2XXX年
かつて
バーチャルアイドルとして光輝く世界を夢見て
ホロライブに所属していたライバーたち。
そのうちの何人かは、
本来の自分の使命をなすために自らの世界へ帰っていった。
気が付けば長い時を地上で過ごし、
お互いがお互いを必要とする関係にもあった。
「ふーむ、見回りよし…異常なしっと…」
この天使、
天音かなたもその一人だ。
彼女もライバーとしての勉強を終え、
天界へと戻っていた。
ライバーをやめるときには多くの人間が涙した。
勉強を終えたから帰る。
本人はそう口にして、
ライバー生活を終えた。
が、真実はそう甘くなかった。
かなたは天界からの緊急招集により強制送還されたのだ。
地上人の動揺を誘わないための本人もつきたくない嘘。
最後の配信を終えた瞬間
彼女は涙していた。
かなたは地上人から送別された感動への涙ではなく、
最後の最後訂正できない嘘をついてしまった罪悪感から涙が止まらなかったのだ。
そんな彼女が招集された理由
天界と魔界の戦争
天使が管理する天界
悪魔が支配統治する魔界
この二つの世界を上げた戦争が始まることの通達だったのだ。
「…もう何日も襲撃はないけど、また戦闘になるのかな…」
彼女がいるのは魔界と展開をつなぐゲートの1つ。
ここの警邏が今の彼女の仕事だ。
「はぁ…もうライバー止めてだいぶたつのに…いまだになれないなぁ…」
ゲーム実況やほかのホロライブメンバーとの楽しい日々。
もう何年も前だったはずなのに彼女は忘れることが出来ずにいた。
「それだけ僕ってあの場所が好きだったんだろうな…」
そして思い出すのは1人の女の子
「君はどうしてるのかな…
トワ…」
天界と魔界の一件、
それはかなただけの問題ではなかった。
かなたの引退数日後、
ホロライブに所属していた小悪魔、常闇トワもライバーとしての仕事を辞めた。
そう風の噂で耳にした。
すぐに連絡を取ろうとも考えた。
だが天界と魔界間の争いもあり、
連絡を取ることは天界からの裏切りを意味していた。
魔界のものとつながった天使が処断される姿を、
彼女も目にしてしまった。
「なんで…なんでこうなっちゃったんだ…」
もし目の前に彼女が現れたとして
「その時僕は…戦えるのかな…」
そうつぶやいた時だった
ブー!ブー!ブー!
「これって…敵襲!?」
警報音が鳴り響く、
ゲートの中にいた天使たちが外へと飛び出す。
「かなた!敵襲の警報が鳴ったが何か見つけたか!?」
「いえ、今警邏してた限りじゃ何も…」
「確かにおかしい…警報はなったのに敵の姿が見えん…」
天使たちは展開し防御の連隊を組む。
が、一向に悪魔たちは現れない。
「おかしい…まったく現れないなんて…いや、まさか!?「ぐああああああああああ!!」!!!?」
その時、ゲートの中から断末魔が聞こえた
そしてそれに続き
【キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキ!!!!!!!!!!】
天界のゲートから悪魔たちが現れる。
「あいつら!?いつのまにゲートの中に…!?まさか…はめられたか!?」
「隊長!魔界側のゲートが開きます!!!!!」
【mxchfgれういjdjbhghsjせd】
今度は魔界側のゲートから使い魔たちがなだれ込んでくる。
「嘘の警報で僕等を外に出して挟み撃ちにした…ってことか…!」
「くそっ!援軍を呼べ!このままじゃ全滅するぞ!」
「は、はい…ぐぁっ!?」
伝令役として離脱した天使が突如体制を崩し落下する
かなたはその上空に目をやる、
そこには1人の人影があった…
見覚えのある白衣と角。
そして金髪
間違いない
「good evening 天使の皆さん、ちょっこ~ん♪」
そこには
かつて
自分の先輩ライバーであった癒月ちょこの姿があった。
「ちょこ…先生!」
「あーら、かなた様お久しぶりね」
「ちょこ先生も戦争に…」
そう、彼女も悪魔
冷静に考えればわかることだった。
「ごめんねかなた様、私もなりふり構っていられないの…可愛い生徒たちが何人も天使にやられちゃったから…」
「…!悪魔だけじゃない!天使だってそっちの侵攻で沢山命を落としたんですよ!?」
「そんなのわかってるわよ!私の可愛い使い魔ちゃんたち!行きなさい、天使たちをここで始末します!」
「全員に次ぐ!我々はこのゲートを放棄する!あの悪魔に注意しつつ自分が生き残るのを最優先にしろ!撤退だ!」
天使たちがお互いをカバーしながら撤退を始める。
このままではあまりにも分が悪すぎる
そんな中、かなたはちょこと対峙する。
「ちょこ先生…僕は死ねないんですよ…、会いたいやつがいるんでね…」
「トワ様…ね、…会ってどうするつもり?」
「トワならわかってくれる、こんな戦いが間違っていること…」
「間違ってても悪魔はやらなきゃいけないことがあるのよ…」
そういうとちょこは胸元から試験管を取り出し
、
「くらいなさい!」
「…!」
その中身をまき散らした
かなたはそれを滑空し、避けるが、その1滴が服にあたってしまう。
するとその部分が円状に溶け、服の一部にぽっかりと穴が開く
「なっ!?////////なんすかこれー!?」
「皮膚にあたると痺れる毒の入った、お☆く☆す☆り」
「じゃあなんで服が溶けるの!?」
「なんでって…羞恥心に襲われてる人をなじるのって…最高だと思いませんか!?」
こういうとこだけなんか変わってない
「近づいたらやられる…!なら、くっらえええええええええええ!」
かなたは頭についた天使の輪を手裏剣のようにちょこへと投げつける。
「あぶっ!?って!それやっぱ手裏剣なんじゃないですかかなた様!!」
「違います!れっきとした天使の輪!!!」
「天音が悪魔を抑えてる間に撤退するぞ!いそげ!」
「「「了解!」」」
使い魔の猛攻のなか、ちょこをかなたが抑えることで撤退は順調に進んでいた。
はずだった、
撤退していた連隊が突如黒い雷に襲われる
「みんなあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
かなたは思わず叫ぶ、
ついさっきまで一緒にいた同士が黒雷に焼かれる姿を目の当たりにし感情が爆発した
「きたわね、
トワ様」
そこにはかつて、自分と肩を並べ
共に歩んだ小悪魔
常闇トワの姿があった。
「ちょこてんてー、かなたはトワにやらせて…」
「も~仕方ないわね~トワ様、じゃあね~かなた様~」
ちょこは翼を広げ、飛び去って行く
トワは使い魔にも指示を出し,気が付けば2人きりだ
「かなた、久しぶりだね…まさかほんとに戦場で会うことになるとは思わなかったけどね。驚いたでしょ?さっきの雷、一人前の悪魔になった証ってことでさ、パパとママに教わったの。」
「トワ…戦場で世間話でもするつもり?僕だって…たとえ相手がトワでも…」
「その前にね一つ提案があるの、トワにとっても、かなたにとっても悪い話じゃないと思うし。」
かなたは身構えたまま話を聞く
そしてトワは手を差し出し
「ねぇ、かなた…堕天してこっちに来なよ…トワと一緒に来なよ…」
「トワ…」
「っていう夢を昨日見ちゃってさー!、イヤー!興奮しちゃったー!」
「いや、なんつー夢みてるんですかフブキ先輩…」
「だってトワちゃん!天使と悪魔だよ!?決して交わることのない種族間の戦争!その中での天使と悪魔の葛藤!切ないじゃん!辛いけど続きみたいじゃん!」
ここはホロライブの事務所
白上フブキと常闇トワがそんな他愛のない話をしていた。
「ってか…トワ雷なんて出せませんから!」
「それでいったらフブキ様!ちょこなんで天使虐殺してるんですか!?」
「僕の天使の輪は手裏剣じゃないし!しかもすごく雑なエロ展開もどきされてるし!」
各々文句を垂れるが、フブキは「ゆめだからさ?」
と一蹴したのだった。
トワとかなたは2人で帰路についていた
すると、トワが口を開く。
「ねぇ、かなた…さっきの夢の話だけどさ」
「ん?」
「ほんとにそういうことになったら…トワ達戦わなきゃいけないのかな…、かなたとせっかく仲良くなったのにそれは…トワは嫌だな…」
トワはどこか不安そうな表情でかなたに問う
天界と魔界
いずれ本当にそうなったらどうするのか…
少し考えた後、かなたは答える
「夢ではトワがぼくに堕天を促したけどさ、逆に僕がトワに【天使にならない?】って聞くかもしれない、未来のことなんて選択肢がありすぎてわかんないけどさ、
僕は自分が後悔しない選択をすると思うよ。」
かなたはトワの目をまっすぐ見つけこう答えた。
「……ァハッ!なにそれ~wかなたかっこいいじゃ~んw」
「ちょっ!ちょっと!真面目に考えたのに笑うことないじゃん!」
「いやぁ、ごめんごめん[ピロリン♪]あ、メッセ来た」
そういってスマホを見ると、
同じ4期生からのメッセージだった
[おめーら!4期生で飯行くぞ!天使公のおごりでな!]
[んなールーナもご飯いくのらー♡]
[急いでいくよー!ドドドドド~!]
「だって、かなたも行こ!」
「えぇ…僕のおごりぃ?って、トワ!引っ張んないでって!」
引っ張られてるかなたには見えなかったが
トワの顔はさっきの返答から
ずっと、笑顔だった
これは今ある現実
未来にあるのは
希望か絶望か
光か闇か
そんなことはわからないけれど
我々は今この時間を
誰かと共に生きているのだ