ダンジョンでハイエルフに出会うのは間違っているだろうか   作:98zin

12 / 23
キャラを1から考えるってすごく難しいですね

改めて、小説家の皆さんを凄いと思いました

雫の見た目はなんか命の服装を暗くした感じを想像してもらえれば、、


初めてのパーティ

僕達は雫さんの鍛冶場訪ねた後、近くにある椿さんの工房にお邪魔させてもらった

椿さんの配慮で、雫さんと僕の2人っきりの空間を用意してもらいこれから、というか今からの話をすることになった

通された部屋はどうやら待合室のようで鍛冶っぽいものは何一つおいていなかった

ボロボロの服を着替える雫さんを待つ間、僕は1人でソワソワしながら待合室の椅子に座っていた

ガチャ

「またせたな、、」

ドアが開く音がして入ってきたのはもちろん、雫さんだった

くノ一、と表現するのが正しいだろう

腰には刀らしきものを二本携え、灰色の忍び装束に首元には黒い口隠しを巻いている

脚には黒いタイツを履いており肌が見えるところが顔と手しか見えない

その綺麗な白い髪が黒い服に対比してとても明るく見える

着替えてきたはずなのに頬にはまだ黒い煤が大きな痕になって残っている

気づいていないのか、、指摘しようか迷ったが席に着いた雫さんのほうが早く声を発した

「で、私とパーティを組むって言うのはどういうことなんだい?」

腕を組み僕を改めて見定めるように睨む

確かに急にこんなことを、さらに他派閥の人間が、となったら警戒はするだろう

「実は僕のファミリア、構成員が1人しかいなくてパーティを組めないんです。今はソロでやっていけてますけどそのうち厳しい段階に差し掛かってくると思ったのでそろそろ仲間がほしいなぁと、、」

そこまで話した段階でチラッと雫さんの様子を伺う

その表情はピクリとも動かずただこちらの続きを待っていた

ひぃっ!睨みすぎじゃない?この人

「それでですね、この前僕の神様が雫さんの神様とお話をしたんです。その時にお互い困っているということでパーティを組んでみないか?という話になりまして」

「はぁーん、それではぐれ者の私と、独りのあんたがパーティをってことね」

「そうなんです。僕みたいな無名のLv1の駆け出しとパーティを組んでくれる人なんておそらくいなくて、、、もしよかったら、、どうかな?って、、」

終始小さくなる声

だってめっちゃ見てるもん!

いやこっちの話とか全然聞かない人よりいいけど!

「ホントに?あんたの主神に言われたからそう言ってるだけ?こんだけ不愛想なヤツを仲間にしたいと思う訳?」

めっちゃ噛みつくやんこの人!

ツッコミが止まんないよ!

この前レフィーヤさんのことツッコミ担当とか言ってたけど僕もかな!

「それにそんなこと言ったって、あんたがLv2になったり、スキルや魔法を取得した時私のことすぐに捨てたくなるよ?私の能力は知ってるんだよね?」

「はい、知ってます。だけど大丈夫です。自分のことを不愛想とか言って下げる人は、根は優しいって僕思います。それに僕もう魔法持ってますし」

「なっ!?」

ついに崩れた雫さんのしかめっ面は驚きに満ちる

思わずガッツポーズをとりたくなったが流石に控える

しかし雫さんが崩れた今、こっちが攻める番だ!

「まぁ、雫さんがそこまで言うなら最初はとりあえず、パーティを組みましょう。しばらくして雫さんが僕となんかやってられない!ってなったらいつでもパーティを解消してもらっても結構です!」

ニッコニコの笑顔でそう告げる

「お前、、、バカなのかアホなのか、、まぁいい、そこまで言うんだったらパーティを組んでやろうじゃないか。お前こそすぐに逃げ出すなよ?」

「分かりました!よろしくお願いします!」

勝った、、そう思った

いつの間にか対抗心を燃やしていた自分

絶対にパーティを組んでやるという強い気持ちは彼女に届いたようだ

魔法が使えなくなるのはきっとどうにかできる、、はず

っていうか自動発動ってどういう判定を受けるんだろう、その辺も気になるけど危機的状況下って結構珍しいよね?

「あ、じゃあ1つ聞いていいですか?」

「なんだ」

「雫さんの呪詛(カース)って言うのは具体的にどういう効果なんですか?」

「、、まぁ気にはなるよな。いいだろう教えてやる」

 

 

 

呪詛(カース)

 

【黒百合】

・常時発動、行動をともにした対象のアビリティ、スキル、魔法が24時間発動不可能になる

 

 

 

「行動をともにした、って言うのは今こうやって話している状態も含めてだ。だからさっき私は椿に会って会話をしてしまったから24時間以内は椿も武器を作ってもショボくなる。もちろんすれ違っただけでは発動はしない」

すごく詳細に教えてくれる

やっぱり実は優しい人だ、この人

24時間、、

基本的に生計をたてるために毎日ダンジョンに潜らないといけない冒険者にとっては確かに厳しい条件だろう

「分かったか?こんなものマイナスになってもプラスになることは無いさ」

ふんっと目を閉じ自分をけなす雫さん

その姿がどうしてか悲しそうに見えたのは間違いじゃないだろう

「とにかく!一度一緒にダンジョンに行きましょう!やってみないと何も分からないですし!」

僕はガタっと椅子をならし立ち上がる

なんだかんだ言ってパーティというのは憧れだった

それを楽しみにしている僕は今すぐにでもダンジョンに行きたかった

「、、分かった」

オッケーをもらった僕はウキウキで神様に報告をしに部屋を出た

 

 

 

 

 

 

「すご、、、」

ダンジョン4階層

群れをなすコボルトを破竹の勢いで蹴散らしていくのは黒髪の少年だった

後方で刀を構えている雫は何もすることが無い

今までほとんどダンジョンに潜ってはこなかったが、Lv1が、ダンジョンがこんなに簡単ではないことは知っている

コボルト数十匹をちぎっては投げちぎっては投げを繰り返し猛進していくアルファ

おそらく最後の一匹と思われるコボルトの頭を両断したところでダンジョンに鳴り響く戦闘音は鳴りやんだ

「いやー、後ろを見てくれている仲間がいるってすごくいいね!やりやすい!」

一体何がいいのだろうか、そう雫は思ってしまった

一歩も動かずただただアルファが蹴散らすところを見ていただけ、何もしていない

「お前、ホントに駆け出しか、、?」

半年オラリオに身を置く雫としてはしばらく信じられない光景としてその姿は目に焼き付かれるのだった

一方でアルファはその良い感触に思わず笑みをもらしていた

あの食人花に比べれば、、動きが止まって見える!

Lv3相当のモンスターと対峙したことでアルファの動体視力と瞬発力は大きく向上し4層ほどまでのモンスターなら瞬殺できるまでに至っていた

そんなニコニコで油断だらけのアルファの頭の上

ダンジョンリザードがその姿を現した

気分ウキウキのアルファはそれに気づく様子もなく魔石回収にいそしむ

その危機に気づいた雫はとっさに跳躍しダンジョンリザードの首を落とす

「!?あぶなかった、、」

「まぁ、駆け出しだな」

戦闘能力は確かに駆け出しの域を大きく超えているが、危機管理能力は駆け出しのそれだ

「ありがとう、雫さん」

真っすぐなお礼

今までやって当たり前、足手まとい(デバフもち)だと揶揄されてきた雫にとってその言葉は普通の人が受け取るよりも多くの気持ちを運んだ

それを何でもないように行い真っすぐ雫を見る瞳

耐え切れなくなってしまい目をそらしてしまう

「雫、、」

「へ?」

「雫でいい」

顔を背けられポツリと呟かれたのはそんな言葉だった

アルファはその言葉を聞き、嬉しそうな顔をして大きな声でその名を呼んだ

「ありがとう!雫!」

その言葉はもう一度雫の胸に深く響いた

()()()から感じなかった感情

もちろんその大きな声は近くのモンスターを呼び、雫がその余韻にひたる時間は無かった

突き当りの通路から現れたゴブリン3匹

今度は攻撃に参加しようと腰に差していた刀を抜刀する

ダンジョンの上層、そこに生息するモンスターの知能は低くがむしゃらに突進してくる

近づいてきたところをまとめて切り刻んでやる

そう意気込む雫をみてアルファは一歩下がり援護の体勢に入る

独特の構え、両手で柄を持ちその切っ先は地面すれすれにある

一見だらっとした体勢ににしか見えないその構えは完全に雫の、我流であった

ゴブリンとの距離が5m(メドル)をきった瞬間雫の体は前に倒れこんだ

体が45度以上傾いた状態で雫は走っている

アルファがどうして倒れていないか分からないくらい前のめりだ

互いに迫る勢いであっという間に目と鼻の先までになる

その時下がっていた雫の腕が鞭のように跳ね上がりそのままの勢いでゴブリンの胴体を横に薙いだ

辛うじて躱した1匹だったが残りの2匹は一撃で絶命する

残りも逃すまいと空で返された手首、吸い込まれるようにゴブリンの首に向かうギラつく刃

一切の抵抗なく切り込んだ刃はゴブリンの首をはねとばし、戦闘とは言えない一方的な対峙が終了した

「雫、凄いよ!」

今まで椿を真似て試し切りしにダンジョンに何度か潜っていたのでこれくらいは当たり前、雫はそう思う

雫の作った武器は店舗に置かれはするが無名の鍛冶師が作った武器などほとんどの人が見向きもしない

ましてや、Lv1で鍛冶のアビリティも無いものは

「お互いの連携を考えながらもうちょっと奥に行こう!」

少し沈む雫の気持ちなんてつゆ知らずアルファは初めてのパーティに心を浮足立たせてさらに奥に進んでいった

 

ダンジョン6階層

 

アルファにとっては少し苦い思い出がある階層だが今のステイタスなら、なんら問題はない、はず、、とアルファは思う

何も口出しをしないのでおそらく雫もステイタスや経験的には大丈夫なのだろうと判断したアルファはぐいぐい進んでいく

しかし流石に調子に乗りすぎると、コロっとやられてしまうかもしれない

6階層に入って数回戦闘があった

そのどれも半数以上をアルファが倒し、残りのあぶれたモンスターを倒すのが雫という状況だった

「お前、私いるのか?」

雫がそう思わざるを得ないほどアルファの快進撃は凄かった

ウォーシャドウでさえも両手に持つ長剣を二振りもすれば地に伏せる

パーティを組みたいって言うのはホントは嘘なんじゃないかと思う

魔石を丁寧に回収していたアルファはそれに苦笑いで答える

「ごめんなさい、やっぱり協調性無いですよね、、パーティを組むのが嬉しくて、舞い上がっちゃって、1人で突っ込んじゃって、ごめんない」

別に怒ったわけではないのにシュンとして目を伏せるアルファを見て軽く焦る雫

「別に謝ってほしくて言ったんじゃない、、」

今まで組んできたヘファイストス・ファミリアの眷属たちに比べてまったくもって悪意を感じられないアルファに戸惑いでしかない

魔法もスキルも、アビリティも持っていなかったらまだ分かるが、アルファは魔法を持っている

それにもかかわらず、普通に雫と接してくれる

そのことに調子を狂わされてしまう雫は、とにかく手を動かそうとモンスターの死骸に短剣を突き立てた

 

 

 

 

「すご、、、」

雫は今日何度目か分からない驚きに襲われる

2人合わせて稼いだ額は15000ヴァリス

上層で、しかも2人でこの額はおかしい

雫は普段武器を作る材料費を手に入れるために多少はダンジョンに潜るが、5日潜ってこのくらいだろうと思う

「うわぁ、こんなに変わるんだ、、、」

その言葉に含まれる意味は2つあった

パーティを組むことで1回に運べる魔石の量が増えたこと

さらにステイタスの上昇によっての効率の変化

今までモンスターを倒すのにかかっていた時間の半分以下で倒しきることが出来た

アルファのステイタスは自分が思うよりも一気に飛躍をしていた

「はい!半分ずつですね!」

雫が手渡されたのは半額の7500ヴァリス

明らかに今日の働き具合でいけば、7:3いや8:2でも文句は言えないと思っていたのでまたも驚かされる

「こんなに要らないぞ!私は何もしていない!」

「?そんなことないじゃないですか、雫が後ろを見てくれていたおかげで僕はあれだけ暴れることが出来たんですし」

遠慮しなさんな~とおっさん臭い言葉でヴァリスが入った袋を押し付けてくる

しぶしぶ受け取った巾着袋は、本来の重さよりも重く感じられた

「じゃあ明日もよろしくね!」

「、、明日は怪物祭(モンスターフィリア)だ。私は武器を売るためにホームへ作った武器を運ばなくちゃいけねぇ、だから明日はパスさせてくれ」

「あ、そうなんだ!じゃあ僕も手伝うよ!雫がどんなものを作っているか知りたいし」

「やめておけ。明日はファミリアの奴らにも会う。私といたら頭のおかしなやつだと思われるぞ」

「構わないさ、僕はそんなこと気にしないよ?」

拒絶しようとしても何ともなしに喰いついてくる

もうパーティを組んだ時点でアルファからは逃げられなくなってしまったと悟った雫だった

 

 

 

 

 

~翌日~

 

『今日は年に一度の怪物祭(モンスターフィリア)だ!そして俺はガネーシャだ!!』

 

都市の東部に位置する円形闘技場

その前で演説をするのは象の仮面をかぶりマイクを持って叫ぶガネーシャだった

人、人、人、、

円形闘技場に続く道は怪物祭(モンスターフィリア)を楽しむ人で溢れかえっていた

両脇にはこれでもかと露店が開かれており賑わいを見せている

東部からは外れダンジョンの真上、バベルの塔でも今日は人の出入りが凄まじい

今日に向けてヘファイストス・ファミリアの眷属たちがこぞって力作を作ったのだ

それが所狭しと並べられ、新たな使い手との出会いを待ち望んでいる

もちろんそこに並べられるのは全鍛冶師の作品だ

こういう機会で新米鍛冶師は駆け出し冒険者たちと契約を組んだり、その腕を上級冒険者に見いだされたりする

 

「うわー、凄いいっぱい武器がありますね」

 

そこへ武器を運びに来たのはアルファと雫だ

初めて上るバベルの塔に興奮するアルファ

ヘファイストス・ファミリア製の武器がこれでもかと並ぶ階

そこには流石に今日はダンジョンに潜らず見定めにくる沢山の冒険者もいた

「、、、、」

他の人と目を合わさないように進む雫

彼女が手にもつのは数本の刀

防具はどうやら作ってないようでその刀が彼女の作品のようだ

っていうか爆発しながら作っていた刀ってどんな、、、

先日の爆破光景を思い出しアルファはその刀に興味をそそられる

「雫は刀が好きなんですか?」

腰に添えられている刀も見てそう尋ねるアルファ

「そうだ、昔から私は刀しかつくらん。というか刀しか打ったことが無い」

そう言って手元に目を落とす

大事そうに抱えられている刀たちは1つ1つ丁寧に装飾まで凝られておりあの爆発からは想像もできない出来栄えだ

それ以降また声を発さない雫に苦笑しつつアルファたちは雫の武器を置く場所へと向かう

 

「なぁ、あれ、雫じゃねぇか、、」

「マジか、隣にいるやつはなんだ?仲間?友達?」

「さぁな。まぁ雫に関りがあるやつはろくでもないだろ」

 

そんな心無い声は周りを見て、しきりに感嘆の声を上げるアルファには聞こえない

が、その声は真っすぐ進む雫には嫌でも耳に入ってきた

普段ならまず気にすることもないその声に今は苛立ちを覚える

その理由はどうしてかは分からない

そのことにさえも苛立ちを覚えついつい早足になる

「ちょっと雫!速いよ!」

いつの間にか置いて行かれそうになったアルファは駆けだし雫の横へと戻ってくる

それと同時に雫の足が止まった

どうやら所定の位置に着いたようだ

雫はそっと刀を下ろし丁寧に並べていく

こういうところは丁寧なんだなぁと失礼にも思ってしまうアルファ

並べ終えた雫は立ち上がる

「あれ、雫はここで売らないの?他の人は自分の作品の近くに居たりするけど」

どこかへ行こうとする雫に声をかける

周りの鍛冶師は自分の作品の近くに居座り、通っていく冒険者たちに自分の武器や防具の性能を大声でアピールしていた

「私がいても邪魔になるだけだ、私と商談でもしてみろ。明日ダンジョンで自分の異変に気付いた時にはお陀仏だ」

そう言って踵を返し出口へ向かった

凄く生き辛い、、

アルファはそう思ってしまった

鍛冶師でありながらお客と声も交わせられない

一般人とは何ら支障は無いが、こうして冒険者と関わるときは凄く気を遣っているのだろう

アルファは彼女がこんなやり辛いなか、どうして鍛冶師をしているのか気になってしまった

 

その後すぐにバベルの塔を出た雫は人の進む向きとは逆向きに進んだ

 

「雫!どこに行くの?」

 

その後ろをまるで親を追う子どものようにぴったりくっつくアルファ

「鍛冶場に帰るんだよ。もう今日私がやることは終わった。明日結果を聞きに行くだけだ。だから今日はもう帰ってくれ。怪物祭(モンスターフィリア)でも行って来たらどうだ?」

「え~、僕モンスターのテイム?興味ないし、あんまり人混みが得意じゃないからな~。ついて行ってもいい?」

ここで無理といっても意地でもついてくるのがアルファだ

この数日でアルファの性格を完全に理解した雫は諦める

「何も面白いものはないぞ?」

「やった!鍛冶場一度見てみたかったんだよね!」

嬉しそうにはしゃぐアルファにため息をつく雫

 

いつの間にか壊れた1人の世界

自分の呪詛(カース)が発現してから半年、ほとんど人との関りが無かった雫にとってアルファは、曇り空に差し込む太陽のようだった

 

 

 

 

 

 

 

「全然人がいないね」

北東の大通り、昨日まで聞こえていた鉄を打つ音は聞こえず今はアルファと雫の足音だけが響く

「全員怪物祭(モンスターフィリア)に行ってるんだろ。今日は年に一度の売り時だからな」

当たり前だろうという風に雫が教えてくれる

両脇の鍛冶場という鍛冶場が戸を閉め、昼間だというのに人っ子1人もいない光景にアルファは不気味に思う

遠くに見える魔石工場さえ今日は煙をあげていない

そんな静かすぎる空間に耐えかねアルファが声を発しようとした時

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ、、、、、

 

微かに地面が揺れたような気がした

それはこの場が誰もいないから気づけるような小さな揺れだった

「地震、、?小さいけど」

確かに揺れた地面だが2人は特に心配はしなかった

オラリオの下にはダンジョンがある

なら、小さな地震が起きたところで何かしらダンジョンが関係しているのだろうと考えたからだ

普段気づかないほどの小さな揺れ何てまったく気にせず歩く2人

「そうだ雫。聞きたいことがあるんだけど?」

「なんだ?」

「雫はどうして鍛冶師をしてるの?偏見だけど女性の鍛冶師ってあんまり見ないけど」

雫はその質問にすぐ答えられなかった

しばらく返ってこない返事にアルファは不味いことを聞いたような気がして言葉を訂正しようとする

「ごめん、雫が言いたくないなら強要するつもりはな、、、」

その時だった

大地が大きく揺れ、裂けたのは

「「!?」」

大きな揺れに体勢を崩し地面に手をつく2人

その揺れはどんどん大きくなり次第に近づいてきているような気さえする

「ま、まさか、、、?」

揺れすぎた地面はその原型を失くし、どんどん隆起した場所が出てくる

周りの建物まで巻き込みの割れは広がっていく

そして大きく空いた割れ目からアルファが危惧したソレが現れた

毒々しいほどの鮮やかな緑、その姿はまるで触手のようだがアルファは本当の姿を知っている

食人花、以前アルファがリヴェリアと共闘して倒したモンスターだ

「なんだこれ、、」

唖然としその巨大な触手を見上げる雫は動けない

目が無いのにまるで場所が分かっているようにその触手は雫へと振りかぶられる

何が起こったか分からない雫はようやく立ち上がり、自分の危機を理解する

「間に合わ、、!」

自分に振り下ろされた触手に、確実に潰されたと目を瞑った雫

しかしその触手は地面を砕いただけだった

「大丈夫!?下ろすよ!?」

死んだ、そう思った雫は聞こえてきた声に恐る恐る目を開ける

周りの景色が勝手に流れていく

どうやらアルファにギリギリで助けてもらったようだ

アルファに抱えられた雫は現状を理解しすぐに地面に足をつけアルファと走り出す

「なんなんだ!?あいつは!」

「この前も見た、、!あいつは新種のモンスターだ!」

「な!?あんな奴ここ(地上)に居ていいのか!」

「知らないよ!僕だってこの前初めて見たんだ!」

何故か口論が始まり2人は並走しながら唾を飛ばす

触手はと言うともう一度地面に潜り地面を盛りあげながら迫ってくる

「追いかけてきてるぞ!?」

「知らない、知らない!どうしろって言うんだよ!」

2人が知る由は無いがこのモンスターは魔力に反応して攻撃を仕掛ける

常に呪詛(カース)を発動し続ける雫は完全に狙われていた

「とにかくLv1の僕達だけじゃ殺されるだけだ!とにかく走って逃げよう!」

幸いなことにここには他に人がいない

一般人を巻き込むことが無いがそれは逆に追われ続けることになるということだ

中央に行ったら被害が凄いことになると思ったアルファはオラリオの外壁に向かってひた走る

建物をなぎ倒し、どこまでも追いかけ続けてくる食人花

さらにその奥に1つの影がこちらを見ていたのをアルファたちが気づけるはずもなかった




大ピンチ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。