黒のスピラ冒険記   作:通りすがりの熾天龍

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今回はなんとティーダサイド!
消滅したはずがある世界へ送り込まれます。
でも短いな、今回。


間章3 いつか帰るために

目を開ける。

と、目の前に一人の少女の顔。

「あ、起きた?」

少女は無邪気に言う。

というか、ここは・・・どこだ?

少なくとも異界じゃないだろう。

俺が倒れていた場所はどう見ても街の広場だ。

「とりあえず、助けてくれてありがとう。君は?」

目の前の少女に問う。

「ボクはユウキ。お兄さんは?」

「ティーダ。ユウキはここがどこだか知っているか?」

うん、と少女改めユウキが頷く。

「ここはアインクラッド。空中に浮いているんだよ」

空中に浮いている!? いや違う、それ以前に、

「アインクラッドだって!? それってキリトが言ってた・・・」

「あれ、ティーダってキリトの知り合いなの?」

どうやらユウキもキリトと面識があるようだ。

「ああ、スピラではあいつにかなり助けてもらったんだ。あいつ、どこに飛ばされたのか」

思い出すのはキリトの目の前に開いた渦穴。

キリトのことだから無事だと思うんだけど・・・。

「でも、俺は何でここに・・・。ユウキは何か知らないッスか?」

「ボクにもよくわかんない。ただ、ある人に頼まれたんだ」

「ある人?」

「なんかね、助けてほしい人がいるんだって。その人の体を再構築する必要があるとかなんとか。そのために時間が必要だって言ってた。でもよくわかんない」

何なのだろうか。

「誰を助けるんだ?」

「えっとね・・・夢のザナルカンドの人だったかな。消滅した体を再構築、だっけ?」

あれ? それって・・・。

「夢のザナルカンドの人って俺じゃん!」

「あれ? ティーダのことだったの?」

一応、その通りだけど・・・。

「助けるってどうやって?」

「ボクも知らない」

・・・早速詰んだッスね。

結局どうしろと!?

「とりあえず、武器買いに行こっか。ついてきて」

そう言って走り出したユウキの後を慌てて追う。

 

 

 

 

「人工知能・・・そういえばキリトが言ってたな」

武器を買い、フィールドと呼ばれる領域に出た俺達。

店先の人達についてユウキに訊いてみたところ、彼らが人工の存在だと聞かされた。

ちなみに本来はアイテムストレージとか言うものがあるらしいが使えないそうだ。

あとHPゲージその他が見えないとかシステムメニューが開けないとか。

なんのこっちゃ。

そんなことよりここの魔物、スピラのそれとはまるで違う。

もう一つ、ソードスキルは本来この世界の奥義らしい。

キリトもここで戦ったことがあるのか。

オーバードライブやスピラの魔法は問題なく使えた。

ユウキ曰く、とにかく先に進めば何かわかるかもしれない、とのこと。

彼女の言葉の通り、俺達は先へ進むことにした。

 

 

 

 

迷宮区と呼ばれる塔。

ここには今までよりも強い魔物が出現し、塔の最上階には特に強力な魔物が出るそうだ。

フロアボスと呼ばれるその魔物を倒すことで、次のフロアに行けるということらしい。

フロアというのはこのアインクラッド特有の概念で、なんでも、アインクラッドは幾つものエリアが積み重なっているというのだ。俺達が居るのはその最下層。

どんどん上に上り最上階である100層のフロアボスを倒せば何かわかるかも、とはユウキの談。

しかしフラタニティがないからやりにくい。

シンから脱出した後あの剣は飛空挺の部屋に置いてきたからな。

 

俺達の実力が高いからか数時間ほどで塔最上階の大扉の前に到着。

しかしユウキの強さには驚いた。

キリトと肩を並べるほどの実力はあるんじゃないか?

ユウキが扉を開き、俺達はボス部屋と呼ばれる部屋に入る。

犬の頭をした赤い巨人が現れる。

それと同時に小さい二足歩行の魔物が四体。

俺達は頷きあい、剣を抜いて突撃した。

 

 

 

 

「あれ? 何で開かないんだろう?」

ボスを倒したらなぜか部屋が明るくなった。

それがフロアボスを倒したことの証明なのだが、なぜか先へ進む扉が開かない。

暫くいろいろやっていると、何処かから小さな黄色い鳥が一羽現れた。

その鳥が俺の頭の上に乗ったかと思いきゃ、突然喋りだした。

「貴方がティーダですよね」

「ん、おぅ。・・・って喋った!?」

俺のその反応を無視して鳥が続ける。

「私はMHCP010。カナリア、と呼んでください」

「お、おぅ。で、俺を探していたってことは何か俺に用があるのか?」

俺がそう訊くとカナリアは頷く。

「ええ、貴方がこの世界にいる理由について話をしに来ました」

 

座って話を聞く俺とユウキ。

カナリアが話し始めた。

「この世界はかつて崩壊したアインクラッドの記憶の世界です。次元の狭間に擬似的に世界ができている、ということです。そこに、ティーダ、貴方の記憶がやってきました。貴方の記憶を連れてきたのは一人の男性で、彼はゼイオンと名乗っていました」

「ゼイオン!? それって1000年前の人物じゃないッスか!?」

しかし、カナリアはそれを知らなかったようで、

「そうなのですか? 彼は自分の名前と貴方を暫くここで生かしておくように言っただけですが」

なるほど、言わなかったのか。

だったら知らなくて当然か。

「貴方が来たことでこの世界の時間が動き出しました。ですが、一人では勝手がわからないでしょう。そのため、ユウキさんの魂をゼイオンさんに連れて来て貰ったのです」

魂を? ってことはユウキも・・・。

カナリアは突然話を変えた。

「ユウキさんはかつてアインクラッドの攻略にかかった時間を知っていますね」

「え? う、うん。2年だよね」

カナリアに突然話を振られ、若干戸惑いながらユウキが頷く。

「そうです。それで、この扉はかつてのアインクラッドで攻略にかかった時間が経たないと開かないのです。最下層の攻略には始まってから1ヶ月かかったのでここが開くのは1ヵ月後です」

「「えぇ~」」

げんなりした声を出す俺とユウキ。

「ですが、このティーだの世界への出口は75層にあります。そこまで進むのに2年。それだけあれば、スピラという世界に戻っても大丈夫でしょう。と、これはゼイオンさんの言葉ですがね」

2年、か。

「これが終わったらボクはどうなるの?」

ユウキがカナリアに訊く。

「貴女の魂は元居た場所に戻され、輪廻転生の輪に再び組み込まれます」

「そっか。・・・よくわかんないけど」

わからないんかい。

「で、俺が戻った後はどうなるんだ? この世界とか、俺の体とか」

「この世界は消滅します。ですがいずれ、必要とする者のために再構築されるでしょう。貴方の体は元々の体と同じ状況になります。その後本来の解決策をとれば大丈夫です」

そうか。・・・ちょっと待った。

「何でそれを知ってるんスか!?」

俺の疑問にカナリアは答える。

「貴方の記憶を少しだけ覗きました。このことは口外しないので安心してください。私はカーディナル本体から独立した存在ですから」

何を言っているのか全くわからないが、それは置いておこう。

「とにかく、時間を掛けながらアインクラッドを攻略すればいいんだよね」

ユウキの確認にカナリアは頷く。

「そうです。これからは私も同行しましょう。案内は任せてください」

カナリアが言う。

 

よし、目的は見つかった。

先へ進む条件はフロアボスを倒すことと特定の時間が経過すること。

それをクリアして先へ進み、75層の敵を倒したら元の世界への扉が開く。

カナリア曰く、条件はもう一つ。

この世界で積極的に活動すること。

俺の意識の活性化を促すためだそうだ。

フラクトライトがどうこうとか言われたけど全くわからん。

こうすることで、より体の再構築を進めるのだそうだ。

帰るのは2年後。それまで努力は惜しまないつもりだ。

ユウナとの約束を果たすために。

時々は指笛を吹こう。ユウナに聞こえることを願いながら。

 

「ユウキ、カナリア。これから2年間よろしくな!」

「うん、こちらこそよろしく!」

「ええ。よろしくお願いしますね」




ティーダ in the アインクラッド。
かつて崩壊したSAOのアインクラッドの記憶が一つの世界を一時的に構成しています。
プレイヤーはティーダとユウキ。
サポートNPCはカナリア。

その他のNPCやMobは健在ですがシステムメニューなど、一部の機能はなし。
VRチックな機能は使えないのです。
ただし魔法やオーバードライブは自由。

カナリアのモデルは仮面ライダー バトライド・ウォーより。
普通の鳥です。黄色い発光体ではありません。
小動物の姿のMHCPもあるはずです。多分ですが。

ゼイオンの魂登場。
彼はキリト達イレギュラーにも大きく関わっています。
詳しくはいずれまた。
2年後、最後の扉を開いたティーダはスピラに帰ってきます。
そして第三魔法で本物の肉体を得るのです。


もう少し間章は続きます。
次回は一周して直葉サイド。
新たな出会いがあります。
それでは!
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