黒のスピラ冒険記   作:通りすがりの熾天龍

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久々のキリトサイド。
結構いろいろと省略してます。



ルカ・ブリッツボール

「うぅ、無事でよかったです、パパ」

半分泣きながらユイがしがみついてくる。

「ユイもこっちに来てたんだな。無事でよかった」

しばらく抱き合った後、ユイが世話になってただろう人達、ティーダ達の方を向く。

すると、彼らは口を大きく開けたまま硬直していた。

そういえばさっき絶叫してたな。

・・・それから1分近くたってると思うんだけど。

「いつまで固まってるんだ?」

『・・・』

返事が無い。ただの(ry。

・・・俺にどうしろと?

 

 

 

 

あの後、とりあえずハリセンを投影してティーダを叩いておいた。

ティーダが我にかえると当時に他の人も目が覚めたらしい。

何の連鎖だよ。

 

で、今はポルト・キーリカの宿にいる。

俺は寺院で寝泊まりすることになっていたがさっき責任者に言ってきた。

そして今日か明日にはキーリカを発つと伝えておいた。

ユイと再会できたからな。

もっとも、ユイがリアルサイドに出てくるとは思わなかったが。

 

さて、今俺達は自己紹介の後、これまでの出来事を情報交換中。

ユイが養子のようなものだということも説明した。

それを聞いたティーダとユウナが安心したように息を吐いていた。

・・・一体どういう考え方をしていたのやら。

スピラでは相当拙いことなのか。それにしてはティーダとユウナだけだし。

その後二人は少し顔を赤らめながら横目でチラチラと互いを見ていたが。

互いの視線には気づいてないようだったが。

ああ、先を越されたとかそういうことなのか。

「ちなみに俺はもう経験済みだ」

少し意地悪でそう言ったら二人は顔を真っ赤にしてテーブルに突っ伏した。

ガツンって音がしたけど二人とも大丈夫なのだろうか?

 

ユイはここに来る途中でシンに会ったそうだがやはりその姿はあのUMAと全く同じなようだ。

見たのは背びれだけだが間違いない、とのこと。

 

俺が倒した寺院の階段に潜伏していた魔物。

あれが居たからシンが現れた可能性が高いそうだ。

シンのコケラ。詳しいことはキーリカ寺院の人たちから聞いている。

もちろん、スピラの基礎知識も聞いた。

「で、数秒で倒したって聞いたけどホントなのか?」

ティーダに訊かれた。

えっと、スターバーストストリームの持続時間は・・・。

「4秒くらいだったかな?」

「すげぇ!」

「さすがパパです!」

 

で、最後にユイが提案してきた。

「パパ、ユウナさんのガードをやったらどうですか?」

皆びっくりしたようで。

と、そこでキマリという名の獣人(ロンゾ)が立ち上がった。

「キリト、キマリと立ち会ってくれないか?」

「OK、決闘(デュエル)だな?」

面白い、受けて立つ!

 

 

 

 

強化&投影開始(トレース・オン)!」

投影するは、SAO時代の愛剣、エリュシデータ。

キマリが槍を構え、俺は剣を構える。

俺はコインを一枚投影し、

「開始の合図はこれでいいか?」

キマリが頷く。

コインを弾き、再び構える。

 

チリン

 

その瞬間、俺とキマリは同時に地を蹴った。

俺の構えは上段。そこからいきなり下段に構えを変え、ソードスキル。

「《レイジスパイク》!」

剣と槍が交錯する。

そして俺の狙いは槍。

一瞬の後、キマリの槍先が砕け散った。

 

「ここまで、だな」

「ああ、キリトは、強い。キマリの負けだ」

あ、壊しちゃった槍、どうしよう。

 

 

 

 

結局、俺とユイはユウナのガードになることになった。

ユイに限っては今までもガードに近いことをしていたからあまり変わらないが。

キマリの槍はキマリが自分で新しいのを買った。

寺院で働いて得たバイト代で俺が払おうとしたが断られた。

曰く、

「キマリが申し込んだ立ち会いだ。だから、キリトが気にしてはいけない」

だそうだ。

 

そして俺達は、ルカへと向かう船の中。

ルカではブリッツボールの大会が開催される。

俺はまだ見たことないが、スピラ一有名なスポーツだとか。

ちなみに地球のスポーツは何一つ無い。

シンがいるから一つのスポーツに絞った、と言ったところか。

 

とりあえず、ユイに詰め寄ってきた屑どもは剣を大量投影して追い払った。

どうやらブリッツチーム、それも常勝の連中だそうで。

ティーダとワッカに奴らをフルボッコにしておけと言っておいた。

またこんなことがあるなら今度は問答無用で俺がフルボッコにする。

そう言ったら、殺すことだけはするなと釘を刺された。まあ、当然か。

 

 

 

 

ルカ、到着。凄い熱気だな。

流石スピラ唯一の大スポーツ大会。

しかし・・・酷いな。オーラカの紹介が。

まあ今年はティーダがいるから大丈夫だろう。

あいつの実力は船の中で十分に見せてもらった。

ゴワーズには見られていないから問題ない。

しかし『ジェクトシュート』だけは本番のお楽しみ、だそうだ。

 

んで、その反対にルカ・ゴワーズの人気っぷりと言ったら。

人間として腐ってるやつなのになんでかね。

観客の前でだけ爽やかとかふざけんな。

 

と、ここでティーダが動いた。

「調子乗んなよゴワーズ! 今年の優勝は俺達が頂く! 見せてやるよ! ビサイド・オーラカの本当の力をな!」

流石だな。本物は違う。

気迫が溢れていて、炎が見えるくらいだ。

観客の半数近くがその気迫に気づき、一部が戦慄するほどの。

 

と、次は3番ポートに急げとの言葉が聞こえ、観客のほとんどが動き出した。

「選手はもういるだろう。まだ何かあるのか?」

俺の問いにはユウナが答えた。

「マイカ総老師がご到着なさるの」

「敬語の度合いからしてめちゃくちゃ偉そうだな。誰だ?」

今度はルールーが答える。

「マイカ総老師はエボンの民の頂点に立つ御方。聖べベル宮から御観戦にいらしたの。総老師の在位50周年記念だからね」

「・・・長すぎやしないか?」

思い出すのはアンダーワールドのアドミニストレータことクィネラ。

なんだか嫌な予感がする。今すぐではないだろうが。

 

3番ポートでもやはりたくさんの人が集まっている。

と、音楽とともに青い髪の男が降りてきた。まて、あの男、若い。

「誰だ? 少なくとも即位50年の人には見えないぞ」

「あれは・・・グアド族」

なんじゃそら。

「シーモア老師じゃないかしら」

 

そのシーモアを見て、ユイとティーダの顔には警戒の色が浮かんでいる。

「ユイ?」

「パパ、あの人は危険です。そんな感じがします」

「その通りだ、キリト。今後あいつの動向には警戒しろ」

「わかった。俺も嫌な予感がする」

俺達の会話は小声のため、他の誰にも聞こえていない。

と、シーモアが船の方を向いて深い礼(エボン式)をした。

 

周囲の人たちもそれに習う。

降りてきたのは何人かの僧官を従えた老僧。

「盛大なる歓迎、まこと感謝にたえぬ」

彼が総老師マイカなのだろう。

「立たれよ、シーモア老師。皆も顔を上げよ」

しかしよく通る声だな。声だけ聞けば老人とは思えない。

但し外見は立派なおじいちゃんである。

 

「この青年は・・・」

シーモアの紹介か。シーモアが立って振り返る。

「先ごろ異界の住人となったジスカル=グアド老師の遺児である」

シーモアが礼をした。

「既に知る者も多いがこのたび正式にエボンの老師となった」

「畏れ多くも老師の位を授かりました、シーモア=グアドと申します。生前、父ジスカルは人とグアド族の友好を何よりも望んでおりました。志半ばで倒れた父の理想実現すべく、身命を賭して職務に励む所存でございます」

 

なんだか妙な感じがする。まるで中身がすっぽり抜け落ちたかのような。

今の演説には自分の感情が全く存在しないかのような・・・。

「ほら、お前らも祈っとけ」

ワッカにどつかれた。

ああ、今ので思考が切れたぁ。何か大事なことを思いつきかけたのに。

 

そしてマイカ達は歩いていった。

が、シーモアだけは少し立ち止まりこちらの方を見ていた。

もっとも、すぐに踵を返して歩いて行ったが。

彼の視線は、真っ直ぐユウナに向いていた。

 

 

 

 

選手控室。俺達は特別に一時的に入れる。

ワッカが戻ってきた。トーナメントの抽選からだ。

「どうでしたか?」

ダットが尋ねると、ワッカはガッツポーズで答えた。

「シード権ゲットだ! 初戦はアルベド・サイクスでその後が決勝! 2回勝てば優勝だ!」

歓声が上がった。

「でもここで気を抜くなよ。まずは基本ルールの復習。その後作戦の再確認だ!」

「「「「「おぅ!」」」」」

気合入ってるな、ティーダ達。

 

と、ユウナとルールーが入ってきた。

「聞いて!」

なんかはしゃいでるように見える。

「カフェでアーロンさんを見たって人がいたの! 会いに行こう!」

見えるんじゃなくて普通にはしゃいでた。

「アーロンか・・・」

ティーダが呟く。

確かその人ってユウナやティーダの親父さんと一緒に旅をしてたっていう。

「うっし、行くか!」

「ユイ、行ってみるか?」

「行きます!」

と、ドアに向かう俺達だが、

「お、おおお、おい! シ、シアイカ、カ、カイシハ、ススス、スグダッ!?」

「ワッカ、落ち着け」

俺が苦笑気味に言う。

「お、おぅ。そ、それはともかくティーダ、は、早く戻ってこいよ!?」

「いや落ち着けよワッカ。大丈夫だって」

「う、うっす!」

 

 

 

 

「キリト」

「なんだ?」

「ユウナから目を離すなよ。誘拐される恐れがある。それと、このことは誰にも言うな」

「解った」

と、少し前を歩いていたユウナが不思議そうに、

「二人とも、何話してるの?」

「いや、なんでもないッス」

 

「あ、そうだ。一ついいか?」

「何?キリト」

「俺の知り合いがいる可能性があるかもしれない。『日本』とか『地球』って言葉を聞いたら、俺かユイに教えてくれないか」

「うん、いいよ」

明日奈がここにいるかもしれない。

居なくても、手掛かりが掴めれば・・・。

 

 

 

 

外に出ると、人がかなり多い。

「はぐれたら大変だね」

もう疲れたのかと言いたくなる口調のユウナにティーダが、

「ユウナ!」

「え?」

 

するとティーダは突然指笛を音高く鳴らした。

「わ!? な、何?」

その驚きように思わず俺とティーダは笑ってしまう。

ちなみにユイは俺の背中で笑っている。

「ブリッツの応援の仕方。ザナルカンドではこうやるんだ」

また指笛を鳴らすティーダ。

「ユウナもやってみ。指をこうくわえて・・・」

「こう?」

「いやいや、そうじゃなくて、こんな感じ」

よし、俺もやってみよう。

 ピィー!

「うまいじゃないかキリト! あ、それだユウナ、それで思いっきり吹く」

ユウナの指笛は音が出ないようだ。

「うぅ、私もうまくできません」

ユイもうまくいかないようだ。

「練習ッスね」

「うん」

「ユイも練習すればできるはずだぞ」

「はい、パパ」

 

さて、とある酒場に到着。

ここがユウナが言っていたアーロンという人がいるらしき場所か。

「居ないみたいだな」

「うん」

どうやら今はここに居ないらしい。

そもそもここに居たかどうかまではわからないが。

ユウナが聞き込み調査を開始。

さてと、俺も・・・。

 

 

 

 

「聞き覚えがないな。悪いが、わからない」

「そうですか。ありがとうございます」

「力になれなくて悪いな」

「いえ、大丈夫です」

また駄目、か。

 

「パパ・・・」

「大丈夫、きっと見つかるさ」

「・・・そうですよね」

明日奈の手掛かりはゼロ。地球の話も全くない。

この街にはいない、か。

 

「パパ」

突然、ユイの警戒する声。

「どうした?」

ユイは無言である方向を指し示す。

そこには、ユウナが複数の男に囲まれている。

ユイと交代で見張ってて良かったぜ。

 

男達がユウナを押さえ、無理矢理何処かへ引っ張っていく。

ティーダの懸念は当たったな。

「ユイ、行くぞ」

「はい」

ユイが俺の背中に乗る。

――――魔術回路、起動。

強化開始(トレース・オン)

 

 

 

 

ゴッ!

「ぐ、はぁ」

「これで全部か」

「ユウナさん、怪我はありませんか?」

「う、うん。大丈夫」

ユウナの救出完了。

「人目を避けるためにわざと途中まで手を出さないでおいた。悪いな」

「ううん、そんなことないよ。確かに大勢の人に見られたら騒ぎになってたし」

 

とりあえず広場に向かう。

その途中で声が聞こえてきた。

「あんたたち、何してたのよ!」

ルールーだな。うわ、怒ってる。

「ユウナがさらわれたわ。アルベド・サイクスの仕業。無事に返して欲しければ1回戦で負けろって」

「うわ、きったねぇ!」

「犯人がただの選手なら手荒な真似はしないと思うけど万一ってこともあると思うわ。助けに行くわよ」

「ああ、それなら心配無用ッス。そのためにキリトに頼んだんだから」

「そのキリトからの連絡もないのよ。彼も気付いてないからさらわれたんでしょう?」

「そ、そうか。しまったな。それなら俺も注意しとくべきだった」

「すまない。キマリがビラン達と殴りあったせいで・・・」

 

「あんにゃろ、自分がサボるために俺に言ったのか?」

「え、急にどうしたの?」

あ、追跡のために感覚も強化してたままだったのを忘れてた。

「いや、なんでもない。広場に皆がいるな。急ぐぞ」

 

「とにかく、すぐに探しに行くわよ。キリト達と合流している時間も無いわ」

よし、広場に到着。

「いや、その必要はない。誘拐途中のところを俺が助けた」

「「「キリト!」」」

「ご、御迷惑、おかけしました」

「よかった。ユウナ、無事だったのね」

「で、ワッカ達に連絡すべきじゃないのか?」

「あ、ああ、そうだっ・・・てなんでキリトが知ってるんだ? 聞いていたのか?」

「ああ、聴力を強化していたから遠くから聞こえた」

「相変わらずチートッスね。キリトの魔法、じゃなくて魔術」

 

その時ルールーが半分睨むように俺を見た。

「キリト、あんたユウナがさらわれるところを見ていたの? だから途中での救出ができたのよね?」

「ああ、そうだけど?」

ルールーの目がヤバいことになった。

「なんですぐに助けなかったの!」

こ、怖っ。

「いや、だって大勢の人がいるわけだしさ。目立ったら後で面倒だろ」

「そんなこと言って、もし助けに入れなかったらどうするの!」

「誘拐である以上、人が多いところばかりを通るわけにもいかないだろ? そんなことしてたら目立つし、そのリスクに対してリターンは殆どない。だから必ず、ほとんど見つかることが無いような場所だけを通る」

「な、なるほど。確かにそれもそうね」

あ~怖かった。

 

っていうか、

「ワッカに知らせなくていいのか?」

「「「あっ!」」」

 

 

 

 

試合は俺達が控室に戻ってくるのと同時に終わった。

試合結果、3-2でのワッカ達の辛勝。

ただ、ワッカの怪我が酷い。

今の試合はルカ・ゴワーズ対ロンゾ・ファング。

この試合で勝った方と戦うことになる。

ただ、どう見てもゴワーズが優勢。

しっかりしろよロンゾ。

 

俺は参加しないのかとユウナに訊かれた。

でも俺はブリッツのルールも知らないし、何より水中戦なんてSAOでもALOでもしたことないからなぁ。

そんな俺が入っても足手まといになるだけだ。

あの球技は絶対、専用の練習方法が必要になるって。

 

「さあ、いよいよクライマックス! 間もなく、決勝戦のスタートです!」

アナウンスが入った。

オーラカのメンバー、そしてティーダも既に選手入口で待機している。

俺達観戦側は観客席の上の方に立って見ている。

「それにしても誰が、一体誰がこの組み合わせを予想したでしょうか! 常勝ルカ・ゴワーズと頂点を争うのは、23連続もの初戦敗退記録を持つ最弱チーム、ビサイド・オーラカ!」

「まさに驚異の大番狂わせですね。しかも今年の彼らにはまだ出していない切り札があるとの噂ですからね」

ティーダのことだな。

あいつ、この試合でスーパーシュートを決めるって言ってたな。

試合開始直前に小競り合いがあったりしたが、それ以上は何事もなく、

 ビィー!

試合が始まった。




ふう、長かった。6000字超えたよ。
途中いろいろ省略しちゃってますがすみません。

次回は番外編やります!
キリアスユイ揃ってからと思ったけど次回やります!
では!
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