黒のスピラ冒険記   作:通りすがりの熾天龍

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連続でティーダサイド。
キリトサイドがうまく出せないや。


旅立ちの朝

ああ、カラスが鳴いている。

アサー、アサー

・ ・ ・ 。

「いや待てその鳴き声はおかしい」

 

 

 

 

とりあえず外に出る。はずだったんだが。

「おう、ティーダ。起きたか」

前回とは違ってワッカが入ってきた。

「どうかしたのか?」

「お前に渡しておきたいものがあってな」

 

そう言って取り出したのは透き通った水色の剣。

「チャップに渡した剣なんだけどな。結局あいつは一度も使わなかった」

「それを俺に? いいのか?」

「ああ、お前の剣はもうボロボロだろ? それに誰にも使われないままじゃ勿体ねぇもんな」

前回はリュックとともに戦った蛸の殻に当たって折れてしまった。

まあ、遺跡での魔物戦(リュックが乱入してきたやつ)の時に無茶しすぎたってのもあるが。

今回はその魔物戦をあっさりクリアしたから俺の剣はまだ折れていない。

それでもあと数回使ったら折れてしまいそうなほどにボロボロだ。

・・・土産物の剣だからなぁ。

 

「サンキュー。大切に使わせてもらうよ。折ったらルールーに怒られそうだし」

「誰が怒るって?」

「「う゛ぇ!?」」

突然ルールーが入ってきた。

・・・心臓が止まるかと思った。

「ルー、聞いてたのかよ」

「まあね。大切にしなさいよ、フラタニティ。折ったら怒るわよ」

「う、うッス」

「よろしい」

やっと微笑(わら)った。マジで怖かった。

 

「そろそろ外に行くわよ。ユウナも来る時間だし」

「あ~、もうそんな時間か」

「オーラカのみんなは?」

「先に行って船で待ってるよ」

「そっか」

 

 

 

 

「ユウナ、遅いな」

ワッカの言うとおり、遅い。

まあ、理由は前回と同じだろう。

「キマリ、心配だ」

今回はキマリはここにいる。

試練の間乱入したりしてないから襲撃される心配はないはずだ。

心配ないからここにいる、と言うべきか。

 

何かが倒れる音がした。その方を見るとユウナ。

倒してしまったらしき大きな荷物を起こしている。

「そんな荷物、邪魔になるだけよ」

「あ、私の物は何もないの。お世話になる寺院へのお土産!」

「ユウナの旅はそんなんじゃないだろ?」

「あ・・・そっか、そうだよね」

前回と全く同じ問答。俺はキマリと顔を見合わせて少し笑い合う。

・・・やっぱキマリ、要練習だな、笑顔。

「じゃあ、出発だ!」

というワッカのセリフに、

「待ってくださーい!」

遠くから応えがあった。ってユイちゃん!?

 

「私も行きます!」

「「「「!?」」」」

驚いたのなんのって・・・。

「えっと、なんで?」

ユウナも少々混乱しながら訊いている。

「どうしても探したい人達がいるんです! お願いです! 私も連れて行ってください! 足手まといにはなりませんから!」

うわ~、絶対折れないよこれ。

 

「ど、どうしよう」

若干パニクってるユウナ。

「ど、どうすんだよ」

同じくパニクってるワッカ。

「確かに、才能は凄いし実力は申し分ないけど・・・」

やっぱりパニクってるルールー。

「・・・」

キマリに至っては硬直している。

 

仕方ない、ここは俺が。

「ユイちゃん、旅のほとんどは歩きなんだ。だからユイちゃんがついてくるのは無理があるんじゃないかな?」

「大丈夫です! 昨日、連続で回復し続ける魔法を覚えました!」

リジェネ来ちゃったよ。

「いやでもその魔法は疲れを完全には取りきれないよ?」

「大丈夫です! そこは改良して完全に回復できるようにしました!」

・・・はい?

 

「・・・なあルールー、そんなことできるのか?」

「・・・」

返事が無い。ただの(ry。

キマリがルールーの顔を覗き込む。

「ルールー、気絶してる」

駄目だこりゃあ。

「ごめん。説得失敗したッス」

「う、ううん、大丈夫だよ」

「何がッスか?」

「え、えっと、それは、その・・・」

駄目だ、俺もパニクってる。

 

「よし、連れて行こう!」

ちょ、

「「ワッカ!?」」

「ワッカさん!?」

俺、キマリ、ユウナの叫び。

「大丈夫、何とかなるはずだ。それにいざって時には俺達がいる!」

それはそうかもだけど・・・。はあ、もういいや。

「とりあえずルールーを起こそう。どっちにしろこのままじゃ行けないし」

 

 

 

 

「古い習慣でな。島を出る奴はこの遺跡に無事を祈っていく」

小さな小さな塔の前。

「あの日、チャップは祈らなかったんだ。船の時間に間に合わないってな」

部外者である俺とユイちゃんも他のみんなに習い、祈る。

「よし、そろそろいこうぜ」

 

 

 

船乗場に着き、船に乗る。

ユウナは見送りに来た村人たちに手を振り、エボン式の祈りをした。

「・・・さようなら」

これから、ポルト・キーリカへ向かう。

 

 

 

 

「ユウナさんのお父さんかお母さんは有名人なのですか?」

「え?」

ユイちゃんが訊いてきた。

「ブラスカ様の娘って、いろんな人が言ってました」

俺が答えていいものか。

そう思っていると代わりにワッカが答えてくれた。

「ブラスカ様はユウナのお父さんだ。10年前にシンを倒した大召喚士様だよ。ユウナは召喚士として最高の血を受け継いでいるのさ」

「自慢げに言ってるけど、親が有名だと結構キツイんだぜ」

「え? なんで」

前回も思ったけど、

「この人にそういう想像力を期待しても無駄ね」

「だよなぁ」

「ワッカさん、思いやりが無いですね」

「ちょ、ユイちゃん!?」

ワッカの慌てた顔が面白かった。

 

 

 

 

「ところで、ティーダよ。お前、ブラスカ様のガードジェクトさんの息子ってホントか?」

「ぶふぁ!?」

思わず飲んでたお茶を噴きだしてしまった。

「ワッカ、お、お前、何故それを!?」

「ああ、ユウナから聞いたんだ。ザナルカンドから来たってこともな」

逆隣りに座っていたユウナを睨む。

「ご、ゴメンね? ちょっと嬉しくなっちゃって・・・」

はぁ・・・。

「もういいッスよ。とりあえずワッカ、下手に人に言うなよ?」

「なんで俺だけ!?」

「さっきユイちゃんが言ってたろ。思いやりが無いって」

「ぐはぁ!?」

 

更にワッカを問いただしてみたところ、どうやら、俺がシンの毒気にやられた人間だと思っていたようだが、ユウナから親父も同じことを言っていたと聞いて本当に俺の居たザナルカンドがあるのかもしれないという考えが浮かんでいるそうだ。

理由は、親子で別々にシンの毒気にやられて、全く同じことを言うのは考えにくいかららしい。

 

 

 

 

オオアカ屋に会って投資してきたのち、甲板に戻ると、ユウナが舳先の方に居た。

「何してるッスか」

「ん? 見てるだけ」

しばらく無言。

「風、気持ちいいね」

「ああ」

また無言。そうしているとなんだかおかしくなって二人で笑う。

「ねぇ、ザナルカンドの話、聞かせて?」

「いいッスよ。ザナルカンドはいつも明るくて、夜でも光が溢れてる」

「大きなスタジアムがあるんだよね?」

「そうそう。スタジアムで開かれるブリッツボール大会は予約数か月待ちの超満員」

「うんうん!」

「ザナルカンドにはブリッツボールのチームはいくつかあるんだ。俺のエイブス以外にも」

「ジェクトさんもエイブスのエースなんだよね」

「おかげで俺は『ジェクトの息子』としか見てもらえなくてさ。大変だったッスよ」

「うん、わかるな、その気持ち」

「でも俺は、親父を超えてやるんだって気持ちで頑張った」

「どうだったの?」

「まだわからないけどさ。でも俺、絶対に親父を超えてやるんだ!」

「うん! 私、応援する!」

「ありがとう。俺、頑張るッス」

 

その時、船を大きな揺れが襲った。

「きゃあっ!」

「ユウナ!」

自分が倒れそうになるのを堪えながらユウナを支える。

船が大きく傾くが甲板にあるロープにしがみ付く。

そして船のすぐ横の海面が大きく盛り上がり、そこから現れ出たのは・・・、

「シ――――ン!!」




ユイちゃんについての解説。

ユイちゃんが普段いる据え置き機。
そのメモリ容量が魔力総量、処理速度が魔法構築速度と魔力回復速度に置き換わってる設定。

現時点ではピクシーモードにはなれません。

高次元AIゆえに理解が速い。だから魔法をすぐに覚えられた設定。
AIの演算にかかれば魔法改良なんて朝飯前です。

ちなみにユイちゃんの体はデータ構築なので疲れという概念がありません。
でもリジェネを改良した話は本当です。


次回はティーダサイド、もしくは番外編の予定です。
番外編だったらキリト達トリップ後の日本。

それではまた次回!
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