ここでは直葉ちゃんサイド。
さあ、読んで驚け!
「うおおおぉぉぉぉぉ! なんでさあああぁぁぁぁぁ!」
ALOの世界樹の上にあるエギルさんの店で、黒い肌に白髪の人が大きな悲鳴を上げた。
「あっはははははははは!」
その隣では真っ赤な髪をツインテールにした女性が大笑いしている。
え? なんでこんなことになってるのかって?
それは数日前にさかのぼる。
あの日、例の巨大UMAが突然現れ、街を襲った。
その場所はちょうどお兄ちゃんたちがデートに行っていたレジャーランド。
・・・それなのに、なぜか建物や人には何の被害も、それどころか傷一つなかった。
もちろん、パニックになって転んで怪我をする人は何人もいたらしい。
でも、あんな怪物がぶつかったというのにそれによって直接被害を受けたのは人も物も何一つなかった。
だけど、二人だけ行方不明になった人たちがいる。
お兄ちゃんと明日奈さんだ。
それを知った時、急いでユイちゃんのいるパソコンに向かった。
でも、いつも稼働しているはずのそれは、何をしても動かなかった。
その後、菊岡さんを通してユーミルにお兄ちゃんと明日奈さんのアカウントを調べてもらった。
だけど、どちらも異常なしという結果。
ユイちゃんとも連絡が取れないんだということを、あたしはその瞬間理解した。
あれ以降、巨大UMAは全く姿を見せていない。
「直葉、大丈夫?」
お母さんもここ何日かは仕事を休んでいる。
「大丈夫だよ、お母さん」
「そうは見えないわよ。不安なのはわかるけど、ちゃんと食べないともたないわよ」
「うん・・・わかってる」
あの事件から数日経った日の昼食後、ある人が家を訪ねてきた。
「こんにちは、直葉ちゃん」
その人は、お兄ちゃんの師匠だった。
・・・そう、魔術の。
「お久しぶりです。士郎さん」
錬鉄の魔術使い、衛宮士郎さん。
お兄ちゃんは昔、お祖父ちゃんと大喧嘩して家出したことがあった。
その時、お兄ちゃんが初めて魔術を発動させ、お祖父ちゃんも怪我をしたらしい。
あたしはその時、お祖父ちゃんに約束した。あたしがお兄ちゃんの分も剣道をやる、と。
その時家出したお兄ちゃんを見つけたのが士郎さん。
なんでも、お兄ちゃんに自分とよく似た魔力を見た、とか。
あたしはよくわからなかったけど・・・。
士郎さんと一緒にお兄ちゃんは帰ってきて、士郎さんはお祖父ちゃんに頼みごとをした。
お兄ちゃんを自分の弟子にさせてくれ、と。
そこであたしは、お母さんとお祖父ちゃんも、初めて本物の魔術を見た。
でも、その時からお兄ちゃんは人を避けるようになっていって・・・。
後から聞いた話では、お祖父ちゃんの激怒に反応して魔術を無意識に使ったことと、それで怪我をさせてしまったことから周囲の視線を恐れるようになったかららしい。
士郎さんをお兄ちゃんの部屋に連れて行く。
昨日連絡をしてきた士郎さんに頼んだことがあるからだ。
ユイちゃんの住居となっているパソコン。
何か、魔術的な現象が起きてないか調べてもらうこと。
「
士郎さんが調べ始める。
と、いきなり顔をしかめた。
「・・・なんだこれは」
「何かわかったんですか?」
「いや、なにか・・・」
今度はコンセントに手を伸ばし、
バヂン!
そんな音がして手が弾かれた。
「「・・・っ」」
顔を見合わせるあたし達。
「直葉ちゃん、誰にも盗み聞きされずに多くの人に話せる場所はあるかい?」
「え? うーん・・・」
「ALOの友達はほとんどが和人の魔術を知っている人たちなんだよな。できればその人たちを集めたいんだ」
「あ、だったら・・・」
「・・・悪いけど、そこに至るまでの方法を詳しく書いてくれないか? できれば絵を付けて」
「え、士郎さん、できないんですか?」
「いや、俺じゃなくてさ・・・はぁ」
「わ、わかりました」
その数日後、みんながイグシティのエギルさんの店に集まり、士郎さんの話を聞く。
つまり、あたしが提案した場所はALO。
士郎さんはもう一人知り合いを連れてくるらしいが、その人がものすごい機械音痴だとか。
士郎さんもその知り合いもALOをやっておらず、キャラ作りからしてもらう。
もっとも、ある程度の部分はランダム決定なのだが。
で、二人にあらかじめ種族を決めてもらい、レプラコーンを選んだ士郎さんはリズさんに、サラマンダーを選んだもう一人の人はクラインさんに案内してもらうことになっている。
と、クラインさんが来た。
すぐそばにいるのは深紅の髪をツインテールにした女性。
珍しくクラインさんがデレデレしていない。
それを訊くと、あいつが大変な時にな、という答え。
クラインさんはSAO初期からお兄ちゃんのことを気にかけており、クラインさん曰く、
「あいつには借りを作ったままだからな」
とのこと。つまり今回もそういうことなんだろう。
「えっと、ゲームの中って本名を言っちゃいけないのよね」
士郎さんの知り合いだという女性。
「まあ、今だけは見逃してね。私は遠坂凛。ここでの名前はスカーレット。よろしくね、直葉ちゃん」
「よろしくお願いします。でもここではリーファって呼んでください」
その数分後、リズさんに連れられて、士郎さん(キャラネーム:ブレイド)が入ってきた。
が、ここで士郎さんを見た凛さんが大爆笑しだした。
士郎さんのブレイドとしての姿はレプラコーンには珍しい黒い肌。
そして、金属光沢のある白髪。銀ではなく白。ここ重要。
「この黒い肌を見たときから嫌な予感はしていたんだ。誰か鏡を貸してくれ」
シリカちゃんから鏡を借りた士郎さん。
数秒硬直した後、
「うん、予想はしてたよ、してたけどさ」
と、シリカちゃんに鏡を返し、
「うおおおぉぉぉぉぉ! なんでさあああぁぁぁぁぁ!」
冒頭に戻る。
あの後士郎さんが元に戻るまでに30分ほどかかった。長すぎ。
どうやら、士郎さんが嫌いな人と全く同じ姿だったらしい。
それにしては現実の士郎さんと全く同じ顔だったような・・・。
というかALOのランダム生成でリアルと全く同じ顔になるとかもはや奇跡でしょ。
でも士郎さん曰く、凛さんもリアルと顔がかなり似てるらしい。
それはさておき、
「さて、これで全員そろったな」
と、エギルさんがドアをロックする。
この場にいるのはSAOからお兄ちゃんと仲が良かったクラインさん、シリカちゃん、リズさん、エギルさん、それ以外にはあたし、シノンさん、士郎さん、凛さん。
「じゃあ、まずは・・・」
驚くべき内容だった。
まず、ユイちゃんの居たパソコンを調べた結果。
ユイちゃんのデータそのものが異世界と繋がっている状態だという。
そのリンクが結界になってしまっていて、コンセントに触れなくなっている。
おそらく、ユイちゃんの居たお兄ちゃんの携帯が消えてしまったかららしい。
つまり、その時一緒にいたお兄ちゃんと明日奈さんも同じ世界にいるとみるべきだ、ということ。
次に、凛さんがあのレジャーランドを調べた結果。
目撃情報からUMAが衝突した場所を算出し、その地点を調べたところ、空間の歪みがあったらしい。
正確には空間の穴の残滓だそうだが。
その地点ではお兄ちゃんの魔術の使用痕跡が残っていて、士郎さんもそれを確認したそうだ。
「キリトの奴、今度は本物の異世界へ行ったってのか?」
クラインさんの簡潔な質問に肯定する二人。
「あいつらを連れ戻す方法はあるのか?」
今度はエギルさんの質問。
「今のところはわからない。だが、様子を知ることはできるはずだ。うまくいけば、連絡をとることも可能なはず」
士郎さんはそう言って凛さんに続きを促す。
「えぇ、私の大師父の使う第二魔法なら、異世界へ続く道を開けるわ」
「リーファちゃん、和人の部屋に魔術品を配置してもいいか? あのパソコンが必要なんだ」
「わかりました。お願いします。士郎さん。凛さん」
「少し時間がかかるだろう。少なくとも1ヶ月。準備ができたら、日を追って連絡する」
全員が静かに頷いた。
士郎と凛の性格がうまくかけてるかが心配。
士郎のアバターはまんまアーチャーの姿。
赤い外套を羽織れば完成します。
ちなみにこの世界の士郎はアーチャー化してません。
髪の色も肌の色も元のまま。
士郎とキリトの魔術。
二人の魔術は異様なほどに似ています。
彼らが得意なのは投影ですが、士郎が剣だけなのに対し、キリトはジャンル無制限。
そもそもキリトは投影の本質が違います(それは士郎もですが)。
キリトの魔術は異端であり、同じ方向で異端である士郎はキリトを放っておけなかった。
だから士郎は自ら進んでキリトを弟子にしたということ。
初期の自分のように危険なことはしないでほしかったからですね。
(例えば魔術回路を起動するたびに再構築、とか)
キリトの固有結界は士郎のUBWよりも異常なもの。
その世界はキリトの精神世界でない物を表しています。
それについてはいずれ。
戦闘法ですが、キリトは持ち前の神速と反射神経をフル活用する戦法なのですが、士郎はわざと隙をつくり、そこを突いてきたところを反撃する、スピードとは程遠い戦術です。
ALOでの士郎のキャラネームの由来はUBW(アンリミテッド・ブレイド・ワークス)から。
凛の場合はイメージカラーの紅から。
この話は大事な伏線です。
ここまで言ってしまえばみなさんわかりますよね。
しかし、答え合わせはずっと先のことになるかと思います。
次回、いよいよVSゴワーズ~魔物襲来!
誰サイドにしようかはまだ決めていません。
それではまた次回!