黒のスピラ冒険記   作:通りすがりの熾天龍

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第2章、開幕です!
今回は初のユウナサイド。
ちなみに本日二度目の投稿。


始まりはキミの映ったスフィア

あれから2年が過ぎました。

ワッカさんに教わりながら何度も素潜りの練習をして、今では2分も潜れます。

スピラ中皆忙しそうだけど、ビサイドはあんまり変わっていません。

もちろん、変わったことはいろいろあるけど。

でも、ほかの街に比べたら少ないと思う。

ワッカさんはちょっと太って、ルールーはもうすぐ赤ちゃんを産みます。

最後の大召喚士になった私には、多くの人が相談に来て、とても忙しいです。

でも、最近は少し落ち着いてきたんだよ。

お見合いを勧められたことも何度かあります。

でも、心配しないでね。私が選ぶのは、ティーダだけだから。

そのことはワッカさんもルールーも、偶に遊びに来てくれるリュックもちゃんとわかっている。

皆でフォローしてくれるから無理矢理結婚させられるなんてこともないはずだから。

今日も、素潜りの練習の後、ビサイドに来た人との相談です。

2分41秒、今日は新記録が出ました。

 

 

 

寺院に戻った私を待っていたのはワッカさんと今日の相談者。

名前は・・・タスジオさん、だったかな?

「2年前、スタジアムで遠くからお姿を拝見していたのですが・・・こうして間近でお目にかかると、なんとまあお美しい・・・」

「ありがとうございます」

「今日は孫のことでお願いがありまして・・・」

タスジオさんが話し始める。

「孫が青年同盟に入ってしまったのです。まあ、あの同盟も悪くはないのでしょうが、私も妻も新エボン党員でしてな。もちろん息子夫婦も同じです。孫も以前は集会に参加していたのですが、ある日突然・・・。同盟には若い者達が多いので、孫にとっては刺激的でいいのかもしれませんが・・・」

青年同盟、新エボン党。

この二つは今スピラで最も大きな二つの勢力。

「孫達は、なんというか・・・急ぎすぎてる気がするのです」

そんなタスジオさんに、私は言葉をかける。

「お気持ちはわかります。でも、タスジオさん、一度お孫さんと話し合ってみてください。傍から見ると危なっかしいかもしれないけれど、スピラを想う気持ちはきっと同じですから」

 

 

 

 

昼下がり、ゆっくりと外を歩く。

魔物は出るけれど、この辺りの魔物なら敵ではない。

そこに、

「おーい!」

そこにワッカさんが走ってきた。

「あれ、お客さん?」

そう思って訊くと、ワッカさんは首を横に振る。

「いんや、ちょっと耳に入れておくべきだと思ってよ。・・・また例の話だ」

ワッカさんがうんざりした様な表情。

多分私も同じ顔をしている。

「今度は誰?」

「新エボン党の党首の息子らしいぞ。まあ、ちゃんと断っておくから心配すんな」

「ありがとう、ワッカさん」

「いいって。年寄り達の辛そうな顔見るの、ユウナには辛いだろ」

「・・・うん」

 

そこに、一人の男が走ってきた。

「ユウナ様! 自分は青年同盟のヤイバルであります。本日はユウナ様に我らが盟主、ヌージからの伝言をお伝えに参りました!」

こっちもこっちで本当にしつこい。

ワッカさんが溜息交じりに言う。

「同盟への参加ならお断りだぞ」

「ワッカさんの言うとおりです。私、どこのグループにも参加しませんから」

ワッカさんに続く私の言葉に、ヤイバルさんが言った。

「もしや、ご自分のグループを作るのでは?」

「・・・帰ってください」

呆れと苛立ちを隠さずに、私はそう伝えた。

 

「ユウナ! ワッカ!」

そこにリュックがにやって来た。

 

 

 

 

リュックの船まで来た私たち。

しかし、そこにはもう一人乗っていた。

「紹介するね。彼女はカモメ団のメンバーで・・・」

「直葉です。兄がお世話になりました」

兄がお世話に・・・?

「スグハはキリトの妹だよ」

・・・え?

「「えええぇぇぇぇ!?」」

思わずワッカさんと二人で叫んでしまった。

だってそうだろう。

あのキリトの妹って・・・今度はどんな規格外なのだろうか・・・?

「あ、お兄ちゃんがいろいろとおかしいだけですから」

「「そ、そうなんだ・・・」」

ちょっと安心した。

「いやいやいや、スグハも十分規格外だから! だってガ系魔法を剣に纏わせちゃうんだよ!? しかも複数同時にとか対極属性混合とか! あれの一振りで遺跡吹き飛ばしかけたよね!?」

えっ・・・なにそれ。

思わず頭を抱えたくなる。

地球の人ってみんなこうなの?

「そんなことないですよ。地球では魔術も限られた人しか使えない、というか知らないですし。そもそも地球には武器を持って命を懸けて戦うようなことなんてないですから」

あ、そうなんだ。

あれ? さっき私声でてたっけ?

まあいいか。

 

「それと今日はもう一つあるんだ。キマリから預かってきたんだけどね・・・これ」

リュックが差し出したのは・・・スフィア?

「珍しい形だな」

ワッカさんが言う。

「なんか山の中で見つけたんだって・・・ユウナ、よーく見ててね」

 

 

「なんで俺が逮捕されるんだ! 納得いかないっての! なあ、聞こえてるんだろ? あいつがあんたの彼女だったらどう思う? 敵の機械兵器使ってどこが悪いんだよ! 召喚士を守るにはああするしかなかったんだ! 自分ならどうするか考えろよ! 出してくれよ、あいつに会わせてくれ!」

 

 

「・・・なんだよこれ。あいつ何してんだ・・・ってかホントにティーダなのか? 一体どうなってるんだよ・・・?」

ワッカさんの疑問にリュックが言う。

「よくわからないんだ。でもなんか手掛かりになるんじゃないかと思って・・・」

スグハが私に訊いてくる。

「ユウナさんは、どう思いますか? このスフィア」

「・・・少なくとも、声は全く同じだね。映像はかすれてほとんど見えなかったけど・・・」

そこでリュックが私たちに訊く。

「知りたい?」

私もワッカさんも頷く。

「じゃ、調べに行こう!」

「どうやって?」

リュックの言葉にワッカさんが返す。

「そんなのわかんないよ。とりあえずこれを見つけたキマリに話を聞いて、それから考えよう!」

ワッカさんは難しそうな顔をする。

「行くってったってよ・・・わからないこと多すぎだろ。もうチョイなんかわかってからの方がいいんじゃないか?」

「それを誰が調べるの?」

「あ、そうか・・・」

ワッカさんが沈んだような声を出した時、

「我々にお任せください!」

突然の声にびっくりしてその方を見ると、そこには青年同盟のヤイバルさん。

え・・・ついてきちゃってたの?

帰ってくださいって言ったのに・・・。

頭痛くなってきた。

「リーダーのヌージも賛成するはずです! いえ、自分が説得します!」

ワッカさんも頭を抱える。

「いい加減帰れ!」

「了解です! では行ってまいります! 委細判明次第、戻りますので!」

ダメだこの人! 自分の都合のいいようにしか聞こえてないよ!

そのままヤイバルさんは行ってしまった。

 

そんな微妙な空気を何とかしようとしながら、リュックが改めて言う。

「あたしは、ユウナ自身に旅して欲しいな」

ワッカさんが腕を組む。

「そりゃあちと厳しいな。三ヵ月先まで客の予約が入っているし・・・」

「何とかできないの?」

リュックが言いかえすが、ワッカさんの表情は厳しいまま。

「なんとか、なぁ・・・でも今予約受付を止めたらユウナの動きが世間に広まっちまうし、かといって予約を放棄したらいろいろと騒ぎになるし・・・」

ここで、スグハが言った。

「ユウナさん、自分が一番したいことをすべきです。そう言えば皆きっとわかってくれます」

「うん。そうだね」

私の言葉にリュックが元気よく言った。

「よし! 決まりだね!」

「確かにそう言っておけばうまくいくか・・・あっ、旅に出る前にアレ持ってこなきゃだな。ちょっと待ってろ、すぐに戻るから」

そう言ってワッカさんは走って行ってしまった。

アレってなんのことかな・・・?

 

「それじゃ、着替えちゃおうよ!」

「え?」

リュックの言葉に疑問の声を漏らす私。

それに構わずリュックは船内への入口の横にある箱を漁り始めた。

「こういう時のために作っておいたんだ♪」

状況が把握できない私にスグハが教えてくれた。

「ユウナさんって有名人でしょ? だから変装したくらいにイメージ変えないと大変ですよ」

「そっか、確かにそうだね」

ようやく納得。

「あった、これこれ。ユウナ、さっそく着替えて!」

「わ、リュック、引っ張らないで――」

私ははしゃぐリュックに引きずられるほどの勢いで船内へ連れ込まれてしまった。

 

 

 

 

着替え終わって船内から出てきた私。

ちょうどワッカさんも戻ってきて、新しい服のお披露目。

でもこの格好・・・結構恥ずかしい。

「どっ・・・どうかな?」

そう訊くとワッカさんとリュックが次々に言う。

「ああ、随分変わったんじゃないか? これならお忍びでもバレないだろ」

「うんうん! すっごくカワイイよ、ユウナ! ・・・でもなんかちょっと違和感が・・・」

あぁ、似合わないのか・・・。

ティーダに見せたら喜んでくれると思ったのになぁ。

で、そのまま押し倒されて・・・ってあれ? 私って欲求不満?

「髪を切ってみたらどうですか? あと先っぽを少しだけ跳ねさせればもっといいと思いますよ」

スグハの意見にリュックも納得したようで、

「そっか! よし、さっそく行くよ!」

「ちょっ、リュック、引っ張るのやめてってば――」

またリュックに引っ張られる私であった。

 

 

 

 

「こ、今度はどう・・・?」

「バッチリ似合ってるよ! これで完璧だね!」

よかった。今度は似合っているみたいだ。

「っと、忘れてたぜ。ユウナ、これ持ってけ」

そう言ってワッカさんが手渡してきたものは・・・ティーダの剣。

「お守り代わりだ。きっとこいつがユウナとティーダを引き寄せあってくれるって俺は信じてる」

「ありがとう、ワッカさん」

「んじゃ、俺はルールーに報告に戻るな。事後報告になっちまったけど、許してくれるだろ。ユウナ、あいつを連れて帰ってこい。でもそれまで下手に帰ってこないように気をつけろ。見つかるといろいろ面倒なことになるからな」

「はい!」

そしてワッカさんは戻っていった。

「それじゃあ、出発! まずはアスナ達を迎えに行こうよ。ユウナ、図書館までの案内よろしく!」

「お願いしますね、ユウナさん。アスナさんとユイちゃん、元気にしてるかなぁ」

「うん、行こう!」

ここから、新しい旅が始まる。




新章突入、10―2編です。
ユウナの旅立ちからスタート。

ユウナが直葉と初邂逅です。
直葉も十分規格外。
リーファは魔法剣士なので戦い方もそんな風にしてみました。

ワッカが協力的。
これは何となくその方がいいなと思ったから。
だがぷにぷにである(笑)


次回は多分アスナサイド。
直葉との再会が待っています。
それでは!
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