深夜の風都_
冬の冷たい風が吹き荒れている中、一台の中型トラックが郊外にある人気のない工場から出てくる。
それに合流する様に二台の黒い車がトラックの前後に付く。
「なぁ…本当に来るのかな兄貴?」
トラックの助手席に座る気弱な男が震えながら、兄である運転手に聞く。
「ああ、奴はくる。」
冬にも関わらず、その運転手の額には汗が滲んでおり、緊張感が伝わる。
トンネルを抜け、交通量の少ない深夜の道路を走るトラック。
『ふははははは!』
瞬間、眩い閃光と共に爆発音が運転手の鼓膜を揺らす。
炎を纏って宙を舞う後方車両がバックミラーに映る。
次に正面の車も爆発し、運転手は咄嗟にハンドルを切ると火だるまになった黒い車両を避けた。
「来たぞ!!」
トラックのアクセルを踏み込み猛スピードで何かから逃げるトラック。
その後ろをワインレッドのビークルが追いかけてくる。
『メリークリスマース!!!』
そのビークルは仮面ライダールパンが操る“ライドロンL”
彼の右手にはルパンガンナーが握られており、恐らくその武器で前後の車両を吹き飛ばしたのだろうと
運転手は冷や汗をかく。
「本当に予告通りに来た?!」
「アイツはそういう奴だ、それで多くの同業者がやられた!」
「やっぱり今日の輸送を中止すればよかったんじゃ…」
「ただでさえ納期が遅れてるんだ、そんな事したらウチの工場は終わりだ!!」
運転手の正体は数あるガイアメモリ製造工場の責任者の一人であり、秘密裏に製造したガイアメモリを
しかし、何処でその情報を手に入れたのか、仮面ライダールパンが製造したガイアメモリを狙い、犯行予告を送ってきた。
納品先は無能な町工場とは直ぐに縁を切り、証拠隠滅を計る事で有名な秘密結社…ただでさえ納品が遅れていた彼らには後がなく、強行するしかなかった。
「今日はアレも開発できたんだ!絶対に送り届けないと。」
運転手は家庭を持っており、それを養うため工場を無くすわけにはいかない…
だが彼らは悪魔の道具を作る悪党。
そんな思いは知ったこっちゃないルパンは容赦なく襲いかかる。
『ルパンサンタからのプレゼントだ』
『フローズン』
トラックの横に並んだルパンはルパンガンナーにフローズンメモリを刺し、トラックの前方に向けてエネルギー弾を放つ。
「「うわぁーーーーーーー!!!」」
エネルギー弾が当たった地面は一瞬にして凍り、その上を通ったトラックは勢いよくスリップ、コントロールを失い電信柱に激突する。
『おっと、少し華麗さに欠けたかな?』
ルパンはライドロンLから降り、煙が出ているトラックから荷物を物色しようとするが、3台の黒い車が彼の前に止まり行手を阻む。
『『『『『マスカレイド』』』』』
車から降りたのは黒いスーツ姿の男たち。
彼らはガイアメモリ『masquerade』を起動すると、一斉にマスカレイド・ドーパントに変身する。
現れた組織のドーパントに対しルパンは軽く鼻で笑うと、彼らを数え始める。
『ざっと15体ね…レアリティ低いマスカレイドは要らねーけど、まぁ楽しいショーの始まりだ!』
右手にはルパンステッキ、左手にはルパンガンナーを持ち、ポーズを決めるルパン
『さぁ、君達のお宝を貰い受ける。』
決め台詞と共に大乱闘を始める。
「あぁ…いたいー」
「畜生」
柱にぶつかった衝撃で体を痛めた運転手とその弟。
予め呼んでおいた組織のドーパントが戦闘を始めると、その隙を突き二人はゆっくりとトラックから降りる。
運転手はある人物に電話をかけた。
「俺だ、やっぱり奴が来た…頼む手伝ってくれ。お礼はなんでもする!」
電話で会話をしながら荷台からアタッシュケースを下ろすと弟にそれを渡す
「お前だけでもコレを送り届けてくれ。」
「え、でも。」
「必ず届けてくれ!俺が命をかけて時間を稼ぐ!」
「兄貴…でも、兄貴には家族が。」
「大丈夫だ。それより家族を養う為に工場の存在は必要不可欠!俺たちはどんな苦難も乗り越えてきた。きっと今回も上手く。」
「そうだな、分かったよ兄貴!必ずコレを送り届けるよ!」
兄の覚悟を感じ、決心した弟はアタッシュケースを受け取る。
「……届けたら、必ず兄貴を助け」『なぁんだコレ?』「え?」
ルパンがひょいと弟からアタッシュケースを取り上げる。
「っげ、ル、ルパン!?アイツらはどうした?!」
『あんたらがもたもたやっているうちに倒したけど?』
「「え!?」」
二人はルパンの後を見ると既にマスカレイド・ドーパントの姿はなかった。
「それを返せ!」
弟はルパンからケースを取り返そうと飛びつくが。
『おっと!』
「痛い!?」
ルパンのデコピンを喰らい悶絶する。
「畜生!これ以上好きにさせてたまるか!!」
ケースが奪われ、弟が傷ついた事に激怒した運転手は白いドーパントメモリを取り出す。
「兄貴、使うのか!?」
メモリを取り出した事に驚愕する弟。
「他に手はない!!」
『ラビット!』
ガイアメモリを起動し、右耳の裏に出現した生体コネクタにラビットメモリ刺した運転手。長い耳と赤い目を持った白いウサギ型のドーパント“ラビット・ドーパント”に変身すると、ぴょんぴょん跳ねながらファイティンポーズをとる。
『お前も手伝ってくれ!』
「う、うん」
『マスカレイド』
弟はマスカレイド・ドーパントに変身する。
『力を合わせていくぞ!』
『よ、よし! うおーーーーーーー!!』
『うぉりゃーーーーーー!!』
『素晴らしい兄弟愛…でーも』
『ソード』
ルパンガンナーにソードメモリを刺し刃を生成する。
『俺はお宝の為に容赦はしない。ドーパント相手なら尚更!』
ラビットドーパントの拳を容易に躱し、腹部に強烈な蹴りを入れ距離を離すと、飛びかかってきたマスカレイドドーパントの攻撃を体を逸らす事で避け、そのままルパンガンナーで切り付ける。
『ぐぁ!!』
鋭い刃で体を切りつけたマスカレイドドーパントは痛みに苦しむが、追い討ちをかける様にルパンガンナーの銃弾で攻撃する。
『ソード!マキシマムドライブ!』
ルパンガンナーのスイッチを押し、マキシマムドライブを発動せると、銃弾が刃に変化。
ルパンは容赦なくそれを撃ち、無数の刃がマスカレイドドーパントの体を貫き、弟は言葉を発する事なく爆散する。
『アキオーーーーー!!』
マスカレイドドーパントには自爆機能がついている為、例えガイアメモリを回収するルパンのマキシマムドライブでも、彼が爆死するのは必然であった。
『己れぇーーーーーー!!』
弟を殺され、怒り狂ったラビットドーパントは、強化された脚部で飛び蹴りを喰らわせる。
『お前ら脳筋すぎるだろ?』
『ルパンイリュージョン』
姿を消し攻撃を回避すると、そのまま背後に回りラビット・ドーパントの背中を切り付ける
『がぁ!!』
何度も何度も切り裂き、ラビット・ドーパントの膝が地面に付くのを合図にルパンメモリのレバーを4回倒す。
『ルパン!マキシマムドライブ!』
右足にエネルギーを溜めながらゆっくり近づくルパン。
死が近づいていると錯覚したラビット・ドーパントは尻餅を付き、彼から逃げる様に後ずさる。
『や、やめ…!!』
何とか立ち上がり、無様に背中を見せながら逃走するラビット・ドーパント。
『まるで猛獣に狙われた野うさぎのようだ。』
逃がさないとルパンは空高くジャンプする。
『シューーーーーート!!』
ライダーキックがラビットドーパントを襲い、彼の体は宝石が散らばる様に砕け散る。
「がぁ…!!」
元の姿に戻った運転手はそのまま気絶し、ルパンの手にはラビットメモリが握られていた。
幸い運転手に毒素の暴走はなく無事な様だ。
『よし、ラビットメモリ頂きっと。』
ラビットメモリを仕舞い、本命のトラックに積んである大量のガイアメモリを頂こうとするルパン…。
_しかし、5m程近づいた瞬間トラックが大爆発を起こす。
『な!?』
咄嗟にトラックから距離を離すと、何が起きたか一瞬理解できず混乱するルパン。
「へへへ、来てくれたか。遅いんだよ。」
『あ?』
意識を取り戻した運転手が、ルパンに対し小さく嘲笑う。
「俺たちは、そもそも戦闘向きじゃない…ただの…時間稼ぎさ。」
『なに?………っぐお!?』
自分の目の前が爆発し、咄嗟に駐車してあった車両の影に隠れる。
『っち、何処から。』
敵の正体を探る為顔を出すも、盾にした車両が爆散。
ルパンは爆風で吹き飛ばされ、地面を転がりながらも直ぐさま体を起こし辺りを見渡した。
するとドン!という音と共にシュルシュルとまるで大砲の弾が飛んでくるような音が耳に入る。
『まさか!!』
咄嗟に後ろに飛ぶと自分がいた場所に弾が着弾し大爆発。ルパンは敵が遠くから砲撃しているのだと判断し、音を頼りに目を凝らす。
すると300mほど離れた建物の屋上に自分を攻撃したであろうモスグリーンのドーパントの姿が見えた
『アイツか!!』
『疲れた所を一気に叩く!』
胸に大きな火砲の付いたドーパント”タンク・ドーパント“は自慢の火砲に弾を詰めルパンに狙いを定める。
『ドーパント…応援を呼んでたか』
ルパンガンナーをタンクドーパント目掛けて撃つも流石に距離があり弾が届かない。
物陰に隠れ、ルパンは思考を巡らせる
『さてどうしたもんか!』
『がははは…さぁ、出てこい仮面ライダールパン。今日がお前の命日だ。』
物陰から出てきた瞬間いつでも撃てるように構えるタンク・ドーパント。
『…それはどうかな?』
しかし、背筋が凍る様な声が彼の耳に入る。
『え……あいた!?』
振り向いた瞬間、何かに殴られたタンクドーパントは咄嗟に両腕を機関銃を変形させる。
『だ、誰だ!?』
『グルァ……。』
ゆっくりゆっくりと冷たい風を吹かせながら近づいてくる白い髑髏
血の様に赤い左目がドーパントを捉えると仮面ライダースカル_スカルゾンビはドライバーからスカルメモリを引き抜き、左手に持つ白い専用武器“スカルマグナム
『スカル!マキシマムドライブ!』
スカルマグナムWにエネルギーを溜め、ゆっくりと近づいてくる屍。
『うぉーーーーーー!!!』
恐怖に煽られたタンク・ドーパントは両腕の機関銃を撃つも、スカルゾンビに物理攻撃は無意味だった。
銃弾の雨をもろともせず髑髏を模した巨大なエネルギー弾が発射され、それが命中したタンクドーパントは衝撃によって屋上から落下する。
『っぐ!クソ!!』
『…仕留め損なったか。』
厚い装甲のお陰でメモリブレイクを免れたタンク・ドーパント。
追撃しようとスカルも屋上から飛び降りる。
前にはスカル、後ろからは自分を追っているルパン。
『ここは撤退!撤退!!』
2人の仮面ライダーを相手に分が悪いと判断したタンク・ドーパントは脚部をキャタピラに変形させ猛スピードで逃走する。
『おい、待て!!』
ようやくドーパントの元に辿り着いたルパンが追いかけるも、目の前に火砲の弾が着弾し行手を阻まれる。
『っくそ!』
狙っていたガイアメモリの山は破壊され、せめて自分を襲ったドーパントのガイアメモリは手に入れようとするも逃げられてしまう。
『おいスカル、逃してんじゃねーぞ!?』
『……。』
トドメを差しきれなかったスカルに対し文句の一つや二つ言うとするルパン、しかし結果的に助けられた為、出かけた文句を引っ込める。
『すぅ…相変わらず無口だなお前。なんで助けた?』
そもそも、コブラの研究所にいるはずのスカルが何故自分を助けたのか疑問が生まれる。
『コブラに
『っは、相変わらず過保護なこった…さてと。』
所詮は大事な実験対象ですか、と愚痴を言いながら、唯一手に入れたアタッシュケースを開く。
『なんだ、コレは?』
中には
『ガイアメモリに取り付ける物か?何か知ってる?』
『…いや。』
『コブラに聞くしかねーか。』
コブラならガイアメモリ関係の事は詳しいだろう…
そう思いアダプターを戻そうとした瞬間、アタッシュケースに粘着性のある太い糸が付着する。
『『!?』』
糸が引っ張られ、残りのアダプターが入ったケースが何者かに奪い取られる。
糸が伸びていた方角にルパンガンナーを撃つも、ただ電灯を撃っただけで、そこには誰もいなかった…。
『はははははは!』
濃い霧が立ち込め、殺意を感じ取った二人の仮面ライダーは背中合わせになり、
『嫌な気配がするな。』
『…。』
『あっはははは!!』
笑い声が聞こえ、二人は一斉に声の方向に銃口を向ける。
霧で先が見えないが、気配は感じ取れる。
スカルは目を凝らす。
『…何だ?』
『久しぶりだな荘吉?』
霧の奥から現れたのは蜘蛛の怪人であった。
『…蜘蛛男?』
『なに?…まさか蜘蛛のドーパントか!?』
蜘蛛の怪人“スパイダー・ドーパント”
かつて鳴海荘吉の相棒であった松井誠一郎が変身したドーパント一号であり、10年前に
『俺を…知っているのか?』
『あぁ、相棒であるはずの俺の命と…大切な人を奪った化け物だ。』
しかし、今のスカルにとっては覚えていない記憶である。
過去の自分を知っているドーパントに興味が湧くスカル…
対してルパンは両手を震わせながら今にも破壊しそうな力でルパンガンナーを握りしめていた。
『おい、おいおいおい。蜘蛛のドーパント…お前は10年前に蜘蛛爆弾を撒いたやつか?』
『あぁ懐かしいなぁ…そうさ。大切な人と結ばれない絶望を与える為に…俺がばら撒いた。』
『……。』
それを聞いたルパンは過去を思い出す。
蜘蛛の影、糸が巻きつき爆発した父親、母親の悲鳴。
そして泣きじゃくる自分。
『見つけたぞ…見つけたぞ!親父の仇!!』
『あー、お前の父親も爆死したのか?それはご愁傷様』
『ふざけるなぁー!』
『バインド』
バインドメモリをルパンステッキに刺しチェーンを生成、鞭の様にスパイダー•ドーパントを攻撃する。
『おっと、危ない』
しかしそれをひらりと躱すと、建物の屋根に飛び移る。
『二人相手はキツイな。まぁ目的の物も手に入れたし此処は引くとするか…じゃあな元相棒とどこかの誰かさん。』
『おいまて!待ちやがれ!!逃げん……っが!』
追いかけようとした瞬間、ルパンメモリがスパークする。
『こんな所で!』
強い頭痛が襲いながらも、何とか追いかけようとするルパン。しかしそれをスカルが止める。
『よせ、時間切れだ』
『俺は…まだ!』
『…確か、こうだったか?』
スカルはルパンのドライバーを閉じ、ルパンメモリを強制的に引き抜いた。
「っが!?」
変身が解かれたルパンこと透は、頭を押さえながらスカルを睨む。
「お前まで…急にメモリを抜くな!」
『コブラにそうしろと言われた。』
「っち、アイツめ。」
霧が晴れるも、ドーパントを完全に見失った透。
余計な事を吹き込んだコブラを恨みながら、近くのベンチに座ると痛む頭を我慢し どうしても気になった事をスカルに聞く。
「なぁ、あいつと知り合いなのか?」
『分からない。』
「だよなぁー。」
スカルに記憶が無いのはコブラから聞いていた。
奪われた謎のアダプタよりも、今になって父親の仇が現れたのか、それだけが気掛かりだった。
『だが。』
「あ?」
『後悔は感じる。』
「後悔だって?」
記憶が無いのに後悔を感じる?
スカルの言葉に疑問が生まれる
「……っておい、何処いくんだよ?!」
そんな透の疑問をよそに、スカルは呼び出した自分専用の白いバイク“スカルボイルダーZ”に跨る。
『調べる』
「調べるって言ったって、その格好でか?!」
スカルは変身を解くことができない。そんな状態で町に出てしまえばい目立ってしょうがない。咄嗟にバイクの前に立つ透。
『コブラから渡されたガジェットがある。それを使う。』
そう言うとスカルはヘラクレスフォンと
「だ、だとしてもよぉ?」
『そこをどけ』
「…はぁ、わかった。ただし情報は俺と共有しろ。あの蜘蛛ドーパントは親父の仇だ。アイツは俺が倒す…いいな?」
『……わかった。』
透が退くと、スカルは風都の町中に消えていった。
キャラ同士の関係を深めるため透の父親の死因を変更しました!
今書き溜めています。
登場してほしい平成2期、令和ライダー(外伝執筆の参考にします)
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オーズ
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フォーゼ
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ウィザード
-
鎧武
-
ドライブ
-
ゴースト
-
エグゼイド
-
ビルド
-
ジオウ
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01
-
セイバー
-
リバイス