黒のスピラ冒険記   作:通りすがりの熾天龍

10 / 37
キリトサイドです。
キリトがやらかします(笑)


ミヘン街道

「あの残骸が何かご存知ですかな」

建物の残骸の前で緑色の服を着た老人が話しかけてきた。

「見ての通り建物だろ?」

俺の答えに、

「まぁ、そうですな。いや、ですがそういう意味ではなく・・・」

苦笑気味の老人。

「かなり昔に捨てられた街?」

「シンにやられたんでしょうか?」

「そう、こいつらを見るたびにあたしはシンの強大な力を実感するのです」

俺とユイの言葉に返す老人。

「それに比べれば、人間なんぞ虫けら同然ですわ」

その老人の言葉にユウナが反論する。

「けれども、シンを倒せるのも人間だけだと思います」

「うむ、よいお答えですな。安心しましたぞ、召喚士様」

「え?」

老人の安堵の言葉にユウナは疑問符を浮かべた。

「失礼、申し遅れました。あたしはメイチェンという者です。スピラの歴史や・・・真実の姿というべきか。そういうものを知ろうと旅をしております。研究のため、各地の街などを訪れておるのですが・・・痛ましい物ですわ」

「痛ましい?」

今度は俺の疑問符。

「ええ、何処に行っても、人々の笑顔は偽りの物。シンの名を聞けばサッと消える」

確かに、シンという脅威の前ではそうなのだろう。

「民の笑顔を本物に・・・召喚士様、頼みますぞ」

その願いに、ユウナが答えた。

「はい」

さて、各地を旅しているというのなら・・・。

「メイチェンさん、ひとついいですか?」

「なんですかな?」

「『地球』、もしくは『日本』という言葉を聞いたことがありますか?」

「うーむ、残念ながら、全くありませんなぁ」

「そうですか・・・」

やっぱりだめか。

「お力になれなかったようで、すみませんなぁ」

「いえ、大丈夫です」

 

「大丈夫ッスよ。きっと見つかるって」

そう言って励ましてくれるのはティーダ。

「ああ、サンキュー」

 

 

 

 

メイチェンと別れ、再び街道を進む俺達。

その前に現れたのは、黄色い鳥、チョコボに乗った人達。

「召喚士様御一行ですね?」

「はい、ユウナと申します」

「ジョゼ討伐隊チョコボ騎兵隊所属のルチルです」

「同じくエルマです。街道の警備を任されております」

「お、同じくクラスコです」

この人たちが討伐隊なのか。

ビサイドにもルッツとガッタという二人が居るそうだが。

スピラの騎兵隊はチョコボなのか。

なるほど、馬よりも扱いやすそうだな。

「この辺りにはチョコボを狙う大型の魔物が出没します。チョコボご利用の際はくれぐれもお気を付けください」

「わかりました。御忠告、感謝します」

「では、我々は任務がありますのでこれで。旅のご無事をお祈りいたします」

そしてルチル達は去って行った。

 

「「倒すか」」

俺とティーダが同時に言った。

同じこと考えていたんだな。

「何故だ?」

アーロンの問い。

「「このまま放っておくわけにもいかないだろ」」

またハモった。

ティーダと顔を見合わせる。

それが可笑しかったのか、皆が吹きだした。

 

 

 

 

「ほう、召喚士様御一行か」

出会った一人の女性。緑を基調とした服を着ている。

「貴女も召喚士ですね?」

マジか。

「ベルゲミーネだ。お前は?」

「ユウナと申します」

「ああ、噂は聞いている。10年前の大召喚士の娘だな。とは言え、見たところまだ駆け出しのようだな。お前さえよければ、修行に協力してやろう。どうだ?」

「え? いいんですか?」

なんと、召喚士の修行とな。

「お互いに1体ずつの召喚獣での手合せだ。無論、こちらは手加減する」

「はい、よろしくお願いします」

 

こうしてユウナとベルゲミーネの召喚獣バトルが始まった。

ベルゲミーネが召喚したのはイフリート。

ティーダが教えてくれたが、キーリカ寺院にいる祈り子らしい。

「さあ、召喚獣とどれだけ心を通わせることができたか見せてもらおう」

「はい!」

ユウナが召喚したのはヴァルファーレ。

なじみのない名前だ。

 

 

元ネタはソロモン72柱の魔神だそうです(ファイナルファンタジー用語辞典 Wiki より)

                            BY 通りすがりの熾天龍

 

 

・・・なんだか電波が来たような気がするのは気のせいか?

まあ、それはともかく、だ。

確か召喚獣の能力は召喚士の実力に左右されるんだったな。

明らかにイフリートの方は手抜きだ。

あまり攻撃してないしわざと攻撃を喰らったりもしている。

約10分後、イフリートは倒れた。

 

「若いのに大したものだよ。此処までとは思わなかった」

それを聞いて気になったことがあり、

「他の召喚士はどんな感じなんですか?」

思わず訊いてしまった。まあ皆気になっていただろうが。

「あれくらいでも負けるか、良くても2、30分はかかるな」

なるほど、ユウナの実力はかなり高いということか。

「さて、ご褒美としてこれをやろう。とっておきなさい」

そう言ってベルゲミーネはユウナに何かを手渡した。

「有難うございます!」

「うむ、お前は筋がいい。たゆまず修行をすればシンを倒せるかもな」

「はい! でも私より先に貴女が倒してしまいそうですが・・・」

「私には無理だ。・・・いや、無理だったと言うべきだろうな」

「え・・・それじゃあ・・・」

ベルゲミーネはそれには答えず、

「ではな。ユウナ、いずれまた会おう」

そう言って去って行った。

 

 

 

 

「召喚士様!」

道端に佇む親子。その母親の方が声を上げた。

「ショーカンシさまなの?」

娘らしき少女がユウナに尋ねてきた。

「そうだよ。私はユウナ」

「ヒクリ」

「こんにちは、ヒクリ」

うーん、変わった名前だな。地球では聞いたこともない。

「ユウナさま、ナギセツ、つくってくれる?」

「はーい、楽しみに待っててね」

その言葉に喜ぶヒクリ。

「ユウナ様のナギ節、楽しみに待たせていただきますね」

「はい、頑張ります」

「ガードの皆様もご苦労様です」

と、その目がユイに向いた。

「その子もガードなのですか?」

当然の疑問なのかもな。

「ええ、上級魔法も使いこなす、とても強い子ですよ」

「ユイです!」

母親の驚いた顔、ヒクリの凄いというような顔。

なんというか、いいものだな。子供の純粋な感情。

 

 

 

 

親子と別れ、再び進む。

そこで、ビサイド出身の討伐隊メンバー、ルッツとガッタに出会った。

「俺達も試合見たぞ! めっちゃ感動したよ!」

「よかったな、ワッカ」

ガッタがティーダに、ルッツがワッカにそれぞれ声をかける。

と、そこに、

「何サボってるんですか」

エルマがチョコボに乗ってきた。その後からルチルも。

まだサボりの域には入ってないと思うぞ。

「は、申し訳ありません!」

「作戦準備は一刻を争う。頼むぞ」

「了解!」

そして二人は去って行ったが、

「な? 素直に頭を下げといたほうがうまくいくんだよ」

「なるほど・・・」

おいそれでいいのかお前ら。

そのやり取りに、ユウナが吹きだした。

そこでルッツがユウナに声をかける。

「ユウナちゃん、俺達は寺院から破門されたけど、いつでもあんたのことを応援している。それは・・・それだけは変わらないからな」

「ありがとう。ルッツさん、ガッタくん。でも、もしできることならこのままビサイドへ帰って・・・」

「急ぎましょう、先輩」

ユウナの言葉をガッタが遮った。

それに頷くルッツ。

そして二人はそのまま走っていく。

 

 

 

 

討伐隊らしき男性と僧侶らしき女性が言い争っている場面に出くわした。

「シンを倒せば文句ないだろ!」

「しかし、エボンの教えでは・・・」

「しつこいんだよ!」

「しつこい、ですか・・・」

そのまま、男の方は去って行った。

「どうかされましたか?」

ユウナが声をかけた。

 

「討伐隊が近々実行しようとしている大作戦のことはご存知ですよね。実はその作戦に機械を使うらしいんです。それを何とか止めたいと思いまして・・・」

「その結果がさっきの口論ってわけか?」

俺の質問に僧侶――シェリンダが肯定の意を示す。

「はい。その機械は寺院が使用を禁止している類の物なのです」

「拙いっすよねぇ?」

ワッカがアーロンに問う。

「使える者は何でも使えばいい。まあ、それでシンを倒せるとは思えないが」

それに対し、シェリンダが反論する。

「倒せる倒せないの問題ではありません。教えに反することが問題なのです」

教えってエボンのだろう?

「そうだよな!」

全力で肯定するワッカ。

「でも、討伐隊の皆さんは全く話を聞いてくれません。わたしが僧として未熟だからですね・・・」

「そんなことは無いと思うぞ」

「え?」

おっと、思わず口を出してしまった。

まあ、言ってしまったものは仕方ない。続けよう。

「彼らはシンを倒したいと思う気持ちが強い。だから誰が言っても耳を貸さないだろうな」

「そんな・・・」

「話を聞いてほしかったら、理解しろ。討伐隊の気持ちやエボン教の意図をな」

「エボン教の意図・・・ですか?」

皆、俺の話の意図が読めないのか、不思議そうな顔をしている。

「ああ、エボンがなぜ機械を禁止しているのか、なぜ許可している機械があるのか。それをしっかり理解して、ちゃんと説明できるようになること。教えだからってただ信じるんじゃなくて、ちゃんと自分の頭で考えて、自分で納得できる答えを自力で見つけ出すこと。確かにそれは難しいことだ。だけど、それができてこそ人は話を聞いて、理解しようとしてくれる」

「・・・難しいですね」

「難しいし時間もかかる。でも、未熟だから仕方ないって思うんじゃなくてもっと頑張ろうって思うことはとても大事なことだと俺は思う」

「確かに、そうかもしれませんね。でも、私にできるのでしょうか・・・」

「本気でやればきっとできる。まずは自分を信じることだ」

「はい! 私頑張ります!」

「うん、その意気だ!」

「あ・・・はい」

あれ、なんか急にしおらしくなったな。

どうかしたのか?

 

「なあ、キリト」

何故か赤くなっていたシェリンダと別れ、再び進んでいるとき、ティーダが話しかけてきた。

「なんだ?」

「キリトってタラシなのか?」

・ ・ ・ 。

おい、

「どうしてそうなった」

「いや、だって・・・なぁ?」

ティーダの言葉にユイを含めた全員が頷く。

解せぬ。

ユイが、

「まあ、パパですから」

超解せぬ。

ルールーが、

「さっきのを見て気づかない人なんていないわよ」

ヒジョーに解せぬ。

アーロンが、

「キリトはそういうやつなんだろう。だが・・・なぁ」

なんでさぁ。

あ、師匠の口癖が出た。

 

 

 

 

「ここで休んでいく」

まだ日が沈まないうちに宿を決めたアーロン。

「でもこれ、アルベド人の店ですよ」

ワッカが反対する。

「問題でもあるのか?」

「アルベドは教えに従わないし、あいつら、ルカではユウナをさらおうとしたんですよ!」

「だが未遂なのだろう? ガードがしっかりしていれば問題ない」

「う・・・」

言葉に詰まるワッカ。

「アルベドが全員誘拐をしているってことはないだろう? それに店を開いているんだからそういうことはしないはずだ」

俺もワッカを説得する。

そこにティーダも加わる。

「ワッカは怪我が完治してないだろ? それにここを通り過ぎたら野宿になっちまうかもしれないじゃないか。ユウナやルールー、それにユイちゃんもいるんだから、野宿は避けるべきだろ」

「う・・・わ、わかったよ」

 

この店のオーナーはアルベド人の男性だった。

非難されても嫌な顔一つしない。慣れているのかな。

この人――リンの店はスピラに幾つもあり、リンはそれらを巡回し、たまに仕入れのためにアルベドのホームに戻っているとか。

それはさておき、アーロンはリンの世話になったらしい。

なんでも、大怪我をしたアーロンを介抱したとか。

その翌朝にアーロンが消えてしまったらしく、リンは、

「あれは歩けるような怪我ではありませんでした」

と言っていたのが気になる。

その時アーロンに何があったのだろうか。

ただ、ティーダ曰く、その時にティーダのザナルカンドに行ったとか。

ところで、師匠の友人の女性は凛って名前なんだよな。

 

「さて、『地球』について聞かせてもらってもいいか?」

「わかった」

俺とユイが泊まる部屋をアーロンが訪ねてきた。

そして、俺とユイが地球の、特に日本の話をする。

「魔術は一般には知られていないのか・・・」

「ああ、いろいろと理由があってな」

「ところで、キリトはスピラの魔法はどれくらい使えるんだ?」

「いや、それがなぁ」

俺はキーリカでの事件(?)を話した。

 

 

キーリカ寺院で実際に魔法を見せてもらった俺。

原理や理論を教えてもらい、実際にケアルを使ってみたところ、発動せずに吐血した。

何度か構築を間違っていないかなどを見直してもらったが、正常に動いている。

で、出した結論が・・・。

 

 

「魔術回路を発現した者にはスピラの魔法は危険だと?」

「そ。解析してみたらそういう結果が出た」

「私はちゃんと使えるので、その可能性が大いにありますからね」

 

 

 

 

翌朝。

いきなり悲鳴が上がった。

飛び起きて下に降り、外に出る。

「キリト!チョコボが襲撃されているらしいぞ」

ティーダの言葉に昨日の会話を思い出す。

「ルチル達が言っていたチョコボを狙う魔物か!」

「そのようだな。行くぞ」

 

店のすぐそばにあるチョコボ農場へ。

そこには紫色の魔物が居た。

その手にはチョコボ。

すぐさまピックを投影して投げる。

狙い違わずピックは魔物の手に突き刺さり、魔物は悲鳴をあげてチョコボを離した。

投影開始(トレース・オン)!」

二刀流、エリュシデータとダークリパルサーを投影。

ソードスキル、

「ダブルサーキュラー!」

赤い光を纏った剣での二刀流重突進技。

それを喰らった魔物はひっくり返り、起き上がれなくなった。

「今だ!」

飛び退きながらの俺の合図とともに、

「ファイガ!」

「ウォタガ!」

立て続けにユイとルールーの魔法が炸裂。

ティーダが一気に詰め寄り、

「ディレイバスター!」

一気に畳み掛ける。

投影開始(トレース・オン)

次に投影するのは夜空の剣。

「ティーダ、どけ!」

慌てて飛び退くティーダ。

武装完全支配術(エンハンス・アーマメント)!」

漆黒の槍が魔物を貫いた。

 

 

 

 

「せっかくですから、みなさんチョコボに乗りませんか?」

チョコボを襲う魔物を倒した後、リンが話を持ち出してきた。

「魔物退治のお礼を兼ねて、初回に限り無料にさせていただきましょう」

「本当ですか!」

ユウナが食いついた。

「ええ。ご利用の際はこちらの者に声をおかけ下さい」

リンの傍に控える少女が礼を言った。

「ありがとうございました! 助かりました!」




メイチェン、ルチル、ベルゲミーネ、ヒクリ、ルッツ、シェリンダ、チョコボのイベントでした。

キリトがやらかしました(無自覚)
何のことかはわかりますよね。
彼女は報われない。これは確定事項なのです。キリトに惚れた時点で。
キリトはこの先もやらかします。そして明日奈に怒られます。
これも確定事項なのです。

Fate魔術とFF魔法の関係については独自設定です。
魔力の性質が違うということで。
魔術回路が覚醒した人がFF魔法を使うと、自分にダメージが行きます。
しかも発動しないっていう。

次回、ミヘン・セッションです。
予定はティーダサイド。
それでは!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。