。
流牙は台のスイッチを操作しスカルの拘束を外す。
身体が自由になったスカルは、初めて立ち上がった赤子の様に慣れない足つきで歩み始める。
「そのドライバーが貴方を生かしている。下手にいじらないでくださいね。」
「…お前は、何故…俺を、目覚めさせた。」
「娘さんが可愛そうだからと、貴方が仮面ライダーだからです。」
「仮面…ライダー?」
「そう、風都を守るヒーローの名前だ。」
「風都……なんだか…懐かしい…響だ。」
風都…その単語に反応を見せるスカル。
少なからず肉体にある荘吉の記憶を感じ取ることはできている様だ。
「お、良い傾向です…そうだ、今から風都の景色でも観ましょうか。もしかしたら何か思い出すか…」
『(ブー!!)』
流牙の言葉を来客を知らせるブザーが遮る。
監視カメラを見ると、入り口にアタッシュケースを持った海戸透の姿があった。
「誰だ?」
監視カメラを見たスカルが質問をする。
「僕の力を貸している人です。彼も仮面ライダーです…一応。」
流牙は素顔が分からないよう紫色のフルフェイスマスクを被り、扉を開けるスイッチを押す。
スカルも流牙につられる様にスカルフェイスに戻る。
透は開かれた入り口を通り、流牙達がいる研究室にずかずかと入る。
「コブラ、新しいメモリを手に入れた。
机の上にアタッシュケースを乗せ、中身を流牙に見せる。
そこには10本程のドーパントメモリが並べられており中には『BIND』のメモリも入っている。
『随分と集めたな…どれを使いたい。』
変声器で声を低くし、本来の口調で喋る。
「バインドを頼む、使い勝手良さそうだし……お、新人か?」
透の目にスカルが映る。
『大先輩だ、敬意を払え。』
「へぇー…スカルフェイスのライダーね。かっこいいんじゃーないの?」
スカルの真正面に立ち、舐める様に観察する透。
『……。』
「お、無口なタイプか?」
馴れ馴れしい態度をとる透に対し少し苛立ちを感じる流牙
対してスカルは興味無さそうに、壁に寄りかかる。
「付き合い悪いなー。」
『死から蘇ったばかりだ。』
「へぇーじゃ見た目通りゾンビってことか?…お、コレは持っていっていいやつ?」
透は机の上に置かれた二つのメモリと金色の武器に気づく。
『以前持ってきたメモリの中から『ソード』と『ファイター』を
流牙が完成させたガイアメモリ
ドーパントメモリから記憶だけを抜き取り新型メモリに移した、新たなガイアメモリ『V2メモリ』は毒素を気にせずガジェットを用いて様々な能力を引き出す事ができる画期的なアイテムだ。
ダブルが持つガイアメモリとの違いは、ドーパントメモリがあればいくらでも生成可能という点だろう。
透はドーパントからガイアメモリを奪うたび、こうして自分が使用したいドーパントメモリをV2メモリにしているのだ。
「メルシー。」
透は新しいメモリと武器を受け取ると ふと思ったことを口にする。
「なぁコブラ…お前はどうして俺に力を貸してくれるんだ?」
初めてドライバーを受け取った際に自分をモルモットと称していた彼が、ここまでしてくれている事に疑問を抱く。
『言っただろう、お前はモルモットにはちょうど良い人材だと。』
新たなV2メモリの生成作業をしながら答える。
「にしては俺…かーなり大事にされている気がするけど?」
流牙の作業する手が止まった。
『…自惚れるな海戸透。ルパンメモリがお前を選んだ。俺はただ
ガイアメモリの記憶を脳に取り込み変身する 流牙のライダーシステム。その初期型を搭載したルパンメモリは、変身者の自我や意思が弱ければ弱いほどより強い力を与えることができ、逆に自我が強い人は副作用で自我崩壊を起こしやすいという危険な代物だ。
「ひゅー…おいおい、随分きっちーこと言うなぁコブラさんよ。」
『そのキザな性格も、果たしてお前の本来の性格なのかな?ルパンメモリに自我が
「……。」
流牙の言葉が透の地雷を踏み抜く。
透の性格が変わったのはメモリの影響であり、彼の自我が弱いことを表していた。
弱気な自分にコンプレックスを抱いていた透は逆上し、流牙の胸倉を掴もうとするが寸前で止める。
数秒睨み合った後、流牙はポケットからライドロンLのキーを取り出し、透に突きつける。
『お前が死なないよう努力はしてやる。その力を完全に物にしたいんだったら…全てを受け入れる事だな。』
キーを受け取り、小さな舌打ちをしながらガレージに向かう透。
「…物にしてやる…もう、奪われるのは懲り懲りだ。」
そう言い残し研究室を後にした。
『……。』
興味は無いが2人の会話が耳に入っていたスカル。
特に彼について感心がある訳では無いが、スカルは流牙を見る。
目線に気づいた流牙は肩をすくめながらスカルに対して透の事をこう言い表した。
『風都の悪意に全てを奪われた男ですよ。』
現在
ルパン襲撃から数週間が経ち、風都はクリスマスシーズンという事で賑わいを見せていた。
園咲家でも、夜に開催されるクリスマスパーティーの準備で使用人達が忙しくしている中、流牙は博物館の一件と姉の若菜が世話になったバイオレンス・ドーパント事件の御礼をする為、予め屋敷のパティシエに頼んでいたケーキを片手に鳴海探偵事務所に向かおうとしていた。
「おや、流牙…随分と慌ただしいじゃないか。」
玄関先で園咲琉兵衛と鉢合わせる。
自分の研究所とミュージアムの施設を行き来し、多忙だったため自分の父親と会うのは数週間ぶりとなる。
「お久しぶりですお父様。以前の博物館の件、自分が不甲斐ないばかりに博物館に被害が及んでしまい、申し訳ございませんでした。」
「いや、いいさ。流牙に怪我が無くてよかった。」
琉兵衛は愛猫ミックを撫でながら、流牙の失態を許した。
「ところで次世代型ガイアメモリの開発状況は…今はどうなっているのかね?」
「はい、計画していたガイアメモリの開発は順調に進んでいます。このままでいけば来月には完成しそうです。」
「ほぉ、流石は文音の息子だな。」
嘘である。もうV2メモリの実用モデルは既に完成している。
流牙が使う自律思考型コブラメモリがその例だ。
「ありがとうございます。」
「うむ、このまま精進してほしい…と言いたいところだがここ最近家族との時間が少なくなっている気がするな。」
「どうしても研究に熱中してしまうので。」
「それはいけないな。家族が揃わないのは寂しい。」
「はい…この後、用事を済ませたら直ぐに家に戻ります。今夜開催されるクリスマスパーティには参加いたしますので、どうか」
それはよかった。と笑みを浮かべる琉兵衛
しかしその目はまったく笑っていなかった。
「ところで流牙…何か私に隠している事は無いかね?」
心当たりが多過ぎる…と流牙は内心で自嘲する。
しかし予め言い訳を用意していた。
「…ふふ、僕は大人ですよお父様?プライベートな隠し事の1つや2つありますよ?」
その言葉を聞いた琉兵衛は大層愉快そうに笑う。
「はははは。そうだな、いつまでも子供では無かったな。」
「ええ、ではまた後ほど。」
頭を下げ足早に外に出る流牙
今回は乗り切ったが次はどうなるか分からない。
振り向いて園咲家の立派なお屋敷を見ながら流牙は次の一手を考える。
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おまけ
コブラ(ロストドライバー使用状態)
コブラの設定画描きました 姿のイメージができない人の参考になれば…
次回からは劇場版ビギンズナイト編です(現代パートだから正確にはビギンズナイトでは無いけど…)
ただしムービー対戦はカットするのでディケイドは出ません!悪しからず!
登場してほしい平成2期、令和ライダー(外伝執筆の参考にします)
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オーズ
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フォーゼ
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ウィザード
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鎧武
-
ドライブ
-
ゴースト
-
エグゼイド
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ビルド
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ジオウ
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01
-
セイバー
-
リバイス