黒のスピラ冒険記   作:通りすがりの熾天龍

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本日二つ目の投稿。
直葉サイドです。
今回は少し短めですね。


ビサイド、親のスフィアを探して

『そこでオオアカ屋っていう人に会ったんだよ』

「オオアカ屋って確か・・・」

『ああ、キリトさん達が世話になった行商人だ』

現在、あたしはレオと通信で会話中。

『で、大量の借金を抱えてるってんでな、成り行きで返済に協力することになった』

「あはは、それは大変だね。で、いくら?」

『10万ギル』

「うわぁ」

『そんなわけだから、暫く連絡が取りにくくなりそうだ。悪ぃな』

「ううん、大丈夫。で、当てはあるの?」

『士郎さんに連絡したらクラインさんを頼れってさ。あの人相当顔が広いから多分何とかなるだろ。エギルさんやリズさんも援助してくれるってさ』

「そっか、ならよかった」

と、そこにアニキさんの声が放送で聞こえてきた。

スフィアマアミヘチキュフニョフ(スフィア波解析終了)! カモメ団全員集合ー!』

 

「あ、呼ばれた。それじゃ、もう切るね。じゃあね、レオ」

『了解。またな、キリちゃん』

最後にそんな言葉を交わして通信を切った。

 

 

 

 

「情報入ったぞ。お待ちかねのお宝スフィア情報だ。ビサイド島に少なくとも1個。ザナルカンドの遺跡にも最低1個だ」

ダチさんがそう教えてくれた。

「どこ行く?」

リュックの言葉に勢いよく手を挙げたのはアスナさん。

「ビサイド! ビサイド行きたい!」

目が凄く輝いてる・・・。

そんなアスナさんの剣幕に若干引き気味になりながらアニキさんが言った。

「お、おぅ。それじゃあ、ビサイドに向けて出発だ!」

ユウナさんが微妙な顔をしてるのは・・・うん、まあ、頑張れ、ユウナさん。

 

 

 

 

「緊張しちゃうな・・・」

ビサイド村の入口で、そう呟くユウナさん。

「ほぼ何も言わないで飛び出しちゃったもんね」

リュックがそう言う。

「ワッカさん以外は事後承諾って感じですからね」

あたしも苦笑しながら言った。

「その通り。あの後村中大騒ぎになってな」

そんな声が前から聞こえた。

「ワッカさん!」

ユウナさんが嬉しそうにその人の名前を呼んだ。

「といっても主に騒いだのは老人連中だけどな。ユウナ、元気にやってるみたいで何よりだ」

アスナさんがワッカさんに話しかける。

「お久しぶりです、ワッカさん」

「ああ、久しぶりだな。アスナ。そっちも元気そうじゃねえか」

「元気にやってますよ」

リュックも話しかける。

「相変わらずぷにぷにだね。ワッカは」

但し脇腹をつつきながら。

「だからやめれって」

最近のこの二人のやり取りはいつもこんな感じだと聞いている。

「スグハ、だったな。そっちも元気そうだな」

あたしは逆に話しかけられた。

「はい、元気にしてますよ。アスナさんとも再会できたし、後はお兄ちゃんだけですから」

「そうか、まあ頑張れよ、アスナも」

そこでワッカさんがパインに気付いた。

「っと・・・連れか?」

「うん、私達の仲間のパイン。一緒にスフィアハンターをしてるんだ」

ユウナさんがそう答えた。

「よろしく」

パインは短く挨拶をした。

 

「スフィアハンターになったこと、結構速くバレちまったみたいだな。噂はこの辺まで届いてるぞ」

「そっか・・・」

ワッカさんの言葉にユウナさんがそう呟く。

「そうだ。お前ら、ルーにも顔見せてやってくれ。そろそろ産まれそうになってきてるぞ」

「え、そうなの?」

「ワッカがお父さん、かぁ」

アスナさんとリュックさんがワッカさんの言葉にそんな反応を見せる。

「ワッカさんがお父さんってことは・・・ワッカさんとルールーさんの子供!?」

アスナさんが驚愕する。

「あぁ、アスナは知らなかったんだっけ?」

ユウナさんが言った。

「ま、俺も全然実感わかねえけどな。・・・なぁ、父親ってのはどんな顔して子供を迎えてやりゃいいんだろうな?」

それをあたし達に訊くか。

リュックが答えた。

「自分の親をお手本にするとか?」

「・・・何も覚えてない。俺が小さい頃、シンにな」

「えっと、スフィアも残ってないんだっけ?」

ユウナがそう訊く。

「あぁ、何も残ってな・・・い・・・?」

なぜか言葉の途中で首をひねるワッカさん。

「どうかしたの?」

アスナさんが尋ねるが、

「いや、なんでもねぇよ。っと、ルーに顔見せてやってくれ。頼むぞ!」

そう言ってワッカさんは行ってしまった。

 

 

 

 

「お帰りなさい、ユウナ。久しぶりね。リュック、アスナ」

「ただいま、ルールー」

黒い服の女性とユウナの会話。

この人がルールーさんか。

「キリトの妹というのは、貴女ね?」

ルールーさんにそう話しかけられる。

「はい、直葉です」

「ルールーよ。・・・なるほど、言われてみれば確かに似ているわね」

正確には従兄妹なんだけれど。

「ねぇねぇ、赤ちゃんは? もうすぐ産まれるんでしょ?」

リュックが待ちきれないというように訊く。

「まだよ。ワッカが先走ってるだけ」

「なーんだ・・・」

ちょっとガッカリというような感じのリュック。

「それよりどう? 少し歩かない?」

「大丈夫なの?」

ルールーさんの言葉にアスナさんが心配そうに問いかける。

「少しは動いた方がいいの。行きましょう」

そう言ってルールーさんは外へ。

 

 

 

 

「ところで、あれから何かわかったの?」

ルールーさんが問う。

「なんにも・・・」

「まだまだ・・・」

ユウナさんとアスナさんがそう答えた。

「でも、まだ調べてないところはたくさんあるんだ」

ユウナさんの言葉にルールーさんが微笑んだ。

「楽しそうじゃない。自由にあちこち飛び回って」

そんなルールーさんの言葉に、ユウナさんは笑顔で答える。

「うん、楽しい。こういう旅って初めてだから」

「私が居ないから羽を伸ばせるってわけ?」

「ふふ、かもよ?」

「言ってくれるわねぇ。・・・頑張ってね」

「うん」

「アスナも、頑張って」

「わかってます♪」

ルールーさんは笑顔で頷き、突然表情を変えた。

「あ・・・動いた」

「ホント!?」

ユウナさんが笑顔になり、リュックもはしゃぐ。

「さわらせて!」

皆が楽しみにしているのがわかる。

あたしも、今日初めてルールーさんにあったけれど、楽しみになってきている。

 

夕方、空がオレンジに染まってきた頃、ルールーさんが言った。

「せっかくだし、今日は泊まっていきなさい」

「ありがとう。そうさせてもらうね」

ユウナさんは笑顔で快諾した。

 

 

 

 

「あれ? ワッカさんは?」

翌朝、ユウナがルールーさんにそう訊いた。

「夜明けに出かけたわ。洞窟がどうとか言ってたわね」

洞窟?

「一体何しに行ったんだろ?」

リュックが誰にともなく言った。

「様子、見てこようか?」

アスナさんの言葉にルールーさんは頷いた。

「ありがとう。お願いするわ。あの人が隠し事なんて、珍しいから」

と、そこでユウナさんが疑問符を上げた。

「ってあれ? 洞窟なんてあったかな?」

「私も詳しくは知らないわ。多分、村の誰かが知っているかもね」

 

 

 

 

「こんなところがあったなんて・・・」

ユウナさんがそう呟いた。

その中に入り少し進む。

そこにはワッカさんが座っていた。

「んぉ? どうした?」

あたし達に気付いたワッカさんが訊いてくる。

「ワッカさんの様子見に」

ユウナさんがそう答える。

「この洞窟に、何かあるの?」

「まあ、そんなところだ」

リュックの問いに、ワッカさんがそう答えた。

「って言っても、もしかしたらってだけで、何も無いかもしれないけどな。なんせ古い話だからな。俺もよくわかんねえ」

「つまり・・・」

と、パインが話だす。

「ここに何かあるかもしれない。それを確かめに来た・・・と」

「まあ、な」

そう言うワッカさんは何だか歯切れが悪い。

「古いスフィアがあるかもしれないって話だ」

「スフィアが!? どんな!?」

リュックが訊く。

「さあ、な。俺としては確かめたいのかどうか、よくわかんねぇ」

「じゃあ、あたし達が確かめに行きましょうか」

あたしの提案にワッカさんは驚く。

「うん、そうだね!」

「それじゃあ、カモメ団・・・」

「作戦開始だね!」

「よし、行くよ」

アスナさん、ユウナさん、リュック、パインの順に言い、呆然とするワッカさんを置いて洞窟の奥へとあたし達は向かった。

「カモメ団、か・・・」

ワッカさんのそんな呟きが聞こえたような気がした。

 

 

 

 

洞窟の奥で、スフィアを発見、したはいいんだけど・・・。

「何で後ろから来るかな?」

アスナさんの言うように、あたし達の後ろから魔物登場。

・・・火を吐くトカゲ?

「ブリザガブレード」

とりあえず一撃でノックアウトさせた。

・・・弱いよ。

「斬騎王、使ってみようと思ったのに・・・」

パインが溜息交じりに呟く。

斬騎王っていうのはマカラーニャでトワメルさんから貰った特別なドレスフィア。

「使うほどの相手じゃないよ」

「それもそうか」

リュックの言葉に、パインも納得したみたい。

「それじゃ、スフィア、頂きます!」

ユウナさんがスフィアを取った。

 

 

「どうだった!?」

戻ってきたあたし達にワッカさんが訊いてくる。

「ちゃんとあったよ」

リュックがそう答える。

「見てみよっか」

ユウナさんの言葉に、スフィア鑑賞会スタート。

 

 

・・・景色しか映ってなかった。

「これ?」

「・・・いや、違うな」

リュックの言葉にワッカさんは否定を示した。

 

 

「結局、何のスフィアを探してたわけ?」

リュックがそう訊く。

「そりゃあ・・・」

数秒の沈黙。

やがてワッカさんは言った。

「俺達の両親だ。チャップはそう言ってた」

アスナさんが納得したように頷いた。

「確か、ワッカさんの弟でしたよね」

「ああ、ガキの頃兄弟ゲンカしてな。その時チャップが言ってたんだ。『父さんたちが映ったスフィアを見つけたけど、どこにあるか教えてやんない』ってな」

再び歩き出すあたし達。

滝に差し掛かる。

「今まで忘れてたけど、昨日お前らと話してたら、思い出した。あいつはよくここらで遊んでいた。だからこの洞窟で見つけたのかもしれない。そんで来てみたんだけど、急にモヤモヤしちまってな」

「どうしてですか」

気になったのであたしはそう訊いてみた。

「俺、親の顔を勝手に想像してたんだ。強そうで、優しそうな、そんな顔をよ。辛い時とかは、よくその顔を思い浮かべてた。でも、本当の親は違う顔かもしれない。そう考えて、見るのが怖くなっちまったんだ。そんで、どうすりゃいいかわかんなくなって、お前らが来るまでずっと悩んでた」

そこまで聞いたリュックが溜息を一つ。

「ワッカらしいねぇ」

ユウナが訊く。

「そのスフィアって島のどこかにあるのかな。私達が探そうか?」

「いいっていいって! そういうの、もう気にするのはやめだ。昔のことに気を取られてちゃ、いけねえよな。俺だって父親になるんだ。もっとしっかりしねえと、な」

ワッカさんはそう言って笑った。




レオとの通信にてオオアカ屋について判明。
この後直葉はユウナ達にちゃんと伝えました。
つまり借金返済はカモメ団ではなくレオの役目になります。
実は愛している的な会話を入れたかった。
でもまだ付き合ってないんだし無理じゃん!ってなったんですよ。

アスナは久しぶりにワッカやルールーに会いたいからビサイドに行きたがった。
そういうことです。

ルールーはワッカから直葉の事を聞いています。
だから理解も早かった。


次回はザナルカンド。
おそらくアスナサイドです。
それともう一つ。
アンケートにてオリキャラ募集中。
皆さん、ご協力ください。
けっこう本気です。どうかお願いします。
それでは!
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