Me:Hm,ketty is a girl I see.
Novel title:”BOIS” and бак.
Me:*Confused screaming.
《とあるサイトのスレッドにて》
『そういえば近々メタルストームでまた大きな大会やるみたいだぞ』
『それマ?』
『メタルストームってなんぞ』
『知らんのか、インド洋沖にある放棄された洋上プラットフォームで行われている非公式の戦車道やぞ』
『詳しい説明オナシャス!』
『テレビとかネット界隈では裏の戦車道とか呼ばれてる。 詳しい事は余りよく分かってないんだけど簡単に言うとレギュレーションのレの字も無い戦車道。 使う戦車は豆戦車だろうがMBTだろうがOK。 しかも何両編成でも参加可能』
『マジか、MBTの戦車道とか見てみたい』
『不謹慎だぞ』
『早速不謹慎厨湧いてんよ〜』
『不謹慎厨は出て行けぇ!(レ)』
『なんで不謹慎なん?』
『理由は簡単、安全性の欠片も無くて命を落とす事もあるから』
『確か費用削減の為に安くてペラペラなカーボン装甲使ってるせいだっけか?』
『そう。 その所為でAPFSDSやHEATFS等の貫徹力の高い砲弾を防げずに中の搭乗員が死亡する事故が毎年必ず起こってる』
『なにそれこわい』
『ワイ海外のグロ画像まとめサイトでメタルストームで死亡した人の死体見たけどやばかったぞ。 自分では結構死体とか見慣れてたつもりだったけどあれは流石に吐き気を催した……』
『そんなにヤバいのか……』
『うん、交通事故とかそういう死体は大体人としての原型をまだ留めてるんだけど、メタルストームで戦車砲に撃たれた人の死体は文字通りミンチ肉状態になってて初めて見た時人間の死体じゃなくてなんかの動物の死体で作った偽物かと思ったぐらい』
『ヒェッ……』
『しかもHEATFSとかATGMで撃たれた奴は全員真っ黒焦げで骨まで炭化してる奴もあった。 弾薬庫が誘爆したケースとか最早死体そのものが消し飛んでた』
『ヴォエ!!』
『オマケにあそこは人道もへったくれも無いから女子供が戦車に乗せられてる事もある。 勿論それらの死体も画像として残ってる』
『あの洋上プラットフォーム建造したのって国連なんやろ? なんでこんな悪魔じみた競技を取り締まろうとしないんだ……?』
『それは今も分からない。 でもプラットフォームを占領している武装勢力やマフィア、ギャング相手に国連ですら手を出せないってことは何かしら裏があるんだと思う』
時刻は9時。
あの悲しい結果で終わった模擬戦から一日経ち、メタルストーム参加に向けて準備を進めている俺達だったが、今日はケティを連れて街の市場に出向いていた。
左右どちらを見ても商店がずらりと並んでおりそこにいる店主が客寄せをしていて通りは朝にも関わらずとても賑わっていた。
過去にテレビで見たアフリカ辺りの市場にこの景色はよく似ている。
自分自身、賑やかなのは嫌いではないのでこの喧騒に満ちた市場は散歩スポットでもあったりする。
ここにいる店の店主の殆どと既に顔見知りなので時々自分にピンポイントで商品を売ろうとしてくる人もいる。
頼み事を断りにくい性格の俺はその度何かしら買わされてしまうのだが……。
兎も角今回の目的は食料の確保だ。
メタルストームに参加するとなれば財力の無い俺達は節約を強いられることとなる。
そうなると必然的に食事も質素な物へと変わる。
問題なのはアイツらをこの食材に慣れさせることなのだが。
「うげぇ……どんだけ買うんだよ……」
「今日は運良く店主がまけてくれたからな、一週間分は手に入りそうだ」
俺とケティの両手に握られているビニール袋。
そこには何か
これが何かは言うまでもないだろう。
貧困層の
「よし、今度はあそこでパンの耳を貰えないか聞いてみよう」
こうしてゲテモノや余り物にありついていたのも今だけの話じゃない。
昔、ここに放り込まれた時からここで死に物狂いで生きてきたものだ。
そこら辺の店の店主に物乞いをし、断られても必死に縋り着けば結果は蹴り飛ばされるか諦めて食料を分けてくれるかの二択だった。
物乞いだけじゃない、盗みを働いたり人を脅して金をせしめたり或いは殺して奪うといったこともやった。
逼迫した状況に於いて他人の命に気を配れるほど俺にそんなに余裕は無かった。
こんな事が許されるのだからこの場所は恐ろしい所だと改めて思う。
そしてそれに甘んじる自分も常識人から逸脱していると自覚している。
物乞いばかりしてきたせいか随分とこの市場の人々とは仲良くなれた。
昔の借りはこうしてちゃんと買い物をする事で返すようにしている。
「お前らー帰ったぞぉ」
大量の袋を手に持って足で扉を開ける。
イーライ達は袋の中身を訝しげに見ている。
既に中身を察して卒倒しかけている奴と目が死んでる奴がいる。
「まだ調味料って残ってたか?」
「あぁ、まだ残ってるぞ」
「よし、じゃあイーライこれで昼飯頼むぞ」
工房の厨房担当であるイーライに大量のビニール袋を押し付ける。
中身を知ったイーライはまるで神に見捨てられた信徒のような表情をしているが知ったことか、早く飯を作れ。
お前だけ茶色い方を倍で食わせてやろうか。
そういうと厨房に駆け込むイーライ。
恨み辛みは後で聞くだけ聞くとしよう。
地獄の昼食を終え、イーライ達が机に突っ伏している中、俺とケティは今後の予定を伝える。
まず最初の対戦相手が決まった。
俺たちと同じ小規模のチームで車両数もそこまで多くはない。
初戦にはピッタリの相手だろう。
既にあちら側の隊長と話をして明日、対戦する事が決まっている。
相手の部隊名は『バレットビー』という。
こちらの名前は適当に多数決で決めて『ストレルカ』という名前になった。
車両編成がどのようになっているかも分からないので当日作戦を練る事になる。
まだ無名の部隊とはいえ、こちらもそれは同じだ。
油断してはならない。
「本当に三両でどうにかなるのかねぇ……」
イーライが不安そうに呟く。
まぁ状態が良かったと言っても車両が車両だ。
どうなるかは相手の車両次第となる。
しかしこちらとで何も用意しない訳では無い。
「大丈夫だ、その為に
部屋の隅に積まれている幾つかの大きな木箱を指さし、自信ありげに言った。
恐らく、これなら車両の性能差は覆す事が出来るだろう。
寧ろ大金はたいて買ったのだから効果が無くては困る。
「兎に角、明日の対戦の勝敗が今後を左右すると言ってもいい。 何としてでも勝つぞ」
初戦は、絶対に勝たねばならない。
翌日、太陽の照り付ける平原に多くの人が集まっていた。
そこには三両の戦車と五両の戦車が向かい合って並んでいる。
俺達の目の前には対戦相手であるバレットビーのメンバーがいる。
相手のリーダーが前に出てきたので俺も前に出てリーダーとの距離を詰める。
そして相手の方から手が差し出されたのでこちらもその手を握って握手をした。
相手はそれなりに歳は取っているようだ。
多分年上だろう。
「今回は宜しく頼む」
「あぁ、お互い最良の戦いを願っている」
自信に満ちた表情で挨拶をする。
結構人の良さそうな男だった。
口に咥えている煙草が良く似合う。
無名の割には顔など所々に傷跡があって歴戦の猛者を感じさせる。
互いにチームの元へ戻り、戦車を所定のスタートポイントまで移動させる。
今頃俺達かバレットビーのどちらかに大勢の博打打ちが賭け金を賭けている所だろう。
これはメタルストーム公式の対戦なので勝てば多額の賞金が出る。
今後の活動の為にも、そして新しい車両の入手の為にも勝利は必須だ。
遠ざかっていく相手の車両を見る。
「RU-251が五両……いけるか…?」
「ボルトカノーネのHEATFSには注意が必要だな。 多分機動力を活かした奇襲攻撃を仕掛けてくるだろう」
数では不利だが性能差ではどうだろうか。
いや、性能に於いても勝ててはいないだろう。
俺の車両なら兎も角、PT-76BやObject 120ではRU-251からは逃れられない。
加えてここは丘陵地帯。
軽戦車が隠れられる稜線はいくらでもある。
距離を詰められればお終いだ。
高台からの狙撃が最善と思われる。
それかフラッグ車を三両で全力で狙うか。
上手く誘導してObject 120の射線に持って来れれば可能性はある。
ある程度考えて、導き出した答えはフラッグ車の優先的撃破だった。
地図を見ながら何処が最適か、何処にどの車両を配置するか、移動中も考えは尽きない。
長い間地図と睨めっこを続け、作戦を練り終えた時には既にスタートポイント到着していた。
全車が停車したことを確認し、無線で仲間達に繋ぐ。
「これから、作戦を伝える。 地図を開いてくれ」
俺が考えた作戦はこうだ。
まず、この場所で一番標高の高く、ここら一体を見渡せる丘が東にある。
そこにObject 120を配置する。
そしてT-55AM-1とPT-76BはObject 120からの発せられる敵の位置情報を元にそのルート上に待ち伏せ、フラッグ車と本隊を分断し、PT-76Bが本隊を食い止め、俺達がフラッグ車を追撃してObject 120の車線まで誘導する。
敵はわざわざ狙われやすい平原は通らない筈だ。
ならば通る箇所と言えば中心にある森位しかない。
軽戦車が相手なので迅速な行動が必要になる。
もし敵を逃せばRU-251の機動力に翻弄されてやられるのが目に見える。
幸い森の中はさほど道の整備がされていない不整地なので最高速度で向かってくる事は無い。
作戦通りにいけば、この戦いは短時間で終わるだろう。
「以上が作戦の内容だ。 勝敗はObject 120の狙撃にかかっている。 頼んだぞ」
《了解、コイツの152mmで木っ端微塵にしてやんよ!》
「それくらいの自信があるのなら俺達も安心出来るな。 ジェラルドも敵の足止めを任せるぞ」
《お前こそ敵のフラッグ車に置いてかれるんじゃねえぞ!》
「了解した……っともう始まるぞ、準備しろ!」
腕時計を見ると開始までもう十秒も無かった。
カウントダウンが残り五秒まで進むと緊張が強まるがそれを気力で抑え込む。
五秒、今出来ることは全てやった。 後は最善を尽くすだけだ。
四秒、ここで勝って、その賞金で新しい車両を買おう。
三秒、それと新しい隊員も集めなければ。
二秒、まもなく始まる、覚悟は出来た。
一秒、神には祈らない、実力と性能が全てだ。
…………ゼロ。
「全車前進!! Танковый аванс!!」
4000文字書くのキツスギィ!