黒のスピラ冒険記   作:通りすがりの熾天龍

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サブタイをオーズっぽくしてみましたがどうでしょう。
キリトサイドです。


勘違いと対話とシン襲来

目が覚めた。

真っ先に見えたのは・・・、

「知らない天井だ」

 

自分に向かって言うのも何だがテンプレ乙。

それはともかく、ここ何処だよ。

 

俺は確か、巨大戦艦みたいな怪物、というか例のUMAに突進されて・・・。

「そうだ、明日奈!」

そう、あの場所には明日奈もいたはず。

見える範囲を探す。

だが、この部屋には俺以外居ないようだ。

 

そういえば、ここって死後の世界なのか?

いや、前みたいにVRワールドやアンダーワールドという線も。

でもアンダーワールドにしてはやけにメカメカしい部屋だよな。

駄目だ、情報が少なすぎる。

 

待てよ、確認する手段が一つだけあるじゃないか。

――――魔術回路、起動。

解析開始(トレース・オン)

身体には異常なし。特に怪我もないな。

魔術回路にも異常はないし・・・いや待て、魔力が安定してる!?

 

おかしい。一か月近く魔術を使っていなくて、あのときは魔力が不安定だった。

それに、そのせいで吐血もしたわけだから身体異常なしもおかしい。

 

もしかしてもしかしなくても此処って死後の世界?

魔術は使えるから少なくともVRワールドやアンダーワールドではない。

 

それはともかく明日奈は何処に?

とりあえず体はちゃんと動くようだし、ベッドから降りてドアに向かい・・・。

・・・向こうから誰かが開けた。

 

入ってきたのは二人の男。

一人はゴーグルを付けていて、もう一人はなんとガスマスク着用。

「・・・は?」

思わず声が出た、次の瞬間。

 

フゾルハ(動くな)!」

「!?」

何かを言われながら突然二人から銃を突き付けられた。

 

――――魔術回路、起動。

そう、今やるべきことは、この二人を何とかして、外に出ること。

 

まずは突然の行動で相手を驚かせる。

一瞬硬直するのは間違いない。

強化開始(トレース・オン)!」

突然の大声。その声量は相手を怯ませるには十分。

 

怯んだ二人が持つ銃の照準がぶれる。

その隙に魔力で強化した体で上に跳ぶ。

俺を狙っている男達は目の前にいるため、俺が突然消えたように感じるだろう。

案の定、男達は俺を探すように視界を彷徨わせている。

 

今だ。まずは武器破壊。

投影開始(トレース・オン)

今度は静かに詠唱。

投影するのはSAOから愛用している投擲用ピック二本。

 

投げたピックは二つの銃に命中。中心部分らしき場所を破壊。

その後すぐに天井を蹴り、二人の間に着地。

着地と同時に足払い。倒れこむ二人の首に立て続けに蹴りをいれる。

その間、五秒。

 

気絶したのを確認。次の段階に移る。

投影開始(トレース・オン)

次に投影するのは二本の長いロープ。

素早く、自力で抜け出せないように二人を縛る。

縛った二人は部屋の隅に転がしておき、急いで、しかし慎重に外へ。

 

 

 

 

なんか少し揺れてると思ったら・・・。

「ここ、船の上かよ・・・」

この後どうすればいいんだよ、マジで。

ちなみに、今俺がいる場所は甲板。

 

後ろから小さいが足音が聞こえてきた。同時に、荒々しい声も。

拙い、さっきの奴らか。仲間がいたようだな。

 

その時、海中から甲板に上がってきた人物が二人。

どちらも金髪で、さっきの奴らと違って若い。

少年と少女。この二人はさっきの奴らとは服装が全く違う。

 

「ふいー、終わった―」

「お疲れ様ー。じゃ、ちょっと待っててね、ご飯もってくるから・・・あ」

少女の方が俺に気づいたようだ。

「チイ、目が覚めたんだね。良かったぁ」

どうやらこの人たちが俺を助けてくれたらしい。

 

さっきの奴らは俺の知らない言葉を使っていた。

しかし、この二人が使う言葉は日本語。

そのことから考えてもさっきの奴らはこの二人の敵だろう。

船を少年少女がたった二人で操っているとは考えられないから、船の中にまだ彼らの保護者、または仲間がいると考えるべきか。

奴らがその人たちを人質に取ってくることも考えられる。

 

と、ここまでの思考、コンマ1秒。

「君たちが助けてくれたんだな。ありがとう」

「えへへ、どういたし・・・」

「でも今は、それどころじゃない。この船が何者かに乗っ取られたみたいだ」

「「えぇぇ!?」」

「あぁ、俺が見たのはガスマスクを被った奴とゴーグルをしているやつだけだが他にもいるかもしれない。俺が起きたところに突然入ってきて銃を突き付けられた。俺の知らない言葉を喚きながらな」

 

と、それを聞いた少女の顔が真っ青になっていく。

家族が心配なのだろうと思ったが、少年の方はあちゃー、と頭を抱えた。

どう解釈すべきか一瞬だけだが迷っていると、突然少女が、

「ごめんなさあああぁぁぁぁぁぁぁい!!」

土下座した。

「・・・は?」

 

その時、背後のドアが開いて四人の男が出てきた。

そして俺に銃を突きつける。但し、少し離れたところから。

振り向いて構える。同時に魔術回路を起動。

ハシタッセウオワンササヒカァァァァァァ(何やってるのあんた達はぁぁぁぁぁぁ)!!」

少女がキレた。男たちに向かって。

「「「「「!?」」」」」

驚いたのは俺だけではないようだ。少年は苦笑していたが。

 

 

 

 

俺には全くわからない言語で少女が男たちに激怒中。

四人の男達は正座中。全く持って訳がわからない。

「目が覚めて早々大変だったッスね。まあ、無事で何よりッス」

比嘉さんみたいな喋り方をするなコイツ。似てるのは語尾だけだが。

「あ、ああ。なあ、何がどうなっているのか教えてくれないか?俺には何が何だかさっぱりでさ・・・」

「もともとこの船はあの人たちの物ッスよ。俺はこの人たちに助けられたから仕事の手伝いをしてただけッス」

「じゃあなんでいきなり撃とうとしてきたんだ?」

「リュック以外は言葉が通じないせいで俺達のことを魔物だと思ってたみたいでさ・・・。あ、リュックっていうのは俺と一緒に上がってきて、今そこで説教してる女の子のことッス。あ、自己紹介忘れてた。俺はティーダ。よろしくッス」

彼らの名前の感じからしてこっちの方がよさそうだな。

「俺はキリト。よろしく、ティーダ」

 

 

 

 

少女改めリュック、未だに説教中。

「そういえばキリトはなんであそこに倒れてたんスか?」

「え、どこって?」

「遺跡の中ッス。そこで倒れていたのを俺が見つけて、でも現れた魔物との戦闘になって、そこにリュックたちが来てくれて、キリトを船まで運んだんスよ」

「そうか・・・なあ、俺の他に誰かいなかったか?栗色の髪の女の子とか」

「いや・・・あそこにはキリト以外いなかったッスよ」

「そうか」

明日奈、何処にいるんだ?

 

 

 

 

「ごめんなさいごめんなさい!ホンットにごめんなさあああぁぁぁい!」

リュックの説教が終わり、また謝られている俺。

ロナ、ワンササヒコワタヤウ(ほら、あんた達も謝る)!」

「「「「ゾレンハラミ(ごめんなさい)・・・」」」」

なんだか・・・謝られるのに疲れてきたよ・・・。

「もういいよ・・・そろそろこっちも辛くなってきたし・・・」

「リュック、そろそろ飯を・・・」

ティーダの言葉にリュックが慌てて立ち上がる。

「ご、ごめんね! すっかり忘れてた! すぐ持ってくるから待ってて!」

急いで船の中に入ろうとし、

ワンササヒコセユガミハラミ(あんた達も手伝いなさい)!!」

男達に怒鳴りつけ、慌てて男達も入っていった。

・・・痺れているだろう足を庇いながら。

「サンキュー、ティーダ」

「俺も限界近かったッスから。それはともかく、お疲れッス」

「ああ」

 

 

 

 

リュックが持ってきてくれたものは軽い夜食だったが、少しは腹の足しになった。

今甲板には、俺とティーダ、リュックの3人。

「ねえ、さっきティーダにも訊いたけどさ、キリトは何処から来たの?」

リュック曰く、服装が見たことないものらしい。

「日本だ」

「ニホン? それ何処?」

「知らないか・・・。じゃあ、アメリカは? イギリスは? 中国は?」

「ううん、知らない」

はい手詰まり。ホントに当てがないじゃないか。

この会話でここが死後の世界じゃないこともわかった。

だって死後の世界ならみんな日本とかアメリカとか知ってるはずだろ?

俺がちゃんと覚えているからそのはずだ。

 

「もしかしたらキリト、シンの毒気にやられたんじゃない?」

「シン?」

真? 新? 芯? Sin? 神?

・・・全くわからない?

「とんでもなくでかい魔物ッス。黒くて、基本泳いでる。あ、形はクジラにちかいかも。」

・・・覚えがあるなんてもんじゃない。

「俺、たぶんそいつに突撃された。空中から」

「「・・・」」

 「・・・」

「「・・・」」

「お、おーい?」

「「なんで生きてるの!?」」

「・・・そう言われても、なあ。その後気づいたらベッドに居たわけだし」

 

ゴッ

突然、大きな揺れが船を襲った。

「なんだ!?」

「ぐっ・・・来やがった!」

ティーダはこれが何なのかわかっているようだ。

巨大な水しぶきが上がる。

慌てて出てきたらしき二人の男が揺れに脚をとられて転がった。

「おいティーダ! 何だよこれは!」

「こいつがシンだ!」

「なっ!?」

 

水しぶきが上がっている方を見る。

だが水の中にいるのか姿が全く分からない。

シンダルウボ(シンが来るぞ)!」

一人の男が叫んだ。

ヤキサシミウボ(真下にいるぞ)!」

ヤバい、これはヤバい!

船が大きく傾く。

甲板に大量の水が入ってきて、俺は流されてしまう。

一瞬だけ見えた『目』は、日本で見たUMAの物と同じで・・・。

「畜生、またかよっ」

そこで、俺の意識は途絶えた。




次はビサイド。でもここにはティーダしか行かない。
キリトは別の場所に飛ばされています。

じつは逆行しているのはティーダだけではありません。
このことについては次回。
予想できてる人もいるかもしれませんね。

ティーダとリュックは既に話を済ませてあります。
ティーダはわざと前回と同じことを言っています。
つまりあえてザナルカンドの話をしたということです。
もちろんリュックには心配されました。

リュックはこの船のリーダーではないはずですがここでは全員が大人しく彼女に従っています。
理由? キレた女は怖いからでしょ?

次回、ティーダはビサイドである人物と出会います。
それは自分と似たような境遇の人で・・・。
お楽しみに!
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