Persona4 THE NEW SAKURA WARS   作:ぺるクマ!

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またまた約一か月半くらいぶりの更新です。

中々更新できずに申し訳なかったです。
感想の中にご指摘の言葉がありましてお答えしますと、第一話に使った”ロータリー”という言葉は完全に自分が勝手に思った造語でそんな言葉はありませんでしたので、文章を変更しました。ご指摘本当にありがとうございました。

これからも不定期の更新になると思いますが、よろしくお願いします。


#6「乙女の浪漫 2/2」

「…………死ね」

 

 

 男の声色に悪寒を感じて反応が遅れてしまったさくらは即座に間合いに入られて、男の持つ刃がさくらの身体に突き刺ささろうとした。

 

「くっ……」

 

 だが、その直前に男の顔面に何かが直撃する。見ると、男の顔面に飛んできたのは傍にある書店の本で、誰かが勢いで投げてきたらしい。何とか男が怯んだその隙を突いてさくらたちは大きく男から後退した。

 

「天宮さん、借ります」

 

「えっ? な、鳴上くんっ!?」

 

 またも突然だった。いきなり現れた悠がさくらが手に持っていた日本刀を颯爽と取ると、鞘から抜刀。そして黒フードに斬りかかる。だが、相手も反撃と言わんばかりに手にしていた短刀で悠に斬りかかった。

 

 

 

―!!―

 

 

 

 ぶつかり合う両者の刃。克ちあったのも束の間、互いに瞬時に間合いを取った。

 

「ちっ……」

 

「お前、何者だっ!」

 

 残身を取って睨み合う両者。さくらもすかさず自身の刀を鞘から抜いて悠の隣に並んで対峙する。クラリスも魔導書を手にして攻撃態勢に入っていた。

 

「……我らは【禍津日】……命令された、帝国華撃団の一人を殺せと」

 

「!!っ」

 

「だから、お前の命も貰うぜ!!」

 

 刹那、虚を突いて放たれたクナイに悠は反応出来なかった。クナイは真っすぐに悠の身体へ一直線に向かう。

 

 

「……させない!」

 

 

 だが、寸でのところでさくらが反応してクナイを弾いた。そして、相手が呆気に取られた隙を狙ってクラリスが重魔導を発動。目にも止まらぬ速さで放たれた重魔導の弾丸が黒フードを撃ち抜いた。

 しかし、相手も寸で受け止めたものの、その衝撃の反動で黒フードが勢いよく飛ばされ、その者の顔が露わになる。

 

「お、お前はっ!?」

 

 露わになった黒フードの素顔に悠は衝撃を隠せなかった。その顔は自分がよく知っている。

 

 

 

「陽介……()()なのか!?」

 

 

 

 茶髪に端正な顔つき、何より何度も見たトレードマークというべき首にかけたヘッドフォン。その容姿は間違いなくかけがえのない相棒【花村陽介】と瓜二つだった。それが冷静だった悠の心をかき乱す。

 何故、どうしてお前がそこにいる? 何故お前が俺と戦っている? 何故さくらさんとクラリスさんを殺そうとした? と悠の心はパニックを起こしていた。

 

「ああ? 誰だよ、ようすけって。俺はジライヤだ」

 

 当人はそう言っているが、悠にとってその顔・その声は紛れもない相棒のものだ。

 

「鳴上くん、もしかして……この人を知ってるんですか?」

 

 顔見知りなのか自分たちより衝撃を受けている悠にさくらはそう問いかけるが、何かが違う。容姿や声色は陽介のものであるが、陽介ではない。この感覚にどこか覚えがる。

 

「お前は……まさか」

 

「ったく、しゃらくせー!! せっかく奇襲でサクッとそいつらを暗殺するはずだったのによぉ! お前のせいで台無しだ!」

 

 

 陽介の姿を模した黒フードの男……ジライヤは忌々しそうにそう喚くと懐から一枚のカードを取り出した。

 

 

 

 

「だから、気晴らしに街を壊してもいいよなぁ?」

 

 

 

 そして忌々しそうな表情から一変、にやけた不気味な笑みを浮かべたと同時に手に持ったカードを握りつぶした。すると、突如街のあちこちから何時ぞやの魔方陣が展開され、そこから多数の降魔たちが出現した。

 

 

 

 

Gaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!! 

 

 

 

 

「こ、降魔!? こんなに多く……!」

 

 突然の多数の降魔が辺りに出現したことにさくらたちはうろたえてしまった。

 

「まずいですよ。霊視戦闘機が無い状態で降魔に戦うのは無謀過ぎます」

 

「それに、こういうのは不謹慎かもしれませんが、夢遊霧が発生していないのでは鳴上くんのペルソナも……」

 

「………………」

 

 さくらは以前このような状況に遭遇したことはあるが、その時は華撃団大戦の真っ只中だったため、他の華撃団が出動して事なきを得た。だが、今この帝都に華撃団は自分たちだけ。更に今自分たちは霊視戦闘機はあらず、仮にこの事態に本部が気づいて出動しようにも、その前に街に被害が出てしまう。一体どうすればいいのか……

 

 

 

 

 

 

 さくらとクラリスがあまりの出来事に絶望している最中、悠はどこか確信を持っていた。

 この世界に迷い込んでからおかしいとは思っていた、否直感していた。この世界は自分がいた世界よりペルソナを召喚するのに適している環境にある。にも関わらず、あの霧が発生してない限りペルソナを召喚出来なかった。

 それは何故か……おそらく何かキッカケが必要だったのだ。自分の力は【ワイルド】。誰かと繋がりを築くことで発揮される類まれなる力。

 つまり、現在神山と一つの絆を築いた自分ならできるはず。滑稽な空言だと自分でも思うが、今この絶望的な状況を打開するには自分のペルソナしかない。

 

「やるしかない……」

 

 悠は覚悟を決めたかのように掌を空へかざした。すると、驚くべきことに掌からペルソナを召喚するタロットカードを顕現した。

 

「鳴上くん! それは……」

 

 

 

 

―カッ!―

「ペルソナ!!」

 

 

 

 

 技名を叫ぶようにカードを砕く。そして、その叫びに答えるように青白い光と魔方陣と共に、悠のペルソナ【イザナギ】が召喚された。同時に出現したイザナギを敵判定した一体の降魔が襲い掛かるが、イザナギは手に持つ大剣であっさり斬り捨てた。

 一方、夢遊霧が発生していない状態にも関わらず、ペルソナを召喚してみせた悠にさくらとクラリスは驚愕したが、状況はそれすら許してくれない。

 

「天宮さん・クラリスさん! 俺がペルソナで降魔を引き受けます! 2人はあいつを倒して下さい!」

 

 

「「!!っ」」

 

 

 悠の指示に状況を読み込めず半ば混乱状態にあったさくらとクラリスは我に返った。どんな経緯であれ、悠がペルソナを召喚したことにより状況は好転した。降魔たちは悠のペルソナで対処して貰えば、自分たちはあのジライヤと名乗る黒フードに専念できる。

 この好機を逃がしてなるものかと、2人は悠の 咤激励に感謝して黒フードとの戦闘に身を投じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっはあ! 霧がないのに内なる力を発揮しやがったか! やっぱあの野郎の言ってたとおりだな」

 

 予想だにしてなかった内なる力……ペルソナの召喚にジライヤは歓喜した。やはりあの男の言っていた通り、あの少年はこの地を守護する帝国華撃団より面白い、もとい厄介な相手だと認識する。

 

「随分と余裕ですね」

 

「私たち相手でも楽勝だと思ってるんですか?」

 

 と、自分に対峙するターゲットだった少女2人は高笑いするジライヤを忌み嫌うように武器を構えているが、以前として彼の表情に余裕が溢れていた。

 

「はっ、あったりまえだろ? 霊視戦闘機を持ってないお前らを倒すのなんて、俺にとっちゃ朝飯前なんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────数が多すぎる…!

 

 

 次々と出現する降魔をイザナギが大剣を持って斬り捨てていく。時に雷の魔法で殲滅していくが、如何せん数が多い。更に街に被害が出ないようにと慎重に戦わなければならない。この世界での初戦闘の際は意識していなかったが、テレビの世界より戦いづらい状況にあるのだと再認識した。

 それに、あのジライヤと名乗る陽介に似た黒フードの方も気になる。さくらとクラリスが戦っているとはいえ、どうも嫌な予感がする。2人の強さを疑っている訳ではないが、そんな予感が頭を過った。

 

 

「おおっと、そこまでだ!」

 

「!!」

 

 

 いきなり降魔たちがこちらへの攻撃を止めたかと思いきや、背後から黒フードがこちらを呼ぶ声がした。まさかと思い振り返ってみると、肩を強く踏みつけられて地面に這いつくばるさくら、首筋にクナイを突きつけられて身動きが取れなくなっているクラリスの姿があった。

 

「さくらさん! クラリスさん!」

 

「う……ううう……」

 

「くぅ……」

 

「動くんじゃねえぞ。変な動きでもしたら、こいつの首が飛ぶことになるぜ。こいつを解放してほしかったら、武器を下ろすんだな」

 

「っ…」

 

 非道。嫌な予感が的中した上に、倒された2人を人質に取られてしまったら、もう従うしかない。悔しそうな表情を浮かべながら、悠は日本刀を下ろした。その瞬間だった。

 

 

Gaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!

 

 

「ぐあああああああああああああっ!?」

 

 

 悠が武器を下ろした途端、下がっていた降魔たちが一斉にイザナギに噛みついてきたのだ。頭部・首元・手足・胴体を同時に噛みつかれたイザナギのダメージがフィードバックで返ってくる。耐えられそうにない全身に走るダメージに意識が飛びそうになった。

 

「な、鳴上くん!? あなた」

 

「なんだあ、その顔は? 俺は武器を下ろせとしか言ってないぜ。攻撃しないって誰が言ったかよぉ? お前らが勘違いしただけだ、はっはっはあ!」

 

 黒フードのあくどい笑みを浮かべ愉悦に浸っている様子をさくらは見た。

 まさに外道。今すぐここで斬り倒したいところだが、身体が上手く関節を決められていて動かせない。

 情けない、あれほどのことがあって……仲間が蹂躙されるところを見ることしかできない自分が情けない。

 

 

 その時だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ようこそ、お待ちしておりました』

 

 突如、どこからか声が聞こえてくる。この声……この声色を自分は知っている。ぼんやりとだが、意識の中に映る景色が阿鼻叫喚行き交う帝都から霧が立ち込める場所を走る優雅なリムジンの車内へと変わっていた。ここ

 

『お客様は先日、あの子たちと絆を育んだことによって【魔術師】のアルカナを解放させたはず。さあ、思い出して。貴方が持つ類い稀なる才能【ワイルド】の力を……』

 

 

 

―――――()()()()……

 

 

 

 ふと見ると、マーガレットの他にも別の気配はする。見ると、ひとりの少女がリムジンの車窓を儚げに見つめているのが見えた。それは自分も知っている、そして忘れられない大切な人物。

 

 

 

『悠……負けないで』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちぇ……チェンジ……」

 

 思わず口にでたその言葉で降魔たちに噛みつかれていたイザナギは瞬時にタロットカードに戻った。

 

 

 

 

 

────【ジャックフロスト】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐああっ!?」

 

 突然だった。ジライヤがクラリスに手を掛けようとした刹那、全身に衝撃的な痛みが走ったのだ。唐突にきたあまりの痛覚にジライヤは苦しみ悶え始めた。

 

「な、なんだよ……何なんだよ……! 身体が……つ、冷てえ……!?」

 

 冷たい、ここはそんな地帯でも今の季節は冬でもないのに身体が悲鳴を上げるほどに冷たい。思わむ苦痛に耐えようしたジライヤに一瞬の隙が生まれた。

 

「やあああああっ!」

 

「がはっ…!」

 

 刹那、踏みつけられた力が弱まった機を逃がすまいとさくらは瞬時に黒フードに一太刀喰らわせクラリスの解放に成功した。

 

「けほ……けほ……」

 

「クラリス、大丈夫!? あ、あれは……!?」

 

 その時、さくらの目に信じられないものが映った。

 目に映ったのはあの凶悪な降魔たちが氷漬けにされている信じられない光景、そして悠が使役しているペルソナの姿だった。しかも、そのペルソナはイザナギとは全く体型の違う小さな妖精だった。

 雪だるまのような体型で、ポッカリ空があいたような丸い目と八重歯に当たる部分が欠けた半月型の口。頭には頭頂部が角のように二股に分かれて先端がギザギザになってる青い頭巾を被っていた。

 

「……あれは……ペルソナですか? でも」

 

「イザナギじゃ……ない。あのペルソナは一体……? はっ、また降魔が……!」

 

 しかし、考察する暇も与えないと言わんばかりに、まだ残っていた降魔が悠に目掛けて発進した。そんな状況でも、悠は怯まずむしろ立ち向かうような気概で咆哮した。

 

 

 

「畳み掛けろ! ジャックフロスト!!」

 

 

『ヒーホー!!』

 

 

 

 悠の声に反応したジャックフロストの行動は速かった。天を指さして一回転したその時、魔法は発動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘の様子を遠巻きに見ていた市民は驚愕した。

 あの恐ろしい降魔たちが暴れる戦場の光景が変化した。言うならば、降魔が全て氷漬けにされたのだ。そして、それを行っただろう小さな妖精がパチンと指を鳴らした途端、氷漬けにされた降魔たちは砕け散り、西洋で言うところのダイヤモンドダストとなった。

 皆は見ていた。帝国華撃団のような霊視戦闘機は無く、手に持つ刀とあの小さな使い魔のみで立ち向かっていた少年を。ボロボロになりながら、皆を守るその姿に人々は思った。

 

 

────まるで英雄のようであると。

 

 

 その時、誰よりも近くでその勇ましくも逞しい大きな立ち姿を見ていたさくらとクラリスの目にある人物と重なった。どんなピンチでも身体を張って必ず助け出してくれる。そんな乙女の浪漫を感じるように、ほんのりと頬を赤めながらも、目の前の少年の背中をしっかり目に焼き付けた。

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハア……ハァ……終わった…」

 

「鳴上くん! 大丈夫ですか!? 鳴上くん!」

 

 周辺にいた降魔たちは全て殲滅。黒フードもさくらの追撃もあって戦闘不能となったので、とりあえずこの場での戦闘は終了した。

 戦闘が終わってペルソナをしまった途端、戦闘で負ったダメージと疲労がドッと押し寄せ来たのか尻餅をついてしまった。土壇場でペルソナチェンジをやり遂げて降魔を一気に殲滅したのだから無理もない。

 

「良かった……って、鳴上くん! 今のは何だったんですか!? 霧がない状態でもペルソナを出して、あまつさえイザナギとは違うペルソナを出したり……」

 

「あれは……言ってなかったんですけど、俺はイザナギだけじゃない違うペルソナも使えるんです。それで、あれがその一つ、ジャックフロストです」

 

 悠の口から出たその名前にクラリスは驚愕した。

 

 ジャックフロスト。

 それはイングランドの民間伝承に登場する寒さを具現化する霜の妖精。悪戯好きで無邪気な子供のような性格だが、一度怒らせると相手を氷漬けにする。または笑いながら人間を凍らせるなどといった恐ろしい逸話がある。

 それほどのペルソナをこの場で召喚した、否それどころか彼の持つペルソナという使い魔が複数あるという新事実にさくらたちは呆然とするしかなかった。

 

「それに、何で霧がない状態でもペルソナが召喚できたのかは、俺にも分かりません。ただ無我夢中で……俺も出来るとは思わなかったんですが……ただ」

 

「??」

 

「ただ、さくらさんとクラリスさんを……助けたかったから…」

 

 さも当然と言わんばかりに出た言葉。不意打ちに発せられたその言葉にさくらとクラリスは思わず頬を朱色に染めてしまった。

 

 

 

 

「てめえ……てめええっ!! 俺の計画を邪魔しやがってええええ!!」

 

 

 

 

「なっ!?」

 

 安堵は突如として破られた。悠のジャックフロストの魔法で倒れたと思っていたジライヤが呻き声を上げながら立ち上がってきたのだ。

 

「許さねえ……! こうなったら、お前だけでも葬ってやるううっ!! うおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 雄叫びを上げた途端、ジライヤの周囲が黒い靄のようなものが発生し、次第にそれらは大きさを増していくジライヤを中心に収束されていく。そして、黒い靄は晴れたかと思うと、そこには新たな脅威が出現していた。

 

「なっ!?」

 

「あれはっ!?」

 

『はははははははっ! 驚いたか! これが俺の真の姿【マガツジライヤ】だぁ!!』

 

 そこには先ほどまで自分たちを苦しめていた黒フードの姿はなく、代わりにその数倍の図体のある巨大なカエルを模したような怪物がいた。怪物から発せられる声色からそれがジライヤと同一存在。

 目の前に現れた存在にさくらとクラリスはともかく、悠ですら驚愕した。何故ならあのマガツジライヤの姿は元の世界で遭遇した、あのテレビの世界で暴走した陽介のシャドウと瓜二つだったのだ。だが、そんなことはどうでもいい。重要なのは

 

「あいつ……自分からシャドウ化して……」

 

「シャドウ……!? シャドウって、先日言ってた」

 

『しねえええええええええええ!!』

 

 だが、そんなことはお構いなしにマガツジライヤはこちらに突進してくる。疲労困憊となっている悠たちには避けられない。

 

 

 

 

 

 

「そこまでだ!!」

 

 

 

 

 

「ぐあああああああああっ!?」

 

 

 刹那、マガツジライヤに一閃が走った。同時に全身から刀で斬られたような痛みも走る。そして、その痛みを与えた一閃の正体が姿を現した。

 

 

 

 

「闇夜に一閃! 忍びの一撃!」

「正義の刃で悪を討つ!」

 

 

 

「「帝国華撃団、参上!」」

 

 

 

 

 現れたのは常套句を口にポーズを決める霊視戦闘機【無限】が2機。その姿を見た時、さくらたちの表情が希望に溢れた。

 間に合ってくれた。神山とあざみが霊視戦闘機で駆け付けてくれたのだ。その現実に感無量になりそうになると、霊視戦闘機から聞きたかった声が聞こえた。

 

『さくら・クラリス・鳴上、大丈夫か!?』

 

「はい、誠十郎さん!」

 

『俺たちが来るまでよく耐えてくれた。あの降魔の相手は任せろ! いくぞ、あざみ!!』

 

『了解』

 

 通信を終えた神山はあざみと共にマガツジライヤと対峙する。

 

『くそ……くそおおおおおおおおおおおっ!! 次から次へと、俺の邪魔をすんじゃねええええええええええええええ!!』

 

 マガツジライヤは神山たちの気迫に一瞬たじろいだものの、すぐに神山たちへの特攻を開始した。

 

 

「遅い!」

 

 

 だが、そんなものは神山の神速というべき速さには追いつけない。怒りに任せたマガツジライヤの特攻は軽く躱され、その瞬間に神山は無限の刃を叩きこむ。

 

 

『がはっ……! 舐めるなぁ!!』

 

「甘い!」

 

 

 だが、マガツジライヤも負けじと反撃と言わんばかりに攻撃を繰り出した。だが、そんな攻撃のすぐさま控えていたあざみに防がれる。

 そこからはマガツジライヤの防戦一方だった。神山とあざみは鮮やかな連帯で反撃する隙を与えず、着実にダメージを与えていった。

 

『くそお……! くそおおお!! こ、こんなところで……死んでたまるかああ!!』

 

 マガツジライヤは神山たちに敵わないと悟ったのか、この場から逃げ出そうと背を向けた。まさかの撤退行動に神山たちは呆気に取られてしまい反応が遅れてしまった。逃げ足が速いのか、一歩一歩のスピードが速い。このままでは取り逃がしてしまう。まずいと思ったその時、

 

 

 

「イザナギ!!」

 

 

 

 走りだした瞬間、マガツジライヤに落雷が襲った。まさかの追撃をもろに受けてしまい、マガツジライヤは動きを止めてしまった。

 振り返ると、会心の追撃を放ったのは息を荒げながらもジャックフロストからイザナギを召喚した悠だった。決死の覚悟と言わんばかりにこちらを睨むその瞳はこう物語っていた。

 

 

────お前だけは逃がさない……! 

 

 

『て、テメェ……!!』

 

 

『おおっす、神山! 待たせたな!』

 

『さっきの落雷はナルカミのペルソナかしら? だとしたら、お手柄ね』

 

 執念ともいえる攻撃にマガツジライヤが恐れつつも睨みつけていると、逃げ道を塞ぐようなタイミングで初穂とアナスタシアが到着した。前方は初穂とアナスタシア、後方は神山とあざみに道を塞がれたマガツジライヤはもはや袋の鼠だった。

 

「これで終わりだ!!」

 

『くそお……くそおおおおおおおおおおお!! てめーら、このままで済むと思うな』

 

 最後に恨み節を残したマガツジライヤは神山の神速の刃によって斬られ、爆散して塵となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今度こそマガツジライヤの気配は消え、帝都の街には安全が戻った。街の被害はほぼ皆無。降魔たちが悠のペルソナだけを狙っていたのとジャックフロストの氷結攻撃が降魔だけにダメージを与えたためであった。

 街の被害を確認した後、霊視戦闘機から降りた神山たちがこちらに駆け寄ってきた。

 

「3人とも、すまなかった。俺たちの出動が遅れてしまったばっかりに……」

 

「いえ、私たちも全然役に立てなくて。全部鳴上くんのお陰です」

 

「…………」

 

 話を聞くと、どうやら悠たちが居た場所の他にも降魔が出現していたらしい。その箇所は確認しただけでも3か所。すぐにでも悠たちの応援に駆け付けたかったが、他の場所の降魔の対処もしなければならなかったため、応援が遅れてしまったようだ。

 改めて、さくらとクラリスに肩を貸してもらって朧気に立ち上がる悠を真っすぐ見つめると、神山は頭を下げた。

 

「鳴上、本当にありがとう。君のお陰でさくらとクラリス、そしてこの場にいた人たちの命が助かった」

 

「そんなことは……俺は、自分にできることをやっただけで……」

 

「辛気臭えこと言うなって。ほら、見てみろよ」

 

 初穂に促される形で振り返ってみると、そこには先ほどの戦闘をみていたらしい帝都の人たちがいた。悠が顔を向けた途端、帝都の人たちは一斉に称賛の声を上げる。ありがとう、カッコよかった、流石帝国華撃団などとあの悠の戦闘を見て感激を受けたのか、悠を褒めちぎる声が後を絶たない。

 浴びせられる称賛の声に悠は戸惑ったものの、段々と照れ臭くなった。

 

「鳴上くん、私からもお礼を言わせてください。私とクラリス、そして帝都の皆さんを助けてくれて、ありがとうございました」

 

「私も。こんな時に言うのは不謹慎かもしれませんが、貴方のお陰で次の新作のヒントが掴めた気がしました。本当にありがとうございました」

 

 更には共に戦ったさくらとクラリスからの感謝の言葉に悠は更に照れ臭くなってタジタジになってしまう。そんな悠の様子を神山たちは微笑ましそうに見守った。

 

「それじゃあ、いつものあれをやりましょうか」

 

「ああ、そうだな」

 

 いつものあれ、と聞いて皆は示し合うかのように頷いた。そして、こちらを見守る帝都の人たちに向けて、自分たちの勝利を証明するように高らかに告げる。

 

「行きますよ。せーの」

 

 

 

「「「勝利のポーズ! 決めっ!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれが、そうか。なるほど」

 

 とある帝都の建物の屋上にて、勝利のポーズを決める彼、彼女たちの姿を眺めながら女性はポツリと呟いた。その女性は白のシルクハットに仮面、更には白づくめの衣装を身に纏っており、見る人が見れば怪盗服というべき印象を持つだろうものだった。

 

「彼が鳴上悠か。中々面白い少年だ。あの子が褒めちぎる理由も分かる。!!っ……」

 

 瞬間、背後に何者かの気配がしたので振り返ってみると、遠くも近くもない建物の屋上に見知らぬ少女の姿があった。少なくともこの帝都の住人の恰好ではない。

 いつの間に背後を取られていたことに驚く最中、少女は口を開いた。

 

「ねえ、キミは何なの…?」

 

「……ふっ、”誰なのか”・”何者なのか”ではなく、()()()()…か。だが、それは君もなんじゃないか?」

 

 刹那、両者の間に静寂の雰囲気が包む。互いが牽制のつもりで発せられていたオーラは途轍もなく、その凄まじい空気に建物の周囲にいた人々は不可思議な悪寒に襲られた。

 しばらくその状態が続いたが、終止符を打ったのは少女の言葉だった。

 

 

「……もし悠に何かしたら、その時は覚えといて」

 

 

 少女は警告というようにそう言うと、その場から消えるように去っていった。そして、少女が去った跡を見つめると、彼女は愉快そうな表情で呟いた。

 

 

「……どうやらあの少年は神山くんに似て色んなものに好かれてるようだ。さて、今後どうなるかは分からないが、あの少年が神山くんたちに何をもたらすのか……見届けさせてもらおう」

 

 

 

 

ーto be continuded




次回予告

私が新しく書いた舞台は大好評!これも鳴上くんのお陰です。
そんな順風満帆な中で帝劇で事件が発生!?
しかも、その容疑者は……えっ!?
一体、どういうことなんですか!?


次回、Persona4 THE NEW SAKURA WARS

【探偵2人】

太正桜に浪漫の嵐!

その発言、異議ありです!!
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