ダンジョンでハイエルフに出会うのは間違っているだろうか   作:98zin

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あの、三人称視点と一人称視点ごっちゃになりますが練習させてください


魔法

ギルドの医療室

そこには本日の功労者であるガイア・ファミリアの眷属、アルファ・イロアスが横たわっていた

 

ダイタロス通りに突如として出現した極彩色の食人花モンスター

それをたまたま居合わせたロキ・ファミリア、リヴェリア・リヨス・アールヴ、Lv6とガイア・ファミリア、アルファ・イロアス、Lv1が撃破

人的被害はリヴェリアの軽傷と、アルファの数々の裂傷と精神疲弊(マインドダウン)のみ

多くの住民は避難しており、逃げ遅れた住民もリヴェリアに保護されていた

 

ギルドから張り出された張り紙

これだけを見ればアルファが功労者と判断する者はいないだろう

二つ名もない無名の冒険者と、オラリオ随一の魔導士。どちらがモンスターを倒したと、聞くまでもないからだ

事実、モンスターをあの広場にとどめ、討伐したのは九割リヴェリアだ

しかしリヴェリアが発した一声が大衆のその考えを否定

 

『確かに倒したのは私だが、彼がいなかったら私は少女も助けることが出来ず、応援が来るまで建物の被害をいたずらに増やすだけだった』

 

住民の要請を受けギルドが派遣した冒険者が現場にたどり着いたとき、地面は抉れ、家は三軒以上崩壊していた

これ以上建物が倒壊していたら、避難した住民たちに被害が及んでいたかもしれない

 

この言葉をギルドで野次馬根性全開に聞いていた神たちは面白いネタが聞けたと満足し、冒険者たちは、Lv1が、、ありえねぇ、、と賞賛と嫉妬をそれぞれ振りまいた

 

「、、まったく君はすぐ無茶をするね」

 

彼が横たわるベッドの傍ら(かたわら)ガイアは優しく頭を撫でながら呟いた

昨日の今日でこれか、、

『僕、強くなれますか?』

先日弱弱しく呟かれた言葉がガイアの脳裏をよぎる

君は十分頑張ってると思うけどなぁ

アルファが倒れたと聞いて牧場から飛んできたガイア

忘れかけていた、というか忘れていた牧場のバイトを放り投げギルドに飛んできたのだ

医療室に着いたときは心臓が色んな意味で止まりそうだった

アルファの傍に立っている翡翠色の髪のエルフ

ガイアのあわただしい入室に驚き目を丸くしていた

聞けばどうやらガイアの想い人、リヴェリアなんとからしい

グルルルと敵意をむき出しにすれば、

「体が休まったらで構わないが、近いうちに黄昏の館に来てくれ」

という伝言を頼まれ彼女は部屋を後にした

そんなん知ったこっちゃないわ、と心の内では思いながらすぐさまアルファの隣へ陣取り頭を撫で続け今に至る

精神疲弊(マインドダウン)って聞いたけど、アルファ君魔法なんか使えたの?」

もちろん眠っている彼が答えることはない

彼のアビリティには確かに魔力の欄が記載されている

本来魔法を習得していない眷属の魔力のステイタスが上昇することはない

しかしアルファはガイアが神の恩恵を授けた時から魔力の数値が存在していた

特に気にすることのなかったガイアだったがこれはオラリオ全体でみれば極めて異例な事象であった

「、、う、うーん、、」

ガイアが思考の海に突入する中部屋にアルファの声が響いた

「アルファ君!?」

頭がもぞっと動き、手のひらを髪が優しく撫でた

「か、神様、?」

ゆっくりと起き上がり目をこするアルファ

ガイアは唐突な目覚めに思わず抱き着いてしまう

「まったく、、君はまた無茶なことをしたんだね?」

耳元でささやかれる湿った声と密着した肌、アルファとガイアの間で潰れる大きな双丘にアルファは何事かと狼狽える

しかしガイアは二日も連続で心配させられた、許さない、と抱きしめる腕を離そうとしない

まして肩に顔をうずめ、アルファの肩を軽く濡らした

さっきまでは冷静でいられたのに当の本人が起きると途端に安心して、感情を抑えていたものが外れてしまったようだ

「、、、、」

ようやく冴えてきた頭で現状を理解したアルファは、何も言えずただただ静かに反省するのみだった

その状態でしばらくくっついたままの2人だったが、ぐすっと鼻を鳴らしたガイアがアルファの肩から顔を離したことでアルファの弁解が始まる

 

「何があったのかを言いますと長くなるんですけど、、」

 

ギルドでリヴェリアに出会ったこと、また逃げ出してしまったこと、変なモンスターが現れたこと、道に迷って応援を呼びにすらいけそうになかったこと、心のどこかでリヴェリアにいいところを見せたいと思っていたこと、、、、

話すにつれてどんどん語気が弱まっていく

何もしゃべっていないガイアが発するオーラでどんどん縮こまるアルファ

アルファが全部を話し終えた後数秒の沈黙が訪れる

「、、、」

「、、、」

ガイアが発するオーラに耐えかねアルファが自責の念で軽く泣き出しそうになった時、ようやくガイアが口を開いた

「いい?よく聞いてね。あなたの命はもうあなただけのものじゃない。あなたは私の眷属、私の家族よ。あなたが死んだら、はいおしまい。じゃないのよ?あなたがここ(オラリオ)に来た理由は聞いた。そのために無茶をしないといけないのは分かってる。だけど無茶をポンポンしてたら体がどうかしちゃうわ。死んだら何もかも終わり。だからお願い、自分を大切にして」

そう言ってガイアはもう一度アルファに抱き着いた

さっきとは違い、そっと優しく、いたわるように、壊れないように、いなくならないように、

アルファは返す言葉もなくただガイアの体重をそっと受け少し昔の記憶を思い返した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は捨て子だ

とてもよく晴れた日に、大きな木の下の小さなゆりかごでスヤスヤと眠っていたらしい

そこへお祖母ちゃん、僕の育ての親がたまたまやってきて見つけてくれたんだ

それはもう穏やかな寝顔で寝ていたらしい

その時代がどれだけ悲惨な状況かも知らずに

 

15年前、オラリオを除く全ての国家は戦争をしていた

ダンジョンという経験値スポットを保有するオラリオは戦火を浴びるどころか、他国の攻撃など小さい火の粉のようなもの、相手にもしなかった

しかしその他の国ではとっつき合いの取っ組み合い、人海戦術がものを言う時代だった

その戦火にあてられた近隣の町村は壊滅

僕は邪魔になったから捨てられたのかもしれない

 

お祖母ちゃんに拾ってもらってから僕はすくすくと育った

お祖母ちゃんは森の奥に住んでいて、戦争の余波も届かないほど森の中で、僕達はそこで仲良く暮らしていた

2人だったけど、森の動物たち、オオカミやシカたちと遊んで暮らしていたのでなんら不満はなかった

それが普通だと思っていたからだ

 

僕が8歳の時に事件は起きた

傷ついた旅人が家に訪ねてきた時だ

僕は初めてお祖母ちゃんと僕以外の人間を見た

この森の奥地に人が訪ねてくるのは僕がお祖母ちゃん家に来てから一度もなくとても驚いたのを覚えている

お祖母ちゃんは足を負傷したその男性を手厚く看護し介抱してあげたのだ

 

しかし次の日、悲劇は起きた

朝起きると僕の手は縛られていて、猿ぐつわまでかけられていた

窓の外を見ると朝の光ではなく、炉で見る赤い光が差し込んでいた

旅人だと思っていた男性はどうやら盗賊だったらしくどこかの国の軍に追われてこの森に逃げ込んできたみたいだ

目を覚ました僕の前で部屋を漁る盗賊

恐怖でしかなかった

声も出せず、動くことも出来ない、部屋の温度は高くなる一方

森は焼かれ、動物たちは殺され、お祖母ちゃんもいなくなったのかと思われ、盗賊が頃合いを見て家から飛び出していった時だった

上がり続ける部屋の温度が一気に下がり、赤一色の世界が一変したのは

窓の外の赤い光は全て無くなり、木々は氷漬けにされていた

家を飛び出した盗賊も走る体勢のまま凍りその命さえ凍らせてしまっていた

 

気温が一気に下がり凍えかけていた僕のところへやってきたのはお祖母ちゃんだった

この時さむがる僕を抱きしめ、しきりに謝っていたのをよく覚えている

 

お祖母ちゃんはエルフだった

 

魔法を操り、自然を感じ、動物たちに愛される種族、エルフ

 

その日からお祖母ちゃんは僕のヒーローなった

僕はお祖母ちゃんに魔法の教えを乞った

危険だと反対はされたけど何度もしつこく頼んだ

 

最終的にお祖母ちゃんが折れたのだけど、その時の僕なんかが魔法を使えるわけなかった

聞けばオラリオに行けば魔法が使えるようになると

ただし、この前の盗賊のようなとんでもない輩もいる

それでもいいんだなと

 

僕はもちろんと言い切った

その日から僕の訓練は始まった

自衛から教わり、ある程度の動きはできるようになった

森の動物たちと森を駆け、僕は鍛えた

だけど、一向にお祖母ちゃんに追いつける気配はなかった

 

ある程度動けるようになった僕だったけどなかなかオラリオには向かわせてくれなかった

お祖母ちゃんは僕が20になるまではいかせないといっていた

 

だけどその言葉はなかったことになる

 

なぜなら15歳の春、突如としてお祖母ちゃんが消えたからだ

森をどれだけ探してもお祖母ちゃんは見つからなかった

突然僕は1人になった

とはいえいつか戻ってくると信じ僕は半年待ち続けた

仲良くなった動物たちと遊んだり駆けたりしてそれなりに過ごしていた

 

ある日家の掃除をしていると一通の手紙を見つけた

いつお祖母ちゃんが帰ってきてもいいようにとお祖母ちゃんの部屋を掃除している時だった

 

『アルファへ。この手紙を読んでいるということは私はもうそこにはいないということですね。いくつかお話をさせてください。あなたは捨て子だといいましたね?実はあなたが入っていたゆりかごには一通の手紙が入っていました。その内容は、あなたをオラリオへ向かわせること、そしてダンジョンの最下層へ向かわせてほしいとのことでした。私は元オラリオの冒険者。どれだけこのことが難しいかは、辛いことかは、私がよく知っている、同じ思いをあなたにして欲しくなくて今までずっと黙ってました。それに私たちエルフは、なかなか子どもを身籠ることが出来ない種族です。だからあなたを見つけた時我が子のように一生育てようと決めたのです。私のわがままで黙っていてごめんなさい。

この手紙をみてあなたがオラリオに行くか行かないかは自由です。まぁ、おそらく向かうのでしょうけどね。そうであれば忠告があります。今のオラリオがどうかは分かりませんがあそこは闇が潜んでいます。それはダンジョンに深く根付いていてとても危険です。くれぐれも気を付けてください。

ダンジョンの最下層に何があるかは私の口からは言えません。あなた自身が見て感じてください。ただそこにあなたが捨て子になってしまった理由があると思います。

最後に、突然いなくなってしまって本当にごめんなさい。何も説明は出来ないのだけれど許してください。

あなたのことを愛しています。あなたが私の魔法を綺麗と言ってくれたこと。一緒に木の実を採ったり、木を割ったり、一緒の布団に入って温まったり。あなたの仕草、言動全てが私の癒しでした。生まれてから長い人生を過ごしてますがあなたほど愛しく思えたのは初めてでした。願わくばずっと一緒に居たいと思っていました。ただどうやらそれは叶わないようです。これからあなたが選ぶ選択がどうであれ、あなたの進む先に幸せと希望があらんことを願っています。いつまでも愛しています』

 

泣いていた

僕はこの手紙を読み終えるころには大粒の涙を流していた

突然の別れから半年、希望をもって待ち続けていた彼女はもう帰ってこない

悲しくて、けど手紙の言葉が嬉しくて、泣いた

その日は夜まで泣いていた

 

しばらくして僕は家を出た

思い出の家を飛び出すのはとても寂しかったけどオラリオに行かずには居られなかった

お祖母ちゃんがいた世界、僕の親であろう人が指示した場所、それに進まないことには何も分からないから

お祖母ちゃんがいなくなった理由、僕が捨てられた理由

なぜかオラリオに行けばお祖母ちゃんに会える気がして

いろんなものを求めて僕はオラリオに向かった

 

道中、ベルと出会い一緒にオラリオまで行くことになった

ベルからはいろんなことを聞いた

死んだお爺ちゃんが言っていた『ハーレム』だの『美少女』だのに出会いを求めて行くんだと

今ではその気持ちは分からんでもないけど、当時は何言ってんだこいつとか思ってしまった

ややあって僕らはオラリオに着き、行く道を分かれた

 

それは単純な理由で、子どもでしかない言葉

「どっちが強くなれるか」

ただそれだけの理由で僕らは1人未知の世界へ繰り出した

 

 

 

そこまで思い返したところで僕の意識は現在に戻される

神様が僕の体から離れたからだ

さっきより赤くなった顔をして目は軽く腫れている

僕はこの神(このひと)をとても愛しく感じた

恋愛対象とかじゃなくて、とても暖かい存在

まるでお祖母ちゃんのような

さっきまで古い記憶を思い出していたから僕も神様にあてられて感情的になってしまっているのかもしれない

大切な人を失う辛さは僕は知ってる

僕はもう神様の大切な人になっていることを改めて実感した

そして神様も僕の大切な(ひと)

神にここまで言わせておいて何も言わないのはバチが当たる

神様のまだ潤んでいる瞳を見つめて僕は言い切った

 

「わかりました。僕は自分を大切にします、他でもない貴女のために。貴女を1人にしないために」

 

その言葉を聞いた神様は嬉しそうに頷き満面の笑みを浮かべた

「その言葉が聞けて安心したわ。そろそろ私は行くわね。神の集まりに行ってくるわ。ここ(医療室)は明日まで使っていいって、ゆっくり休みなさいね。」

そう言ってベッドの隣から立ち上がり出口へと向かう

と部屋を出る間際、一言大事なことを僕に告げていった

「そうそう、リヴェリアが近いうちにロキのところのホームに来いって言ってたわね。明日にでも行ってみたら?明日、私はサボったのバイトの埋め合わせで朝から居ないから」 

じゃあねと手を振り今度こそ部屋から出ていく神様

え?今なんて言った?

リヴェリアさんがホームに僕を呼んでる?

どういうことどういうこと?

誰もいなくなった部屋で僕は困惑する

ゆっくり休めといわれてもそんなこと聞いたらドキドキして休まらないじゃないか

しばらく悶々としていたがまだ僕の体は休憩が必要だったみたいで、重くなる瞼に逆らえず僕はまた眠りについた

 




アルファとガイアの出会いはまた今度
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