ダンジョンでハイエルフに出会うのは間違っているだろうか 作:98zin
魔法のお話の部分です
街中に新種が現れた翌日の昼
僕はギルドのお医者さんにお礼を言って部屋を後にした
僕の症状は
一日も寝れば十分治るようでしっかり回復した
だけど僕は魔法も使ってないし、使えない
一度は使ってみたいと思っていたけど僕のステイタスではまだ発現していないはずだ
「魔力のアビリティ、、、何か関係あるのかな、、」
本来魔法が使えないはずの僕が所有していないはずの能力値、魔力
魔法が使えないのに僕の魔力は成長しているんだ
はて、、、それが関係しているとしか思えないけど、、、
しばらく僕自身について考察を続けながら歩く
うつむき加減で進みふと顔を上げるとそこはもうすでに目的地だった
「黄昏の館、、、」
ロキ・ファミリアの本拠地
昨日のリヴェリアさんからの伝言でホームに呼び出された
昨日の今日で来たら、コイツ私に呼ばれてそんなに嬉しいのか、、とか思われないかな、、
偏屈な思考を展開し今さらながら一度自分のホームに帰ろうか悩む
しかし決意した僕はそんな臆病な考えは捨て去り大きな大きな門へと向かう
「止まれ!」
声にビクッと肩を跳ねさ言われた通り立ち止まる
どうやら門番がいたみたいだ
しかも2人も
大きなホームに見とれて気づきもしなかった
流石都市最強ファミリア、、門番なんてつけられる余裕があるんだ、、
「お前何の用だ?」
鎧を身に着け、いかにも門番です!という格好の人が尋ねてくる
「あの、、リ、リヴェリアさんに呼ばれて、、来ました」
自信なさげに放った言葉は辛うじて聞き取れたようで
「お前か、アルファで間違いないか?確かにリヴェリア様から許可をいただいている」
間違いないか?という問いに、はいと返し門番の顔を見る
「ちょっと待ってろ、来たら私を呼びに来いと言われたからな、今呼んでくる」
そう言って片方の門番が走りだしホームの中へと消えていった
残された僕はもう1人の門番に声をかけられた
「アルファって、もしかして昨日リヴェリア様と新種のモンスターを倒したっていう?」
「あ、はい。そうです」
「マジか!スゲーなお前!Lv1なんだろ?よく生きてたなぁー」
真っすぐな賞賛に少し照れ臭くなる
僕がしたことはほんの少しで倒したのはリヴェリアさんだ
「いえいえ!リヴェリアさんがいなかったら僕とっくに死んでました!」
死んでた発言を門番の人は否定する
「いやいや!それでもお前スゲーよ!Lv1で無茶なんか普通出来ないって」
そこでいやいやと返すと門番の人もいやいや!と返す
いやいや合戦が激化していく中ホームのほうから翡翠色の髪をした女性が歩いてくるのが見えた
「!!」
リヴェリアさんだ
間違いなくリヴェリアさん
昨日見たばっかりだけど、見ただけで凄く胸がドキドキする
「あ、リヴェリア様。お疲れ様です」
門番の人も気づいたみたいで僕と話すのを止め礼をしてリヴェリアさんを出迎える
それに
「リ、リヴェリアさん!こんにちは!」
90度以上折り曲げた腰でしばらく静止する
「昨日ぶりだな、アルファ。顔を上げてくれ」
言われたとおりに恐る恐る顔を上げると思ったより近くにリヴェリアさんが立っていた
体の角度が45度くらいでばっちりリヴェリアさんと目が合い固まる僕
優しい微笑みをたたえたリヴェリアさん
思わず見つめた状態で数秒が過ぎる
「、、何をしている?」
「ハッ!?なんでもないでふ!」
、、噛んでしまった
僕の醜態に笑いをこらえる門番の人たち
恥ずかしさのあまりもう一度顔を下に下げてしまう
「少し話がある。ついてきてくれ」
その言葉をきき顔を上げた頃にはすでにリヴェリアさんはホームのほうへスタスタと歩いて行ってしまっていた
「早くいって来いよ。リヴェリア様を待たせると怖いぞ」
さっきまで笑いをこらえていた門番の人たちが催促してくる
「分かりました!」
精神ダメージが大きいけどこのままでいるわけにもいかない
急いでリヴェリアさんを追う
少し走ってリヴェリアさんに追いついた直後リヴェリアさんから声が聞こえてきた
「1つ聞きたいんだがアルファ、お前魔法を使えるのか?」
追いついた僕に首だけ軽く回し尋ねてくる
「いや?使えませんけど、、」
「、、そうか。アルファ、昨日お前が倒れた理由は聞いたか?」
「はい、
今思えばリヴェリアさんの隣を歩くだけで緊張する
「そうだ。
しばらく歩きながら会話を進める
そして着いた先はどうやらホームの中庭のようだ
開けた空間に手入れされた花壇や、長椅子が置いてある
「私もLv1の冒険者が魔法を持っているとは思えない。しかし例外を除いてだ」
そう言って中庭の中央までやってきた僕たちは互いに向き合いリヴェリアさんの説明を聞く
「まず魔法とは何か。魔法とは古代より人類の起死回生の一手として用いられてきた御業だ。モンスターが蔓延り神もいなかった下界で唯一有効打となりえたのが魔法。それはマジックユーザーであるエルフの特徴であるとも言えるだろう。そして神がこの下界に降り立った。そこからエルフ以外の種族も魔法という奇跡を扱えるようになった。もちろん使うことが出来ない者もいるが」
人差し指をたて、目をつぶりながら説明をしてくれる姿はまるで先生のようだ
僕は魔法という言葉に興味を惹かれ食い入るようにその話を聞く
「すこし長くなったが魔法とは、先天性と後天性があるということだ。エルフは基本先天性であり、神の恩恵を得ることでさらにそれを強化することが出来る。そして冒険者が
ありえない、そう思った
魔法、、リヴェリアさんやお祖母ちゃんみたいな凄い吹雪が起こせるわけでもない
何もできない僕が魔法を持っているわけがないそう思った
だけど、魔力のアビリティの存在が僕を惑わす
「、、あの、僕魔力のアビリティが上昇してます。魔法を使ったことが無いのに」
そう言うとリヴェリアさんは目を丸くしさらなる考察を続けた
「そうか、となるとすでに魔法を何度か発動したことがあると、、、しかし自覚が無いし、神ガイアでも発掘しきれていないとなると、、無意識下での魔法の発動、か。先日の新種との一戦あの時私はお前の精神力を確かに感じた。私のスキル
説明されれば納得が出来なくもない
ただそれを僕に教えてくれて、いったい何をしようというのだろう?
「お前が先天性の魔法を扱える理由は分からないが、それはお前のためになるといっていいだろう。事実昨日の新種のポテンシャルはLv3に相当していたはず。にもかかわらず大きな怪我もなく
昨日の一件でそこまで分析してくれていたことに少し嬉しさを感じる
「それでだ、この前のミノタウロスの一件と言い、昨日の事といいお前には迷惑をかけてしまっている。礼と言っては何だがお前が魔法を扱えるようになるまで指導させてくれないか?」
まさかの申し出に驚きを隠せない
え!リヴェリアさんが魔法の使い方を!直々に!?
他派閥の、それも駆け出しの!子どもに!
謙虚に行きたい気持ちもあるがリヴェリアさんの優しさを無下にするわけにもいかない
ていうか本音はぜひお願いします!
ここで素直にならなきゃいつなるんだ!
「ぜ、ぜひ!お願いします!!」
さっきの門でしたお辞儀とは比較にならないくらい綺麗なお辞儀をかまし熱々の想いがこもったお願いします宣言
「ありがとう。上からで申し訳ないが頑張ってお前の先生を務めさせてもらう、少々厳しいが許してくれ」
「はい!」
顔を上げて元気よく返事を返す
「よし、じゃあ早速だが、、手を繋いでくれ」
、、、へ?
気合満タンに意気込んでいた僕
腹筋1000回、腕立て1000回何セットでもやるぞと脳筋プレイを考えてたけどまったくの別のことに戸惑う
手を、繋ぐ?誰と?リヴェリアさんと?僕が?
「早くしろ、、」
リヴェリアさんも少し恥ずかしそうに手を差し出している
エルフは基本他人との肌の接触を嫌う
さらにハイエルフのリヴェリアさんだったらなおさらだろう
こんな2回くらいしか会ったことのない男に肌の接触を許すなんてありえない
そんなくらい凄い出来事に、リヴェリアさんの僕に対する申し訳なさを感じ取りながらリヴェリアさんの手に僕の手を重ねる
向かい合って両手を繋いだ僕達
僕自身も人との接触は珍しい
今までお祖母ちゃんと神様ぐらいかもしれない、手を握りあったのは
、、あたたかい手、ほっそりとした壊れそうなくらい優しい手なのに凄く安心する
緊張のあまり汗ばんでしまわないか焦るがそんなことを気にする暇もなく
「意味もなく手を繋いだわけじゃない。お前に魔力の流れを直接感じてもらいたいからだ」
少し目線が僕からそれている気がするが気にしない
魔力の流れ?どういうことかな?
「言葉で直接伝えるより、実際に体感したほうがはやい。いくぞ」
軽く強く握られた手にドキッとしたが次に襲い掛かってきた衝撃に驚いた
「何か、、流れてくる、、?」
繋がった両手からナニカが流れてくるのを感じる
それは昔お祖母ちゃんの腕の中で寝ていた時のような安心感があった
同じエルフだから、、?
少しだけ涙が出たような気がした
「これが魔力だ。厳密に言うと魔力を私からお前に流し込んでいる状態だ。魔法を放出するときこれをイメージした形で放出する。その手助けをするのが詠唱だ。今お前の魔法がどんなものかはわからないが、イメージは出来たほうが魔法の威力に影響するぞ」
そう言って流れていた魔力を止める
「今の感覚を忘れないうちに同じことを私にやってみろ」
「え?」
やってみろって言われても今まで魔法を使ったこともないし魔力の放出?なんかしたことない
とりあえずなるようになれ精神で手に意識を向ける
リヴェリアさんの手と振れている部分、繋がっている部分に力をこめる
「んっ、、、」
よくわからないけど自分のさっきリヴェリアさんにもらったものを返すつもりで、、
さっきもらった魔力は、言い方が悪いけど僕の中で違うものとして残ってる
それにくっつけるように僕の中の魔力らしきものを繋げて返す
ムムムムムム、、、
出来てるのかな、、、
「ん、アルファ、、もういいぞ、、」
あまりに集中しすぎてリヴェリアさんの手を強く握りすぎた
「わぁっ!ごめんなさい!!」
繋いでいた手を放しすぐに謝る
リヴェリアさんは離された両手を胸の前で重ねて眺める
「出来ていたが、加減というものをまだ知らないみたいだな、、」
眺めていた手を下ろし僕のほうを見る
「ただ最初でここまでできるとは思ってもいなかった。アルファ、才能があるのかもしれないな」
優しく微笑み強く握っていた手のことを怒るでもなく優しく微笑みをくれる
優しい、、女神だ、、僕の女神だ、、
ほわほわとした気持ちになる
神様に聞かれたら怒られそうな言葉を心に浮かべた
「ありがとうございます、次は、、な、にしま、、、」
ほわほわとした気持ちのまま僕の視界はまた暗転した
「う、う、、」
目を覚ます
とは言っても目は開かない
この後頭部の感触、額に置かれた優しい手、、、
また、膝枕だ!!
別に期待していたわけじゃないがやっぱり嬉しい
だけどそれ以上にこの状況を理解すると恥ずかしさがこみあげてくる
今回は逃げないように羞恥心を押し殺して、ゆっくりと目を開ける
「む、目が覚めたか。すまない、また
そう言って僕の頭をゆっくりと撫でる
「い、いや、とんでもないです。僕が悪いんで、、、」
起きろとも言われないし、邪魔そうな雰囲気もない
僕は少しでも動いてしまったらその勢いで羞恥心が巻き戻ってきそうで少しも動けない
っていうか膝枕はいいのだろうか
さっき手繋ぐのに恥ずかしがってたのに、膝枕はいいのだろうか
膝枕は許容範囲なのか、、、?
下から覗くリヴェリアさんのお顔
顔は合わせてはくれないようでリヴェリアさんは空を見ているようだ
今さら気づいたけど、リヴェリアさんと僕が座っているのは中庭にあった長椅子だ今は木陰に隠れていて日差しが当たらない
撫でられ続ける頭にくすぐったさを感じる
優しい気持ちで満たされていた時だった
「あーーーーっ!!あなたは!?」
耳に飛び込んできた叫び声
何故かデジャヴを感じた
「うるさいぞ、レフィーヤ」
「ちょっと、え?リヴェリア様!?また膝枕を!」
近づいてくるその声に僕はゆっくりと起き上がろうとするが額を手で押さえられて起き上がることが出来ない
なんで!?ちょ?え?
瞬時にパニックになったけど降りかかる声にホッとする
「もう少し休んでいろ。昨日今日で2回も
そう言ってもう一度頭を撫で始める
ありがたいけど、嬉しいけど、!恥ずかしさで死んじゃうよ!?ある意味
「リヴェリア様!どうしてそんなことを!?」
「何、魔法の特訓をしていたのさ。
「私の時は
リヴェリアさんやっぱりスパルタなんだなぁと人ごとに思う
「それにあなた!いくらリヴェリア様が膝枕をしてくれるからってあんまり調子に乗らないでください!もっと謙虚な気持ちでされてください!っていうかそもそも誰っ!?」
まずその、誰っ!?って質問が最初に来るはずだよ、、
ツッコミ担当みたいな可愛らしいエルフの少女を横目に見る
だって頭動かせないんだもん
この子はたしかミノタウロスの時に居た子だ
「ちょっと!なんとか言いなさいよ!このままだとロキ・ファミリアいや、オラリオ全エルフに殺されますよ!」
「レフィーヤ、静かにしろ。休憩中だと何度言ったら分かるんだ?」
「す、すみません。でも!」
「そうだ、アルファ。レフィーヤとも特訓をしろ。私より近いLv帯で特訓することで得られることがあるかもしれない」
「ちょ!?リヴェリア様!?」
「それに!レフィーヤも人に教えることで自分を磨くことも出来るだろう?」
いつの間にかこのレフィーヤというエルフの女の子とも特訓する流れになってしまった
さらにそれが決まる間、リヴェリアさんの手がずっと動いていたのは僕しか知らない話
ツッコミ担当:レフィーヤ・ウィリディス