ダンジョンでハイエルフに出会うのは間違っているだろうか   作:98zin

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現状

アイズさんに抱えられ空を飛んだ僕はギルドに連れて行ってもらった

体格は大体同じなのに軽々と持ち上げられた僕は少し悔しい気もしたが痛むお腹がそんな思考を一瞬で飛ばした

僕がお腹に怪我をしているのに気づいたアイズさんは気遣ってくれて僕の抱え方を変えた

さっきまでは運ばれる人だったのに、両脇の下に腕を通されてしまい下半身はダラっと伸びきっていて、完全に悪いことをして捕まったネコになっている

ギルドの前に降り立てば職員たちが慌ただしく走り回っていた

アイズさん曰く

「モンスターがいっぱい逃げ出しちゃったんだ、、」

らしい。怪物祭(モンスターフィリア)としては最悪の事態だろう。文字通り怪物祭り

町の人たちが巻き込まれてしまえば今後怪物祭(モンスターフィリア)は開催されない

という僕の懸念は次のアイズさんの言葉で何でもなくなった

「でも、リヴェリアたちが町中に待機していたから、被害はほとんど出てないよ」

リヴェリアさん!流石です!

この前僕とリヴェリアさんが戦った食人花が出現してからいくつかのファミリアが警戒していたらしい

今日も警戒態勢のなかで怪物祭(モンスターフィリア)は行われたようだ

しかし警戒していたのにも関わらずモンスターの逃走は起きてしまった

さらにそれだけじゃない

「逃げ出したモンスターだけじゃ無い、ですよね、、?」

「うん。あの食人花は怪物祭(モンスターフィリア)には居なかった」

雫に軽く聞いたけど怪物祭(モンスターフィリア)はダンジョンからモンスターを捕まえてきてそれをガネーシャ・ファミリアの眷属たちが見世物(ショー)としてお客に披露するらしい

先日の件で食人花は新種と断定され、ダンジョンに生息していないモンスターとされている

それが今日も現れたとなると、、、

「おーい、アイズた~ん!無事か~?」

ギルドの前で思考にふける僕達の前に現れたの朱色の髪をした女性だった

しかしただの女性じゃない。放つ雰囲気が明らかに神のそれだ

「ロキ、私は大丈夫。でもこの子は、怪我、してる」

ロキ、アイズさんとリヴェリアさんの主神

その目をこちらに向け体の状態を確認する

「おー大丈夫かいな。自分どこの子や?黄昏の館(うち)連れてくか?」

ロキ様がそう言うのはギルドが慌ただしくしているからだ

逃げ出したモンスターによる被害は最小限に抑えられたとはいえ、怪我人はいる

我先にと逃げ出したモンスターを狩ろうとした冒険者たちが返り討ちにあい怪我をしたようだ

医療室は彼らでいっぱいだろうし、それになぜモンスターが逃げ出したとか、管理はどうなっているだとか対応に追われるギルド側を気遣ってだろう

「僕はガイア・ファミリアのアルファと言います。お気遣いありがとうございます。ですがここまでアイズさんに連れてきてもらってその上介抱まで受けてしまうのは心苦しいので、、、」

ホームに帰ります。と最後まで言わせてもらえなかった

なぜなら目をギラつかせたロキ様に両肩を掴まれてしまったからだ

グイっと掴む力は神の恩恵(ステイタス)をもつ僕ですら振り払えないのではないかと思うくらい強く

「なんや自分、ガイアのとこの子やって?ちょうどええ、怪我診たるついでにちょっと話聞かせてもらおか?」

食い気味に来るロキ様に逆らうことなんて到底できずに二つ返事で了承してしまう

ちょうどええって、僕なんかしたっけ、、?

何故か後ろめたい気持ちが出てきて過去の自分の行動を振り返るが、何も思い当たらない

そんなロキ様の様子見ていたアイズさんも少し驚いているようだ

まぁ、リヴェリアさんに会えるかもしれないから僕としては願ったり叶ったりなのだけど

掴まれた肩はしばらく離されることなく僕はアイズさんとロキ様に挟まれロキ・ファミリアのホームに連れていかれるのだった

 

 

 

 

 

 

 

ピチャ、、ピチャ、、

薄暗い地下水道。一定のリズムを刻む水滴が落ちる音

水道の脇には鍵のかかっていない漆黒の檻が転がっていた

あたりは何かが這いずったような痕跡が無数に残る

だがその痕跡を印したモノはもうこの世に存在しない

「チクショウ!まただ!」

静寂を破り響き渡るのは怒りを含んだ男の声だった

その男は開け放たれた檻を蹴りつけ怒りをぶつける

檻の柱はいとも簡単にへし折れ千切れた先を地下の壁にぶつけ、カラン、、と虚しい音を響かせた

「そうカッカするな、、今回のはあいさつ代わりだ。それに警戒態勢がひかれていた上ロキ・ファミリアの奴らに出くわすという不運が重なった」

「警戒態勢、、ってお前があの1匹を逃がさなかったら今回の襲撃もバレずに派手にブチかませたんだよ!!」

もう1人の男は壁にもたれかかり怒る男をなだめようとするが失敗に終わる

「アレは私のミスではない。あいつが勝手に逃げ出したのだ」

「それをミスって言うんだよ」

「むっ」

檻を蹴飛ばしても怒りが収まらないようで頭を掻きむしる

「クソっ!それに今日の奴らはなんだ!?1匹勝手にどこかに行きやがって!命令に背くやつらばっかだな!」

「あぁ、それに兄上もどこかへ行ってしまわれた」

声を荒げ今にも暴れだしそうな男に水滴が1つ落ちる

頬に直撃した水滴に苛立ちを覚え上を睨みつけた時だった

「兄貴、、」

「お帰りなさいませ。兄上」

天井には男が()()に立っていた

重力に反し、しっかりと天井に足をつける様はまるで蝙蝠のように見える

力を抜き天井から離れたと思えばさっきまで暴れていた男の横へ着地する

「分かったぞ」

放たれた第一声はそれだった

2人は意味が分からずひとまず兄と呼んだ男の続きの声を待つ

「あいつらが勝手に地上に出ていく理由が分かったぞ」

「いったいなんだっていうんだよ」

しびれを切らしすぐ隣にいる兄に苛立ちを含んだ声を投げる

「あれはまさしく魔の王の子」

「魔の王?なんだそれ」

「まさか、、いやはや、生きて子をなしていたとは」

「だからなんで言ってくれねぇんだよ!なんの話だ!?」

「絶望を見せてやろう」

横で叫ぶ男の声がまるで聞こえていないかのように1人呟く

身を震わし声も震わせた男は恍惚の表情を浮かべる

「あぁ待ち遠しい、、」

地下水道に響き渡ったその声は明確な悪意と邪念を含んでいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、、」

ホームに戻ったリヴェリアは1つ溜息を落とすとともに自身もリビングにあるソファに腰を掛ける

以前現れた食人花を警戒しいくつかのファミリアから警備が出された怪物祭(モンスターフィリア)

リヴェリアも直接の戦闘経験があるということでギルドとガネーシャ・ファミリアから直接警備をお願いされたのだ

当日、何事も起きず円滑に怪物祭(モンスターフィリア)は行われていた、はずだった

突如として街中に現れたモンスター、一時パニックになりかけたオラリオだったが事前に待機していた各ファミリアの精鋭が速攻で撃破

リヴェリアが魔法を放つまでもなく撃沈したモンスターたち。その後処理は倒した当人たちに任せ、リヴェリアはパニックに陥っていた多くの人たちの誘導を行った

すぐに騒ぎは収まりギルドの職員が後処理をしてくれていた

 

このモンスターたちは全て怪物祭(モンスターフィリア)に出場する予定のモンスターで、新種のモンスターとはなんら関係がなく問題は無い、ことも無いが、とされ脱走の原因究明が行われようとした時だった

円形闘技場から離れたところで食人花が2匹も出現したという連絡が入ったのだ

幸いティオナ、ティオネ、レフィーヤがその場に居合わせ食人花と対峙し、後にアイズが合流しそれを撃破したのだが苦戦を強いられた

以前現れた食人花のポテンシャルはおそらくLv3相当、そうリヴェリアから聞いていたティオナたちだったが現れた食人花たちはそれ以上のポテンシャルを備えていた

第一級冒険者であるティオナたちの攻撃が、いくら武器を使用していないといえど、まともにダメージを与えられないとなるとその事実は大きな不安を冒険者たちに与えた

さらに魔力に反応する習性。レフィーヤが魔法を放とうとすればすぐに標的をレフィーヤに変えたという

既出のモンスターたちとは全く異なる性質をモンスター

今後、このモンスターが大量に出現すれば、上層で冒険をする冒険者はすぐに狩られてしまうだろう

 

「個体差、、」

 

また1つ呟きを零したリヴェリアは思考にふける。前回と今回の報告の相違

リヴェリアが触手による攻撃を受けた時はそこまで痛手にはならなかったが、今回はレフィーヤが重傷を負ってしまった

もし前回現れた食人花が今回の報告されたものと同じポテンシャルを持っていたならばリヴェリアはともかくアルファは瞬殺されていただろう

ダンジョンにいない新種のモンスター。まだまだ不可解なことが多すぎる中でオラリオのトップファミリアである自分たちが何をすればいいか悩むリヴェリア

あごに手を当てしばし黙考するが明確な策が頭に浮かぶことはない

今考えていても何も得られる答えは無いと考え立ち上がり自室へ帰ろうとした時だった

 

「自分ホンマに何も知らんのやな?」

「知らないですよ。ただ襲われただけです」

 

廊下に続いているドアがバンッと開き3つの影が部屋へ入ってきた

癖のある喋り方はロキのものだとすぐにわかったがもう1つの声は黄昏の館(ホーム)で聞くことはしばらく無いと思っていた人物のものだった

「アルファ?」

「リ、リヴェリアさん!?」

ばっちりと目があった2人はそれぞれ驚きの表情を浮かべた

「おぉ、リヴェリアも帰っとったんか」

「あぁ。さっき帰ったところだ。それよりなぜアルファがここにいる?」

リヴェリアとの出会いによって感動の硬直からいまだに抜け出せないアルファを見てそう尋ねる

体はボロボロで明らかに戦闘のあとだということが伺える

「コイツにはちょっと聞きたいことがあったからな。連れてきてもうたわ。やけどまず怪我の治療しやないかんから、リーネ居るかな?」

わざわざ治療師(ヒーラー)であるリーネを呼びに行こうとするロキを声で制し、上げかけていた腰を完全に上げ3人のほうへ向かう

「いい。私がやろう」

「ホンマか?助かるわ」

杖は無いがそれなりの効果は望めるだろう

身に纏うローブをはためかせ詠唱を開始する

アルファは憧れの存在が自分のために詠唱していることにさらに感動を覚え泣きそうになった

清らかに詠われる詠唱文

アルファは身動きせずその声に耳を澄ます

「【フィル・エルディス】」

突き出された腕とともにあたたかな風が2人を囲む

ほとんど軽傷だったアイズの体はあっという間に小さな擦り傷1つも残さず回復する

アルファと言うと回復魔法自体にも感動し自身の体の傷が治っていく様をしきりに観察していた

「まだ痛むところはあるか?」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

「ありがとう」

アルファとしては少しお腹の奥がまだじんわりと痛むがそんなこと口が裂けても言いたくない

リヴェリアがわざわざ自分たちのためにかけてくれた魔法にケチをつけることなんてしたくない

「ありがとうな~。流石みんなの母親(ママ)やわ」

「誰が」

いつものやり取りを受けリヴェリアは言葉一つではねのける

はやく話とやらを聞こうと中央に置かれているソファにもう一度座ろうとした時、アルファの純粋な疑問が投下された

 

「えっ、リヴェリアさんってお母さんなんですか!?」

「そんな訳ないだろう!?」

 

思わず叫んでしまったリヴェリアに、ぷっと小さく吹き出し慌てて口を押えリヴェリアを見るアイズ

案の定軽く睨まれてしまう

しかしその横では抱腹し笑いをこらえるロキがいた

「くくっ。お前おもろいな」

「早く話と言うのを始めるぞ、、」

少しだけ頬を紅く染めたリヴェリアはふんっと腕を組みソファに腰を預ける

リヴェリア目を合わせないように対角線上のソファに座るアイズと笑いをこらえながらその横に座るロキ

空いているリヴェリアの横にアルファが座ったあと、ようやくまともに息をしだしたロキから話が切り出された

 

「はぁ、笑った笑った。ほな始めるで。あの気色の悪い新種のモンスターの話や」

 

 

 

 

 

 

話が進むにつれその場の空気は少しづつ重くなっていく

自分が居ていい場所じゃないような気がして首を縮め存在を薄くすることに全力を注ぐアルファ

しかしその目論見はリヴェリアが発した言葉によってやぶられる

「アルファ、お前また襲われたのか?」

食人花に、という言葉が抜けているが今の話の流れで容易に推測できる

「はい、、」

素直に答える

アルファだって襲われたくて襲われたわけじゃないが、何故か悪いことをしたようでその首をさらに縮めた

この段階でリヴェリアはロキがなぜアルファを連れてきたかを察することが出来た

この短期間で新種のモンスターに2回も襲われている

言い方がよくないが今回も無事に生きて帰っている

食人花についての手掛かりがほとんどない現状、当事者であるアルファが何か知っているのではないだろうかと疑うことは必然だった

「自分、あの触手みたいなやつに好かれとるようやけどなんかしよったんか?」

「何もしてないですし、何も知らないです」

改めて明確に否定するアルファを鋭いまなざしで見つめるロキ

神の前では嘘がつけない、心を視られるからだ

ふりだしかぁ~とソファの背もたれにもたれかかり伸びをする

ロキの反応を見るにアルファの言った言葉は虚偽ではないことが立証された

 

何も新しい情報が得られないまま話は進んでいく

 

「アルファ、今回現れたモンスターの強さ、体感的には前のヤツと比べてどうだった?」

ふとリヴェリアが疑問を口にする

今回レフィーヤが怪我をしたという事実とアルファが無事ではないが、五体満足でこの場にいるという事実

さっきもった違和感、個体差について尋ねる

「今回の食人花の強さはリヴェリアさんと戦ったヤツより少し弱いように感じました。僕達Lv1の敏捷(あし)でも逃げることが出来ましたし、、」

僕達、、と言うのは話の中で軽くふれたアルファのパーティメンバーの事だろう

一概にLv1 といえどその幅は広いが、アルファと同程度の実力を持つ者だと考えたとして、その2人が食人花から逃げきることは可能なのだろうか?

否、と結論づけるのはしばらく沈黙を保っていたアイズだった

「私が戦ったのは少し、、速かった、、それで、レフィーヤが怪我した」

アルファの言葉を否定するようで少し言葉を詰まらせながら口にする

確かにレフィーヤは詠唱中ではあるがモンスターの攻撃を受けた

仮にアイズたちと対峙したモンスターがLv1より少し上の力を持つと仮定しよう。そうならばレフィーヤは詠唱途中でも攻撃を喰らうことなく、そもそもティオナとティオネがその攻撃を阻止できたはずだ

故にアイズたちは確かに高ステータスの食人花と戦ったことになる

2人の言葉を聞き沈黙を貫くロキは、何の反応も示さない

つまり、嘘は言っていないことになる

「やはり、個体差が存在するのか、、」

ダンジョンに生息するモンスターならばその階層ごとによってポテンシャルが異なるが地上のモンスターにそれは当てはまらない

食人花が地上のモンスターと断言するわけではないがダンジョンに生息するモンスターではないことも直感的に分かる

その生態はさらに謎を深めるばかりで彼女たちの頭を悩ましている時だった

「そう言えば、、、アイツ、魔石を、食べてました、、」

「魔石を、、?」

アルファたちが食人花を火に巻いたあとアイズが助けに来てくれたという部分の間

火に巻かれながらも必死に抗い、魔石を喰らい、生にしがみつく様を思い出し今さら悪寒がその身を走る

よくよく考えればアルファたちはあの場で死んでいて、この場に居なかったかもしれない

そう思うと目の前にいるアイズが女神のようにも見えてきてしまうのはしょうがないのだろうか

目をウルウルさせこちらを見つめるアルファになぜか白髪の少年の姿を重ねてしまうアイズ

「強化種、魔石を喰らいその力を底上げする厄介な行動やな」

ダンジョンでも稀に出現する、強化種

主にモンスター同士が争うことは無いがふとしたきっかけで争いが起き片方が片方の魔石を喰らったとしよう

その時喰らった側はまるで冒険者のステイタスが上昇するように、その力を増大させる

そんな魔石を喰らうという行動を目的に行動するモンスターなんて前例がいない

「そうか、だからレフィーヤは狙われたのか」

レフィーヤが戦闘とは少し離れたところで詠唱をしても狙われたこと

それは魔力に反応したからだ

魔導士としては厄介なモンスターだと苦い顔を浮かべるリヴェリア

今後食人花がどのようにしてこのオラリオにかかわってくるかは謎だが、この事実は周知させなければならない

前衛が近接戦闘を行い、後方で魔導士が魔法を詠唱し支援する、という定石(セオリー)が崩される

ようやく見つかった収獲らしき情報

なんとか意味のある話し合いを行うことができ、一応は満足した顔を浮かべるロキ

とりあえず他のファミリアの人間を長い間ホームに招き入れていては他の団員に見つかって、いろいろ説明しなくてはならないので今日はここまでとお開きになった

アルファを門まで送ろうとリヴェリアが立ち上がる

もしこの光景をロキ・ファミリアの団員が見たら、いったいこの(アルファ)は誰なんだと1週間は話題がもつだろう

アイズはボロボロになってしまった洋服を着替えに自室に、ロキはそれを覗きに行こうと手をワキワキさせながらアイズについて部屋を出て行った

アルファも立ち上がり出口のほうの扉へ向かおうとした時、1つ疑問に思っていたことを口にする

「そういえばリヴェリアさん、僕今魔法が使えないんですけど、魔力の練習できますか?」

「む、どういうことだ?」

魔法が使えない、リヴェリアとしては嫌な言葉の響きだ

さらにその言葉の意味、実際に魔法が使えないのか、技術的にまだ魔法が使えないのか、疑問に思うことがある

「実はですね、この前リヴェリアさんに魔力の流れを教えてもらったあと、確かに魔法は発現したんです。ただ、、諸々の事情があってしばらく魔法が使えそうになくて、、。それでも魔力の扱い方、流れを生み出すことは出来るのかなって」

諸々の事情、と言葉を濁したのはあまり突っ込んでほしくない内容だろう

何も言わずその言葉に対する答えを返す

「よくわからないが、やってみれば分かる話だろう。、、ほら」

やってみれば分かるだろうと言った時点でその練習の相手が自分になってしまうことに気づき、ぎこちなく手を差し出す

「い、いいんですか?」

思わぬ申し出にアルファもぎこちなく応答する

差し出された手を軽く握り返しその感触に優しさを感じた

「出来るかな、、」

リヴェリアの手の感触を確かめ、少し力を入れる

以前やった時のように自分の中の何かを、今度は精神疲労(マインドダウン)しないように、少しずつリヴェリアに流す

「出来てるぞ。前より安定もしている」

まさかのお褒めの言葉をもらいその顔をほころばせ照れるアルファ

流石にもう繋がれた手にリヴェリアが照れることは無いが、その純粋な感謝の気持ちに心が和らぐ

さっきまで頭を使い気を張りながら考えていたので、その糸が緩んだようだ

繋がっている手をどちらも離すことなくお互いに言葉を交わす

「ありがとうございます。魔法は使えなくても魔力は使えるんですね」

魔法とは魔力を、詠唱によって形作り、外界へ具現化させること

魔法が使えないとはその外界への出力が不可能という判断でいいのかと納得するアルファ

魔力制御は行えることが分かったので名残惜しいが、リヴェリアの手をそっと放す

「しばらく魔法は使えないと思うんですけど、まずはこの練習方法で魔力の扱いに慣れたいと思います」

手に残るお互いの熱を感じしばらく黙り込む2人

先に動き出したのはリヴェリアだった

「、、、そうか。また困ったことがあれば私に聞きに来い。できる範囲で助言する」

「ありがとうございます」

 

都市最強と弱小ファミリア

交わるはずのなかった2人は不思議な師弟関係を築いていくのだった

 

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