ザナルカンド。
俺の生まれ育った街。
でも、それは偽物。
エボン=ジュが、ガガゼト山頂の祈り子達からこの街を召喚している。
前回、それを知った時はとてもつらかった。
エボン=ジュを倒せば、この街は消える。
この街で生まれた、俺も。
俺の部屋に戻ってきた。
懐かしいソファーに座ってくつろぐ。
そこに、バハムートの祈り子がやってきた。
「隣、いい?」
「いいッスよ」
彼が俺の隣に座る。
「で、どうなんだ?」
「ガガゼト山頂にいる皆は前回の記憶がなかったよ」
「そっか」
つまり、このザナルカンドに変化はない。
「元々意識があるのかどうかすら怪しいけれどね」
・・・なんだか、かわいそうだな。
「なあ、キリト達のこと、どう思う?」
「わからない。でも、たぶん誰かがあの人たちを呼んだんだと思う」
「もしかして・・・親父?」
「たぶん違う。シンにはそんな力はないはずだから」
じゃあ、一体誰が。
でもキリト達は地球でシンに突撃されたって言っていた。
・・・これ以上考えてもわからないな。
「何で逆行したかわかるか?」
「別の意志が関わっている。たぶん、その意思が彼らを・・・」
「スピラに連れてきた?」
「たぶんだけどね」
その意思が、シンの形をとってキリト達を・・・?
「逆行する前ってどこまで記憶がある?」
「う~ん、そこらへんがあいまいなんだよね」
「俺が消えた後、どうなったかはわかるか?」
「異界に行ったよ。でも、そこから先はわからない」
手詰まり、か。
「・・・僕達も彼女には泣いて欲しくない。でも、どうすればいいのか・・・」
「異界から戻ってこられればいいんだけどな・・・」
「でも、それじゃあ魔物と同じだよ」
一体どうすれば・・・。
「奇跡が起きたらいいのにね」
「そうだな。起きないかな、奇跡」
「次はベベルで会おう。それまでに何かわかるといいんだけどな」
「そうだね。僕達も頑張るよ。絶対に彼女を泣かせないために」
目が覚めてすぐ飛び起きる。が、
ゴイン!
「痛てぁ!?」
「きゃっ!?」
ユウナと思いっきり額をぶつけてしまった。
星が! 星が見えたスター!
暫くのた打ち回る羽目になってしまった。
数分後。
「ティーダ、大丈夫だよね」
「おう」
ユウナの言葉にそう答える。
「良かった・・・」
そう言いながらユウナが抱きついてきた。
俺はユウナの背中を優しくさする。
「とりあえず二人とも、これ使え」
そう言ってキリトが差し出したのは氷の入った布袋。
「サンキュ、キリト」
「ありがとう」
俺とユウナがそれを受け取る。
「ティーダ、お前ホントに大丈夫なのか?」
ワッカが心配そうに訊く。
「ああ、大丈夫だ。心配かけて悪ぃな。んじゃ、行こう!」
「そろそろ来る筈だ」
アーロンが言った。
「来るって・・・何が?」
アスナが訊く。
「召喚士の力を試すために奴は魔物を放った」
「奴って誰なの!?」
リュックが訊く。
「ユウナレスカだ」
その答えにユウナが驚愕の声を上げた。
「ユウナレスカ様!?」
「ああ、ザナルカンドで強い召喚士を待っている」
「1000年前の人ですよね? 生きているんですか?」
ユイちゃんの問いにアーロンが答える。
「マイカやシーモアと同じだ」
「・・・そうですか」
ユウナが言う。
「怖気づいたか」
「いいえ。怖がっていたら、何もできませんから」
アーロンの意地の悪い問いにユウナはきっぱりと答えた。
「・・・あれか?」
「そうだ」
キリトとアーロンの短い会話。
俺たちの目の前には魔物。
「先制、行くぜ! 《ハイパーエレメントブリッツ》!」
ワッカが自身の最強技、四属性を纏ったボールの一撃を決めた。
「スペルミクス《サンダガ=ウォタガ》!」
「《フリーズ》!」
ユイちゃんとアスナの魔法攻撃で終幕。
魔物は幻光虫となって霧散した。
俺達はザナルカンドを目前とし、キャンプスペースで野宿。
そして、夜が明ける数時間前。
いよいよザナルカンド遺跡へ。
崩れた道を歩く。
ここは、スタジアムへ続く道だった。
戦争で崩れたであろうその道を歩く。
ある種の悲しみを抱きながら。
「長き旅路を歩む者よ、名乗りなさい」
「召喚士ユウナです。ビサイドより参りました」
ユウナと老人が話す。
前回と同じ話をし、俺達は奥へ進む。
「スピラを救うためならば、私の命など喜んで捧げましょう。ガードとして、これほど名誉なことはありません。ですから、ヨンクン様。必ずやシンを倒してください」
そう言って幻影は消えた。
「い、今の・・・何?」
アスナがキリトにしがみ付きながら訊いた。
「かつてここを訪れた者だ。幻光虫に満ちたこのドームは巨大なスフィア同然。いつまでも、訪れた彼らの想いを留め、残す」
子供の頃のシーモアが映し出された。
その傍には彼の母親。
「嫌だ! 嫌だよ母様! 母様が祈り子になるなんて!」
「こうするしかないの。私を召喚して、シンを倒しなさい。そうすれば、みんなあなたをを受け入れてくれるから」
「そんなのどうでもいい! 母様が居てくれたら何もいらないよ!」
「私には、もう時間がないのよ」
そして映像が消えた。
「お、おい! 今のって・・・」
「・・・シーモア!?」
ワッカとリュックが言う。
幾つもの幻影が浮かんでは消える。
そろそろ、親父たちが見えるはずだ。
「なあ、ブラスカ。止めてもいいんだぞ」
お、来た。
「気持ちだけ受け取っておこう」
「・・・わーったよ。もう言わねえよ」
「いや、俺は何度でも言います! ブラスカ様、帰りましょう! 貴方が死ぬのは、嫌だ」
「君も覚悟していたはずじゃないか」
「あの時は・・・どうかしていました」
「私のために悲しんでくれるのは嬉しいが、私は悲しみを消しに行くのだ。シンを倒し、スピラを覆う悲しみを消しにね。・・・わかってくれ、アーロン」
「何かありそうだな。主に試練とか」
キリトがそう言った。
「え~、まだあるの?」
アスナがげんなりしながら言う。
その時、親父たちが映し出された。
「もしかして、この先、試練か?」
「たぶんな」
「かったりぃなあ。ここまできて、またかよ。俺はまた、歓迎の花火でもあがるかと思ってたぜ」
「私がシンを倒したら、そうしてもらえばいいさ」
そして、映像が消える。
「長いですねぇ」
ユイちゃんが言った。
試練をクリアしたはいいが、部屋の中央から魔物出現。
ホンット何でこんなめんどくさいのにしたかね。
確か、魔天のガーディアンだったっけ?
「はぁ、
「ホントに、《バースラ》」
「しつこいです。スペルミクス《ファイガ=ブリザガ》」
溜息をつきながらのキリト一家の集中攻撃であっさり撃破。
信じられるか? この3人、今切札使ってないんだぜ?
「ようこそ、ザナルカンドへ」
ユウナレスカが現れた。
「長い旅路を越え、よくぞ辿り着きました。大いなる祝福を、今こそ授けましょう。我が究極の秘儀・・・究極召喚を。さあ、選ぶのです」
「えっ!?」
ユウナレスカの言葉にユウナが疑問符を浮かべる。
「貴女が選んだ勇士を一人、私の力で変えましょう。そう、貴方の究極召喚の祈り子に」
その言葉に俺とアーロン以外の全員が驚愕する。
「想いの力、絆の力。その結晶こそ究極召喚。召喚士と強く結ばれた者が祈り子となって得られる力。二人を結ぶ想いの絆が、シンを倒す光となります。1000年前・・・私は、我が夫ゼイオンを選びました。ゼイオンを祈り子に変え、私の究極召喚を得たのです。恐れることはありません。貴女の悲しみは全て解き放たれるでしょう。究極召喚を発動すれば、貴女の命も散るのです。命が消えるその時に、悲しみは消え去ります」
・・・我慢できねぇ。
「そして、召喚士は真実を見ずに終わる」
全員の視線が俺を向く。
「今までここに来た召喚士達は、偶然にもガードが一人だけだった。だから真実は伝えられることがなかった。前回はガードは二人だったけど、一人は致命傷を負ったから真実を伝えにいけなかった。ユウナレスカの攻撃で。そうだろ、アーロン」
「お前・・・なぜそれを・・・」
俺の問いにアーロンは驚愕の言葉を紡ぐ。
「シンを倒した究極召喚獣が新たなシンとなる」
『!?』
俺の言葉に、全員が驚愕を見せた。
ユウナレスカとアーロンは、俺がそれを知っているということに。
他の皆は、俺が告げた真実そのものに。
「そんな・・・それじゃあ・・・」
ユウナが呆然と呟く。
「で、でも・・・どうやってそれを・・・」
リュックが訊いてくる。
「アーロンがここに居るから祈り子になったのは親父。そして親父がシン。後はわかるだろ?」
「ま、マジかよ・・・」
ワッカが言った。
「究極召喚を使って倒す限り、シンは蘇り続ける・・・そういうことか?」
キリトが訊いた。
「そうだ。究極召喚は、希望でもなんでもない」
「そんな・・・究極召喚が、何一つ変えられないまやかし・・・。そんなことのために父さんは犠牲になったの・・・?」
ユウナの頬に涙が流れる。
「いいえ、まやかしなどではなく、希望の光です。貴女の父は希望の為の犠牲となったのです」
「それのどこが希望だっていうの? ただの誤魔化しじゃない!」
アスナがそう言い返した。
「消せない悲しみに逆らって、何の意味があるのです?」
「意味ならある!」
キリトが言った。
「俺もかつて、絶望したことがあった。それでも、生きて、戦って! だからこそ自分自身の手で希望を掴むことができたんだ!」
そこにユイちゃんが続ける。
「そうです! それに、消せないって証拠がどこにあるんですか!」
それでも、ユウナレスカは表情を崩さない。
「召喚士ユウナ。選ぶのです。貴女の祈り子を。希望の為の生贄は、誰?」
ユウナは涙に濡れた目でユウナレスカを睨んだ。
「選びません。父さんは何も知らずに犬死した。そうさせたのは究極召喚です。私は、そんなもの要りません。究極召喚など使わずとも、必ずシンを倒して見せます!」
ユウナレスカが目を閉じた。
「そうですか・・・。ならば絶望に沈む前にせめてもの救いを与えましょう。全ての悲しみを忘れるのです。悲しい闇に生きるより、希望の光に満ちた死を」
その言葉にキリトが激昂した。
「違う! 死は唯の逃げだ! 生きてこそ希望がある。いや、生きることこそが希望だ!」
その言葉にユウナレスカは黒い気を放つ。
俺は前に出て言う。
「親父に絶望を与えたのはお前だ。そんなお前が、希望を騙るなよ!」
そして俺はユウナレスカに攻撃を仕掛ける。
「エナジークラッシュ!」
光弾がユウナレスカに直撃した。
「ぐあぁっ!? 馬鹿な、前回とは桁違いな・・・」
何!?
「前回だと!? お前はなぜそれを・・・まさか!」
俺の予測にユウナレスカが答えた。
「そういうことですか・・・貴方も『遡った』者なのですね」
「お前も・・・そうだったとはな・・・」
ユウナレスカの足元に黒い闇が。
奴はそこに沈んでいく。
「そうとわかれば、最初から全力で立ち向かいましょう」
姿を現したのは、顔のような魔物。
髪が人面蛇のようになっている。
・・・いきなり最終形態かよ!
と、後ろでキリトが投影したのが見えた。
あれは・・・天穿剣か。
なるほど、そういうことか!
「今回は念入りに準備しました。前回のようには行きませんよ、夢のザナルカンドの者よ!」
「いや、前回のように行く必要もない」
「何・・・?」
俺が脇に避ける。
そこには天穿剣を構えたキリトの姿が。
「一体・・・何をするつもりなのですか?」
キリトはそれに答えず、
「
巨大なレーザーを放った。
「そんな・・・ありえません・・・こんな、前回よりも・・・」
体の殆どを焼き払われ、消滅していくユウナレスカ。
「ああ・・・ゼイオン・・・許してください・・・また・・・スピラを守れなかった・・・」
そしてユウナレスカは、消滅した。
「親父・・・」
ドームを出て、朝焼けの空を見上げる。
そこには、シン。
異形の姿と成り果てた親父の姿が。
「・・・もうすぐだから。待っててくれよ」
シンは何もせずに去っていく。
すれ違うようにシドの乗る飛空挺が。
シンは前回と同じように飛空挺に何もせずに飛び去っていった。
飛空艇に乗り込んだ俺達。
大きな部屋に集まり、くつろぐ。
「さて、これでゆっくり話せるな」
俺の言葉に皆の表情が真剣なものになる。
「ユウナレスカと一度戦ったかのような会話だったな」
キリトが言った。
「ああ。それに、お前は俺が致命傷を負ったことも知っていた。俺が話していないのに、だ」
アーロンも言った。
「俺は、全てを知っている。シンの倒し方。この先の戦いがどうなるのか他にもいろいろ、な」
俺の言葉に、ユイちゃんが訊く。
「なんで、知っているんですか?」
これから話すのは、かなり勇気のいることだ。
ゆっくり深呼吸をして、言う。
「俺は、ザナルカンドから来た。確かにそれは真実だ。だけど、それだけじゃない」
緊張のせいか、皆から唾を飲み込むような音が聞こえた。
「・・・俺は、いや、俺の意識は・・・未来から来た」
新たな謎が明らかになりました。
キリトたちをスピラに送ったのはジェクトではない可能性。
別の意思とはなんなのか。
それがわかるのはだいぶ後になります。
星が、星が見えたスター!
士郎の弟子であるキリトではなくティーダでやりました。
ユウナも星が見えております(笑)
魔天のガーディアンは瞬殺。まあ、キリトたちですから。
信じられるか? この3人、今切札使ってないんだぜ?
バースラはバーストのラ系です。
ティーダが我慢の限界。
いろいろと暴露しちゃいました。
ユウナレスカが逆行していました。
戻ってきた時期はティーダや祈り子たちと同じです。
そしてレーザーで焼き払われ、あっさり終了。
やはりチートです。
ユウナレスカは前回倒された後、スピラは滅びたと思い込んでいます。
ティーダの逆行暴露。
次回で詳しい話をやります。
次回の内容!
一部未定があります。
キリトサイドです。
パージ寺院はやらなくちゃいけないな。
あとレミアム寺院とオメガ遺跡と・・・。
マイカ拷問をどんな形にするかですよね・・・。
そんなわけで、次回更新は遅くなると思います。
では!