黒のスピラ冒険記   作:通りすがりの熾天龍

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ティーダサイドです。
FF10エンディングでティーダが消滅した後、逆行する話。


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「う・・・」

目が覚めた。ここは・・・何処だ?

顔を上げて、辺りを見回す。

 

辺り一面、水だらけ。俺は瓦礫の上にいる。

すぐそばには鳥が一羽。

 

・・・もの凄く見覚えがあるんスけど。

確か俺がスピラに来たときに初めていた場所だったような・・・。

 

此処はスピラなのか?

でも俺、消えたんじゃなかったか?

 

それがまたなんでここに・・・。

とりあえず、遺跡まで行くか。

考えるのは落ち着ける場所に出てからだ。

 

前回ここを泳いだときはサハギンやら厄介な海獣やらがいたからな。

今度は居ないなんて都合のいいことは起こってくれないだろう。

 

息を整え、飛び込む。一気に遺跡まで泳ぐが、やはり途中でサハギンが出てきた。

数は三体。・・・前回と同じかよ。

 

前回は殲滅にかかったけどそのおかげで死にかけた。

だから今度は全力で突破にかかる。

 

前から突撃してきた一体をすれ違いざまに斬る。

幻光虫に還るサハギンを無視して真っ直ぐに遺跡の入口へ。

 

人一人分が入れる穴の中へ。

と、後ろからの気配を感じて振り向く。

そこには、突進してくるハサギンの姿が。

少し横にずれ、飛び込んできたところを斬る。

 

次の瞬間、前回と同じ海獣が突進してきているのが見え・・・え?

「まずいっス!」

慌てて穴に飛び込む。一秒後、海獣の口が穴の縁にぶつかった。

 

そして、その衝撃でその穴の周囲が崩壊し、何も入ってこられなくなった。

・・・なんか、崩落具合もデジャヴなんスけど。

 

開けた場所に出る。瓦礫を押しのけて。

ここも前回と同じ場所だ。

「やっぱ寒いッス・・・」

 

そして手に持った剣を横に置いて座る。そこで気づいた。

「この剣って・・・親父の土産の剣じゃないッスか!?」

赤いロングブレード。

それは間違いなくザナルカンドでアーロンからもらった剣。

とっくに折れてしまったはずなのに、なぜ・・・。

 

まさか・・・過去に逆戻り!?

いや、まさか。もしそうだったとしたらシンを倒すたびに逆戻り?

とんでもない地獄だろ、それ。

 

じゃあ、さっきの奴らも前俺が戦った奴の同一個体?

ってことは・・・

「また来るんスね・・・アイツ」

考えただけで憂鬱だ。

 

「とりあえず、火をつけないと。記憶の通りなら火打石と枯れた花が・・・ん?」

視界の隅に何かが見えた。なにか、黒い物が。

近寄って見てみると、それは・・・

「人!? ちょ、大丈夫ッスか!?」

黒い服を着た、俺と同じくらいの少年?だった。

 

いつからここにいるのか、体が冷え切っている。

「ヤベェ! 急いで火を!」

慌てて駆け出し、記憶にある場所に必要なものを取りに行く。

 

火をつけて、倒れていた彼を火の近くに横にする。

「これでよし・・・っていっても、これ大丈夫なのか?」

確かこの後、別の魔物が来るはずだよな。

この人から気をそらして、短時間で倒さなければいけない。

近くで戦えば魔物がこの人を襲う可能性が高くなる。

かといって離れすぎた場合、魔物が狙いを変えたときに間に合わなくなる。

「とりあえず、リュックたちが来るまで耐えきるしかないッスね。・・・これが過去への逆戻りで、リュックたちが本当に来ればの話ッスけど」

 

そろそろ火が消える。俺もこの人も今はこれ以上温まれない。

すぐに来るはずだ。未だに目を覚まさない人を端の方に運ぶ。

その後、小石を何個か拾う。

魔物が倒れている人に向かいそうになった時のために。

 

 

 

 

「・・・来たか」

どうやってかは知らないが、壁を走る魔物。

このままじっとしてれば倒れている人の方を狙うかもしれない。

ならば、こちらに魔物の気を引き付けるまで。傍らの剣を取り、構える。

さぁ、

「来い!」

俺の声に反応したのか魔物が壁を離れ跳びかかってくる。

さあ、今度は前回と違い、人を庇いながらの戦闘だ。

「戦闘・・・開始ッスね」

振り下ろされた爪を避け、カウンターの一撃を叩き込んだ。

 

 

 

 

「ふぅ・・・思った以上にキツイッスね・・・」

一応、こちらの優勢。

それでもたまに魔物が狙いを変えようとするからキツイ。

尻尾を切り落とすことには成功した。魔物の体は今や傷だらけ。

対するこちらは目立った傷は無いが体力が尽きかけている。

「早く来てくれよ、リュック・・・」

彼女らが扉を吹き飛ばしてくれれば魔物にも大きな隙ができるし、何より、未だに倒れたままのこの人を何とかしてもらわなきゃ。

そして俺は仕事を与えられ対価として食事を貰う。

その後のことはまた変わってくるだろう。

それはその時になったらまた考えればいい。

 

と、爆発とともに扉が吹き飛んだ。

突然起こった爆音と炎に魔物が怯む。

「今だっ!」

前方に回転しながら体を捻り、遠心力を生かして剣を叩き付ける。

――――オーバードライブ《スパイラルカット》

この一撃で、勝負はついた。

 

さて、のんびりしては居られない。

「助けてくれ! 怪我人が居るんス!」

ずっと気を失ったままの彼を指さす。

リュックにはこちらの言葉が通じるはず。

ならばそれにすがるしかない。

アルベドの人たちの先頭に立つ少女、リュックが俺の言葉を伝えたのだろう。

倒れている彼を見た後、額を寄せ合って相談を始めた。

 

おそらく、俺は夢のザナルカンドが消滅したことでスピラから消え、それによって過去へ逆戻りしたはずだ。

ならば、目の前にいるリュックも、これから出会うワッカやルールー、キマリ、そしてユウナも、俺のことを知らないのだろう。

アーロンなら、次に会う時にはシンに飲み込まれる前の俺と違う事に気づくだろうか。

その時は、短期間で急成長したと言って誤魔化せば・・・無理だな。

アーロンが相手じゃあすぐにばれちまう。

 

と、会議が終わったようだ。

リュックが近づいてくる。

「そこで倒れている人は私たちが看病するよ」

「助かるッス」

「で、チイにも一緒についてきてもらうんだけどさ、まだチイのこと、信用はしきれない。悪いけど、銃は突き付けておくね」

おぉ、前回よりも楽に話が進む。

「わかったッス。本当は銃は嫌だけど、それなら仕方がない」

「うん、じゃあ、いくよ」

アルベドの一人に銃を突き付けられながらだが、船まで連れて行ってもらえることになった。・・・殴られなかったから良しとしよう。

 

 

 

 

さて、この後の展開はだいたいわかる。

リュックと一緒に海に潜って、作業&戦闘。

・・・うまくそこまで持っていければ何だけどなぁ。

 

とりあえず、アルベドの船の甲板に到着。

俺が今気絶していない時点で、というか俺以外にもう一人居る時点で前回と大きく違う。

「じゃあ、今からこの人をベットに寝かせるけど、チイはここで待っててね」

「了解ッス」

俺以外の全員が船の中に入り、俺は甲板で待機。

さて、この後どうなるかだな。

 

 

 

 

ドアが開いてリュックが出てきた。

「お待たせ。さっきの人は暖かい部屋に寝かせておいたよ。今のところは生きているみたいだね」

「そッスか。良かった。・・・で、俺はこれからどうすればいいッスか?」

これで、仕事の話に持っていけるはずだ。

 

「チイには仕事を手伝ってもらうよ。手伝ってくれたら少しの間世話したげる」

よっしゃ来た。

「わかったッス。それで、何をすればいいッスか?」

「その前に、チイは泳げる?」

「泳ぎは得意ッスよ。ブリッツチームのエースやってたこともあるからな」

「なら良かった。今から私とチイで海に潜って作業するから」

 

この下の海底には古代の遺跡が眠っている。

その遺跡は今は動いていないが、動かすための電力は残っているはず。

今から潜っていって直接作業をして電力を復旧させる。

電力を復旧させれば遺跡を動かすことができ、そうすれば海底に沈んだままの大型機械を引き上げられるようになるはずだ、ということ。

とりあえず前回と同じなんだな。

 

「なるほど。今から行くんスか?」

「そうだよ。じゃあ、お仕事がんばろー!」

「おぅ!」

俺とリュックは甲板から海に飛び込み、潜水を始めた。




復旧作業は割愛。期待していた方は御免なさい。

次回はキリトサイドの予定。
次でようやくW主人公の初会話。
更新がいつになるかはわからないです御免なさい。

話の構成は1話ごとに視点が切り替わる予定です。
たまに三人称視点が入るかもです。
基本的にキリト視点とティーダ視点が交互に来ると思います。たぶん。
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