黒のスピラ冒険記   作:通りすがりの熾天龍

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キリトサイドにて霊峰ガガゼト。
真実の一つが明らかに。


霊峰の戦い

霊峰ガガゼト。

誰がこんな言いにくい名前にしたのか。

まあ、それを言ってもしょうがない。

そんなことは置いといて。

え~、現在・・・囲まれています。

 

「召喚士ユウナとガード衆よ、早々に去れ」

そう言ったのは老師を止めたはずのロンゾ、ケルク。

「ロンゾが守護するガガゼトはエボンの聖なる山。教えに背いた反逆者には御山の土は踏ませない」

イラっときた俺は悪くない。

「エボンの敵はロンゾの敵。帰れ! 反逆者!」

だから冤罪だし裏切ったのは寺院の方だろうが!

「私は寺院を捨てました。もう寺院の命令には従いません」

きっぱりと言ったユウナ。

割り切れたみたいだな。

「その言葉、取り返しがつかぬぞ!」

「構いません。寺院は教えを歪め、スピラを裏切っています」

ユウナの言葉に、ワッカが続ける。

「裏で小細工ばっかしやがってよ! 俺がそれを知った時どれだけショックだったことか!」

そういや僧官用の通路は機械仕掛けだったらしいな。

「ワッカの言うとおりだ! 隠していれば何でもしていいと思ったら大間違いだぞ!」

ティーダも叫ぶ。

「そうだそうだ!」

リュックが同意した。

「スピラを裏切るような寺院などに、未練はありません」

ユウナがそう締めくくった。

「言わせておけば!」

エンケが叫ぶ。

ビランが一歩前に出てキマリがそれに反応。

キマリとビランが睨みあう形となる。

「召喚士とガードともあろう者が・・・」

ケルクがそう漏らすが、ルールーがそれに反論した。

「お言葉ですが、ケルク=ロンゾ様。貴方もベベルを離れたのではありませんか? それでも山を守るのは一族の誇りのため・・・」

そこにアーロンも続ける。

「ユウナも同じだ」

「何より、召喚士は寺院の命令に従うことが義務付けられていませんよね?」

アスナが若干黒い笑顔で言う。

「むっ・・・」

言葉に詰まるケルクに、ビランが言った。

「ケルク大老! こいつら、ビランが八つ裂きにしてくれよう!」

エンケも前に進み出て言う。

「一人も逃がさん!」

その言葉に俺は言い返す。

「何を言っている? 逃げるようなことなんてないだろうが」

「旅は止めません。必ずシンを倒します」

ユウナが言い切った。

「反逆者の汚名を着せられてなお、シンに挑むというのか。寺院に背き、民に憎まれても旅を続けるというのか。そこまでして戦うのは一体なにゆえか?」

 

「スピラが好きです」

ユウナは静かに言う。

「ナギ節を待つ人達に、私ができる贈り物。それがシンを倒すことです。ただそれだけです」

その答えにケルクが言った。

「己を犠牲にしてもか」

「犠牲にはなりません。必ず生きてシンを倒します。たとえ醜いと言われても、生きるために足掻いて、シンを倒したという報せを、私自身の手で持ち帰る。それこそが召喚士が本当にすべきことだと思います。それが、私の覚悟です」

「・・・そうか」

ケルクは目を閉じて呟く。

後ろを向き、他のロンゾ達に呼びかけた。

「者ども、道を開けい! ・・・召喚士ユウナよ、汝の想い、汝の覚悟は鋼よりも硬く、御山よりも重い。ロンゾの強者が束になろうと、汝の意志は曲がらぬであろう。心からスピラを想う、まことに見事な覚悟である。・・・行くが良い。霊峰ガガゼトは汝らを受け入れようぞ」

その言葉にユウナが頭を下げた。

「ありがとうございます!」

 

ティーダがユウナの頭を撫で、ユウナが嬉しそうに笑う。

二人の仲も一気によくなっているな。

昨夜は二人に覗かれてしまったが、まあ、結果オーライ?

ドアが閉まる音に気付いて俺もアスナも慌ててしまったからな。

あの時はホント焦った。

 

 

 

 

しばらく進んだとき、ビランとエンケが現れた。

「まだ邪魔するんですか!」

ユイがそう言った。

「召喚士は通す。ガードも通す。だが、キマリは通さない」

What? いきなり何言ってんだこいつら。

キマリもガードだぞ?

「キマリはロンゾの面汚し。ロンゾの使命を捨てた者」

「一族を捨て、御山も捨てた! 小さいロンゾ、弱いロンゾ!」

「御山は弱く小さい物を嫌う。登りたければ・・・」

「力を示せばいいのだな」

キマリがビランの言葉の先を言う。

「勝てるのか? 誰がキマリの角を折ったか忘れてはいまい」

「キマリは一度もビラン大兄に勝てなかった」

その言葉にも、キマリは屈しない。

「今度は勝つ。勝つと決めた」

キマリが槍を手に、ビラン達に立ち向かう。

 

ナギ平原での召喚獣バトルに匹敵するほどの激戦となった。

地上だけでなく空中でも戦う3人のロンゾ。

「その程度か、キマリ!」

ビランが言った。

それに対し、キマリが言い返し、行動に移す。

「まだだ! 《エナジーレイン》!」

あれはティーダの技!?

・・・そういえばロンゾは《技を盗む》種族だったな。

降り注ぐ光弾がビラン達の立つ地面を爆ぜさせる。

ダメージを受ける前に飛び退くビラン達。

が、着地の瞬間、キマリの次の技が直撃する。

「《牙龍》!」

アーロンの技が炸裂。

ビランとエンケに大きなダメージを与え、とうとうエンケが倒れた。

自分にバーサークを使ったビラン。

そんなビランにキマリは一気に詰め寄る。

その槍が光を放つ。

「《リヴォーブ・アーツ》!」

5連撃片手槍ソードスキル。

アスナの持ってきた本を見て俺がキマリに教えた。

もちろん、ティーダやアーロン、リュックにもいくつかを教えている。

ソードスキルを耐えきったビラン。

だが、ここは現実。魔術や魔法で再現したソードスキルには、硬直が無い。

「《閃打》!」

体術スキルの正拳突きが決まった。

「・・・キマリ=ロンゾ、見事なり」

そう言ってビランも倒れた。

 

「強くなったな、キマリ。ビランは嬉しいぞ」

ビランはすぐに目を覚まし、そう言った。

なんか・・・さっきと態度が180度違くない?

ビランは山に向かって叫ぶ。

「霊峰ガガゼトよ! ビランを負かした強者の栄えあるその名を伝えよう! しかと覚えよ、ガガゼトよ! その名はキマリ=ロンゾなり!」

彼は俺達に向き直り、続ける。

「御山はキマリの強さを知った。キマリを受け入れるだろう。召喚士!」

いきなり呼ばれたユウナがビクっとした。

「寺院からの追手は我らロンゾが食い止める!」

ビランの言葉にユウナが喜ぶ。

「本当ですか!?」

「昔、キマリの角を折った償いだ」

ビランに続いてエンケが言う。

「召喚士の後ろから来る敵は我らが倒す!」

その言葉にキマリが続ける。

「ユウナの前に立つ敵はキマリが倒す!」

ビランがユウナに言った。

「召喚士ユウナ、お前ほど恵まれた召喚士はいない」

「ありがとうございます」

ユウナが礼を言った。

「お前の像ができたらロンゾが磨いてやる」

エンケがユウナにそう言う。

「・・・はい。でも、寺院にとって私は反逆者ですから、きっと像は作ってもらえません」

その答えにビランが言った。

「ならばロンゾが作る」

「立派な角を付けてやる」

角は要らん!

「は、はい。お願いします」

エンケの言葉にどう反応すればわからず、結局角についてはスルーしたユウナであった。

 

 

 

 

『いえゆい・・・のぼめの・・・』

エボンの歌が聞こえてきた。

道の両側、崖の上に、ロンゾ達が立っていた。

それぞれの先頭に立つのはビランとエンケ。

ユウナがそれに応えるように礼をし、俺達は進んでいく。

 

 

 

 

大きな石で作られた石碑・・・は微妙に違うか。

「ここで力尽きた召喚士やガード達の墓標よ」

ルールーが言った。

墓標、か。

「この山で命を落とした召喚士は、異界送りされないのよ」

ガガゼトは弱く小さい者を嫌う、か。

「何人かは魔物になっていてもおかしくないってことだね」

アスナが少し塞ぎ気味に言う。

SAOで、死んでしまった人たちのことを考えているのだろう。

・・・俺もそうだ。

俺が殺してしまった何人かのことを考える。

彼らは俺のことを恨んだまま死んでいっただろう。

「ここまで来て倒れるのは、悔しいでしょうね」

ユイが沈痛な面持ちで言った。

 

 

 

 

「これは・・・」

俺達が見つけたのは、一つのスフィア。

「ブラスカのスフィアだ。ユウナ、見てみるといい」

「はい」

アーロンの言葉にユウナが頷いた。

 

「やあ、ユウナ。元気かい? このスフィアを見るとき、お前は幾つになっているかな。きっと母さんによく似て、綺麗になったろう。せめて、一目でも・・・。ああ、そうそう。ジェクトやアーロンもみんな元気だ。父さんたちはとても愉快に旅しているよ。もちろん楽な道じゃないが、後悔なんてしていない。何故って、これが父さんの道だからね。だからユウナも、大きくなって自分の道を見つけたら、やるべきことを、やりたいように頑張ってみなさい。そうすれば、どんなことでもきっとうまくいくさ。・・・いいかい、ユウナ。自分の道を創るのは自分自身。ユウナの思うとおりに生きて御覧。それがどんな道であろうと、父さんは応援するぞ。・・・私はいつでも、お前といっしょにいるよ」

 

「ありがとう、父さん。あのね、私、好きな人ができたよ。父さんにも会わせてあげたかったな・・・」

涙を一筋だけ流すユウナ。

「きっとやり遂げて見せるから。父さんがやり残したこと」

 

 

 

 

ザナルカンドが近づいてきた。

そんな中、リュックが立ち止る。

「ねえ、ホントにザナルカンドに答えがあるのかな?」

なるほど、答えが無ければユウナは死ぬしかない。

「大丈夫だ。絶対にある。そうじゃなけりゃどこに答えがあるんだよ」

ティーダがそう答えた。

「うん、でも・・・」

なおも俯くリュックにユイが言った。

「大丈夫です! 絶対にあります! もしなくてもまた探せばいいんです!」

そこにアスナも言う。

「疑っていてばかりでも始まらないよ。まずは信じること。ね?」

「そうだな、極論、ベベルでふんぞり返ってるマイカをぶちのめして聞き出せばいいんだし」

「そ、それはそれでそうなんだろ・・・」

俺の言葉にリュックが若干震えている。

・・・俺そんなひどいこと言ったかな?

 

その時、ユイが鋭く言った。

「パパ! 後ろ!」

振り返ると、そこにはシーモア。

「リュック! 先に行ってアーロンに伝えろ」

ティーダがリュックに言った。

「え、でも・・・」

「急げ!」

「う、うん!」

走って行ったリュック。

 

「通していただけませんか?」

「また半殺しにされたいのか?」

シーモアの言葉にそう返す俺。

「そうならないように念入りに準備をしてきました。私もそんな趣味はありませんので」

ああ、さいでっか。

「ティーダ!」

と、そこにユウナの声。

俺達の後ろからユウナ達が走って戻ってきた。

「早かったな」

そんなティーダの言葉にユウナは頷く。

「ユウナ殿、お久しゅう」

ユウナがロッドを構えた。

そんな中、アーロンがシーモアに訊く。

「キノックはどうした」

「ああ、彼ですか。彼は権力の亡者に成り果てていました。大きな権力を得たばかりにそれを失うことを恐れ、見えない敵に怯えつつ詰まらない策略を廻らす日々。一時の安らぎも知らず、追い詰められていたはずです。しかし、彼は永遠の安息を手に入れたのです。私は彼を救ったのです」

「言い訳か」

アーロンの額に青筋が浮かぶ。

「とんでもない。死は甘き眠り。全ての苦痛を癒し、永遠の安息を与える。ならば、全ての命が滅びれば、全ての苦痛も癒える。そうは思いませんか?」

「ふざけるな」

シーモアの言葉に言い返す俺。

「そうですか。それともう一つ。伝えることがある。・・・ロンゾの生き残りに」

生き残り・・・だと?

「実に勇敢な一族だった。私の行く手を阻もうと捨て身で挑みかかり・・・一人、また一人」

「馬鹿なっ」

キマリが呟く。

「そのロンゾの悲しみ、癒してやりたくはないか?」

「どういうこと?」

アスナが警戒しながら訊いた。

「彼を死なせてやればいい。悲しみは露と消える。スピラ・・・死の螺旋に捕らわれた、悲しみと苦しみの大地・・・。全て滅ぼして、癒すために、私はシンになる。ユウナ殿、貴女の力によって」

ふざけるな。

「私とともに来るがいい」

「お断りします」

即答するユウナの前に、ティーダが庇うように出る。

「私が新たなシンとなれば、お前の父も救われるのだ」

「お前の言うそれは救いじゃねぇ」

ティーダも即答した。

その時、シーモアの背後、崖の下から機械が融合したような魔物が浮き上がってきた。

「ならば、お前たちに安息をくれてやろう」

シーモアが魔物と融合した。

 

投影開始(トレース・オン)!」

いつものようにエリュシデータとダークリパルサーを投影。

その時、俺の勘が激しく警鐘を鳴らした。

「皆、下がれ!」

その言葉に、全員が反射的に下がる。

直後、シーモアが大量のレーザーとミサイルを放ってきた。

「うおおおぉぉぉぉぉぉ!」

限界まで加速させ、あらゆるソードスキルを発動。

全てのレーザーとミサイルを斬った。

「なんだと・・・っ」

シーモアが驚愕の声を漏らす。

後ろを確認。

流れ弾も斬り漏らしもゼロのようだ。

「敢えて言わせてもらう・・・レーザーは斬るものだ」

「ばばば、馬鹿なっ!?」

「今度はこっちの番だ。武装完全支配術(エンハンス・アーマメント)!」

エリュシデータの完全支配。

漆黒の斬撃波がシーモアに迫る。

だが、空間ごと消し飛ばす斬撃で、シーモアは傷を負わなかった。

「なるほどな。それがお前の言っていた対策か」

「その通り。そちらの攻撃さえ効かなければ後はどうとでもなります。さっきの攻撃を防がれたのには驚いたがそう長くはもつまい。ミサイルには限界がありますがレーザーは無限。大人しく死を受け入れなさい」

「実は完全支配にはその先の領域がある、と言ったら?」

天穿剣を投影し直しながら言う。

「そんなはったりが通じるとでも?」

「ならば見せてやろう。記憶解放(リリース・リコレクション)!」

瞬間、極大のレーザーがシーモアを貫いた。

「ば、馬鹿な・・・またもこんなにあっさりと・・・」

そう言いながらシーモアは幻光虫に霧散していく。

 

「私の力でシンになるって言ってた。そうすればジェクトさんも救われるって・・・どういうことなの?」

ユウナがティーダとアーロンに訊いた。

その問いにティーダが答える。

「シンは俺の親父だ」

「なっ!? 何だそりゃ!?」

ワッカが驚愕の声を上げた。

「俺が言えるのはこれだけだ。俺の親父がシンになった」

沈黙が辺りを包む。

「でも、俺の覚悟は決まってる。シンを倒す。それが親父でも。親父もそれを望んでいるからな」

「でも、なんでそんなことに・・・」

アスナが顔をしかめながら問う。

「行けばわかるよ。全ての答えは、ザナルカンドにある」

ティーダの言葉にアーロンも頷いた。

「その通りだ。行くぞ」

 

 

 

 

「なんだ・・・ここは・・・」

呆然と呟く俺。

当然だろう。

そこには、壁に埋まった大量の祈り子。

反対を見ると、そこには柱。

その柱を青いエネルギーが渦を巻きながら登っていく。

「誰かが、召喚している・・・」

ユウナがそう呟いた。

「こんなに大勢からですか!?」

ユイが驚いた。

「でも、一体誰が・・・何を?」

ルールーが呟く。

と、俺の脳裏に一つの直感が浮かんだ。

「まさか・・・仮想世界!?」

「ええっ!? じゃあ、これ世界そのものを召喚しているの!?」

リュックが驚愕の声を上げた。

「そうかもな」

そう言いながらティーダは祈り子の一人に触れる。

その瞬間、ティーダは糸が切れたかのように倒れた。

「ティーダ!」

ユウナの悲鳴が辺りに響いた。




ユウナの覚悟。
生きてシンを倒す覚悟になったため、会話が少々変化。

キマリの実力、いかがでしたか?
竜剣は対魔物専用の技習得。
そのほかに手合せによっていろんな技を覚えました。
ソードスキルはキリトが指導。
但しアーロンは指導されずに自力で習得しています。
彼は伝説のガードですから。

シーモアはキノックを殺しました。
これは変化なし。

レーザーは斬るものだ(キリッ)
但しキリトにしかできません。
師匠の士郎ですら恐れる程の才能ですので。
そして記憶解放発動です。
後ろで皆が唖然としてます。
でもまあ、これはしょうがない。


う~ん、全員のセリフを割り振るのって難しい。
人数かなり多いしな。
それはともかく次回はティーダサイド。
バハムートとの会話からザナルカンド遺跡・・・の、予定です。
ザナルカンド遺跡まで行くかどうか・・・。
もし行かなかったら連続ティーダサイドになっちゃうでしょうね。
それでは、また次回。
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