希望の魔法使い   作:英雄に憧れた一般人

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UA500達成いたしました。ありがとうございます。
この小説はディケイド×問題児の息抜きに書いていますので、投稿は3日に1回くらいのペースで投稿していく予定です。
質問や感想はお気軽にお書きください。
誤字脱字も教えて頂けると嬉しいです。

では、第1話。
最初からクライマックスな感じですが、どうぞ!


第2話「希望を与える者」

アーシアを教会へ送り届けた翌日、晴人は1人帰宅中に公園でブランコに乗るアーシアと出会う。

 

晴人「あれ?何してんの?」

アーシア「あ、晴人さん。いえ、その………」

 

アーシアは何か相談したそうだったが、口を(つぐ)んだ。

言いにくい事があるのは晴人も分かり、優しく声をかける。

 

晴人「別に無理しなくていいよ。言いたくなったら言えばいいし、辛いことを無理に言わなくてもいい」

アーシア「いえ、でも晴人さんにも恩があります。だから、本当は伝えるべきではないのでしょうけど、お伝えします」

 

晴人は少し長話になりそうだと思い、近くの自販機でアーシアにはお茶を、自分はラベルに『ベストマッチ!』と書かれた、スパークリングストロベリー&ハワイアン味という如何にも合わなさそうなジュースを興味本位で買った。

飲んでみると意外と美味しかった。

どういう化学変化が起きてるのやら。

 

アーシア「私、実は教会を追い出されたんです」

晴人「それは、元いた教会?」

アーシア「はい。私には特別な力があって、その力によってどんな傷も治せるんです」

晴人「すごいじゃん。何でそれが追い出される事に繋がるわけ?」

アーシア「この世界には、人という種族以外に、天使、堕天使、悪魔という種族が存在しているんです。そして、私は教会の敵である悪魔をこの力で癒してしまいました」

晴人「なるほどね。そりゃお偉いさん方からしたら許せないわけだ」

アーシア「………あまり驚かれないんですね」

晴人「これでも結構驚いてるんだけどな」

 

元から知っていました、などと口が裂けても言えない。

晴人は魔法使いである事を隠している。

それはやはり、ファントムに親しい者達が狙われてしまう可能性があるからだ。

ファントムだけではない。

悪魔も堕天使も天使も、魔法使いが晴人だと分かれば、従わせる為に強引な手を使ってくる事は明白であった。

故に、僅かに知る者にしか頼る事の出来ない、孤独なヒーローとなってしまうのだ。

 

アーシア「それに、イッセーさんが実は、悪魔だったんです」

晴人「兵藤が?そんな風には見えなかったけどな」

アーシア「普通の方々はそうだと思います。私、もう何を信じれば良いのかわからないんです」

 

心の支え。彼女にとっては神であり、その神の声を聞く者達であろう。だが、彼女のそれが揺らぎ、苦しめている。

何が正しく、何が間違っているのか。

彼女の心は今、酷く弱っている。

 

晴人「俺は、アーシアちゃんが信じたいもの、信じたい事を信じればいいと思う」

アーシア「え?」

 

晴人の返答に、アーシアは少し驚いた様子であった。そんな返答が来るとは思っていなかったのだろう。

 

晴人「確かにアーシアちゃんにとって環境が変わったばっかりだし、頼れる人もいないと思う。不安で、怖くて、それに心配なんだと思う。だけどさ、アーシアちゃんの味方はちゃんといる。力になってくれる人は、少なくとも兵藤はアーシアちゃんの味方だよ」

アーシア「イッセーさんが?」

 

昨日、悪魔と知った彼。

右も左もわからないアーシアに話しかけ、優しく道案内をしてくれた彼。

僅かな時間であったが優しいと感じた彼が、アーシアの味方であるという事に、期待している自分がいるのを感じた。

 

晴人「あいつは変態だけど、お人好しで、誰かの為ならどんなやつにも立ち向かっていくようなやつだよ。だから、アイツを信じてほしい。もちろん、俺もアーシアちゃんの味方さ」

アーシア「ありがとう、ございます」

 

アーシアは晴人の励ましに、前をもう1度向いてみようと思い始めたその時だった。

 

???「やっと見つけた、アーシア」

アーシア「っ!?レイナーレ様………」

レイナーレ「全く、勝手にウロチョロされると迷惑なのよ」

 

かなり威圧的な雰囲気を放っていた。

晴人は一目でレイナーレと呼ばれる女性が危険であると理解した。

種族はわからないが、恐らく人ではないだろう。

ファントムであれば倒さなければならないが、それ以外であるのならば無闇矢鱈と踏み込む事が出来ない。

晴人は平常心でいるが、その一挙手一投足を注意深く観察する。

 

アーシア「も、申し訳、ありません」

晴人「アンタがアーシアちゃんの保護者?」

レイナーレ「ま、そういうところよ」

晴人「ふーん。アーシアちゃんがものすごく怯えてるけど?」

アーシア「は、晴人さん!い、いいんです」

 

アーシアは晴人を心配するように声をかける。

アーシアからすれば晴人は一般人だ。

彼をこれから起きる事に巻き込むのは忍びなかったのだ。

 

晴人「そっか」

レイナーレ「ほら、行くわよ」

アーシア「色々とありがとうございました。では、さようなら」

 

その声はとても冷たく、熱が一切感じられなかった。

晴人は感じた。

かつて絶望し、目の前でファントムになりそうになった人々と同じ声だと。

だから思わず声をかけた。

 

晴人「絶望したら駄目だよ」

アーシア「え?」

晴人「君にとっての希望は、必ず来る。だから、最後まで諦めないで」

アーシア「………失礼します」

 

彼女が諦めなければ、きっと大丈夫だ。

それに、いざとなれば彼女に渡した“お守り”が役に立つはずである。

だが完全に大丈夫であるという保証はない。

 

晴人「さてと、一応準備しとくかな」

 

晴人はドライバーを出し、ある指輪を付けた。

 

 

 

 

 

 

 

★☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

一誠は昨日の事があり、かなり落ち込んでいた。

アーシアは自分を庇ってくれた。

だが、そのせいで傷ついてしまった。

それに、自身の無力さ。

悪魔になったのだからもう少し戦えると思っていたのに、それどころか守るべき対象に守られ、仲間達に守られてしまった。

己の不甲斐なさで自己嫌悪しそうであった。

部室に着くと、そこにはすでに全員揃っていた。

ただ、何故か皆険しい顔をしていた。

 

一誠「何かあったんですか?」

リアス「実は、これを見て」

一誠「?」

 

一誠はリアスに促されるまま指差す方を見ると、そこには赤い小さな動物がいた。

 

一誠「なんですか、これ?」

リアス「多分だけどガルーダ。何者かの使い魔だと思うのだけど、何故ここにいるのか分からないのよ」

 

ガルーダはスヤスヤと寝息をたてており、どうしたものかと皆頭を悩ませていた。

一誠も少し動物に触れて癒されたいと思い、ガルーダへと触れようとした。

その直後にガルーダは起き、一誠達の顔を見渡して部員が全員揃っていることを確認した。

 

一誠「本当になんなんだ?」

 

皆困惑している中、ガルーダはそのまま飛び上がり、一誠の服を引っ張った。

 

一誠「え?ちょっと、え!?」

リアス「何かあるのかしら?」

朱乃「ついて来てって言ってるみたいね」

 

5人(一誠はガルーダに掴まれてる)はガルーダに案内されるようにガルーダの行先へ向かう。

その道を辿ると、途中で皆気づいた。

この道は、教会への道であると。

 

一誠「な、まさかこいつはアイツらの!?」

リアス「いえ違うわ。おそらく、この子はここへ私達を連れて行きたかったのよ」

一誠「何で………」

子猫「中に、堕天使複数。それに昨日の神父。あと、シスター」

一誠「まさか、アーシアが!」

 

一誠はアーシアがいると分かり、思わず駆け出しそうになっていた。

だが、弱い自分が行ってもいいのだろうか?

そんな問いが頭をよぎった。

自分が行っても、足手まといじゃないか?

役立たずな自分じゃ、アーシアは助け出せないんじゃないか?

足が進まない。

行かなければならないのに、行く事を拒んでいる。

どうしてもその1歩が踏み出せなかった。

 

晴人「ん?何してんの、兵藤。それにオカ研の皆さんも」

一誠「操真?何でここに?」

 

突然の人物の登場に皆驚いた。

 

晴人「あー、ちょっとアーシアちゃんの事が気になってさ。昼間にアーシアちゃんの保護者とかいう人がアーシアちゃん連れて行ったんだけど、どこかで見たなあって思って」

一誠「え?」

晴人「そういや兵藤、前に彼女出来たとか言ってなかったよな?その時見たかもしれない人に似てた気がするんだよ」

一誠「それ、本当か!?」

 

アーシアを連れて行ったというのがもしかしたら自身を殺したレイナーレかもしれないと分かった。それにレイナーレは一誠を殺す際、『もうすぐ届くアレも楽しみね』と言っていた。

それがアーシアならば、アーシアが危ないということになる。

そして、一誠は思い出した。

昨日の別れ際、彼女が泣いていた事を。

理由はそれだけで充分だった。

重かった足は、翼が生えたように軽くなった。

弱気な心は、絶対に助けるという覚悟に変わった。

もう2度と、あんな悲しい顔をさせない。そう決意した一誠は晴人にお礼を言う。

 

晴人「いや俺も記憶曖昧だから確証ねえけど」

一誠「いやそれでもいい!ありがとうな操真!」

晴人「お、おう。ま、頑張れよ」

 

晴人はそのまま帰って行った。

リアスは少し晴人を見つつも、教会へと目を向ける。皆、覚悟はできているようであった。

リアスの合図の掛け声と共に、全員教会へと突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーシアは微睡む意識の中で、とある声を聞く。

それはアーシアが待ち望んだ声。

とある人が示した、新たなアーシアの心の支え。

アーシアにとっての、最後の希望。

だが、彼が来るということは、戦うということだ。

来てくれたのは嬉しい。こんな私のために、命をかけて来てくれたという事実に思わず涙が溢れそうだった。

しかし、戦っては勝ち目はない。

彼は希望であるからこそ、彼の死を望まない。

今すぐにでも逃げてほしい。自分のことなんか置いて戦わずに逃げてほしい。そうしないと、心の支えが無くなってしまうから。

そうアーシアは考えていた。

事実、一誠はまだまだ悪魔として未熟で、潜在能力があったとしても今のままでは開花できないだろう。

だから助けてほしいという想いと逃げてほしいという矛盾が生じてしまっている。

 

晴人「絶望したら駄目だよ」

 

不意に晴人のその言葉が思い出される。

 

晴人「君にとっての希望は、必ず来る。だから、最後まで諦めないで」

 

その言葉が、アーシアにもう1度勇気を与えた。

 

レイナーレ「チッ、鬱陶しいゴキブリどもが来たようね。まあこっちに来る頃には手遅れになってるでしょうけどね。アハハハハハ!」

アーシア「………です」

レイナーレ「ん?何か言ったかしら?」

アーシア「きっと、大丈夫です。私は、イッセーさんを信じます!」

 

その眼は強く、先程まで弱りきっていた心はまた立ち上がる勇気を出した。

 

レイナーレ「道具の分際で、何を言ってるのかしら?貴方、私が拾った恩を忘れたんじゃないでしょうね?それに、貴方に行くあてなんでどこにも無いのに、何をそんなに強気になってるの?」

 

レイナーレは強く、威圧的にアーシアへ言葉を放つ。一瞬竦んだ。しかしすぐにレイナーレへ強くその瞳を向ける。

 

レイナーレ「その眼、気に入らないわね!」

 

レイナーレはアーシアの顔を叩こうとした。

だが、その手はアーシアには届かなかった。

突如アーシアのポケットが光を放ち、レイナーレはその光に吹き飛ばされたからだ。

 

レイナーレ「ぐっ!な、に………!?」

アーシア「こ、これは………!?」

 

アーシアを拘束していた手枷足枷は外れ、周りにいた者達も何事かと見る。

そこには晴人から渡された“お守り”がアーシアを守るように結界を張っていた。

 

レイナーレ「魔法!?まさか、指輪の魔法使いが!?アンタ、一体どこでそれを!?」

 

アーシアは答えない。

答える義理もない。

 

レイナーレ「くっ!もういい!アレを殺せ!」

 

レイナーレの指示に従い、周りの者達はアーシアを襲おうとするが、結界は強固で、誰1人その結界を壊すことも、ましてや傷すら与えることもできなかった。

レイナーレは痺れを切らし自らしようとするが、階段の降りてくる音が聞こえる。

一誠、子猫、木場の3人である。

 

一誠「アーシア!」

アーシア「イッセーさん!」

 

晴人の言葉は、キチンと現実となった。

()()()()()が、今、辿り着いたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆☆★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教会近くの森。

 

ウィザード「さて、“お守り”も発動したようだし、後はファントムを倒すだけだな」

 

晴人は現在、変身し、仮面ライダーウィザードとなっている。さらに襲撃してきた堕天使達を倒し、ファントムを探す事にした。

 

暦『晴人、教会の中の堕天使の部下の1人がファントム』

ウィザード「了解。ならささっと終わらせないとね」

 

暦から連絡を受け、晴人は教会の屋根へと登る。

暦はガルーダから今の教会の状況を知る事ができ、そして神器の力によりファントムを見分ける事が出来る。そしてガルーダを通して晴人へと伝える事が出来るのだ。

魔法で透視すると、教会内では神父らしからぬ男や堕天使と戦うリアスと朱乃の姿を確認した。

 

ウィザード「うーん、おそらくあの下に居るんだろうけど、邪魔だなあ」

 

リアスと朱乃の後ろにある階段におそらくいるというのは分かっているが、混戦になりかけているため迂闊には入れない。

 

ウィザード「ま、なるようになるか」

 

ベルトにウィザードリングを付けた手を当て、魔法を発動させる。

 

ルパッチマジック タッチ ゴー!

 

フォール!

 

教会の屋根に魔法陣を出し、穴を開けた。

その穴から現在リアス達が戦っている場所へと降り立つ。真下には堕天使が1体いたため、晴人の踏み台になった。

フリードもリアスも朱乃も他の堕天使達も降りて来たウィザードに視線を向けた。

 

リアス「ゆ、指輪の魔法使い!?」

フリード「おやおやおやぁ?どうして指輪の魔法使い様がこんな所におられるのですかなぁ?もしかして悪魔の味方でもしにきちゃいましたかあ?」

ウィザード「いいや、ファントムがいるから来たんだよ。お前達を倒すのはついでだ」

 

ウィザードは素早くベルトの手の向きを入れ替え、その手の向きに重なる様に指輪をつけた手をかざす。

 

ルパッチマジック タッチ ゴー!

 

コピー!

 

ウィザードの前に魔法陣が現れ、手に持っていたガンモードのウィザーソードガンがもう1つ出来た。

 

ウィザード「ハッ!」

 

ウィザードは素早く二挺拳銃で堕天使を撃つ。

堕天使は数発撃たれると気絶し、フリードは剣でなんとか凌ぐ。リアスや朱乃に当たりそうな銃弾は軌道を変え、他の者達へ当てる。

 

フリード「チッ。銃を増やしたり弾の軌道を変えたりとかさすが魔法使いですねえ!」

ウィザード「お褒めにあずかり光栄だな。さて、俺はアンタ達に構ってる暇は無いんでな。先を行かせてもらう」

 

ルパッチマジック タッチ ゴー!

 

テレポート!

 

その音声と共にウィザードはリアス達の前から後ろの階段前まで一瞬で移動した。

リアスと朱乃が振り向くがそこにはすでに姿は無く、下へと降りてしまった様である。

リアス達は追いかけようかと考えるが、フリードがまだいるため、追いかけたくとも追いかけることの出来ない状況なため、フリードに向き直り、戦闘を再開した。

ウィザードが地下へ着くと、レイナーレにやられる一誠、子猫、木場の3人の姿が確認できた。

レイナーレも階段から降りてきたウィザードに驚いた。

 

レイナーレ「指輪の魔法使い!貴様、何故ここに!」

ウィザード「決まってるだろ?俺の目的は、ファントムを倒す事さ」

 

そう言ってウィザードは二挺拳銃でレイナーレ─────の後ろにいた神父を撃った。

 

神父「うっ………」

 

神父は苦しむ様に倒れ込む。

ウィザードはそのままその神父に二挺拳銃を向ける。周りの者達は何故レイナーレではなく後ろの神父を狙ったのか理解出来ていなかった。

 

ウィザード「始めはそこの堕天使が怪しいと思っていたさ。人間になりすましてそこの男を殺し、次はこの少女の神器を奪い、殺そうとするんだからな。だがこいつの部下達はこいつを慕っていた。それに何より、こいつの部下達は言っていたよ。この教会に来てからこいつは前よりも残酷で冷酷になり、それは部下達にも向けられていたってな」

 

一誠もアーシアも初耳であった。

これほどまでに冷酷な者が部下達からは慕われ、部下達を大事にしていた事を。

自分達を殺そうとした目の前の存在がそうだと、信じれなかった。

 

ウィザード「人を変えるファントム。いや、人を操り、自分の傀儡へと変えるファントムと言った方がいいか。なぁ()()()()()

 

そう言われた神父は静かに立ち上がり、笑い始めた。

 

神父?「くくっ、正解だ。お見事、指輪の魔法使い。だが何故私だと分かった?」

ウィザード「それはこいつが常にアンタの盾になる位置にいたからだ。アンタは無意識のうちに、命の危険を感じればそうやって盾にしていたんだ」

神父?「そんなことで見破られるとは、な!」

 

神父である男は姿を変え、鋭い歯とエメラルドグリーンの目をした怪物へと姿を変えた。

その姿を見た一誠達は思わず息を呑む。まさしく怪物と呼ばれる存在がまさに今、目の前にいるのだ。

 

ベルゼバブ「もう少しだったんだがな、この女も使えない。私を見て憐みを抱いた目を向けて来たのだぞ?全く持って不愉快だった。だが、色々と使えたからな。こいつの部下共も、もう少しで絶望できそうだったんだが、貴様の邪魔さえなければ!」

 

ベルゼバブはウィザードへと光弾を発射する。

それをウィザードはガンモードからソードモードへと切り替え、真っ二つに斬った。

 

一誠「じゃあ、まさか俺を殺したのも!」

ベルゼバブ「ああ、俺が指示した。こいつの上司は監視だけで良いと言っていたらしいが、そんなものつまらんだろ?」

 

ベルゼバブの言葉に、一誠は信じられないという表情をした。

裕斗も続けて疑問を投げかける。

 

裕斗「じゃあアーシアさんを襲ったのも?」

ベルゼバブ「こいつの神器はなんでも癒す事が出来る万能の力だ。こいつはゲートでもないからな。それが無くなって死んだところで別にどうでも良かったんだよ」

子猫「………ゲスですね」

 

子猫は吐き捨てる様に告げ、ベルゼバブに敵意を込めた目で見る。

ベルゼバブはその視線を受けても鼻で笑い飛ばす。

 

ベルゼバブ「ハッ!こいつは堕天使でありながら人間に恋をしかけたんだ。その方がよっぽど罪だろ」

一誠「は?」

 

突然の事実に一誠は思わず気の抜けたような声を出した。ベルゼバブは一誠の反応を少し楽しみながら話を続けた。

 

ベルゼバブ「知らなかったのか?お前を絶望させながら殺すのを指示したのは俺だが、操っていない時はお前の事ばかり話をしてて、ウザい程幸せそうに話してたんだよ。全くもって見てるだけで吐き気が止まらなかったぜ」

 

見ていて吐き気がした。ウザかった。

それだけ。ただそれだけだ。

ベルゼバブはそれでもなお言葉を続ける。

しかし、一誠の耳にはすでに届いていなかった。それは悲しみからではない。

彼女はデートをしている時、本心で一誠と向き合っていたのだ。

たった1日だけのデートだった。

だが、あの時の彼女の笑顔は、偽りではなかった。

それが一誠の心に火をつけた。

 

一誠「………ざけ……よ」

ベルゼバブ「ん?なんだ?」

一誠「ふざけんなよ!!!人の気持ちを散々弄んでおいて、好き勝手やった理由がウザかったから?吐き気がしたから?そんなのお前の方が何百倍も見ていて吐き気がするんだよこのクソ虫野郎が!!!」

 

その火はただの火ではない。

それは、どんなものよりも熱く燃え盛る怒りの炎である。

ベルゼバブは一瞬怯む。

一誠の迫力に押された事もあるが、一誠の怒りに呼応するように、左手の“赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)”が光ったからである。

 

ウィザード「お前は今、こいつの心にガソリンをぶち撒けたんだよ。お前はもう、チェックメイトだ」

ベルゼバブ「何がチェックメイトだ!俺はこれからこいつとその部下共を使って、堕天使共を従え、ファントムの王となるのだ!貴様らごときが私に敵うと思うな!」

一誠「敵うとか、そんなんじゃねえよ」

ベルゼバブ「は?」

一誠「お前は今!ここで!ぶっ倒す!それだけだ!」

裕斗「僕も一誠くんに賛成さ」

子猫「………私も、貴方の事が嫌いです」

ベルゼバブ「チッ。舐めんじゃねえぞガキ共!」

ウィザード「それはアンタの方さ」

 

ルパッチマジック タッチ ゴー!

 

テレポート!

 

ウィザードがテレポートを使い、その場にいた全員を教会の外へ連れ出した。

フリードと戦っていたリアスと朱乃も外の様子に気づき、一誠達の元まで駆け寄る。ベルゼバブを見て瞬時にファントムだと把握し、状況も確認する。

フリードは状況が悪いと感じ、その場を撤退する事にし、姿を消した。

 

ベルゼバブ「お前達は絶対に許さねえ!生きて帰れると思うな!」

 

ベルゼバブはそう言い、石をいくつか投げた。それは人型の怪物、グールとなり、ウィザード達に向かって来た。

 

リアス「子猫はアーシアを!一誠!朱乃!裕斗!行くわよ!」

3人「「「はい!!」

ウィザード「さぁ、ショータイムだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様読んでいただきありがとうございます。
今回の敵、ベルゼバブは魔王とは一切関係なく、ウィザード本編とは違う世界線の話ですので口調やキャラは違います。ご了承ください。
また、お分かりかと思われますが、レイナーレ救済ルートです。
私自身あまりバッドエンドを好まないので、お気に召さなければ申し訳ありません。
次回もガッツリ戦闘です。戦闘シーンはあまりうまく書けていないと思います。
次回も楽しみにしていただければ幸いです。
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